今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ジャンク・クォーツをでっちあげるの巻

2016年04月27日 20時58分34秒 | ブログ

あらあら、UPをサボると、ブログ村の順位がどんどん下がりますね。UP予定のない手直しなどをやっておりました。そろそろ連休に突入する頃になりましたね。29日は栃木県にあるホンダのサーキット「ツインリンクもてぎ」で開催される「Good oldays」(ビンテージレーサーのレース)に出掛けて写真を撮る予定にしています。天気が良いと良いのですけどね。で、少し暇が出来ましたので、しばらく腕時計をやっていませんでしたからと素材を探しました。セイコーのクォーツ初期のモデル。TYPEⅡのジャンクを寄せ集めて1個に仕上げてみようかと思います。機械はCal7546Aの普及機ですけど、右側のSilver Waveを生かしますが機械は不動でケースと風防ガラスはひどく傷だらけで、果たして使えるのか不安なところ。画像ではケースは荒研磨を施した状態。

風防はガラス製ですが、ひどい傷ですね。ケースもこれと同様な状態でした。出来れば交換したいところですが、デッドストックも見つからず、汎用ガラス風防(平板)は使用出来ません。仕方がありませんので、見つかるまで研磨をして使いますかね。

 

で、こんなところです。エッジが欠けていて、取り切れない傷も多いですから、あくまでも応急です。しかし、簡単に見えるでしょうけど、プラ風防と違い、研磨には丸一日掛かっています。

 

ケースとベゼルも深い傷は取り切れません。あまり削り過ぎると、元のシルエットが無くなってしまいますのでほどほどです。

 

1978年製と機械式からクォーツに移行する過渡期のキャリバーですので、地板や日ノ裏側などは基本的に機械式と同じ流儀ですね。それによって、最近の安物クォーツと違い、耐久性抜群の時計となっています。前回の組立時にすでに文字盤は接着されていますね。

 

発振回路などの電子回路(電池ホルダー)を分離してみます。現状は不動ですが、発振回路は生きているようです。電池室の裏側にまで電池のガスによる腐食が見られます。

 

 ステップモーターのコイルも断線は無いようです。これは復活できるかも・・洗浄前に電池室部の腐食を磨いて落としておきます。

 

この頃の機械には、ちゃんと4石使われています。輪列は固着気味です。上部に見えるのがステップモーターです。

 

すべて分解をして洗浄したところ。こうなると機械式とあまり変わらない眺めですが、洗浄液は電池の液によるものか白濁が激しかったです。

 

 

電子回路をセットします。

 

 

ひっくり返りして日ノ裏側。日車に腐食がありましたので、もう1つの個体から移植と思ったのですが、残念ながら竜頭の位置が異なるため(3時・4時)使えませんでした。

 

文字盤の足が折れていますので、接着で対応しています。秒針の先端を赤く塗装をしてみました。ちゃんと動いていますね。

 

昨日(29日)は栃木県の「ツインリンクもてぎ」へクラシックレーサーのイベントに行って来ました。天候は回復しましたが、風か強く吹いていて走行は大変です。当時、一緒のレースを走っていた方に声を掛けていただき懐かしくお話をしました。しかし、最近は高齢化が進んで、いつまで走れるのだろうか・・画像はアメリカAMAのレース向けに製作されたホンダCB750レーサー。

ブリヂストンは1966年までは国内でオートバイの生産販売をしていました。このマシンは世界GP参戦用に開発された50cc2気筒の工場レーサー。先行するスズキの工場レーサーと極めて似ています。

 で、本題。風防ガラスですが、北海道のINOBOOさんの方で新品を探して頂けたので、そちらを使うことになりました。(感謝です)よって、風防ベゼルは圧入せず、撮影用に載せてあるだけ。セイコー・シルバーウェーブは色々なキャリバーでバリエーションとして作られたモデルで、若者向けのスポーツバージョンというところでしょう。本格的なダイバーモデルではなく、竜頭をねじ込み式として防水性能を上げた程度の雰囲気モデル。純正はステンレスが標準のベルトをウレタンベルトに替えると、中々良い雰囲気です。シルバーウェーブは現在でも評価は高いようですね。クォーツ時計でも、この頃のモデルは半分は機械式時計ですからオーバーホールも楽しいです。

