今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

コニカ C35 MD? の製作の巻

2014年03月25日 21時43分41秒 | インポート

Img_376245 まずは、ファインダーの保護ガラスとアイピース枠を取り外します。










Img_376682 アイピース枠は熱カシメと接着の併用でした。











Img_376711 鏡胴の彫刻文字はカラーの色分けになっていますね。










Img_377364 それを黒一色にせよとのことです。











Img_377222 モルトの貼り替えは厄介です。すべて裏蓋側に接着をされていますが、この形どこかで見たなぁ。そうだ、キヤノネットにそっくりですね。底蓋の形状など瓜二つです。








Img_377057 裏蓋の二枚貼り合わせの隙間にモルトを貼るのは非常に厄介です。










Img_377164 う~ん、似てるよね。露出メーターの置き方や、真四角のダイカストボディーなど、かなりキヤノネットQL17(G-Ⅲ)を参考にしたようです。いじっていても、一瞬キヤノネットを分解しているような錯覚に陥ります。







Img_377524 ファインダーを塞ぐプレートはINOBOOさんが製作した部品が付いてきましたが、シルバーのシートをアルミ板に貼ってあるものです。しかし、実際にセットしてみると、オリジナル部分のパールアルマイトとはかなり印象が異なりますね。アルミ板に梨地を打ってメッキ屋さんでアルマイト処理をしてもらった方が良いですね。まぁ、今回はこのまま使いますが・・


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巻上げレバーと巻き戻しダイヤルは部品取りの方が状態が良いので交換としますが、そま巻き戻し軸の径が設計変更されていました。製造時期の遅い部品取り機の方が、なぜか細くなっています。よって、部品の組合せで使うことにします。





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コニカC35からライカMDを連想するところがすごいですね。外付けファインダーは現在の製品とのことです。面白い試みでしたが、ファインダーカバーは、トップカバーと同材質の表面処理とした方がよさそうです。次回に期待です。http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/


新旧2台のPEN-Sをオーバーホールするの巻

2014年03月19日 20時19分56秒 | インポート

Img_372424 新旧2台のPEN-Sが来ています。最近はコンパクトPENのご依頼が少なくなって来ましたね。コンパクトファンは確実にいらっしゃるのですけどね。では、到着順で新の方から・・PEN-S 3.5 #1520XXです。製造が新しい? ためか、一見きれいに見えますね。しかし、シャッターは不調です。






Img_3725711 トップカバーのシュー下に腐食痕がありますね。どうも、雨の中で使われたようです。











Img_372657 シャッター内部も錆か入っていますね。シャッター羽根と作動リングも錆びています。その作動リングは最後期にのみ使われた黒い表面処理のタイプです。それ以前はクロームメッキタイプですが、コーティングによって、フリクションを低減し、組立の容易さを狙ったものと思いますが、コーティングは弱く、剥離をすると不調となってしまいます。このリングも、当たり面のコーティングは剥がれ気味です。




Img_372755 すべて洗浄をして組立てていきます。シャッター羽根にも錆が出ていますね。清掃により再使用とします。










Img_372977 この頃になると、シンクロ接点はバイクのポイントのような立派な接点が付きます。











Img_373256 カム板を留める薄ナットにも周り留めが追加されています。製造末期に今さらという気もしないでもありませんが・・










Img_373464 スプールナットは金属から樹脂製に変更されています。コストダウンが目的ですね。











Img_373399 全体に水気の入った形跡のある個体でしたが、レンズはきれいで、まずまずの仕上がりではないでしょうかね。










Img_373855 次は、初期型に相当するPEN-S 2.8 #1291XXですが、とにかくばっちい、と言うかメッキ面にも薄っすらとクロームの腐食が浮いているという状態。









Img_373957 トップカバーサイドもこのような状態です。このような個体の場合は、O/Hの前に、とにかく清掃研磨をすることに労力を掛けなくてはなりません。









Img_374233 まぁ、修理屋としては、そこまでする必要があるのかと自問する時もありますけど、性分なので仕方ありません。スプール軸ですが、まだ三光PENなどと同じ設計の部品ですね。右はそれ以後の変更部品。スプールの滑り(空転)をスプール内に仕込んだ板バネ一つで行うシンプルな設計ではありますけど、スプールにクラックが入るというトラブルが出るため変更されたものでしょう。




Img_374377 スローガバナーは完全に固着していてご覧のとおり止まります。











Img_374422 こちらも性分なので全ての部品を洗浄研磨をしておきます。シャッターのハウジングもアルミの酸化が激しいので研磨をしておきました。性能には関係ありませんが・・









