今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

PEN-FTブラックが好きなのねの巻

2016年09月29日 20時05分06秒 | ブログ

先日、PEN-FTブラックをO/Hされたマニアさんが、またまたブラックを送って来られましたよ。#3116XXと良い頃の個体で、しかも塗膜の磨滅が少ないきれいな個体です。私は使い込まれたボロっちいのしか持ってませんが・・

 

分解の前に、一通り点検していきます。まず気がついたのは裏蓋のラッチの飛越し。これ、知らずに使っている方もいるのです。ラッチの先端部が削れていますね。

 

裏蓋側のラッチ強度が弱く、曲がってしまうと飛び越しが始まります。

 

 

後期のきれいな個体ですが、現役当時に露出計が不良となり(珍しい)SSなどで露出計ユニットの交換を受けています。私の言う基板別体タイプです。このユニットは、生産の末期頃に工場生産にも使用されているのを確認していますが、31万台では後天的に交換を受けたものです。

シャッターダイヤルのスベリコ(ジョイント)の形が変ですね。

 

 

両サイドがヤスリ掛けされています。??

 

 

では、いつものように洗浄組立をしていきます。グリスは場所によって使用する種類が異なりますから使い分けて塗布します。

 

巻き上げレバーが上側に曲がっているのが分かりますか? ジュラ製ではないので、あまり曲げて戻すと折れることがあります。

 

シャッターユニットの分解。テンションスプリングは条数が増えた変更後のタイプ。

 

チャージギヤは、まだカシメタイプですので分解は出来ません。全体的には摩耗の少ない良いユニットです。

 

チャージギヤと下の#2ギヤのバックラッシュは大きめに取られていますね。PEN-F発売時の雑誌での分解検証でガタを指摘されていましたが、メーカーはこれで適正というような説明をしていたと思います。技術者にしか分からない高度な計算があるのでしょう。素人は余計なことは言わない。

この個体は、巻上げの途中で逆転してしまう時があります。原因は、逆転防止爪のスプリングの掛け位置が間違っているのです。ピンセットの下が正解。上に掛かっていました。しかし、熟知していないと上が自然に見えるのは確か。SSかそれに準ずる修理屋さんの作業だと思うのですが・・

ルーペのモルトは交換されているのですが、ベトベトに劣化をしていることから、相当に昔、まだ現役時代の作業だと思うのですよね。しかも下手っぴい。

 

これが問題の基板別体タイプのCds部分。売りのスリットはありませんね。私が米谷さんに直接お伺いをしましたが、このようなユニットは無いと断言されました。だってあるじゃん。

 

シャッターダイヤルを取り付けて回転させると2秒の位置で固着して露出計とも連動していない。それで分かりました。前回のリペアマンさんは、スベリコが引っかかると解釈して削ったのでしょう。残念でした。これはウォームギヤが悪いのです。

ウォームギヤを交換して正常に作動するようになりました。あまりこのカメラを理解していないようです。

 

基板別体タイプの露出計ユニットなので、いつもと眺めが違いますね。

 

 

ピント精度を確認していると、ファインダーのピントが無限を少し超えます。調整ポイントの範囲は狭いのですが、調整用のイモネジがありません。確かに調整範囲ぎりぎりが無限なのでイモネジが無くても極端な誤差が出なかったので不具合とならなかったようですが、イモネジは最初から無かったの? 過去に再調整をされた形跡も無いような・・しかし、精密な調整には必要なので、イモネジを追加して調整をしてあります。

付属の40mmですが、絞り羽根に油が回っていますので、清掃をします。

 

 

この個体は、前面のネームリングが緩んでいましたが、クリック用のベアリングが無くなっていました。画像はテンション用のバネ。

 

ベアリングを追加して組み立てます。

 

 

もう1本同梱の60mmです。かなり汚れとレンズカビ、曇りがあります。過去に分解清掃を受けていますね。

 

特に後玉が良くありません。2枚張り合わせの両面コートですが、コーティングの劣化と周辺曇りがあります。

 

まぁ、出来るだけ清掃をして、本体と絞り羽根も清掃しました。

 

 

基本的には良い個体でしたが、チマチマとありましたね。最後にトップ面のPEN-FTとシリアルの色が変色していましたので入れ直して完成です。1969-10月製。

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国産名車コレクション S800の巻

2016年09月27日 12時25分34秒 | ブログ

先日取り上げました「国産名車コレクション」のトヨダ2000GTですが、入手が非常に困難となっていまして、オークションサイトなどではプレミア価格となっていますが、なんと北海道のINOBOOさんが行きつけのおばあちゃんが店番している本屋さんで見つけて確保して頂きました。感謝です。やはり地方の本屋さんの方が入手しやすいのでしょうかね?

