今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

良さげなPEN-FTブラックの巻

2015年08月27日 21時32分12秒 | ブログ

今日(27日)は海上自衛隊いずも型ヘリコプター護衛艦の二番艦DDH184の進水式がありましたが、艦名がなんと帝国海軍の航空母艦「加賀」(かが)を継承したのにはちょっとびっくりでした。三番艦は赤城かなぁ。

で、作業は特に問題の無さそうなPEN-FTブラック#3330XXです。本体よりTELEPLUS 2Xが付いているのが珍しいですね。私は、コムラーのテㇾモアを使っていましたけどね。外観はきれいですが、巻上げがガリガリ気味ですねぇ。

分解歴はありますね。遮光テープは取り去られていて、露出計のリード線が再半田付けされた形跡があります。

 

シボ革はシャッターダイヤルが分離できるギリギリのところまで剥がされたいました。ということは前板を分離してのシャッターへのアクセスはないということです。気になるのは、シャッターダイヤルを留めているネジですが、スリ割り(-)ネジですね。33万台でこれはあり得ません。しかし、本体などは疑問なところはないので33万台には間違いはないと思います。

稀に本体の塗装部分に油がにじんでいる個体を見ますが、後天的にスプロケットなどに水油を着けられている場合もあります。

 

チャージギヤと軸受けとのクリアランス(ガタ)が大きめです。これですと、二回巻き上げになっている可能性もあります。

 

案の定、7回に1回程度で巻き上げ不足が発生しました。巻上げのゴリツキ感にも影響があるのです。で、すでにメカ部の組立は終了。ルーペ部のモルトもきれいに取り去られているのに新しく貼られていませんね。見えないところもちゃんと組まないといけませんね。

光学系は33万台と新しい? 個体ですのできれいです。ハーフミラーは再使用出来ないことはないレベルですが、さてどうしますか・・

 

この頃は金色のコートです。メッキは薄くなっていて、前回の拭き傷もあるのですけど、耐久性はそれ以前のメッキよりはあるので、今回は再使用とします。

 

こういうの良く分かりませんね。セルフタイマーのリンケージのネジ。締め込むと、何だか偏心しているようです。画像でネジ部の曲がりが分かりますか? なんでこのネジが曲がるのか意味不明。セルフタイマーが作動しない位置関係でしたので、それを調整するために故意に曲げた?

だとすると、調整はここではないのです。

ネジは良品と交換してあります。

 

 

なにか宇宙空間にUFOが編隊で飛んでいるような画像。付属の40mmです。絞り面に黒点のホコリが混入しています。すべて洗浄清掃で組み立てます。

 

おかしな整備を受けていた個体ですが、巻き上げも軽くシャッターも快調。外観もきれいで良い個体となりましたね。

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Agfa Isolette かな? の巻

2015年08月25日 21時36分32秒 | ブログ

先日、夏枯れと申し上げましたら、お二人のご常連さんから同時に複数のカメラが届きましたよ。PEN以外の変わったやつから。。Agfaのスプリングカメラらしい。じつは、前面の蓋部分のシボ革が剥がされていて、メーカー名も確認できません。Isolette というモデルかな? オーナーさんのお父様のカメラだそうで、シャッターとレンズのヘリコイドは固着していて全く動きませんね。

シャッターはCOMPER RAPID と高級ですね。レンズはSolinal1:4.5/85となっています。では、レンズから動かさないと分解が出来ません。

 

レンズのネジ部が固着しており、何とか分解が出来ました。意外にシャッター羽根の腐食は進んでいないようです。スローガバナーは過去に分解の形跡があり、固着して動きません。

 

こんな部品構成ですね。シャッターを分解して超音波洗浄をしておきます。

 

 

洗浄注油をしたところ。ギヤに錆が発生していて、稀に噛み込んでしまいます。低速でガバナーが利かず速いシャッターが切れてしまいます。

 

エージングと、位置出しによって、何とか安定して1秒が切れるようになっています。その他の洗浄した部品を組んでいきます。画像はシャッターを切ったところ。羽根が開閉しているところが分かりますか?

