オーナーさんが入手したばかりのPEN-FV #1255XX 1969-1月製ですが、改良前のユニットが使われていることが多いFVですが、この個体は改良後のユニットですね。しかし、巻上げの途中で巻き上げレバーが固着して不動とのこと。応急復帰をして点検すると、とにかく巻き上げの感触が悪い。リターンミラーは貼り替え済みとのことですが、ファインダーの無限遠を通り過ぎるようです。たぶん、リターンミラーの古い接着剤を取り除かずに接着したのでしょう。
セルフタイマーも変とのことで・・タイマーボタンが途中までしかねじ込めませんね。タイマーボタンのネジは2種類ありまして、たぶん、他の個体から調達したのでしょう。
正規のボタンではこのようになります。
最近はUP画像が多くなる傾向にありまして、出来るだけ少なくとも思うのですが説明できませんし・・タイマーレバーがお辞儀をしていますね。自然に調整がズレることもありますが、レバー自体も別個体からの調達ではないでしょうか?
少し前にもありましたね。この個体も裏蓋がパカパカとしてピッタリ閉まりません。
ははぁ、この個体もラッチを飛び越していて、それを修正しようとしたのでしょうか、傷だらけになっています。しかし、前回と言い、裏蓋の閉まりをラフにする必要がなぜ必要なのでしょう? 私には理解不能です。
何やら赤マジックで合いマークが書かれています。意味ないと思いますけど・・ユニットの止めネジが無くなっています。
さて、洗浄をして組み立てています。巻上げ関係の錆が多い個体ですね。
巻上げの固着はこれが原因ですね。5700のリングバネが無くなっているのです。
リングバネのレバー側の取付方法は変更になっています。それによってバネの形状も異なります。
洗浄注油で完成。
わぁ、導入部で12画像もUPしてる~。以後は省エネで行くからね。問題がないことを願います。
シャッターユニットは改良後のタイプですので、特に問題は無いのですが、ピンセット先の#2ギヤとギヤ軸のクリアランスが大きめで、チャージギヤとの距離が離れ気味のためバックラッシュが大きいです。元々、バックラッシュを詰めると巻き上げのゴリツキが出るので、設計上で開けてあるようですが、それにしても嚙合いが外れてしまいそうな感じもしますね。外れませんけど・・
製造としては新しいので、光学系も問題ありませんでした。
全反射ミラーは新品と交換してあります。これでメカ部は完成です。セルフタイマーレバーの水平を取ってあります。その他、接眼枠の傷が大きいので研磨をしておきました。
で、オーナーさんからのご依頼です。巻き戻しダイヤルのノブが僅かに浮き気味になっている。そう、細っかいところに気がつきましたね。こういう個体は多いというかチリが合っている方が少ないかも知れません。これは、板バネの留めネジの頭にノブが接触しているためです。設計の組図上では接触しないようになっているはずですが、公差の厳しい組み合わせでは接触してノブが浮いてしまうのです。
留めネジの頭を削るわけにもいきませんので、他の個体から頭の厚みが薄そうなものを選んで交換したところ。これ以上はノブも交換しないとダメですね。本来は、これは製造過程で対策をしなければいけないケースですね。ボタンもピッチの合うものと交換してあります。
ということで、細かいところで色々ありましたが、改良後のユニットを搭載した良いFVになりました。シャッターのテンションは強いですから、安定感がありますね。
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