そこで、今日27日はvol.3のホンダS800の発売日でした。近くの本屋さんは予約は出来ないと言われたので、開店一番目に行きましたがお目当てのS800は見当たりません。店員さんに尋ねると「予約で完売」との返事です。「そんなぁ」とゴネて何とか手に入れることが出来ました。メーカーさんが生産数を減らしているとのことで、比較的大型の店舗なのに1個しか入荷しなかったとのことでした。

さっそくモデルを見て見ます。(開封はしません)うん、S800所有の私が見ても、中々良いシルエットをしていますね。塗色は深みのあるレッドですが、現車はもう少し明るめのスカーレットです。

本物のフェンダーに付くサイドオーナメント。ボディーラインはどこから見ても破たんはなく好印象を持ちました。モデルの強度的には仕方のないところですが、ウィンドウ中央の脱落式リヤミラーを取り付けるテンションロッドが太過ぎて気になります。ステンレス線で作り直したい(ミラーも)ところ。それだけの工作でぐっと本物感が増すでしょうね。

 

アイボリーのS800Mは30年以上前に何台も作った今は無き日東製のプラモデルです。古い金型ですから全体のシルエットが寸伸びのような印象でボリューム感に乏しい。フロントウインドウの高さも足りない。何十年後にタミヤからも発売されましたが、日東と殆ど同じようなシルエットで、がっかりして製作意欲を無くしました。しかし、アシェットのS800では省略されているアンテナの表現はあります。ガソリンキャップもアシェットは小さ過ぎます。ボンネットのパワーバルジはアシェットの表現が正しい。当時は、冬季、トノカバーを運転席のみ開けて走っていました。ヒーターが効いて意外に寒くはなかったです。

モデルは4穴のホイールを履いていることからチェーンタイプではなくリジットモデルであることが分かります。まだフタバラケット製の木製ハンドルを装備している頃。S800Mはプラスチック製になります。S800のモデルカーは色々と所有していますが、出来栄えは良い製品と言えると思います。

暇なので、自家用車のワイパーの塗装が劣化して赤錆状態だったので補修塗装をしました。焼付で行うつもりが取付け部のカバーが樹脂であることが判明。分解不能ですので普通の缶スプレーで塗ります。家に残っていたプラサフを吹いて、塗料はなんとダイソーのアクリル塗料。下塗りを研ぎ出しているところ。

ある意味、焼付塗装より自然乾燥塗料の方が難しいよね。速乾のため、表面がザラザラのまま硬化してしまうからです。

 

二度塗りをすると余計に艶が死んでくれませんね。まぁ、耐候性は劣るのですぐに艶は引けるでしょう。劣化したらまた塗ります。100円だし。。

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「ペンスケッチ展12」に行って来ました。

2016年09月24日 21時40分09秒 | ブログ

今日は定期健診のため新宿に行っておりましたが、ここのところの天気は晴れと雨が入れ替わったような感じですね。最近出来た南口の高速バスターミナル「パスタ新宿」を通ってみましたが、長期の工事期間を掛けた割には、どうという建物ではないですね。少し期待外れの感じでした。歩道を歩いている人は外国人観光客ばっかり。

 

 

このネコは何なのでしょうか?

 

 

 

線路を跨ぐ通路部分。洒落たレストランがありますが、私には縁が無いようです。

 

 

青山のホンダ本社「ホンダウエルカムプラザ青山」にも寄ってみました。苦戦の続くF1マクラーレンホンダがありましたね。まだまだメルセデスやフェラーリには追い付かない。鈴鹿日本GPに向けて、最後のトークンを投入したエンジンを次戦のマレーシアGPに投入するようですが、改良エンジンを投入すると壊れますからねぇ・・。期待は来年ということでしょうね。マクラーレンの塗色はガンメタなんですね。

 国内発売がされた新型NSXもありました。性能的には相当進化を遂げたようですが、私的には先代のNSXの方が好きでしたね。後ろにチラッと見える白いS660には若い人が集まっていました。私のS800Mとは比較の対象ではありませんが、もっと若かったら欲しかったでしょうね。若者の自動車(バイク)離れが言われている昨今、このような軽スポーツが起爆剤になってくれればと思いますが、無理でしょうね。

