今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

パンケーキはカラカラの巻

2015年07月30日 21時14分07秒 | ブログ

今日は、自家用車のリコールでディーラーに部品交換に行って来ました。しかし、古い車なのに、まだリコールを届け出るとはメーカーも大変ですね。私の四輪デビューのホンダN360が現代の車だったら、車そっくりリコールじゃないですかね(笑)

で、相変わらず蒸し暑いので短いUPです。38mmパンケーキですね。やっと入手をされたそうですが、外観はきれいですがヘリコイドの回転のムラ(抵抗)があって、力を掛けてみるとガタガタですね。いつも書いていますように、このレンズはヘリコイド部分の厚みは、たった5.5mmしかないので、グリスはすぐに抜けてしまうのです。殆どの個体が、その状態で使い続けられているので、ヘリコイドのねじ山が摩耗で痩せてガタになるのです。材質がアルミと真鍮ですからね。

あ~、グリスはカラカラですね。

 

 

すべて分解をして行きます。ヘリコイド部分は洗浄のうえ、ガタを抑えるために硬めのヘリコイドグリスを入れます。

 

回転のスムーズさは改善しましたが、ガタ量は完全には消せません。まぁ、実用上は問題ない程度。

 

この個体は過去にレンズの分解清掃を受けていましたが、ヘリコイドグリスについては無視されていました。販売のためにレンズのみ清掃したのでしょう。このレンズはヘリコイド部分が薄いため、グリスが抜けやすいですから、回転にムラが出る。(重くなるかスコッと抜ける)状態の個体は要注意です。早めにメンテナンスをしてください。

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リターンミラーは突然にの巻

2015年07月29日 21時57分03秒 | ブログ

UPの予定は無かったので途中の画像はありませんが、PEN-FT(V)のリターンミラーは、そろそろ接着が限界で、どの個体にも突然脱落という危険性がありますね。こちらのFVは過去に私がO/Hをしていますが、リターンミラーが剥離するか否かは神のみぞ知るなんですね。

で、途中の画像は無し。新品に貼り替えてありますのでスカッときれいですよ。ファインダーのピント調整をして終了です。

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おアランスのカメラかぁ? の巻

2015年07月25日 20時56分39秒 | ブログ

相変わらず暑いですねぇ。子供の頃の夏は、暑いと言っても30℃をやっと超えるぐらいだったからね。最近の暑さはつらいですわ・・

でもそんな時に解んないカメラはあまり避けたいのですが、大阪のご常連さんから来たのは、FOCA SPORT CFというカメラ。当初、暑いのでUPは割愛の予定でしたのでここからです。なんか真四角なカメラで、おフランスの洒落たセンスは感じますが、作りは・・ですね。まず、プログラム式の追針が連動しないとのことです。古いのでメーター内の固着ですね。分解清掃をします。

トップカバーの組立はネジが異常に少なく、只一つのネジは特殊なスリット式。カウンターガラスが曇って脱落していましたので、研磨をしておきました。

 

ファインダーブロックの清掃。すべて分離しないと上カバーは外せません。あまり良い設計ではないような・・

 

カウンター板の色がおフランスしていますね。きれいざんしょ。しかし、裏蓋を開けても0復帰はしない簡素な構造。

 

やっとお姿が・・。操作感が何かに似ていると思ってら、そう、フジペットですよ。三角のシャッターレバー?の操作感はまさにそれです。

 

レンズ汚れとシャッターの低速止まりがあります。レンズを分離して行くと。。あ~、レンズユニットはスリ割などの工具を掛けるところがないタイプ。これ一番嫌い。しかも、ストッパーピンが横(間隔4mm)にあるので、汎用工具が使えないのです。だからやりたくないと・・