思いがけず、INOBOOさんから風防ガラスが届きました。ありがとうございました。研磨をした古いガラスと比較してみると・・やはり雲泥の差です。古いガラスは黄ばみやくすみが進んでいるのが分かります。やっぱり新品が最高です。

風防ガラスをベゼルでケースの圧入しました。竜頭とケースパイプ部に防水用のシリコングリスを塗布して、新しい裏蓋パッキンにもシリコングリスを塗布して裏蓋を閉めます。

 

若者が使用した個体で、良くもまぁ、ここまで傷だらけに出来るものだと思われるジャンクでしたが、手を掛けるとここまできれいになりました。防水性能をアップした頑丈なケースと機械式の流儀が残っているユニットですから、かなり重量感のあるモデルです。クォーツでも、この時代の製品はレストアのし甲斐がありますね。

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PEN-D2を復活させるの巻

2016年04月23日 20時16分27秒 | ブログ

その前に業務連絡です。4/19にPEN用カウンターガラス(3枚)のお問い合わせを頂きました◯本さん。何度もご返信を差し上げていますが、すべて戻って来てしまいます。ezwebの受信設定をご確認ください。

気が付けば、私のところにも沢山のPENたちが集まっていて、FTでは100台ぐらいにはなっていますが、現存数も減って行きますので、仕上げて再び現役に戻せるものは戻そうかと考えています。今回は、PEN-D2を仕上げようと思います。元々、PEN-Dシリーズの中でD2は生産数が少ないモデルですが、まぁ、ほとんどの購入者はレンズの明るいD3を選択した結果なのでしょうね。但し、入手理由から外観は美品という訳には行きませんが、メカはしっかりとオーバーホールをします。整備済みのD2を実用されたい方がいらっしゃれば、通常のオーバーホール料金のみでお譲りを致します。

ダイカスト本体を洗浄してスプロケット軸とスプール軸を組立てます。D2、D3は露出計はCdsになりましたので、メーター用の電源が必要になりますが、多くの個体は電池の液漏れのため、リード線が腐食しています。新しいリード線で配線をし直します。

元々はセレン式で電池の必要が無いDの設計ですから、後から電池室を追加したため、非常に苦しい設計になっています。止めネジ3本は腐食していることが多いですね。

 

絞り羽根はシャッターハウジング後面にセットされています。羽根の洗浄をしましたが、組立は慣れが必要かな?

 

完成したシャッターユニットを本体に取付け。

 

 

カム板をセットして作動に問題が無いかチェックをします。

 

 

巻上げ機構の組立をします。

 

 

ファインダーのクリーニングをした露出計ユニットを取り付けます。

 

 

最後に、接眼部のモルトを貼り直したトップカバーを取り付けます。

 

 

電池をセットして露出計の作動チェック。

 

 

外観はファインダー部の塗装剥離やEV値窓のメッキの劣化などがありますが、作動はしっかりとした個体です。

 

発売当時、D2の現金正価が15.000円で、姉妹機のD3の現金正価は15.500円となっています。この価格差でDを選択する方が居たのでしょうかね? (居たんですね)ご希望の方がいらっしゃいましたら下記までご連絡をお願いしますね。

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いろいろやってましたの巻

2016年04月17日 18時13分04秒 | ブログ

UP予定のない作業を2台ほど続けておりましたので間が開きましたね。こちら関東地方でも地震がありまして、嫌な気分でおりましたところ、熊本地方での大地震が発生してしまいました。「本震より大きな余震は来ない」とラヂオでは専門家が解説をしていましたが、今回は前震の後に本震が発生して大きな被害となりました。震災によりお亡くなりになられた方々のご冥福と被災された皆さまにはお見舞い申し上げます。いまだに余震が続いていますが、早く終局することを祈るばかりです。40年ほど前にバイクで旅行をした時の熊本城。(左から2人目が私。左の人はキカイダーのダーク役の俳優してました)崩壊した姿をテレビで見ると心が痛みます。一日も早く再建されることを願います。

