今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

なんか怪しいPEN-FVの巻

2017年01月25日 17時46分45秒 | ブログ

オーナーさんが入手したばかりのPEN-FV #1255XX 1969-1月製ですが、改良前のユニットが使われていることが多いFVですが、この個体は改良後のユニットですね。しかし、巻上げの途中で巻き上げレバーが固着して不動とのこと。応急復帰をして点検すると、とにかく巻き上げの感触が悪い。リターンミラーは貼り替え済みとのことですが、ファインダーの無限遠を通り過ぎるようです。たぶん、リターンミラーの古い接着剤を取り除かずに接着したのでしょう。

セルフタイマーも変とのことで・・タイマーボタンが途中までしかねじ込めませんね。タイマーボタンのネジは2種類ありまして、たぶん、他の個体から調達したのでしょう。

 

正規のボタンではこのようになります。

 

 

最近はUP画像が多くなる傾向にありまして、出来るだけ少なくとも思うのですが説明できませんし・・タイマーレバーがお辞儀をしていますね。自然に調整がズレることもありますが、レバー自体も別個体からの調達ではないでしょうか?

少し前にもありましたね。この個体も裏蓋がパカパカとしてピッタリ閉まりません。

 

 

ははぁ、この個体もラッチを飛び越していて、それを修正しようとしたのでしょうか、傷だらけになっています。しかし、前回と言い、裏蓋の閉まりをラフにする必要がなぜ必要なのでしょう? 私には理解不能です。

 

何やら赤マジックで合いマークが書かれています。意味ないと思いますけど・・ユニットの止めネジが無くなっています。

 

さて、洗浄をして組み立てています。巻上げ関係の錆が多い個体ですね。

 

 

巻上げの固着はこれが原因ですね。5700のリングバネが無くなっているのです。

 

リングバネのレバー側の取付方法は変更になっています。それによってバネの形状も異なります。

 

洗浄注油で完成。

 

 

わぁ、導入部で12画像もUPしてる~。以後は省エネで行くからね。問題がないことを願います。

 

 シャッターユニットは改良後のタイプですので、特に問題は無いのですが、ピンセット先の#2ギヤとギヤ軸のクリアランスが大きめで、チャージギヤとの距離が離れ気味のためバックラッシュが大きいです。元々、バックラッシュを詰めると巻き上げのゴリツキが出るので、設計上で開けてあるようですが、それにしても嚙合いが外れてしまいそうな感じもしますね。外れませんけど・・

製造としては新しいので、光学系も問題ありませんでした。

 

 

全反射ミラーは新品と交換してあります。これでメカ部は完成です。セルフタイマーレバーの水平を取ってあります。その他、接眼枠の傷が大きいので研磨をしておきました。

 

で、オーナーさんからのご依頼です。巻き戻しダイヤルのノブが僅かに浮き気味になっている。そう、細っかいところに気がつきましたね。こういう個体は多いというかチリが合っている方が少ないかも知れません。これは、板バネの留めネジの頭にノブが接触しているためです。設計の組図上では接触しないようになっているはずですが、公差の厳しい組み合わせでは接触してノブが浮いてしまうのです。

留めネジの頭を削るわけにもいきませんので、他の個体から頭の厚みが薄そうなものを選んで交換したところ。これ以上はノブも交換しないとダメですね。本来は、これは製造過程で対策をしなければいけないケースですね。ボタンもピッチの合うものと交換してあります。

 

ということで、細かいところで色々ありましたが、改良後のユニットを搭載した良いFVになりました。シャッターのテンションは強いですから、安定感がありますね。

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寒い北海道から来たPEN-FTの巻

2017年01月21日 19時12分34秒 | ブログ

こちら関東地方も寒波が続いていますが、もっと寒い札幌から来たPEN-FT #2191XXという中前期の個体ですね。製造は1968年4月。非常にきれいな個体ですが、とにかく古い生産なので、改良前のユニットであることと光学系の劣化が進んでいることが懸念されます。露出計は不動とのことでFV仕様をご依頼ですが・・

この頃の個体は電池室からのリード線が腐食している頃です。ピンセットでつまんでみると・・ほらね。

 

テストで露出メーターに通電してみると、動きますねぇ。精度については不明ですが、オリジナルのハーフミラー仕様とします。

 

ハーフミラーにも劣化が見られます。

 