Img_374661 しょっぱいシャッターだなぁ。いつも書いているように、このシャッターは非常に非力で、他のシャッターと比べて時計に近い感覚です。使い込まれて、幾つかのポイントが磨耗をすると、途端に調子が悪くなるのです。特にBで一度動きを止めてからの復帰時が一番きびしいのです。この個体の場合は、スローガバナーの作動不良で、洗浄をしても作動が非常に重い。シャッターを切ると、カムが画像の先端を叩くのですが、使い込むと接触部分に窪みが出来ます。するとカムがスムーズに滑らず固着するという現象が起きます。トルクがあれば動いちゃうんですけどね。
Img_374788 作動が重い原因は、2つの歯車の黒染めをされている歯車が錆び付いているのです。鉄の黒染めは防錆効果は薄いです。長期に放置されて湿気が入ったままですと、このようになります。当時のSSでしたら、即、ガバナーASSY交換でしょうけど、現在はそんな贅沢なことは出来ませんので、一つずつ錆を落として、抵抗が無くなるようにラップ作業をしていくしかありません。シャッターにトルクがあれば、多少の錆では動いちゃうのですけどね。とにかく非力なシャッターですから・・


Img_374991 シャッター復活に工数が掛かって他の画像は撮り忘れました。レリーズボタンのバネが弱い初期型のPEN-S で、コンディションの良いものは少なくなっていますから稀少な個体ですね。
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ペンスケ展用PEN-FTの製作

2014年03月13日 21時43分10秒 | インポート

Img_371711 とは言っても、画像は1枚しか無いんだよね。ペンテケ展参加の方からPEN-FTのご依頼がありましてね。それではと、沢山の在庫の中から34万代の後期型をチョイスして製作をしておりましたよ。作業に飽きると、2日前に完成して、実際に腕にはめて歩度を見ていたシチズン・カスタムを見たり、セイコー、スポマチ5のケース研磨をしたりしていました。カスタムは2日で数秒の誤差。5振動のロービートとしては優秀なんじゃないでしょうかね。スポマチの方は、両方とも6619-8110と同じ型番。同じ1966年12月の製造で、文字盤の色違いですね。黒文字盤の方を研磨してみましたが、同じモデルのケースなのに、白文字盤より微妙にラグが細いです。熟練の研磨職人さんでも、個体差が出るんですね。
Img_372333 で、ペンスケ展ご参加の方からご依頼のPEN-FTが出来上がりました。レンズは本体のシリアルに近い時期の個体をチョイスしてメンテナンスをしてあります。私のところには、多くのFTレストア素材を所有してはおりますが、年々良いコンディションの在庫は減少していますので、出来れば、ご自身で素材の確保をお願いしたいと思います。では、良い作品を期待しております。
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Img_371855 で、休日は自分所有の腕時計のO/Hをすることにしました。モデルは、シチズンのホーマーですが、旧国鉄に腕時計として制式採用されていた時計ですね。文字盤やケースなどの形状が民生品とは異なります。








Img_371964 機械はcal020でシチズンにしては非常にオーソドックスな設計で、セイコーのクラウンに似ていますね。鉄道用ですので、ハック(秒針停止)機能が付いています。気をつけなくてはならないのが、香箱車の角穴ネジが逆ネジということです。







Img_372041 O/H前は遅れ気味でしたが、ストレートに組んだ状態で+18秒ほどの進みと振り角が大きくなりました。片振りが大きめです。










Img_372121 民生用との比較。文字盤はアラビア数字、針は夜光入り(すでに発光しません)ケースのラグが細めです。リューズも小さいものになっていますが、手巻きの機械なので巻きにくい感じです。私は左のタイプで使いたいと思っています。







Img_372275 シンプルな形状が特徴の裏蓋です。採用年や識別番号などが彫刻されています。ベースのガッチリとした作りの民生用と比較してケースやリューズが小さめに設計させているのは、白手袋を着用するための装着感なども考慮されたものかなぁ、なんて考えてしまいます。見易さを考慮されて作られた鉄道時計は、老眼の目には好都合のように思えますね。http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/


CITIZEN SQUARE COSTOM 27石のユニット交換の巻

2014年03月11日 18時53分09秒 | インポート

Img_369594 シチズンらしい奇抜なデザインのスクエア・カスタム27石ですけどね。元々、水気の浸入があったユニットで、姿勢差などで許容範囲を超える状況となりましたので、ユニットの交換をすることにしました。搭載されているユニットはcal.5203 で、石数にバリエーションがありますが、27石です。そこで、同じユニットを搭載しているクリスタル・セブン27石から調達しました。右かオリジナル。左は調達したユニットで、たぶん一度も分解されていません。それが良いのかは別にして・・基本的に同一ですが、カレンダーの日車、曜車が文字盤の表示位置の関係で異なりますので移植する必要があります。
Img_369778 まずは分解して行きますよ。セイコーとは違った設計思想のユニットで、設計者の拘りを感じるような構造です。









Img_370015 日の裏側。日車の数字の角度が異なりますね。送り機構も非常に複雑で、小さなバネも多用してあります。すべて分解して行きます。









Img_370377 すべて超音波洗浄をしてから、では、二番車から組立てて行きます。ケースはワンピースケースのため、リューズの巻真は途中でジョイントをする構造です。