 

後玉はコーティング有りですね。多少のカビがありますが、時代を考えればきれいな方ですかね。

 

シャッターは完成。本体を拭き上げて、剥離をしたシボ革の補修接着をしておきました。中央の蓋部分をどうするか・・

 

 全体にシボ革の端が剥離気味なんですが、中央カバーの部分は、故意に剥がしてしまったようですね。しかも、相当以前のことで、鉄板の錆が深いです。

 

トップカバーを外してメンテナンス、と言っても簡素なものですけどね。巻き上げ軸は、この頃の定番のバネ(コイル)式の逆転防止機構です。その地、巻上げのインジケーター。

 

Tレバーの機構。

 

 

ファインダーの対物レンズの清掃。

 

 

何とか作動状態となりましたよ。コンパーシャッターは、過去に何度も分解を受けており、スローガバナーの摩耗とギヤの腐食もあって、ガンギ車とアンクルの調整で、良好な位置を見つけるのに非常に苦労しました。

 

シボ革ですけどね。通常のカメラ用シボ革は寸法の安定性を出すため、糸やガラス繊維が挟んでいる構造のため、三次曲面に貼ることが出来ません。今回は、仮に本革をカットして貼っておきました。これではお金は頂けませんけどね。

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きれいなコダック・レチナⅢcの巻

2015年08月22日 21時41分18秒 | ブログ

すみません。ちょっとサボりました。と言うか、夏枯れで修理のご依頼が少ないのでバイクで遊んでいます。ご依頼の方がおられましたらどうぞ。で、ご常連さんのレチナⅢcです。きれいですねぇ、何時頃の製品なのでしょう? 6年前にオーバーホール済みとして購入されたそうです。購入時にもちょっと不具合があったらしいですけど、シャッター羽根が完全に戻らない状態です。羽根に油はなく粘りではないようです。チャージ車の奥の動きがスムーズでないですね。

シャッターはシンクロコンパーですから見慣れていますね。

 

 

バネを外します。全体的には潤滑不足という感じですね。

 

 

ここの潤滑がカラカラの状態。すべて超音波洗浄をして潤滑しながら組み立ててスムーズに動きます。

 

もう一つ、パルブが掛からない時があります。このレバーの動きが固着気味なのです。

 

ライトバリューピンを合わせて・・

 

 

露出計はユニットとして単体で載っているだけ。フィルムカウンターはレチナの流儀。残数が無くなると巻き上げが出来ないような機構になっていますね。カウンター板に1つ穴が開いているのが味噌。

本当に状態の良い個体です。ファインダーの劣化もありませんね。清掃をしておきます。

 

特注的なノコギリ歯の巻上げギヤ。ここが弱いみたいですね。

 

 

前玉はバヨネット式で取り外しが出来ます。Xenon 50mmが付いています。フレーム枠は80 50 35 です。

 

シボ革の質感も良く、ドイツらしい作りのカメラですね。写りも優秀とのことですから、このコンディションであれば高価なんでしょうね。

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ボチボチ始めようPEN-FTの巻

2015年08月19日 20時13分28秒 | ブログ

連休前に来ていたPEN-FT #2136XXと20万台初期の個体ですけど、素性は良いと思いますね。オーナーさんは、普段は中判を楽しまれているそうで、対局のハーフを使ってみたいとのことです。特に故障は無くて、巻上げが重くゴリ付いている程度。連休ボケですので、簡単にUPしておきます。

とは言っても、画像数枚というわけにも行きません。巻上げレバーがカクカクっと巻き上がる感触。20万台ですから、本来は滑らかな感じですよね。

 

シンクロターミナルの中心樹脂のカシメが甘く、抜けていますね。無理に押し込んだのでしょう。

 

こんなふうに抜けています。再カシメで使用します。

 

 

本体は未分解機ですね。保存状態も普通です。

 

 

すでに洗浄組立に入っています。電池室からのリード線の半田付けが腐食していて外れましたので再半田付けをしました。じつは、FV化のご希望なので、配線は必要ないのですが、オリジナルの戻す時のために回路は確保しておきます。