今日はシチズンの腕時計のO/Hのお問合せなどを頂きながらキヤノン・ダイヤル35-2をいじっておりました。随分前にお預かりをしたので、故障内容も忘れておりましたが、巻上げのクラッチが利かないことや露出計が不動などでした。分解をして見ると・・あれぇ。この個体は過去に分解を受けていて、中身がガチャガチャですね。Cdsの配線も切られています。貴重な2型ですからねぇ。。配線を直していくと、露出計は動きだしました。

巻上げのクラッチ部。ここも分解をされていて、組み直したところ。さて、どうなることやら・・

 

 しかし、外装にセットするのは知恵の輪だよね。ダイヤル35と組立方式が違うし・・取りあえずセットして作動を見ます。ちゃんと1枚ずつ巻上げてロックされています。しかし、今の若い人たちにはダイヤルと言ったって、電話のことだとは分からないらしいですね。うちには電話が来るのが遅かったので、初めて電話を掛けたのが公衆電話でした。ドキドキでしたね。子供のころは日本テレビだったか「ダイヤル110番」という刑事もののドラマの最初に公衆電話のダイヤルが出て来るんだった。坂本 九ちゃんの「明日があるさ」では、「ダイヤルを震える手で回したよ」という歌詞があったね。僕も電話をするのが苦手だったね。現代のように携帯やスマホがあれば何でもなかったんだよね。

じつは、オーナーさんから部品取りにダイヤル35の分解ジャンクを付けて頂いていたのですけどね。随分と違って使えないのですね。フィルム感度もASA8-500からASA10-1000に広がっています。ピンセット先の距離レバーを回すとリンケージによりファインダー内の針が動くしくみ。

こうやって見れば普通のカメラなんですね。ファインダーを清掃しておきます。

 

レリーズボタンが前面から生えているのが違い。ボタンを押すと露出計の針を抑えるシャッタースピード優先EE。

 

ダイヤル35の作業で一番憂鬱なのがモルトの交換。え~、ここにもあるの?というぐらいに。電池はダイヤル35のMP型からHD型になっているので、現在の使用に関しては都合が良いですね。

 

ひたすらモルトの交換をします。

 

 

 とにかくね。仮組みをしてみないと作動のチェックが出来ないのです。フィルムカウンターは進みますが裏蓋を開けてもSに復帰しない。

 

裏蓋を閉じるとギヤが飛び出してカウンターが進む機構ですが、過去の分解により解放が上手く行っていない状態。やり直してSに復帰するようになりました。

 

スプリングモーター(ゼンマイ)はこのようになっています。本体からの分離には専用レンチが必要です。

 

モーターの容量アップのためダイヤル35より約直径1mm太くなっています。1mmって大きな差です。グリップ性はダイヤル35-2の方が良好ですが、全体のデザイン(コンパクト性)から見ると旧型の方がバランスが良いですね。当たり前ですけど・・ストラップは旧型は良く外れることがあったので、固定式に改良されています。

その他の違いは、ホットシュー化です。裏蓋側にシューがあって、配線が出来ないので、テンション式の接点を採用しています。この辺りの構造は旧型とはまったく異なります。

 

内部も磨き上げてきれいになっています。ダミーフィルムをセットして、ダイヤルをジコジコ巻いて行きます。あとは、裏蓋を閉めてゼンマイを巻きカウンター0で止まってから巻き込めば撮影準備完了。

 

貴重な純正フィルターをクリーニングして取付けて完成です。

 

一見、あまり違いがないように見える2台ですけど、ダイヤル35は1963年の発売でダイヤル35-2はそれより5年後の1968年なので、見えない部分まで改良が進んでいます。実用なら断然、新型の方が完成度が高く良さそうですが本体の厚みも約1mm厚くなっているので大柄になりましたね。旧型にはコンパクトなオリジナルの良さがありますね。一技術者の発案により誕生したと聞いていますが、パールアルマイトに身を包んだ洒落たコンセプトカメラを1963年に製品化したキヤノンの技術力には敬服します。但し、あまりレストアをしたくないカメラかな?

