今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ホームカメラPEN-EEDの巻

2024年07月28日 21時00分00秒 | ブログ

PENシリーズの中でも人気が無く、修理のご依頼も殆どないのがPEN-EEDですけど、発売当時、我が家のホームカメラでした。このカメラをバイクに積んで、蒸気機関車を撮影に行ったりしていました。

この個体は新古機のようにきれいで良いコンディションを保っています。EEDはシャッターの張り付きやCdsの劣化などが多いですが、点検をしてもEEは正常に作動するしファインダーの曇りや裏蓋のモルトなどが気になるぐらいで問題は無いですね。メンテナンスとして見て行きます。

カバーを開けてみても新品のようです。PENファンの方たちにはマニュアル撮影が出来ないのとPENらしくないデザインから人気が無いのですが、私は35mmカメラのようで気に入っていました。カメラブームの頃にジャンクから救出した個体が今でも10台ぐらい所有しています。

ファインダーは特に接眼レンズが曇っています。清掃しておきます。

 

 

当時のカタログです。若者を意識した内容ですね。

 

 

「若者にモテる」は泣けちゃいます。特にモテませんでしたね。

 

 

EEDの発売は1967年3月とのことで、当方には何故か海外向けの取説しかないのですが、プリントは1969年3月のようです。巨人の王貞治選手が現役ですね。裏蓋のモルトを交換しました。

 

このモデルさんは当時取説を見て、目がチャーミングなので可愛いなぁと思った記憶があります。

 

オリンパス内製のシャッターなのでデザインの自由度があります。シャッター羽根の張り付きが起き易い傾向がありますが・・。レンズの清掃をしておきます。

 

現在は「わたらせ渓谷鐡道」となっている国鉄足尾線にC12を撮影に行った時の写真。スピードが遅いので1列車を何度も追い越して撮影が出来ました。

 

国鉄八高線の高麗川駅。9600型、C58、D51が在籍していて八王子駅へのD51重連が見られた。

 

西武山口線に一時期入線していたコッペル。それ以前は電気(バッテリー)で走る遊園地のおとぎの電車が走っていて子供の頃に乗った記憶があります。線路の側道をホンダZで追いかけて撮影しました。PEN-EEDでの撮影。

なんで古典的なピストルなのか良く分かりませんけど、この時代の空気感を感じます。EEDのDはデラックスの意味ですから作りはそれまでのPEN系とは比較にならないくらい進化しています。私にとってはヤマハAT1に積んでツーリングをした思い出深いカメラで、じつはPEN-FTやPEN-Wより好きなカメラです。EEDをベースとして当時提唱されたラピットフィルムに対応したラピットEEDも作られました。オリンパス八王子工場の瑞古胴に保存されている個体を見た記憶があります。

画像ありました。工場の一室にあった頃です。舞い上がってピンボケですけど。。

 

向かって右側が拡大されていますね。イーベイなどで入手が出来ないでしょうか?

 

 

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ローライ35系をやりますの巻(3)

2024年07月27日 11時00分00秒 | ブログ

次は別のカメラ店様が買い取られたローライ35S #2278XXXですが、今までブログをご覧いただいている方が見たらこの時点で厳しいのは分かりますね。電池の液漏れ機を集めてUPしているわけではありません。しかも、かなりいじられています。

元々はシャッターが開きっぱなしの修理ご依頼でしたが、観察すると分解を受けているようですのでどうなっているか? 液漏れガスが部品を劣化させて作動しないことも考えられます。

 

見えにくいですが、メーター内側のガラスが傷だらけですので作業者の神経の使い方が分かります。このガラスはローライ35の前期までは本物のガラスですので拭けばきれいになりますが、それ以後は普通の樹脂(ポリカーボネートではない)製なので簡単に傷がついてしまうのです。

そもそもこのメッキの浮きを見逃してはいけません。内部は電解液によって激しく腐食していることが想像できます。レリーズボタン座の周辺が腐食している個体はさらに腐食が進んだ状態と分かります。

