今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

似たような三光PEN+PEN-F

2011年10月31日 20時31分22秒 | インポート

Dscf299326 作業の合間に恒例化してきましたね。ご常連さんから「気分転換で腕時計のO/Hはすごい」と言って頂いていますが、確かにサイズがカメラより一段と小さいので、その意味では大変なんですけど、トレーニングですかね。このサイズをやっているとカメラなどは何でもなくなるのです。カメラの修理をされる方は大勢いらっしゃると思いますが、腕時計から自動車まで、一人で作れる人間は少ないのではと自分では思っておりますが・・で、いつもの56キングセイコー5626-7000ですが、多機種を経験するのも勉強ですが、一点集中も勉強なり。しかし、どうでも良いけど、こんなひどい程度のジャンクを買わなくても良いのでは? と、私自身思いますね。風防とベセルが無くなって放置された時計ですが、内部の機械が助かっていてくれる事を祈りますね。水が入っていたらアウトです。曜日と日付けが妙にきれいなので、この状態でしばらく作動していたと推理しての入手です。もちろん、現状は不動ですよ。この時計のケースはワンピースケースと言って、裏蓋はありません。風防を取って前から機械を取り出しますが、ピンセット先のリングを回すとロックが外れます。これを知らないと永遠に分離できません。

Dscf299454 分解してみると・・・幸い水の浸入はありませんでしたので、復活させることは出来ると思います。全て分解洗浄をしたところ。この部品は香箱車と言って、動力のゼンマイが入っているところですね。内部のグリスはカラカラ状態でしたので洗浄しました。左の蓋は勘合で組まれていて、簡単には外れませんが、この香箱は過去の組立時にペンチのようなもので強引に押し込まれた形跡がありますね。↓香箱車はすべての作動の元となる重要な部品ですので、変形や磨耗があると安定した作動と精度が確保出来なくなるのです。まさかプロの時計士さんの仕事ではないと思いますが、どの世界にも乱暴者はいるものです。

Dscf299524 まぁ、何とか組みましたよ。画像は自動巻き部分を残して完成しているところ。テンプなどインカブロックに注油をして行きます。作動は良好ですので、整備済みの予備の機械が確保出来ました。

Dscf299679 では、お仕事です。あれれ、また三光PENですねぇ。しかも#1028XXと先日完成したINOBOOさんの三光PENと製造時期の非常に近い。しかも、オークションもの。外観はきれいですねぇ。INOBOOさんはこの個体を入手していれば、私も苦労することも無かったし・・・

もちろん、過去に分解の手は入っていますが、そつなくまとめられていますね。外観で気になるのは、片耳の吊環位置があっちの方を向いてますね。これは調整ワッシャを抜かれたか、別の個体からの移植です。巻き戻しダイヤルが異常に抵抗が大きい。センターの板バネを留めるビスがオリジナルではない。ピントチェックでは、大幅に後ピンとなっています。オーナーさんからのご指摘では、シャッタースピードが変化していないのでは? とのことでしたが、25-1/33 50-1/34 100-1/53 200-1/100と変化はしているのですが、遅いのですね。古いシャッターですから、カタログ通りは無理ですが、何か原因があるのかもしれません。

Dscf299885 あれれ・・これもどこかで見たような眺めですね。シャッター羽根の真ん中にへこみがあります。これがオリジナルなのかなぁ?

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シャッターを洗浄して観察します。この部分がスローガバナーですが、このシャッターは古い設計思想の頃ですので、ユニット式ではなく、地板に部品を組み込んでいく設計です。この部分の作動が良くありませんね。この部分は過去に分解をされていますね。真鍮のプレート位置で分かるんです。

Dscf300465 接着硬化の時間を考慮してファインダーを先に仕上げようとしましたが・・・あらら、何でしょうね。そもそも、この頃はピンセット先のアルミのカバーは使っていませんね。対物レンズは樹脂製なので、ファインダーブロックと対物レンズはオリジナルのようですが、その他のレンズ類は交換されているようです。

Dscf300524 観察すると、ハーフミラーが裏表逆に接着されていますね。接眼レンズもサイズが大きいものを無理に接着しており、端が欠けていますね。そもそも、この白い接着剤は何のためでしょう。白を使う意図が全く理解できません。

Dscf300635 こう言うのは見なかったことにした方が平和なんですが、それが出来ない性分ですからいつも貧乏です。シリコンの充填剤のような接着剤を落とすのに1時間の工数が掛かりました。樹脂の対物レンズと保護ガラスは、これ以上分解しない方が無難と判断して手をつけません。作業を行い場合は、その時良ければ良いという考え方はダメです。フィルムが存在する限り、修理した人が死んでもカメラは生き残って、次の世代のリペアマンが修理をすることになるのです。その時に、ダメージなく分解しやすいように組んでおくことが現代のリペアマンの良心だと思うのです。説教がましいことを・・で、右から2枚目の欠けたレンズは部品が違いますね。これは右端のレンズと同じもので、ブライトラインの明り取り用レンズです。(このレンズもこの頃の部品ではなく、おそらくPEN-S辺りの部品でしょう。寸法が長いのです。)