 

プリズムのコーティングにもカビが・・

 

 

となると、接眼プリズムのコーティングにも劣化があるはずです。

 

 

本体の分解洗浄を終えてモルト貼りと電池室のリード線を新しいものに交換しておきます。

 

モルトを貼ってから電池室を組み立てて行きます。

 

 

シャッターユニットはテンションスプリングは改良前の条数の少ないタイプで、スローガバナーは改良後のタイプとなっている過渡期的なユニット。作動は特に問題はありません。

 

プリズムのコーティングは清掃で剥離しましたが、実用に問題はありません。古いモルトを清掃して組み立てて行きます。

 

前板関係は完成で、本体にセットします。

 

 

接眼枠を壊してこられる方が続きますね。ご希望で交換をします。

 

 

露出計は作動しますので、オリジナル通りハーフミラーを選択します。

 

 

セルフタイマーユニットは改良後の仕様ですが、途中で止まってしまいます。これから洗浄、注油をして調整をして行きます。

 

 セルフタイマーユニットも設計変更を受けている部分です。初期型は巻き上げはジッジッジッとした感触の爪によってレバーの逆転を止めるタイプで、変更後は3つのコロが軸を固定するワンウェイクラッチ式になりました。巻上げはスムーズになりましたが、コロの1つでも作動不良となると軸の戻りを止められない新たな故障が発生するようになりました。この個体は変更後のタイプになっています。

メンテナンス後はスムーズに作動しています。ファインダーのピントチェックと露出計の調整をして行きます。

 

 

裏蓋の開閉ラッチの飛越があります。裏蓋側のラッチが、本体側のラッチを飛び越していた形跡があります。これも多い不具合ですが、原因は巻き戻し軸の上下の動きが重くなっているためです。調整をしておきます。

 

付属の38mmは#3251xxですから、本体とセットで販売されたものではありませんね。ずっと後の製品です。38mmは互換の無い設計変更を受けていまして、この個体は変更後の製品です。カビ、ヘリコイド不良、絞り羽根不良などがあります。

レンズはすべて分解洗浄のうえ組み立てて本体に取り付けました。基本的に消耗の少ない良い個体でしたが、23万台と比較的古い製造のため、光学系や露出計などのダメージが進んでいましたね。

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SEIKO スポーツマチックケース交換の巻

2017年01月20日 19時31分33秒 | ブログ

正月休みの続きですが、状態の悪いケースを同型から調達研磨をして交換しています。オリジナルは6619-8970で、交換するケースは6619-8050です。セイコー5の6619Aはカレンダーの日付を変えるのに竜頭を押し込むプッシュ式となって、操作性が向上したモデルです。若者用に大量生産されましたので、6619-◯◯◯◯の番号違いで無数のバリエーションが存在します。マニアさんには特に希少性がないので、非常に安価に入手することが出来ます。私も画像のような黒文字盤を中心にコレクションしています。特徴的なのは、文字盤の2時付近に突起があって、インナーベゼルの位置決めをしています。

風防も新品に交換したかったのですが、あいにく純正品と社外品とも入手することが出来ませんでしたので、今回は傷を研磨した古い風防を再使用します。研磨をしたベゼルで圧入します。

 

中古の風防なので、問題なく圧入しました。

 

 

白文字盤に比較して黒文字盤は生産数は少なく、見つけるのも簡単ではなくなって来ました。特にアラビア数字の蛍光針は少ないですね。

 

ベルトを取り付けました。機械は以前にオーバーホールをしてありますので、今回はそのまま搭載しました。歩度も非常に優秀なデータを示します。しばらく常用機とします。

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輸送事故のPEN-Fの巻

2017年01月17日 23時22分49秒 | ブログ

お友達から転職祝で頂いたというPEN-Fですが、不動だが外観は良いとお伺いしていたのに・・トップカバーの両肩がへこんでいますね。オーナーさんにお聞きしてみると、やはり、発送時にはへこみは無かったとのことです。私もこの仕事を永くやらせて頂いていますが、過去の輸送事故の経験はそれほど多くは無く、数件でした。事故機の共通点は箱が小さいことです。今回の箱も小さいので「もしや」と思って画像を撮影していたのです。今日のニュースでも、宅配業者は人手不足で困っているとか、どこの業者が丁寧などはないのだと思います。皆さんにお願いですが、お送り頂ける場合は、箱は60サイズでプチプチのパッキンで梱包してください。事故のケースでは、紙や薄い(白い)包装用のシートは緩衝材としての効果は薄く、スペーサーの役割しかしません。