シャッター本体は問題ありません。シャッター幕の回転が重いです。この症状はかなりの個体に見受けますね。無給油で回転していますので、軸受けが摩耗して荒れてくると抵抗になるのです。

 

フレネルレンズとプリズムの間に細かい黒いゴミが入っています。(写っていませんね) 清掃をしてから組立をします。

 

巻き上げも軽くスムーズになっています。

 

 

接眼プリズムのコーティングですが、この頃のものは厳しいです。なるべくコーティングを壊さないように清掃をします。

 

腐食したハーフミラー全反射ミラーに交換しておきます。

 

 

再カシメしたターミナルを取り付けます。

 

 

電池室からのリード線はチューブを被せておきます。これで組立は完了。

 

 

ストロボの発光テスト。良好です。

 

 

20万代初期の個体(1968-3月製)としては、外観もきれいで素晴らしいコンディションだと思います。中判と共に楽しんでください。

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SEIKO スカイライナー錆び錆びの巻

2015年08月15日 19時49分09秒 | ブログ

遊んでいても仕方ないので、ボチボチ作業を始めました。ローライと一緒に来た腕時計は、セイコー・スカイライナー・カレンダーという京成電鉄みたいなモデル。21石でキャリバーは956、1963年5月製造のようです。しかし、私のところには厳しい状態の個体が来ますね。竜頭は欠落していて、巻真が固着して全く動かない。裏蓋を開けてみると、コハゼやオシドリピンが錆ついているのが分かります。

幸いケースが非防水で縁が薄いため、巻真を付けたまま文字盤側から取り出しました。あ~ぁ、ツヅミ車、オシドリ、巻真が錆びで完全に固着しています。昨日はホンタ。ライフ360のボディーの腐食に落ち込んで、今日は腕時計。私のような作業をする人間は錆との戦いのような気がします。錆は厄介で憎らしいですが、朽ちて行くのもわびさびの世界なのかなぁ? とも思いますけど、でも困る。錆びると太るので、絶対に動かないのです。

画像が暗くてすみませんね。こちらのデジカメの露出補正の仕方知らないんだ。ははは。CRC攻撃と力技でやっと分離して錆を落としました。意外にダメージは少なく、なんとか使えそうです。

 

では、普通に洗浄、組み立てをして行きます。

 

 

問題の巻上げ部分は注油とエージングをしながら、スムーズに動くようにすり合わせをしました。輪列を組んでいきます。

 

テンプのダイヤショックに注油をします。

 

 

何とか元気に動き出しましたね。アンクルツメに注油をしていきます。

 

 

このキャリバーで一番嫌いなレバーバネの取付け。セットをして受けを取り付けようとすると、ピンッとバネが飛んで行ってしまうのです。日車を浮かないように抑えているのがコツですね。

 

文字盤をつけて、カレンダー付なので0時に日車が切り替わるように針をセットします。文字盤はSD文字盤なので、劣化が少ないようです。

 

ケースはEGP BACK GOLD FILLED で、メッキは厚いのですが、長年の酷使でラグの先端部が剥げています。まぁ、金ケースでは良く残っている方でしょう。洗浄と軽く研磨をしておきます。

 

竜頭が欠落しているのですが、マーベルやチャンピオンでは合いません。同じメーカーでもネジ径やピッチも異なるものがあります。特に非防水と防水ケースでは全く構造が異なります。使い古しが適合したので、仮に取り付けておきます。オークションでも、金の竜頭は消耗が激しいので、需要が多いと見えて最近は少なくなりました。

タイムグラファーで調整をして行きますが、それほど悪い素性ではありません。安定して実用が出来るレベルです。

 

ここからデジカメが変わりました。補正しています。裏蓋も金メッキにしては、状態は悪くはありませんね。

 

ラグ幅は19mmです。昔の親父御用達の蛇腹ベルトがついていましたが、金ケースは柔らかいので金属ベルトはやめてください。仮に黒ベルトをつけて完成画像です。そのうち竜頭はオリジナルを見つけて交換した方が良いでしょう。状態の極端に悪い機械は、技術的に治せるのと、コスト的に見合うのとは違いますので、どこまで救うのかを熟慮する必要はありますね。

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