Dscf300755 左のレンズが正規の接眼レンズです。サイズか異なるので、組み込むとカバーと干渉して欠けてしまったのです。

Dscf300054 スプール軸受が緩んで回ってしまいますね。じつは、左のスプロケット軸も緩んでいました。この頃は緩み止めの処置をとらずに組立されていたせいでしょう。

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トップカバーを洗浄していましたら、駒数ガラスが剥離して来ました。古い接着剤をすべて剥離してから再接着をしておきます。駒数ガラスはクラックが入っているので、後年の部品と交換されている可能性もありますが、今回はこのまま再使用とします。

Dscf300958 シャッターはメンテナンスによりスローガバナーの作動良好となっていますが、スピードは思うように上がりません。2枚羽根ですから、元々スピードは上げにくいですが、メインのスプリングや凹みのあったシャッター羽根を交換してテストを繰り返してみましたが、結果的にはそれほどの改善変化は認められませんでした。現存のPENは皆この程度の状態と思います。今度、強化スプリングでも試作してみましょうかと思います。レンズについては、う~ん、後玉が入るネジ部にキズが多いのです。だいぶ苦労していじった形跡があります。その割には後玉の程度は悪くはないので、返って疑ってしまいます。交換されている可能性もありますね。ファインダーの一件からして・・また、ちょっと失敗。巻き戻しノブはその後のPENとは設計が異なりますが、なぜかノブの部分だけメッキの質が悪く、洗浄して磨いていましたら、表面のクロムメッキが落ちて来ました。下地にニッケルメッキを施さない直付クロムと思われるもので、母材の真鍮が腐食気味であったようです。うちの在庫を見ましたら、みんな表面だけメッキが劣化しているので交換することが出来ません。ノブの止めビスは規格外であったので、交換してあります。

Dscf301097 ちょっとブレイクタイムです。この時計は、いつものキングセイコーではなくて、1967年製のセイコー5 DX 25石に搭載されている6106Aという機械です。私が高校生の時に使用していた時計と基礎キャリバーは同じで、ケースの形状も一緒です。石数と文字盤の色やデザインが異なっているだけ。懐かしいので不動のジャンクを入手していました。不動の原因を探っていくと・・あっこれだ。二番車の隙間に金属片が挟まっています。これは、秒針を規正するレバーの先端部が折れたものです。その他は、腐食も無く問題はないように見えます。

Dscf301254すべて洗浄をして組立てて行きますが、すでに香箱車と輪列を組んでいます。通常は、香箱車(ゼンマイ)など力の掛かる部品には、現在主流のグリスを塗布していますが、今回は、セイコーの技術解説書に指定されているセイコー純正のグリスと油を使用して組んでみます。

Dscf301348 輪列側はガンギ車やアンクル、テンプを取り付けて一先ず裏返し。表(文字盤側)だけど。折れていた秒針規正レバーは別の個体から調達して交換してあります。このモデルは、リューズをプッシュすることで日車を回転させて日にちを変える機能がありましたが、グリス切れの状態で作動させたために折れてしまったのでしょう。この頃は、後の56系のような樹脂部品や紛失しやすい小さなバネを使っていないのは好感が持てます。

Dscf301451 ユニットは完成していますが、姿勢差によるテンプの動きが少し不安定な気がしますね。天真が磨耗ぎみなのかも知れません。テストを繰り返して不調であれば、テンプを交換してみます。

で、PEN-Fです。特に問題は無い個体のメンテナンスということでしたが・・シリアルは#2705XX。うん? 変ですよ。その頃の個体ではないでしょう。前面からの眺めでは、リターンミラーの2ヶ所に固定ビスがあるタイプ。それに、その後ろに見えるシャッター羽根がピカピカです。これは製造初期に使われていた部品です。外観から観察しただけですが、たぶん、11万代頃の個体であろうと推測します。トップカバーの付替機ということですね。素性をご承知であれば何の問題もありませんけど・・

Dscf301988 PEN-Fの作業に掛かる前に形にしてしまいます。組立てた機械は中々良好です。自動巻きの錘の動きが気に入らなかったので、再度分解して指定グリスを塗布しましたら、ぐっと軽く回転するようになりました。文字盤はこの機械にセットされていたままの珍しいグレー色のものです。ダメージは無くきれいですので使います。文字盤の埃を取り除いて針をセットします。ケースは当然キズが多いので、研磨をして仕上げるのですが、とりあえず、先に研磨しておいた個体のケースを借ります。ヤドカリみたいです。画像上の機械は、未O/Hですが、精度は良好です。しかし、自動巻き錘のベアリングにガタが有って、香箱車と接触するのと、文字盤の腐食が進んでいるので処遇はまた考えましょう。

