今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ローライB 35の巻

2020年07月14日 21時50分00秒 | インポート


リコーキャディかと思ったらローライB 35でした。しかし、よく似た寄り目のデザインだこと。B 35は1969年の発売だそうですのでリコーキャディ(1961年)の方が発売は早いのでした。日本製コンパクトに対抗するために開発された普及版ということです。兄さん達はCdsの露出メーターを装備していますが、こちらはセレン式(C 35はそれも省略)となって、少し古い感じに見えますね。レンズは3群3枚のトリプレットタイプ ツァイス製トリオター40mmf3.5を搭載しています。

左ヨコにかなり大きな打痕がありますね。修正の指示ですが、ここまで大きい(深い)と目立たなくするのは無理ですね。なるべく修正はしますが。

 

ここまでコストダウンしなくてもと思わせるような本体は樹脂製です。内部の構成部品も殆ど樹脂部品です。

 

O/Hをしておきますが、気になったのは鏡胴基部のシャッターダイヤルが固着しているのとASA感度ダイヤルも固着して動かない。では、トップカバーを分離して打痕の修正から始めます。

殆ど樹脂部品ですね。ファインダーは一体式ですが、ブライトフレームと接眼レンズの留め方はUバネで普通のローライ35と一緒です。対物レンズは1枚になっています。

 

板金修正後、洗浄をして欠損しているレバー当てを製作して取り付けます。

 

露出計ユニットを組み込んでダイヤルをセットしますが、125の位置に樹脂バネがあってダイヤルのクリック感を出していますので外周のローレットに噛み合うように取り付けます。

この1本のレバーでファインダー横の支点により巻上げ角をフィルムカウンターに伝えます。非常にシンプルな設計です。

 

ローライ35系のシューは底部にあるため、レールを曲げている個体を良く見かけますね。

 

不用意に力を掛けるとリベットが緩むのでやりたくないのですが、何とか修正をしておきました。

 

スプールのフィルム巻取り方向は普通のローライ35系と逆になりますね。

 

このようになりますね。

 

 

レンズの清掃をして∞調整をしますが、この個体は北米からの仕入れなのかft表示になっていますので、m表示を上側に来るようにセットします。

 

B20なら戦時中に製造された国鉄のBタンク(小型蒸気機関車)なんですけど、どちらも豆タンクと豆カメラです。安価な日本製コンパクトカメラに対抗して、ここまでしなければならなかったのかなぁと考えさせられるカメラです。しかし、トリオターレンズの写りは侮れないとの評価もありますね。

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残念だね。オリンパス撤退の巻

2020年06月26日 12時22分36秒 | インポート

少し前に韓国市場からの撤退を発表していたオリンパスカメラ部門ですが、分社化を進めカメラ事業を投資ファンドに売却して撤退というニュースがありましたね。まぁ、研究開発や製造体制は維持してOM-D PEN ZUIKOなどのブランドは継承するとのことなので、完全に無くなってしまうということでは無さそうですが、スマホの台頭でニコンやキヤノンも業績を落としている現在、特にエントリーモデル中心のオリンパスは継続的な赤字を抱えて厳しい状況に追い込まれていたのでしょう。今後の展開は不明ですが、何とかオリンパスブランドのカメラを市場に提供し続けて欲しいと願います。

そんなことで、私もPENの修理をして行きたいのですが、最近PENの修理ご依頼が減っているんですね。ブログを継続して見てくださっている方ならお気づきと思います。若い世代の方への継承もあるにはあるのですが、殆どがオールドファンが一部の個体を残して他のカメラを手放すような傾向が続いています。私も微力ながら何とかPENを守って行きたいと思っているのですが、ファンが増えて修理のご依頼が無ければ如何ともし難いところです。そんなことで、最近はローライ35系の作業が増えていますね。これはローライ35Tですが、ローライ35と基本的に同仕様のモデルですね。ファインダーの清掃とヘリコイドグリスの交換などのメンテナンスをしています。

このファインダーは基本的には再分解が出来ない構造になっています。しかし、それでは困りますので、オリジナルを壊さない程度に分解をして行きます。本体への取付はカセット式でパチッとはめ込んで巻上げギヤの地板をセットします。

ローライ35Tのヘリコイドグリスは抜けやすいのか、距離ダイヤルがクルクル回ってしまう個体が多い気がしますね。古いグリスの清掃とレンズの清掃などをしておきます。

 

トップカバーはアルミ製なので、簡単にへこんでいる個体が多いです。軽く修正をしておきますが、塗膜が剥がれかかっていますので強い衝撃は掛けられません。

 

点検すると、シャッター部分のバネが軸から外れています。

 

 

これは別の個体の画像ですが、裏から見るとここに入っているバネです。先日もローライ35クラシックで経験しましたが、後期に製造されたカメラのバネは、捻じりバネのループの直径が大きくて、それが原因で外れかかったりバネが動いて不具合になったりしている気がします。

ローライ35Tはダイヤルの彫刻文字がコストダウンで印刷になっていたりで、ちょっと残念なところもありますね。今回は2台メンテナンスを実施しました。それと、先日ヘリコイドの固着で修理断念をしましたローライ35Sですが、オーナーさんが部品を調達されましたので交換をして無事復活をしています。

明日は新宿の病院に定期健診で行かなければなりません。最近は歌舞伎町などでの若い方の感染が多いようなので大丈夫でしょうけどマスクをしっかりとして行きます。その後も地元の病院で他の部分の検査がありますので、ブログはあまり更新できないかもしれません。すみません。