JHTさんにもφ29mmのレンチは無いし、考えていても仕方がありませんのでレンチを自作しました。端材のアルミ板から糸鋸1本で切り出したんですよ。29mmのドリルやホルソーなんて持っていませんから。ストッパーピンを逃げるため、リング部の厚みは3.5mmとしてあります。しかし、二度と使うことのない工具だろうなぁ。。

しょっぱいシャッターです。スローガバナーとセルフタイマーはすでに分離して超音波洗浄をして組み込んであります。F1の予選があるので今日はここまで。今、ブログランキング1位ですって。みなさん、ポチッとお願いします。

相変わらずの猛暑でバテ気味かな? このオーナーさんからは先日も九九式双軽爆撃機のプラモを頂戴しましたが、近くの調布飛行場で軽飛行機が墜落したのはニューズでご承知でしょう。この写真は私所有のホンダS800Mですが(私がオールペンしました)、撮影した場所が調布飛行場の基地の跡地「関東村」と言われた場所で、現在は味の素スタジアムの辺りかな? この写真の後ろ側が滑走路になります。ニュースの解説地図を見ると、隣接する中央高速の調布インターの手前に墜落したようですから、飛行と言うよりは、滑走路から飛び出したというぐらいの距離です。原因は不明のようですが、何らかの不具合により、エンジンの推力が上がらず、そのまま墜落したようですが、飛行機は離陸直後で高度とスピードが無ければ失速で舵も利かず、パイロットは何も出来ない絶望的な状態だったのでしょう。じつは、戦時中にこの飛行場には、陸軍飛行第二四四戦隊が駐屯しており、三式戦闘機「飛燕」装備で、帝都防空に任じていました。しかし、飛燕のエンジンも不調が多く、特に離昇時の推力不足により、この辺りには多くの機が墜落しています。もう少し高度があって、京王線を飛び越えて多摩川の河川敷まで機を持っていければ住宅地への墜落という最悪の結果は避けられた可能性もあったなぁと思います。

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で、カメラに戻ります。シャッターダイヤルのカムにより、親指のピンが押されると露出計の追針が連動して動きますね。流れちゃってるけど・・

 

巻き戻しダイヤルのデザインが素晴らしい? 丁度、東京オリンピックが開催された時代は、建築物でもこのような近代的なデザインが多かったような気がします。時代の流行り?

 

人間の感覚というのは不思議なもので、最初の違和感は無くなり、手に馴染んで来るから面白いなぁと思いますね。じつは、シャッターに完調でない部分があるのですけど、別の個体を研究しなければ解決できません。また。研究したいと思います。

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PEN-S 2.8をフツーに仕上げるの巻

2015年07月23日 13時26分23秒 | ブログ

2台の同じく30万台のPEN-S 2.8が来ています。2台を使ってなるべく程度の良い個体を作って欲しい。とのご依頼です。私の考え方としては、どちらかをベースとして、程度の良くない部品は交換するということにしたいと思います。画像は、裏蓋の劣化モルトの付着を清掃してみると・・あぁ、ダメだぁ。塗料が侵されていて剥離してしまいます。リペイント作業でしたら問題は無いのですが、オリジナルの仕上げですから、もう1台の本体を使うことにします。

ベース採用したこちらの個体にもいろいろと問題はあるのです。まず、トップカバーの吊環部の陥没。駒数ガラスのクラック。陥没は修正。駒数ガラスは交換とします。

 

今度は裏蓋です。採用した本体に付属の裏蓋は上のもの。良く見てくださいよ。開閉キーのストッパー(ダボ)がカシメ不良により脱落紛失していて、適当なネジを締め込んで代用としてあります。じゃ、もう一つ(下)の方は? 梨地メッキのキズがありますね。さてどうするか・・

この頃(#3389XX)のシャッターは設計変更前で、真鍮ネジで組む構造ですが、ピンセット先のロックレバーの作動がスムーズでない個体がありますが、この個体も同様です。軸内径の研磨やスプリングの位置を微妙に調整をして改善します。

 シャッターの摩耗は少なく、作動は安定しています。

 