Dscf302177 こんな感じです。25JEWELSの下のマークは諏訪精工舎のマークです。(あぁ、諏訪製だったんだぁ)似ていますがもう一つのマークがあって亀戸(第二精工舎)でも別シリーズの時計を製造していて、このマークでどちらの工場製かが分かるのです。私の好きな、大きくラウンドしたラグと4時の位置にリューズがあるデザインが当時の私には新鮮で素晴らしいデザインと感じました。今見てもその印象は変わりませんね。これで、紺色の文字盤だったらそのまんまなんですが、グレーは老眼の目には針がどこにあるのか見つかりません。若い頃だったら良かったのでしょうけど・・さて、セイコー5のオリジナルバンドはステンレス製ですが、当時の中古バンドは磨耗で伸びているので付けたくありませんね。まぁ、完成した時計のバンド選びも楽しみの一つなんですね。現在でも、キャリバーの形式は変わりますが、セイコー5は製造されており、非常に安価に手に入れることが出来ます。当時は無かった、裏蓋がスケルトンで内部が見えるおまけ付き。これは、中国製のニセモノ(内部はクオーツ)が氾濫したため、本物の機械式であるという識別のために採用されたとか。とにかく気軽にオートマチックが味わえる優れものには違いありません。みなさんも入手してみては如何ですか?

Dscf301752 でね。何で作業が進まないかというと、ばっちいのですよね。私汚いの嫌いなの。過去に修理というか、分解の手は入っているわけですが、全く部品を洗浄しようという気がないのね。古い油汚れとホコリが積もって、シボ革は手油なわけですよ。

分解前に推測したとおり、初期型の個体でしたね。巻き上げレバーのクラッチのスプリングですが、画像のようにりん青銅の板バネを使っていたのは極初期だけです。その後は、一般的なコイルスプリングになります。米谷さんの設計は、変なところで凝っているんですよね。ホンダのS600なんかと似たところがあります。シンクロのリード線は切断されたままですね。さて、それではお洗濯からしましょうね。

Dscf301861 前板関係も汚れがひどく、拭き上げではきれいにならないと判断して、すべて分解して洗浄してあります。

Dscf302295 また、ちょっと寄り道します。緊急で今朝届いたこのPEN-FT #1757XXですが、リターンミラーがUPした状態でフリーズとのことです。緊急脱出を試みましたがうんともすんとも動きません。原因が特定できなければ、お見積りも出来ませんので分解します。内部は、修理を受けていますね。

Dscf3023761 底蓋を開けます。まず気になったのは↓のバネカケですが、これはメディカル用が付いていますね。なんで? ネジロックは外された形跡は無いようですので、ミラーユニットごとメディカル機から移植されたということでしょう。で、ピンセット先の金属片が出て来ました。突然故障の場合、底の部分を点検すると、このような金属片があることがあります。これは、どこかの部品が金属疲労で折れたということです。それでフリーズしているのでしょう。

Dscf302458 シャッターユニットを点検します。すると・・あっこれだ。ハンマーのロック爪が折れていますね。これでは動きません。しかし、この部分の板厚は厚いので、折れるというケースは殆どないのです。点検をすると、メインのスプリングが後期の自由長の長いタイプになっています。この頃はこの部品は使っていません。また、シャッター羽根の自由位置が変なところにあります。無理にテンションを上げようとした可能性があります。ロック爪もその衝撃で折れたという仮説も成り立ちます。まぁ、スタンダードなセッティングを崩された個体と判断しますので、手を焼くかも知れません。

Dscf302564 シャッターユニットは古いグリスでベトベトの状態。ブレーキは分解あとがありますが、分離してみるとOリングが削られています。Oリングが硬化するとブレーキが固着して巻上げに支障を来すようになりますが、それを改善?するために、Oリングを取り去るか削るのがどうも定番のようですね。

Dscf302677 超音波洗浄をしましたのでピカピカですね。大量の磨耗による金属粉が出ましたよ。金属粉は磨耗を早めます。みなさんの愛機も同様な状態でしょうね。

Dscf302734 ブレーキのOリングは交換してあります。シャッター羽根を取り付けてユニットは完成です。

Dscf302958 組立はほぼ終了しています。全反射ミラーは再使用としています。シンクロのリード線ですが、本体側(オレンジ)とカバー側に残っていたターミナル接片のリード線は青ですね。形跡は残ってしまうのですねぇ。両方ともニッパで切断していますので、確信的な作業です。で、私は白のリード線で再生しておきました。オーナーさんからは特に問題ない個体とのことでしたので、ストロボは使用されていなかったのですね。