このようになっています。しかし、さらに状態の悪いものも多数あります。

 

電池ではメーターは作動しませんでしたが、別電源では作動します。しかし、配線がオリジナルではありませんね。

 

前から見ると・・このCdsは別のカメラから流用されたものが付いています。電池の液漏れの初期は回路を損傷し、次にCdsが不良となって最後はメーターのコイルが断線します。この個体は第二段階だったということ。このような個体はジャンク価格でなければ買い取ってはいけません。さてどうするか・・

どうするかと言ったって何とかするしかありません。シャッターユニットを取り出すために、まずカバーリングを取り外しますが、あら、この個体はfeet仕様になっていますね。すると修理も海外でされたのでしょうか? 国内でわざわざfeetにする方もいないと思いますね。

シャッターが開きっぱなしの原因はシャッター羽根とブレードシムの張り付きでした。あまり起きない現象なので、液漏れの影響かも知れません。その他、シャッターのオーバーホール、レンズの清掃をして組みます。

後玉付近をかなりいじられていました。シャッターユニットを搭載してトグルレバーを取り付けます。

 

本来なら前回の個体と同じように電池室の接片を作り直すのですが、限定修理なので研磨にしておきます。しかし、電池をセットしてもメーターが動かない。ローライ35の電池蓋はご覧のような組み立て式となっていて、材質の真鍮が電解液によって激しく腐食をしていてこのままでは導通が取れません。

リューターで研磨します。ここまでひどい電池蓋は初めてです。本来は別の良品と交換した方が良いですが予算がありません。

 

その他は通常のメンテナンスをしておきますが、ファインダーはすでに分解清掃されていて、35Sならほとんど大丈夫なブライトフレーム枠が消えていました。蒸着メッキも電解ガスに弱いです。

地板の裏側が激しく腐食しています。これも液漏れの影響です。

 

 

ローライ35Sのカバーリングの接着はお約束があって∞時、Rollei-HFTが真上になるように接着しますが、35と違って接着はピントリングの留めネジ3本の頭ですからきれい確実な接着はコツがいります。ローライ35(S)はコンパクトに設計する関係で、電池と露出計をユニット化していることが、電池の液漏れによる被害を大きくしていますので、使用しない時は電池を抜くことを習慣にしたいものです。

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ローライ35系をやりますの巻 (2)

2024年07月24日 20時00分00秒 | ブログ

次も同じローライ35Tブラックですが#6326XXXと少し前の生産です。前回の個体はピントリングの距離目盛がmとftが上下に印刷されているタイプでしたが、こちらの個体は従来と同じ裏表に印刷されているタイプです。少しづつ仕様の変更があるようです。で、基本的に販売のためのメンテナンスですので、特に故障をしていなくても作業はします。この個体の場合はシャッターの低速不調とファインダーの汚れが目立ちますが、前回のような電池の液漏れはないのでその分、平和な個体です。

生産が数年違うだけで防塵用のテープの劣化も違います。ローライ35では、テープの糊が乾いて変質していますが、この個体はまだ機能をしています。

 

スプール・スプロケット軸の清掃とグリス塗布。完成したファインダーをセットします。(テープは貼り替えてありますよ)

 

この個体は分解歴はありませんが、遮光用の毛糸の接着が剥がれて撚りが開いています。

 

こういうのもちゃんと接着しておきます。

 

 

この頃は基板の絶縁テープはトップカバー側に貼られていますが、それはボロボロですので剥がして、基板に絶縁テープを貼っておきます。

 

前回も書きましたが、この長い足のバネはレリーズの復帰用ですが、このバネが弱っている個体が増えて、B(バルヴ)でシャッター羽根が閉じない故障になります。

 

シャッター関係はレンズのチリ汚れは宿命です。すべて分解清掃をして組み立てます。

 

完成したシャッターユニットを本体に取り付けます。

 

 

