別のカメラを作業しようと思っていましたが、工具が足りないのでローライ35ドイツをやります。#3011XXXなので初期も最初の方だと思いますが、点検していくと不具合が10項目以上あります。まず距離リングが変でしょう? ft機なので海外仕入れと思いますが、最短側でストッパーが利かずに回り続けます。沈胴もフェルトの摩耗でスカスカ状態。
露出メーターは動いているように見えますが、受光窓を塞いでも針は中央から動きません。メーター単体は生きていてCds不良の最終段階です。
カバー横がへこんでいまして「修正指示」がありますが、恐らく過去に板金されていますね。これ以上は無理でしょう。
圧板やスプールも初期型ですね。HONEYWELLとのダブルネーム機ですが、発売の初期からダブルネーム出荷をしていたのですね。巻き上げレバー裏のレバーアテが欠落しています。
裏蓋も問題あり。カウンター盤が復帰しませんね。巻き戻しダイヤルの回転が困難なぐらい渋いのとシューのレールに変形があります。
すでに「修理カルテ」に記入するスペースがなくなって来ました。その②に続くかもしれません。カウンター復帰不良は、過去の修理で左のカバーのネジを締め込むとカウンター盤が戻らないことからネジを締め込まずネジロックで留めてありました。本当の原因はピンセット先の樹脂が荒れて盛り上がっているためで、対症療法的修理です。どちらにしてもカウンター進みも不良のため別の対応も必要で、裏蓋にカウンターが付いているローライ35の宿命的故障。
内部も初期型なので劣化しています。おそらく何度も修理を受けています。メーターガラスは上側ガラス(樹脂)の裏側に傷がありました。
露出計ユニットを取り出してCdsを交換します。幸い電池室の電解液漏れは起こしていないので基板の半固定抵抗などは生きているでしょう。
メーターは元気に触れています。現状ではこのような修理しか仕方がありません。
初期の個体は鉄部品の錆が進行しています。巻き上げギヤの洗浄とグリス塗布をします。
すでに巻き戻しレバー基部は変更されて以後と同じ仕様です。遮光用の毛糸が劣化して切れていましたので新しい毛糸で交換しておきます。
画像枚数を減らしてこのまま行きます。シャッターの分解とレンズの清掃をします。レンズの状態は非常に良いです。調整シムが5枚(0.9mm)も入っていました。この時点でストップリングの爪↖が折れているのに気が付いていません。
初期生産のレンズとしてはコーティングも含めてコンディションは良好です。最後にブレードスプリングを取り付けて終了。
洗浄したトップカバーにメーター窓の接着、レバーアテの熱カシメ、レリーズピンにグリスを塗布して本体にセットします。
フィルムカウンターの逆転を留めるロッキングスプリングにはドイツ製の初期型ですので補助スプリングが入っていないため製作して追加しておきました。36枚まで正常に進みます。
ピント調整の時にやっと気が付いた。左が付いていたストップリングで、最短側の爪が折れている。右が正常品。これは交換するしかありません。
初期型は「Rollei 35」 の彫刻文字が以後の個体より細くて少し頼りない感じですね。いろいろ問題のある個体でしたので「作業はどうしたものか?」とも考えましたが、ドイツ製の初期ということで生かされた個体ですね。最後にレンズ前縁の白化したカバーリングを黒に戻して貼って完成。
トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)