Dscf303051 フレネルレンズ上下のダストカバーを接着して、欠品していたレンズサイドカバーを追加で接着しておきます。

Dscf303138 これで完成とします。ずいぶん時間が掛かりましたよね。Fの場合は、過去の分解や部品の付け替えなどで、面倒なことになっている個体が多いのです。しかし、シャッターユニットほかの超音波洗浄とブレーキの交換で、滑らかな(Fとしては最高の部類だと思います)巻き上げ感と高速シャッターでもショックが穏やかな作動となっています。外観からは、ネジ付きのリターンミラーで、見る方が見ればオリジナル性には疑問を生ずる個体ですが、まっ、良いでしょう。上下カバーの留めビスも+に変えられていますが、この頃のオリジナルはスリ割りビスです。ご希望なら11万代のカバーも在庫はありますけどね。

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中学生の頃からの憧れPEN-FT

2011年10月26日 18時11分37秒 | インポート

Dscf298967 カメラの合間に、しばらくぶりで時計のオーバーホールをしています。気がつけば56キングセイコーの機械が3つもありますね。56キングセイコーの機械は5626Aと後期の5626Bがありますが、この機械は5626Bで最後期のバナックと言う、カラー文字盤やカットガラス風防を装備した、私的には好きではない末期的な症状のモデルに搭載されていたものです。GSやKSは普通の高級機が良いのです。オークションで、分解されてバラバラ状態のジャンクとして出品されていたもの。組めなくなって手放したようですが、組み方は間違っているし、筒車など数点の部品が欠落していました。また、曜車や日車などのスクリーン印刷されたキズがつきやすい部品と金属部品を一緒くたに袋に入れて送る神経は、そもそも、精密な機械を扱う以前の問題だと思うのですね。で、機械は新しい? ため、磨耗も少なく、欠落していた部品を補って、無事作動しています。画像のマニュアルは、注油の個所と時計油/グリスを指示したもので、私の場合は、1台の時計に3種類の油と2種類のグリスを使い分けています。

Dscf299187 このPEN-FTはうちの在庫機ですが、ご依頼がありまして、O/Hをしてお譲りするものです。この方は、もうすぐ定年の世代でいらっしゃいますが、中学生の時の欲しくても手に入れることが出来なかったFTへの想いを持ち続けておられたとか。それでは、いつも以上に頑張って組まないといけませんね。元々、特に問題のない個体をチョイスしましたので、「今なに」的には書くことは無いかなぁ? とも思いますが、まぁ、はじめましょう。

Dscf298937 最近PEN-FTやったなかったですね。いつものように全て分解洗浄のうえ組立てて行きます。ここから作業をするのは非常に工数が掛かるのですが、私のところはこのスタイルを変えません。ダイカストの状態も非常に良くて、フィルムレールの腐食もありません。スプロケット関係の磨耗も殆どありませんね。あまり使われなかった個体ということです。

Dscf299024 シャッターユニットを分解洗浄して点検しています。使い込まれた個体に発生する巻上げギヤと軸にも磨耗は皆無です。テンションシャフトのメッキも剥離はありませんね。不良個所は皆無ですので、このままグリスUPで組立てます。

Dscf299133 「今なに」泣かせの個体です。何の問題も無くここまで組み上がっています。光学系のフレネルレンズやプリズムもほぼ完全な状態でした。レンズマウントには全く装着のキズがありません。標準レンズを装着したまま、ごく短期間に使用されただけなのかも知れませんね。後は、検査をしながらカバー類を取り付けて完成させます。

Dscf299267 何の問題も無くトップカバーを取り付けて完成、と思ったのですが、最後に一つありましたね。大したことではありません。シンクロソケットの中心の樹脂部分が抜けて来ました。これは非常に多いトラブルで、カシメが非常に浅いために、ソケットの差し込み方(斜めに差し込んだような場合)によってはカシメが抜けてしまうことがあります。再カシメと接着を併用して補修しておきます。これで本体は完成です。あとは、おまけの38mmレンズの清掃をしておきます。

Dscf299373過去に分解歴のあるレンズでしたが、清掃とヘリコイドグリスの交換をしてあります。美品ではありませんが、使用に問題の無いレンズとしてあります。まぁ、おまけなので・・本体は目立つキズもなく、丁寧に扱われていたと思われる個体です。ご依頼のオーナーさんは、まもなく定年を迎えられるとのことです。リタイヤ後は中学生の頃に夢見たPEN-FTと楽しい時間をお過ごし頂ければと思います。取扱説明書のコピーもお付けしておきます。

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三光PENと只PEN

2011年10月11日 23時13分04秒 | インポート

Dscf295966 可夢偉の走りにガッカリして、ちょっと作業をサボっておりました。笹原ペンさんから、またジャンクを多数送って頂きました。その中にあった腕時計ですが、おっと、私がブルーの文字盤が好きなのを知ってか1981年製のセイコーシルバーウェーブというクォーツ時計が入っておりました。電池を換えても不動でケースと風防ガラスは傷だらけという状態です。しかし、文字盤などはきれいですので何とかレストアしようと取り掛かったのでした。機械は、ステップモーターまでは動く状態で輪列の油切れと判断しました。ステップモーターのトルクは非常に弱いので、少しでも負荷が大きくなると動きません。で、めでたく機械は復活してただ今テスト中。傷の多いケースは荒研磨で傷取りをしたところ。純正の金属バンドは超音波洗浄をしてヘアラインの再生をしてあります。風防ガラスは本当のガラス製のため破壊して取り去りました。新しいガラスが入手出来次第組立をする予定です。