中々素性の良い個体でしたね。新品同様です。このようなコンディションの個体を見つけてくださいね。

 

で、残った時間でED14のパンタグラフの碍子を白く塗装しました。調色は面倒なのでPEN-FTブラックの彫刻文字用を使いました。

 

うん、やはり直流電機ですから碍子は白くないと。良い感じになって来ました。

 

次はオリジナルのローライ35ブラックですけどきれいですね。外観は新品かと思うほどで、気になるのはヘリコイドの回転ムラ程度です。このまま販売してもよいのではと思いますが・・その他、シャッターダイヤルと絞りダイヤルの中央の化粧ネジですが、普通のクロムメッキではなく梨地メッキ(クロムメッキには違いは無い)になっていますね。製造時期により、細かな仕様の変更があるようです。

では、露出計の作動をチェックしようと電池蓋を開けてみると・・あ~ぁ、ここのところ続いている電池の液漏れを起こしています。故意に液漏れの個体を集めてUPしているわけではありませんよ。それだけ電池の抜き忘れ放置が多いということ。それによって健全だったカメラが失われていくのです。

トップカバーを外して腐食の状態を見てみます。幸い、接片の部分は激しく腐食していますが、点検のところ接片を交換すればメーターは生きるようです。

 

少し長くなっているので他の部分は省略します。接片を取り出してみました、完全に腐食していて導通が取れません。

 

リン青銅板から作ることにします。ニッケルメッキをした方が完璧ですが、今回は省略します。

 

メーターは正常に作動するようになりました。

 

 

その他、いつもの作業とシャッターユニットを組み直して組立はほぼ終了。あとは前玉をセットして無限調整をします。

 

無限調整後に樹脂製のカバーリングを接着しますが、分解時に工具を差し込む? 用の切り欠きがありますね。この切り欠きの位置をどこに合わせるのか多くの個体を見ているのですが、決まりは無いのかな? とも思います。もちろん途中で分解を受けている個体も多いですからね。20分や40分が多いか? いや10分ぐらいもあるよな。工場で組み立てを担当した方のクセなんですかね? 詳しい方教えてください。

当然シンガポール製のブラックモデル#6029XXXなので外装はアルミ製ですが、傷や打痕など電池接片の腐食以外には全く欠点のない極美品です。資料用に私が欲しいぐらいですが、カメラ市までに残っていれば出品されると思いますがどうでしょうね。

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ローライ35系をやりますの巻

2024年07月23日 18時00分00秒 | ブログ

カメラ市用のローライ35系も必要とのことですのでしばらくローライ35系をやります。その前に、このような不具合がありました。白い樹脂の巻き止レバーですが、フィルムの装填時、巻き上げレバーではなくスプールで巻いた時に巻き止が掛からないという不具合です。調べてみると、レバーを作動させるバネが弱っているのが原因でした。

今回は巻き止レバーとバネをセットで交換しました。主観ですが、ローライ35に使われているバネは線径が細く、しかも足の部分が長い設計が多いので経時的にバネのテンションが弱くなったための不具合もあるような気がしますね。

ローライ35Tのブラック#6351XXXですが、新しい分外観の程度も悪くはないと思います。しかし、チェックのところメーターが動きません。35Tで動かないというのは後天的に何か原因がありそうです。

電池室をチェックします。接片に激しい腐食はありませんが、紙やすりのようなもので擦った痕があります。(画像では見にくい) ということは、過去に電池をセットしてもメーターが動かない現象があったということです。

別電源で作動を見ますがやはり作動しません。テスターで点検すると矢印2か所が断線しています。これは過去に軽い電池の液漏れがあったということで、むき出しのCds素子線がガスによって侵されたのです。このユニットは過去にすでに回路の修理を受けていました。左側の緑のリード線は純正ではありません。

Cdsを点検すると幸い正常ですので回路を修復するために一度Cdsをメーターケースから取り外します。

 