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ポチッとしてしまったセイコー・スーパーの巻

2017年07月27日 19時41分19秒 | インポート

オークションをウォッチしていましたら、「良さそうな個体だな」と思えたスーパーがありましてね。試しにポチッとしておきましたら落札してしまったという個体。スーパーなら沢山所有しているのに・・届いた時計はSSケースのためだけではなくて汚れは殆ど無くきれいです。「時々止まる」のでジャンクとなっていましたが、観察すると長針と秒針がある位置に来ると接触するためと判明しました。

裏蓋刻印から1954年6月の製造のようです。(スーパーは1950年発売)私とほぼ同じ歳。バネ棒も新品なので、これは手を入れてありますね。

 

取りあえず分解点検をしましたが、非常にきれいな機械で、天真などの摩耗も進んでいないようです。なんか怪しいなぁ・・

 

巻き芯も錆が無いですし摩耗もありませんので交換されていますね。竜頭はオリジナルではありません。マーベル用かも? でも新品ストックを使ったようです。

 

香箱真にも摩耗が無い。当時のデッドストックに近い機械なのか、最後期の機械が使われているのかも知れません。

 

テンプのヒゲもいじられた形跡がありません。逆に、まだ当たりが付いていない機械のような感じもします。

 

機械留めネジ2本のうち1本が欠落していましたので、ストックから取り付けておきます。

 

ケースは軽く磨いて小キズを消してあります。風防ガラスも新しいものに交換されていますね。秒針は別個体からの交換と思われます。先端の曲がり角度が長針の曲がり角度と合わないからです。それが止まりの原因です。形状を修正しておきます。

これから調整をして行きますが、片振りが大きいですが、この頃は片振り調整機構がありませんので、ちょっと厄介です。

 

私の誕生日の読売新聞と。「日本の外交をどうする」とは現在と殆ど同じ記事ですね。ビールが値上げで1本百二十円。すでにインフレが始まっていたんですね。現在の日本は物価上昇率が上がらず苦慮しているのに・・たぶんマニアさんが新品の部品を使って組み上げたものでオリジナル性は不明ですが、手間とコストは掛かっているはずです。(それにしては安価でした)文字盤の時代加減が良くて入手しましたけど、使うことは無いかなぁ?・・

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最後はRICOH AUTO HALF E でしたの巻

2016年06月18日 19時10分28秒 | インポート

今日の関東地方も気温が上がりまして暑くなりましたね。自転車で走っていましたが、早々に引き上げて来ました。で、3台目の最後です。リコー・オートハーフですね。これまたきれいなEXPO 70の記念バージョンです。大阪在住のオーナーさんの手元にあってしかるべき個体ということでしょう。しかし、このエッチングプレートは上品で素晴らしいセンスですね。オートハーフの前面プレートをノベルティー用とした特注品の製造を受けていたようですね。外観も全く欠点のない個体でも、これは希少品と思います。

作動は特に問題はないとのことですが、カウンターが復帰しないということです。ほんとだ・・

 

駒数板のロックを解除するリンケージ途中には、特に調整ポイントはないようです。ロック爪のレバー部を折り曲げて調整をしてあるようですが、すでにこれ以上折り曲げると先端がギヤに干渉して具合が悪いのですね。よって、下駄を履かせておきました。

各部の清掃・注油をして行きます。中央のプーリーは、巻上げ時に急速回転をしますが、油が切れていると、「キャ~」という異音が出ます。注油をしておきます。

 

ファインダーを取り出してレンズの分解清掃をします。

 

 

2枚合わせの対物レンズは、前面がガラス、後ろが樹脂です。これでコストダウンになるのでしょうかね?

 

接眼部のモルトを交換しておきます。

 

 

裏蓋のモルトはスポンジタイプの素材で貼り替えられています。これでもいいっちゃいいのですが、オーナーさんから貼り替えのご依頼ですから貼り替えます。

 

で、こうしておきました。

 

 

改めて見ても、このデザインはきれいです。しかし、3台共、素晴らしいコンディションの個体でしたが、オーナーさんの努力が伝わって来ますね。

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持病の曇りZuiko 20mmの巻

2015年12月20日 11時44分11秒 | インポート

北海道のご常連さんからZuiko 20mm f3.5のレンズが曇ったとのことで来ています。このレンズは新種ガラスなどの影響なのか中玉が曇る持病がありますね。これはガラス自体が曇ってしまうものでクリーニングではきれいになりません。ははぁ、曇ってはいますが、ひどいものは真っ白になりますよ。しかし、過去に分解を受けていまして、化粧リングのスリットが傷だらけです。

レンズの構成は多段ロケットのようになっています。曇っているのは右端のカシメられたレンズ。他のレンズも拭き傷がありますね。分解用の穴が荒れているのが分かりますね。複数回分解をされているようです。彫刻された数字が違うなぁ??

 

分かりずらい画像ですみません。幸い曇りはクリーニングで落ちましたが、一度曇りが出たレンズはミクロ的には表面が荒れて、再び曇りやすくなる傾向がありますので注意が必要です。このまま放置をするとクリーニングでは曇りは取れなくなります。

マウント部の絞りが重い傾向です。観察すると、過去に鉛筆を擦りつけてありますね(綿棒)こんなことしてもダメなのね。ここも分解をされてナットが傷だらけ。ここは分解してはいけません。

 

鏡胴を分離して見ると・・ヘリコイドグリスが流れていますね。後玉を分離して、すべてクリーニングをします。

 

鏡胴の清掃、化粧プレートのスリット部を艶消し黒でタッチアップして完成。曇りは取れていますね。北海道で気温が下がって来たことも影響しているのかなぁ? しかし、防湿庫保管と聞いていましたね。どちらにしても早めのメンテナンスが必要なレンズです。

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