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次も時計ネタ。私が高校に入る時に購入したセイコー5を入手したかったのですが、稀少な機種のようで、中々出会えません。そこで、基本のキャリパーとケース形状が同じ機種をやっと見つけましたよ。1967製セイコー5 DX(デラックス)6106-7000という諏訪精工舎の61系モデルです。私の時計はブルー(濃紺)の文字盤でしたが、当時のデザインの中ではケースのラグの部分の張り出し(エラ)が大きくラウンドして、リューズ位置は4時(当時は殆ど3時)でハック機能付きがお気に入りでした。私のものは21石でしたが、このモデルは25石です。当時流行っていたメッシュのバンドが付いていましたが、ちょっとヤレています。曜日が切り替わらないのと、すぐに止まってしまう状態。止まっても少しは動くわけだから、致命的な問題は無いと思います。文字盤の透明ニスが剥離気味ですから、いっその事、ブルーにリダンしようから?

Dscf295720 さてと、本題です。ご常連さんのINOBOOさんから三光PENと只のPENが来ましたよ。三光PENの方は、裏蓋の状態が良くないので、EEのものに替えてシボ革を貼り替えて欲しいとのご要望ですが・・・そうは行かないのですねぇ。確かに、取り付くか付かないかと言えば付くんですよ。しかし、よ~く画像を見てくださいね。忙しかったので→入れてないですが、上が三光PEN(普通のPENも一緒)で下がEEの裏蓋です。巻き戻しボタンの位置を見てください。微妙に違うでしょ。PENの方は基本設計なので、丸いプレスの中心にボタンがありますが、EEの方は1mmほど外側に寄っているのです。これはEEの設計上の寸法の制約のためで、微妙に位置をずらして帳尻合わせをしてあるのです。よって、EEからの流用は出来ないのです。(機能は問題ないですよ)また、三光PENの頃の底部リベットはそれ以降と形状が異なり丸ナベの形をしています。

Dscf296293 一先ず、三光PENの方は置いておいて、只のPENを先にオーバーホールしておきます。手垢にまみれていたので程度はあまり良くないかと思っていましたが、本体も洗浄してみると、あら、意外にきれいじゃん。シボ革のグレーは三光PENよりも少し明るい色ですが、ご覧のように明るくなりましたよ。

特に問題の無い個体で、シャッターユニットも問題ありません。本体に組み込んで行きます。

Dscf2963321ほら、きれいですね。駒数窓は少しクラック入りで曇りがありましたが、研磨で再使用としました。樹脂のファインダーブロックは研磨してあるので光っています。レンズの状態も良好ですが、何故かシボリリングが固着気味で動きが重いです。全て分解して洗浄をして組立てます。

Dscf296477 只PENは問題なく完成しています。こちらは三光PEN。初期の生産#1122XXですので、巻き上げダイヤルカバーは熱カシメタイプ。駒数カニ目ネジは正ネジです。と、ここまで分解して行くと・・このウェーブワッシャー?はあまり見たことが無いですね。このタイプのギヤには、ウェーブワッシャーは入らないと思いますが・・何度かの分解修理を受けているようですので、スプール軸辺りがオリジナルではなくて、駒数板高さの帳尻あわせをしてある可能性もありますね。完全なオリジナルではないと思います。

Dscf296556 トップカバーを分離して観察します。遮光カバーはビニールテープで留められているのはご愛嬌です。対物レンズは樹脂製が使われていますので元々のオリジナル部品でしょう。しかし、駒数ガラスは後期のモールド品に貼り替えられています。接着の厚みが合わず、駒数ツマミと干渉して傷ついています。曇りも激しいので交換することにして剥離します。

Dscf296698 トップカバーのは打痕の修正ご希望で、すでに修正したところ。シューの取り付けビス孔の1つが孔位置を修正されていますね。観察すると右側のD部分は削られてメッキが剥離していますので、ファインダーとの孔位置を合わせるため加工されたものでしょう。このような修正は過去にも確認していますので、これは後天的に加工されたものではなくて、工場での手直しと思われます。ファインダーブロックを他の個体から移植された形跡もありませんので・・

Dscf296797 いろいろ観察の結果、完全にオリジナルの個体ではないとの判断で、底蓋部分にもへこみがあるため、底蓋の交換とグレーのリペイントをすることにしました。画像は、裏蓋から底部を分離したところ。光線漏れ防止に毛糸状の繊維を接着してあります。PEN-Sの初期頃までは、この繊維の他に、遮光紙も間に挟んで遮光対策としていましたが、中期以降は繊維が省略されて遮光紙のみとなります。さて、交換用の底蓋を見つけなければなりませんね。