Img_370485 流石、クリスタルセブンは防水性能が売りなので、機械は全く腐食がありません。1枚ものの受けもきれいですね。精度もピタッと収まります。








Img_370521 ゼンマイは殆ど巻いていない状態でもテンプは動き出しました。フリクションは極めて少ない。









Img_370222 日車を取り付けて、正常に回転するかをチェックします。










Img_370633 最後に曜車を取り付けて文字盤を取り付けます。










Img_370788 回転錘も傷、腐食は皆無です。ベアリングの数はセイコーよりはるかに多いですね。取り付け方式も高級なタイプ。









Img_371622 裏蓋の無い最中ケースのため、搭載前の歩度調整を念入りに行っていたところで、3.11の発生時刻となり、東北に向かって黙祷をしました。あれからもう三年です。角型ケースの場合は、どうしても防水性能に難があるため、ユニットの状態が悪いことが多いようです。現状は尚、防水性能は落ちていますので、非防水として扱うことが必要です。右は交換されたオリジナルユニット。

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ただ今帰りましたPEN-FT

2014年03月05日 20時59分00秒 | インポート

Img_366711 しばらくお休みを頂きました。帰宅しましたので、またブログをUPして行きたいと思います。再開のはじめはきれいなPEN-FT#2771XXですね。ひょっとすると未分解機かも知れません。巻上げレバーがトップカバーと接触しています。セルフレバーはちょっとお辞儀気味。シャッターは最初は非常に眠くてスローモーでしたが、何度も切っているうちに改善してきましたので、メカではなく潤滑油切れや低温により作動が鈍くなっているのでしょう。



Img_366825 モルトはオリジナルが劣化をしたままの状態です。稀にこのような個体を見ますが、本体に油がにじみ出ていますね。シャッター幕とスプロケット軸のどちらからか流失している場合があります。








Img_366999 思ったとおり、未分解機でしたね。30万代の個体を珍重される方が多いですが、この27万代ですでにすべての変更は完了しています。その後期型にしては、巻上げのゴリツキが少ないのが気になります。








Img_367055 本体からシャッターユニットを取り出してみます。あら~、シャッター羽根に水油がベチャベチャですよ。これはすべて洗浄脱脂をしなければなりません。









Img_367177 地板とシャッター幕の隙間は油で覆われています。











Img_367255 巻上げギヤ(軸)にも大量の水油が塗布されていて、元々のグリスを溶かしています。それで巻上げのゴリツキが少なかったのでしょう。底蓋を外して、軸受部分に注油をしたようです。カメラは流れるほど水油などは使わないのです。







Img_367421 では、いつものようにダイカスト本体の洗浄後、二軸から組立てています。アイドルギヤの上下にはグリスを塗布しておきます。










Img_367646 超音波洗浄をしたシャッターユニット。切粉が大量に出ます。各部のグリスアップ後、メインスプリングをセットします。後期型なので条数の多いタイプです。チャージギヤはまだカシメタイプ。30万代中期からナットによる組立式。








Img_367711 完成したシャッターユニット。シャッター幕も完全に脱脂(注油)をされています。スローガバナーの状態は非常に良好。たぶん、殆ど使用されていません。細歯車の損傷もありません。









Img_367874 すでに本体にシャッターユニットを組み込んでいます。ここから水油を注油してしまったわけですね。ロアーギヤを取り付けて、巻上げと連結します。(グリス塗布)









Img_368314 ご覧のように、プリズムのコーティングも完璧な状態です。巻上げレバーがトップカバーと接触していましたので、ダンパーゴムの当たりを変えておきます。









Img_368622 すみません。昨日は検診で出かけて体力消耗につき、ズル休みしました。では再開。ハーフミラーは曇りが多いので新品と交換します。










Img_368761 シンクロのリード線は断線寸前でしたので再半田付けをしてあります。洗浄注油をしたセルフタイマーユニットを組み込んでいます。レバーを取り付けて、停止位置の水平調整をします。









Img_368811_2 マウントリングですが、端面に艶消し黒の塗装が回っていますね。マウントに塗装部分などは無いのですが意味が分かりません。はじめて見ました。









Img_369088 駒数ギヤは真鍮ギヤのみに極少量注油をします。その他は、粘りの原因になりますので無給油です。










Img_369155 本体は完成で、付属の38mmを清掃しておきます。本体とセットで販売されたレンズですね。設計変更後のタイプです。持病のヘリコイドガタが大きく出ています。ヘリコイドグリスが抜けているのです。レンズ自体は比較的良好です。







Img_369255 完成したレンズを本体に取り付けてすべて完成となりました。最近手元にやってくる個体は、何故か程度の良いものが多いように思います。コレクションの放出なのでしょうか? 次の世代の方にしっかりと受け継いで頂けるように願ってやみません。悪いところはどこにもない完璧な1台。