 

裏蓋は梨地メッキのキズありを選択しましたが、長期放置機は劣化したモルトに接触して塗膜が侵されてアルコール拭きで落ちてしまいます。補修のタッチアップをしておきます。

 

その他、細かな部品は程度の良い方を選択しますが、ピンセット先のシューもダメですね。上からの圧力により変形をしています。曲げ加工品ではないため、曲げを修正しようとすると折れてしまいます。

 

いろいろあって、良好な部品で仕上げた個体の完成です。一見同じ程度に見えても、よくよく比較すると程度の差は必ずあるものなんですね。

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PEN-S 2.8がどうなるのかの巻

2015年07月18日 13時11分33秒 | ブログ

すみません。掲示板の方に行ってまして留守にしていました。しかし、台風11号には迷惑するわ。雨ばかりで外でのバイクいじりが出来ません。で、カメラの作業はボチボチと進めていますが、熱中症の症状もあったりで、途中のUPは少なめにさせてください。

前期型の個体#3119XXではありますが、オーナーさんが素材を送り直してこられただけあって、全体的なコンディションは悪くはありません。シャッターは止まりますけどね。http://6609.teacup.com/koichi/bbs

吊環部に落下による陥没があります。一点に集中して力が掛かっているので、意外に陥没の修復は困難なのです。

 

 

で、現状はこのようになっています。メッキを剥離すると、巻上げダイヤル周辺では真鍮にピンホール状の腐食があります。きれいに見えても、メッキの下は腐食が進行しているのです。

 

よりによって関東地方は梅雨明け宣言が出た日に朝から塗装作業でした。汗を流すと目は見えなくなるし、体力と集中力のいる作業です。トップカバーに小さな塗装ブツがあって、オリンパス基準からしても良品として問題ないのですが、自分の気に入らないものは出したくないのです。よって修正吹きをして完成です。さぁ、ビール飲むぞぉ。

と言っても、かみさんと缶ビール半分こですけど。トップカバーの彫刻文字の色入れ、駒数ガラスは新品を接着、吊環の取付け、接眼部の遮光マスクの接着で完成。

 

このようになっています。

 

 

裏蓋は底カバーと背部のリベットカシメ、開閉キーなどの取付け、モルトり接着をしてあります。

 

O/H済みのシャッターユニットの搭載、2軸の取付けなど、本体メカはほぼ完成。

 

 この個体で面白いところは、本体へのシャッターユニットの取付け穴(4個)が皿ネジとなっていることです。取付け板の穴が皿用に加工されていますね。皿ネジの利点は位置決めが簡単に決まるということですが、何故か、これ以後の個体では、それまでと同じフラットなネジに戻されます。理由は? 推測ですが、巻上げのストロークを調整する場合、このネジとネジ穴の遊びの範囲でユニットの位置を微妙に調整することがあります。皿ネジとすると、その調整が出来なくなるので、組立現場からクレームが出て、元の仕様に戻された。かどうかは知りません。

 トップカバーにファインダーを取付けて本体と組み合わせます。駒数ガラスは新品としましたのでスカッときれいですね。

 

トップカバー横の留めネジがピンセット先の頭の大きなナベネジがついていましたが、う~ん、たぶんオリジナルではないと思いますよ。この部分はトップカバー側に皿ネジ用の座繰りがありますから。で、正規の純正ネジを塗装して使用しています。

これで完成です。使用頻度の少ない個体ではありましたが、前期型で、メッキ下やシボ革なども劣化しているのでやりにくい部分もありましたね。お預かりをしてから時間が経過をしたのは当方の都合ですが、夏場のリペイントは体力的にもきびしいです。あと、小間物が残っています。

PEN-W用フードのご依頼も頂いておりましたので製作しました。少し使い込んで頂くと、塗膜も落ち着いて馴染んでくると思いますよ。エージングをお楽しみください。

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