Dscf2968771 ここで一つ突っ込みです。過去にO/Hをした同じくPENですが、使用して行くうちにチャージミスの症状が発生して来たとのことで帰っています。この場合、巻き上げカム付近の調整が外れたケースが殆どですが、その部分を再調整をしてシャッターテストをして行くと不安定さが残ります。シャッターを点検すると、レリーズボタンと連動する画像の部品。この↓部分が磨耗ぎみのため、チャージをロック出来ない時(カムのリフト量の関係で2回に1回)があることが判明。良品と交換して完治となっています。

Dscf296865 では、戻ります。作業の進捗が遅いと思われるでしょうね。画像のように、シボ革を剥離しただけですが、これ、さらっとやっているように見えるでしょうが、シボ革を無傷で再使用しようとすると非常に困難な作業となります。三光の頃のシボ革はそれ以降の糸入りで補強された材質と異なり、ただの塩化ビニールのような材質で、すでに風化をしており、剥離しようとすると、わずかなストレスで切れてしまいます。ちょうど高松塚古墳の壁画を剥がすような感じね。慣れた私が作業をしても、慎重な作業を強いられますので時間が掛かるのです。皆さんは真似をされない方が無難です。

Dscf296964 裏蓋ですが、リペイントの前に、交換する底蓋の調達をしておかなければなりません。で、下のものを使います。これはPEN-Sの初期のものです。形状やリベットの位置などは三光PENと同一ですので組立は可能ですが、じつは、板厚が異なります。三光PENの方は0.55mmでPEN-Sの方は0.65mmあります。三光PENの方はちょっと薄くて強度が頼りない感じですね。これでは軽い衝突でもへこんでしまいます。そこで、0.1mm板厚を上げた訳ですね。たった、0.1mmの差ですが、強度的には大違いでしっかりとしています。因みに両方とも、リベット孔は皿のリベット用に面取りをされたタイプで、リベットの強度は高いです。この後の生産では、ただの孔(リベットも形状変更)として加工の簡略化を計っています。強度は中央の三脚ネジ部で持っていますので、確かにそれほどの強度は必要はないのですが、初期設計の過剰品質というところでしょうか。

Dscf2970761なぜかチャッチャと進みませんね。ボディ本体をリペイントしますので、付属の部品を完全に取り去って洗浄しますが、ここで、前面カバーのビスが固着しています。の上側は何とか緩めて外しましたが、観察するとビス孔のセンターが合っていませんね。しかも、カバーの端面をヤスリ掛けをした形跡があります。削っても合わないぐらい精度の出ていない部品ということ。下側は無理にビスをねじ込んでスリ割りを壊しています。それでも出っ張っていたため、ヤスリ掛けをしたためにビスのスリ割りが浅くなって緩めることが出来ません。

Dscf297168 そうは言っても抜かないわけには行きませんので抜きましたが、こんなにスリ割りを削られては分解は困難です。私は、組立経験者ですので、この部品精度で組立てる作業者に同情します。「こんな部品で組めるか」と喧嘩したいところだったでしょう。これでは、いくら営業から催促されても量産が軌道に乗るはずがありません。

Dscf297334 では、リペイントのための調色です。ペンのグレーは簡単そうに見えますが、製造時期や機種によってもかなり差があるのです。特に三光PENの頃の色が一番濃い目ですが、光線の加減で微妙に見え方の変化する単純な色ではありません。そこに、退色劣化が入って黄ばんでいますので非常に厄介です。と言うことで、現在、調色中。コンピューターによる色分解など出来ませんから、私の感ピューターです。三光PENの中でも、ロットや保管状態で色に差はありますので、程々で妥協します。

Dscf297489少し間が空きました。三光PENの色に苦労しました。PENのグレーと言っても、三光などの初期の色と少し後の普通のPENでは色味が違いますし、EE系のグレーはもっと明るいグレーになります。グレーという無彩色の色は、一見調色は簡単のように思えますが、そこに青味や黄味などの隠し味が混ざっていることと、塗装されてからの時間の経過が長く、顔料の退色や変色も混じった現状の色を再現することは非常に困難です。また、使用する塗料の顔料の性質もあって、計算どおりには発色してくれません。特に三光の初期のものは、グレーというよりは紺に茶が入っているような色で、ファインダーブロックや巻き上げダイヤルカバーのモールド色から見ても、それ以後のものとは明らかに色調は変化しているのです。大まかには、製造時期が新しいほど、明度の高い単純なグレーとしているようです。画像は青味が強く再現されていますが、実際の色は、もう少し黄色味を上げて、塗料の黄ばみを表現してあります。EEのグレーとは全く異なる色です。