で、ペンスケ展のギャラリーに到着したのがお昼頃で、在廊の皆さんが昼食に出掛けてしまって、お留守番をしているところです。皆さんの思いのこもった作品を1点づつ拝見いたしました。

初孫さんの写真は微笑ましいです。

 

中々魅力的なモデルさん作品。しかし、作品はハーフ判のほかに、縦位置という決まりがあるんですね。まぁ、組み写真ということですね。MazKenさんともお話をしましたが、フィルムカメラはコストも高くなって、完全に限られた趣味の世界となっているとのこと。う~ん、考えさせられます。私のところに修理を依頼してくださる方も減りましたからね。なんとかフィルムの世界を消さないようにしたいものです。

また、私のブログをご覧頂いて足を運んでくださった方もいらっしゃるとお聞きしました。ありがとうございました。

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SEIKO レディースダイバーを復活させるの巻

2016年09月21日 13時37分47秒 | ブログ

その前に。毎年恒例のMazKenさん主催の「ペンスケッチ展12」が明日21日(水)~25日(日)まで開催されますが、MazKenさんよりご招待状を頂きましたよ。私的には、今週は通院日なので、帰りにお寄り出来たらと思っています。東京近郊にお住まいのハーフファンの皆さん。是非足を運んで頂ければと思います。会場は、青山のHONDA本社側です。詳しくは下記まで。

http://mazken.cocolog-nifty.com/

では、本題に行きます。カメラの作業が一段落ですので、先日の植村ダイバーの時にもチラッと登場しましたセイコー・レディースダイバー2205-0760をやりたいと思います。この個体は以前にご常連さんから不調の状態でお譲りをして貰ったものですが、小さな機械で8振動とハイピートですが、ヒゲゼンマイの状態が悪く、小さいゆえにヒゲが接触をして不調の症状となるものでした。そこで、キャリバーは2205Aと、大量に販売された婦人用の自動巻き腕時計マチックレディカレンダーと同じですので機械を調達しました。

セイコーのダイバーは17石仕様が多いと思いますが、2205Aには17石、21石、25石がありますので、今回は21石(25石は少数で見つからず)の機械と入れ替えてみようと思います。しかし、老眼には女持ちというそうですが、婦人用(この言葉も最近は・・)の機械は、非常に小さいですから目にきついですね。

普段よりルーペの倍率を上げて頑張ります。すべて洗浄をして輪列を組んで行きます。小さいからと言って構造は同じですよ。

 

香箱は解説書によるとセルフグリーシングゼンマイを使用しているため注油の必要がないとのことです。道理で簡単に開かなかった。ホゾの部分のみ注油をしておきます。

 

機械台一杯の小ささですからね。ヒゲゼンマイを変形させないように注意をしてテンプを載せて作動を始めました。天真の注油をします。

 

すでにカレンダー側は組んであるのですが(右側)、左のオリジナルからカレンダーの日車と押エを移植します。地板も多少の加工違いがあります。押エの形状も脚が1つ多いです。また、オシドリ関係は、調達した機械のケースがワンピースケースのため、形状が違いますが、文字板の外径が大きいので支障はなく、そのままとします。

機械をケースにセットしてから自動巻き機構を載せて行きます。

 

 

回転錘は21石は赤で色入れされています。今回はそのまま使います。

 

 

1円玉の直径が20mmですが、この機械はそれよりも小さい17.20mmです。小ぶりなケースなのに、中身の機械はさらにずっと小さい。ある意味、婦人用の機械の方がシビアですよね。

 

基礎キャリバーは手巻きの2202Aで、それに自動巻き機構を載せた機械です。それ故、機械厚みは5.66mmと厚くなるのは仕方ないところでしょうね。今度は25石の機械を探して、さらに多石化しようかな・・しかし、しばらくは婦人用機械は組みたくないかも。。

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女性PEN使いさんのPEN-FTの巻

2016年09月16日 10時49分42秒 | ブログ

愛媛にご在住の女性PEN使いさんから修理のSOSが入りましたよ。#2004XXと、20万台と言えども10万台に近い前期型の個体です。比較的、初期生産の個体が女性の方のところへ行くなぁと感じます。前期型がすべて悪いわけではありませんが、改良前のユニットと光学系と露出計はどうしても時間の経過で劣化が起きやすいのです。で、巻き上げががっちりと固着しています。お約束の行動。セルタイマーを掛けてみて終了ということでしょう。