気を取り直して、リカバリーをして行くしかありませんね。アンダーカバーもネジが緩んでカタカタ言ってますよ。

 

38mmレンズは絞り羽根の油が回って開閉困難な状態です。

 

 

PEN-Fの多くの個体がプリズムの腐食があるのです。(黒点)

 

 

シャッターを切るとミラーアップで停止すると・・

 

 

取りあえず、不具合個所を点検しながら分解をして行きます。巻上げレバーのバネ抑エは設計変更後のタイプになっています。少し前の画像と比較してください。

 

PEN-Fは古いので、裏蓋のヒンジピンが錆びて固着しています。叩き出すしかありません。

 

古いモルトカスや汚れを洗浄したところ。では組み立てて行きます。

 

 

巻上げ関係は特に問題はありませんね。

 

 

シャッターが変ですね。係止爪がネジが緩んでグラグラしています。

 

 

チャージ地板もグラグラですよ。

 

 

地板の取付は、この真鍮ネジ2本です。ここが緩んているケースはあまりありません。

 

緩んだネジを締め込んでレリーズなどを組み立てたところ。テンション軸に線状痕がありますが、まぁ、使える範囲です。

 

 オーナーさんとの相談で、私が無償で修正して差し上げることにしました。日本郵便め。しかし、金属は一度伸びてしまうと絶対に元には戻りません。あくまでも夜目遠目です。この程度にしておきます。

 

ではシャッターの続き。もう不具合はないかと思いましたら、スローが全く停止状態。スローガバナーのアンクルが固着しているのです。あ~ぁ。

 

スローガバナーは清掃注油で何とか復活(;´・ω・)では、前板関係ですが、プリズムは角が欠けてハマグリ状態ですね。破片が見当たりませんので、輸送中の破損ではないですね。

 

プリズム、スクリーンなどを分解清掃します。

 

 

やっとここまで来ましたよ。単体でのシャッターの作動は完璧です。では、前板とドッキング。

 

調子は良好でシャッターダイヤルを取り付けて、シボ革を貼ろうかとしたところ・・ポロッ。なんとリターンミラーが剥がれて来ました。車のレストアなどでも、長期に寝かした機械は、作動を始めると、あちこち壊れて来るものなんですね。まぁ、お返しした後でなくて良かった。しかし、また分解しなくてはなりません。今日は集中力が切れました。止めた。

 

シャッターを切った反動で剥がれたのではないのに、下端のメッキ面が剥離していました。ケラレは無いですけどね。しかし、よくアッチコッチが壊れる余程運の無い個体です。

割れた破片が見つかりましたので、一応貼っておきました。本来は交換したほうが良いですけどね。

 

 

使われずに保管が悪い個体は圧板に腐食が出ているものが多いです。きれいに研磨をしてから取り付けます。

 

レンズもひどいですね。カビと絞り羽根の作動不良、古いのでグリスの硬化があって、ヘリコイドが異常に重いです。

 

まぁ、いろいろありましたが、何とか仕上がりました。今回は、費用を掛けない方針でしたので、交換部品はなしです。#1641XX  1965年1月製。

過去には、紙袋で送って来られた方も数名さんいらっしゃいましたが、カメラは自重が重いので、ちょっとした衝撃でも破損することがありますので、お送り頂く場合は、極端に小さな段ボールは避けて、プチプチを多めに巻いてお送り頂けるようお願い致します。

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お帰りPEN-FT(B)の巻

2017年01月16日 20時29分05秒 | ブログ

PEN-F系の修理が溜まって来てしまいました。このPEN-FTは過去にオーバーホールをしたご常連さんの愛機。フィルムのカウンターが動かないんですって。カウンターの故障原因はいろいろあるんですが、この個体の場合、点検すると駒数板を固定するコテイギヤーを押すアンダーレバーが、裏蓋蝶番の摩耗ガタにより接触点が外れてしまうものですね。裏蓋に飛び越した傷があります。関連部分の当たりを調整して終了。

接眼枠が割れていて交換をご希望ですので交換しておきました。

 

 

これで良いですね。ご要望の修理を終えてまた頑張って来てね。

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