Dscf2977591 作業が大幅に遅れ気味ですので少し急ぎましょう。搭載するシャッターをO/Hしておきますが、シャッター羽根を何か尖ったもので突いた形跡がありますね。擦動する部分ですが、まぁ、修正で大丈夫と思います。すべて分解洗浄のうえ組立して行きます。

Dscf297975 スプール軸、スプロケット軸関係を組み込んでシャッターユニットを搭載しました。打痕のシャッター羽根は再使用と思い修正をしましたが、ここまでやって可哀想なので良品と交換してあります。例の前面カバーが合わないこと。苦労の末シボ革を貼り終えています。シボ革は洗浄してありますが、只のPENと比較するとグレーがずっと暗いことが分かります。経時劣化もあると思いますが、可愛いPENではなくて、本物のサブカメラとしてのコンセプトを感じるのです。

Dscf298022 レンズを清掃して組み込んであります。後玉はコーティングは殆ど剥離されていましたが、レンズはきれいなので、後期のものに交換されている可能性もあります。ピントリングを留める剣先のイモネジのリング側のねじ山がバカになっています。この頃やPEN-Sの初期まではM1.4でしたので、何度かの分解でイモネジのスリ割りも破損することが大く、その後はM1.7に変更されましたので、今回もタップ加工のうえM1.7イモネジを使用しておきます。ピンセット先がM1.4イモネジ。比較すると大きさが結構違いますね。

Dscf298214 底蓋を交換した裏蓋の内側。三脚ナットなど小物部品はオリジナルを使用してあります。しかし、底部を交換したことによって、開閉キーの掛かりが変化しますので調整が必要です。圧板も研磨をしてピカピカです。リベットの頭は三光PENの初期はカシメたままの頃もありますが、艶消し黒で化粧塗装をしておきました。

Dscf298399 やっと完成です。トップカバーの駒数ガラスは新品としてありますが、その関連の部品は帳尻合わせ感があってちょっと怪しいですけど、今回はまぁ良いでしょう。再使用しました。(三光商事での加工も幼稚なため後年の改造か判定できない)この個体は、過去に何度かの分解修理を受けており、スプール軸などもオリジナルではなく寄せ集めの個体かも知れません。しかし、この個体が生き残るため、プロによる善意の修理と解釈したいと思います。グレー色の調色については、ファインダーのモールド色との差も考慮する必要がありましたが、果たしてこのモールド色が変化していないのか、或いは、本体との色の差は元々あった可能性も高いため、今回はファインダーとの一致はある程度無視しています。三光PENと言うことで、オリジナルを重視したい気持ちもありますが、この個体のように、その時代の修復を受けて生き残っていく個体があっても良いのかなとも思います。

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外観のきれいなPEN-Wとその他

2011年10月04日 22時56分50秒 | インポート

Dscf2945331 ちょっとその前に時計を・・例の極端に遅れる56キングセイコーですが、もしやと思い、部品を点検してみました。あちゃ~。LMの部品に換えられていたのです。じつは、LM(ロードマチック)とKS(キングセイコー)は基本的に56系という同じ機械です。しかし、基本形のLMは6振動の機械でKSは8振動にグレードアップされています。それによって、香箱(ゼンマイの強さ)、ガンギ車、アンクル、アンクル受け(画像)とテンブが別部品となっています。この個体ではアンクル、アンクル受け、テンプが交換されていました。これでは、絶対に正確な時は刻みません。規格が異なるのを知らない分解マニアが組んだものか、それとも承知で悪意で組んだものか? カメラ以外でも、このような個体があるのですよ。

画像のLMとKSの下面左の切符の切り欠きの形に注意。アンクルの作動範囲が異なるため。

Dscf294555 上が自動巻きのローターと下がテンプですが、このテンプがLM用でした。テンワの直径がKSの方が0.2mm程度小さい。このテンプが機械式時計の命です。

Dscf294665 ではカメラです。ご常連さんから過去にO/HをしましたPEN-FT(B)が里帰りしています。これは簡単な調整だけで作業は終了となりました。しかし、最近PEN-FTを修理していなかったなぁ・・

Dscf294755 付属で20mm f3.5が来ています。最近20mmが良く来ますね。38mmなどとサイズ的には同じようですが、構造は全く違って大変なんですね。レンズは6群7枚ですから、下段の左に2枚、中央1枚、右が1枚と上の後玉に3枚で構成されています。豆レンズがきっしりと詰まっていますね。下段は3段ロケットのように積み上げていく構造です。20mmは曇りや原因不明の透明液(粘る)が出る厄介なレンズですね。この個体は過去にも清掃を受けていますが、幸い保管が良かったようで、曇りは見られませんでした。全て分解して清掃します。