修理の終わったメーターユニットを取り付けました。正常に作動しています。その他、ファインダーの清掃とスプール軸の清掃グリス塗布などをしました。ファインダー上の地板の表面処理やネジがクロメートになっており、コストダウンが見て取れます。

ローライ35では表面処理をされているチャージレバーが、なんと真鍮地のままです。スプロケット軸はダイカストに直接はまっているので潤滑をしておきます。(潤滑が無いとダイカスト孔が拡大します)

電池の液漏れがあった個体は意外にもレンズにダメージが行きます。原因不明の汚れやコーティングの劣化が起きます。大量のグリスが劣化していてヘリコイドの回転が固着気味です。

中玉の絞り羽根側。見えませんがコーティングの汚れがあります。

 

 

レンズの清掃と絞りユニットを洗浄して再組立てをしました。

 

 

これも主観ですが、電池の液漏れがあった個体はレンズ周りの黒塗装が劣化しているものが多いようです。真鍮への塗装強度が弱いのかもしれません。腐食を取り除いてつや消し黒でタッチアップしておきます。

修正痕はあまり目立ちませんね。生産が新しい分、状態の良い個体が多いので、相場もローライ35とあまり変わらないようです。

 

合間を見てED14も進めています。現代の製品と比較してこの時代の鉄道模型はスケールやデティール的にも幼稚なところが多いですが、窓ガラスは無いのが普通(高級モデルは知りません)でした。そこで、ポリカーボネート製の透明板を使用して窓に合わせて貼ってみました。何か高級感? が上がりましたね。この材料は普通の塩ビ板より表面硬度が高いので(像が乗っても壊れない筆箱)傷がつきにくく、ローライ35のメーターガラス(内側)やローライフレックスのカウンター窓などに流用することが出来ます。

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限定修理のはずがの巻

2024年07月20日 17時00分00秒 | ブログ

ハーフミラー交換の限定修理でしたので画像を撮っておりませんでしたが、他にいろいろと問題が出て来て、限定修理の恐ろしさという感じです。ハーフミラーの交換を終えて電源のリード線を基板に半田付けしようとしましたが、芯線が腐食していて半田が乗りません。もしやと思い、電池室のリード線を点検すると・・あ~、これは電解液漏れを起こしています。

電池蓋を開けてみると・・あ~ぁ、画像ではそれほどに見えませんが、電解液が漏れて電池室内で結晶になっています。この状態でもメータの針は振れていたのです。ハーフミラー交換の前に、電池の管理はオーナーさんの責任です。いつもお書きしていますように、精密機械の内部で電解液が漏れた場合、どれだけの被害を与えるのかを認識していただきたいと思います。使用する電池によっても電解液の漏れは違うようですから、信頼できる電池を使いましょう。因みに私はクォーツ時計用の電池は時計メーカー純正の電池しか使いません。時計メーカー製は液漏れ対策をしてあるからです。

本来は工賃に入っていませんが、このままにしておくことは出来ません。悪いことに、普通、リード線の交換は古いリード線と新しいリード線を半田でつなぎ、古いリード線を引っ張って新しいリード線を通すのですが、スローガバナーとダイカストに挟まれてリード線が動きません。仕方ありませんので前板を分離することになります。こうなるとオーバーホールと変わりません。また、電解液に侵された電池接片はそのままでは半田が乗りません。画像はリード線を通したところ。

電池ケースなどを洗浄して組み立てたところ。

 

 

ハーフミラーを交換した場合は露出計の感度調整を行いますが、メーター針の初動の動きに引っかかりが有ります。このような場合は大概ピポットをいじられています。この個体は当初、未分解機と思いましたが、いじられていますね。中央ネジの緩み止め(赤)が壊されています。ここは通常は触ってはいけません。

その他、セルフタイマーの調整やプリズムの清掃、モルト交換をしてあります。

 

オーバーホール中の作業であれば問題ない作業でも、極力分解をしない状態での作業は返って困難を伴うことがあります。出来るだけ限定修理は避けたい理由です。

 

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