機械は未分解ですね。20万台でメンテナンスなしは厳しいところです。

 

 

なんと、HD電池が入ったままでした。オーナーさんは露出計は使用していないとのことです。では、液漏れをしますから抜いておきましょうね。

 

これです。プリズムのコーティングが劣化しています。

 

 

ハーフミラーは初期タイプのもので、その割には劣化は少ない方ですので、保管は比較的良かったと想像します。

 

問題のシャッターユニットですけどね。予想していた故障ではなく、応急復帰で作動をしましたが、完全にグリス切れでギシギシの状態です。原因はこの辺りでしょうね。

 

では、いつものように洗浄後、組み立てて行きます。スプロケット上部に入るウェーブワッシャー。これは初期の生産機には入っていません。20万台で入っている事が確認できます。

 

ん?、そうでもないな。仮に復旧させて巻き上げて見ると巻き上げが軽い。テンションスプリングがへたり気味の気がします。巻き上げは、なるべく軽いのが良いと思うでしょ。軽いと言うことはバネが弱いということ。条数が長く改良される前の仕様で、比較的、製造が古い個体なので、巻き上げたまま長期に放置されたような個体はへたりが出ると思いますね。スローガバナーは改良されたものが付いていますが、歯車の材質は改良前のままなので、摩耗する心配はあります。

前板関係。うぁ、これで見えましたかね。リターンミラーがすごく汚れ(腐食)しています。今回は清掃のみとしておきます。

 

プリズムは慎重に拭き上げてコーティングはセーフです。シャッターは、やはりテンションが弱く、スローガバナーを押しきれない状態でした。ガバナー側には問題は無いので、あまりやりたくはないのですが、テンション調整をしてあります。

この頃の個体は、接眼プリズムのコーティングは劣化した物が多いですね。外気に近いからでしょうね。

 

前期物はいろいろ細かいところに問題が出ます。駒数カウンター板が完全に復帰しない時があります。前期のものはスプリングが弱いと感じますが、経時劣化なのか仕様変更なのかは不明。しかし、今回の直接的な原因はスプリングでは無かったのです。

これね。ギヤASSYの小ギヤの回転がスムーズでない。今回は交換をしましたが、かと言って、後期の強めのスプリングとの組み合わせでは、何の問題も起きないのです。常に信頼性を改善する変更が行われているということ。

 

で、お約束の画像。残念なことに、露出計の感度が半部以下に低下しており、電池室からのリード線の抵抗値が大きいなど、交換をして改善を試みましたが感度低下が大き過ぎでした。オーナーさんは露出計はiphoneのアプリをお使いだそうで(そんなことできるんだぁ)今回はユニット交換はしていません。

底部です。リターンミラーユニットは、まだ変更前のタイプです。テンションは弱めなので、フリーズのし易い傾向がありますが、裏を返せば巻き上げが軽い。

 

38mm標準レンズですが、結構すごいです。革ケースに収納されていた個体は、レンズの劣化が大きいようです。

 

後玉もカビの他に、全体的に白く曇っています。

 

 

絞り羽根に流化したヘリコイドグリスが流れ込んでいます。全て洗浄脱脂をします。

 

付属の革ケースに入れて完成ですが巻き戻しレバーが飛び出していますね。

 

 

拡大するとこのようになっています。

 

 

これは、組み間違いではなくて、中央のレバースプリングを留めるネジの頭とレバーが干渉しているです。組立図面上では干渉せず、レバーは収まるようになっているはずですが、各部品の公差の関係で、部品の組合せによってはこのような個体が発生します。これ、結構多いですよ。

外観もきれいでそれほど使われた個体ではないのですが、20万台と言っても殆ど10万台と同様の古い生産機になりますから、経時的な劣化の不具合が出ていましたね。シャッターのテンションスプリングの劣化。露出計の感度低下。プリズム(光学系)のコーティング劣化。ハーフミラーの劣化(今回は交換)。駒数カウンターの復帰不良などがありました。どういう訳か女性オーナーさんのところへ行く個体は前期型が多いように感じますね。私としては、メカの心配などせず、撮影を楽しんでもらえることを願っています。

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