Dscf294615 組立の最後にシボリリングを組立てますが、この個体は何故かクリック用のスチールボールが欠落しています。新しいボールを追加して組みます。

Dscf2947341_2 PEN-FT(B)+20mm f3.5は終了です。隣りのPEN-W #1101XXはきれいじゃないですか? 塗膜に新品時の艶消しの肌が充分残っています。また、見難い腐食も出ていませんので、この個体は殆ど使用されなかった個体と分かります。塗装の艶は現存に多いピカピカではないのですよ。良く覚えておいてくださいな。私もリペイントは、この艶を標準としています。

Dscf2948241 このPEN-Wは確かに使用された形跡は少ないのですが、保管がねぇというところ。ボディーの塗装劣化は免れていますが、シャッター内部の腐食やレンズにダメージが進んでいました。画像はシャッターで重要な部分。軸孔の内部を見てください。軸が嵌っていたにも係わらず、真鍮素材が腐食して青白く緑青が噴いていますね。ここの精度がシャッタースピードに影響を与えます。どうりで眠い作動のシャッターでした。

Dscf295067 スローガバナーもあまり調子よくありませんね。観察すると画像で見えるホゾ孔の一番左の孔横に二つのポンチ跡がありますね。このユニットは、全体的にホゾ孔が大きいようですので、ホゾ詰めをして孔の大きさを縮めたのでしょう。未分解のシャッターですので、コパルの工場で行った修正ですね。(画像外左の孔も修正跡あり) カメラの精密さを時計に置き換えると、ウォッチではなくてクロック級ですね。

Dscf295164まぁまぁ、何とかシャッターは組み上がって本体に搭載しましまた。レンズの後玉にはバルサム黄変と周辺剥離がありますが、現存の個体では軽微な方でしょう。レンズ中央に白い曇り個所が幾つかあって心配でしたが、清掃で取れています。レンズとファインダーは清掃した痕跡がありましたので、その時の拭き上げが不完全だったのでしょう。ピントリングも腐食しているものが多いですが、この個体は汚れを洗浄してみたところ、「あら、きれい」ローレット部分の腐食剥離もありません。使われなかった証拠ですね。

Dscf295276この個体だけではなく、 PEN-Wの塗装でいつも気になっているのは、シューの取り付け部分の塗装状態です。この個体は、何故かこの部分にだけ、ブツブツ状の塗膜剥離を起こしていますが、それは別にしてシューをビスで押し付けたことによる塗膜の圧縮が見られることです。通常、焼付塗装の場合、このように圧力を掛けてへこむということは考えにくいのです。これは、組立の時点で、塗膜が完全に硬化していなかったか、経時的に塗膜の硬度が低下したことを意味しています。この個体では、ビスを取り去ってもシューが接着されたように密着して剥がれませんでした。中央部分の艶はPEN-Wの新品時の艶になります。露出している部分は塗膜の摩滅で光り気味(それでも良い状態)となっていることが分かります。

Dscf295464 開閉キーが光ってちょっとアンダーですが、底の部分も見ていただきましょう。ひゃ~、ほれぼれするぐらい新品時の塗膜状態を残していますね。決してピカピカではないのです。

Dscf295582 ご依頼のメールを見返すと、フードもご希望でしたね。この個体はフードを装着するシボリリングの直径が少し大きく仕上がっていますね。23.90mmぐらいあります。公差の範囲ですが、うちのフードは23.88mm程度を狙って作っていますので、ちょっと修正をしました。また、フードの製作ですが、仕掛のブランクが少なくなって来ましたので、製作が難しくなるかもしれません。

Dscf2956181 オリジナルフードの塗装をしました。今回はご常連のINOBOOさんからのご依頼分と合わせて2個製作しました。心配していたレンズの状態も改善されて、結果的に塗装のコンディションの良い個体となりましたね。実用の場合は、使用後は手汗を拭うようにしてくださいね。

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/


ズイコーレンズのメンテナンス

2011年10月02日 14時45分49秒 | インポート

Dscf294239 ご常連さんからまたズイコーレンズが送られて来ましたよ。前回のレンズもそうでしたが、どれもコンディションは非常によろしいと思います。このままでも支障は無い程度ですが、ではメンテナンスは簡単かというとそうでもなくて、僅かなカビ跡なども気になりますので返って難しいところもありますね。38mmと20mmはすでに作業を終えています。20mmは幸い曇りは無く、カビ跡が中心にありましたが、清掃が可能でした。

Dscf294391 100mmは手頃で使いやすいレンズ。防湿庫保管なのでカビや曇りなどはなくきれいな方です。但し、過去に何度か分解を受けていて画像のフィルターマウントリングが長いこともあり、埃が混入してレンズを汚し易い構造です。マウント側の後玉も奥まっていますから清掃がしにくいですね。その他、シボリ羽根に油が付着しています。すべて清掃をして、洗浄乾燥させたマウントリングをセットして行きます。シボリリングのクリック部のグリスを交換しておきます。

Dscf294457 3本とも、現存のレンズとしては非常にきれいな状態のレンズですね。