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PEN-D+S2.8のメンテナンスの巻

2016年04月11日 13時44分47秒 | ブログ

桜の季節なのに天候不良が続いていまして、外に出ない日が続いていましたが、やっと日曜日にバイクに乗りましたよ。近所の公園を回って、辛うじて残っている桜の前で写真を撮りました。プラグ不良により、帰りはエンジン不調となって、古いバイクは日ごろのメンテナンスの大切さを身をもって感じました。

で、すでに作業は終了してお返しをした作業です。まず、PEN-Dですが、ファインダーの清掃のみのご依頼です。PEN-D系はファインダーは汚れているものが多いと感じます。トップカバーを外すと・・裏蓋上側のモルトが無くなっている状態ですね。オーナーさんのご了解を頂き、交換させて頂きます。

過去にファインダーの清掃を受けていますが、殆どの場合は、古い接着剤を完全に取り去らない状態で重ねて接着をするので、どうしても密着が悪く、隙間が空いて静電気の汚れが入りやすくなります。

 

清掃をしましたが、接眼レンズの内側に劣化があって、黄ばんだように見えます。本来はスカッと抜けたように見えますが、今回はこのまま使用とします。

 

PES 2.8 #4026XXは1964年4月の製造です。PEN-Sは長く生産されましたので、製造時期によっての仕様変更やコンディションも大きく異なります。この個体は、裏蓋の変質したモルトを長期に取り除かずにいたため、塗装が劣化をしています。

付着した古いモルトを清掃すると・・ご覧のようにすべて剥離をしてしまいました。ダイカスト本体まで腐食が進行しています。リペイントも可能ですが、今回はこのままとします。

 

巻上げダイヤルカバーの両端が変形していますね。これは過去の分解時の再組立の時に、トップカバーとの面一を考慮せずに組んだのが原因です。

 

シャッターユニットのオーバーホールをしました。この頃の製造機とすれば、消耗は少ない方です。清掃をしたシャッター羽根をセットして完成。

 

スプロケット軸、スプール軸を組み立てて行きます。

 

 

レンズの状態は過去に清掃を受けていて、コーティングは剥がれ気味ですが、悪くはないですね。

 

ファインダーのカバーは隙間の開かないように丁寧に接着をしてあります。巻上げた状態で、駒数板の12時位置に0か40が来るのが正規の組み方です。

 

PEN-Sは製造の途中から巻上げダイヤル軸の設計を変更していますが、この個体は変更前の仕様です。軸のガタを最小とするための調整として、厚さの異なる調整ワッシャーを組み合わせて個体差を調整しています。変更後は調整ワッシャー無しで組立が出来るようになっています。

定価8.300円、現金正価7.800円となっていますね。当時の価格は割賦価格とか、複数の価格表示をしてありましたね。

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オリンパス・ワイドSですねの巻

2016年04月08日 13時57分18秒 | ブログ

関東地方は折角の桜の季節なのに、ずっと天候不良が続いています。気温が上がったせいなのか、ここ数日体調が思わしくなく、早めに休んでいるのに体に脱力感を感じます。そんなことで、ご依頼も一段落したところですので、少しゆっくりとしています。で、このオリンパスワイドS(スーパー)は、前の「遅れて来たPENマニア」さんから送られて来た個体ですよ。昔はPEN-Wとよく間違えましたが、ブラックモデルは以前は高価だったですね。この個体はカメラショーで入手をされたそうです。コンパクトPEN以外にも守備範囲はあるのですね。

オリンパス・ワイドSは1957年の発売だそうで、高級機ではありませんが、しっかりとした作りがされていますね。さすがにカメラショーで販売されていた個体ですから整備済みで、特に気になるところはありません。

 

この年代のファインダーとしては、ミラーの劣化が少ないと思います。途中で交換されたのでしょうかね。パララックス補正装置付のミラーを軽く清掃しておきます。

 

この頃のカメラは、既成のシャッターユニットを使いながら、独自のギミックを取り入れて差別化するような設計が見られますね。巻上げると白から橙に変わる表示は親切なものです。LV(ライドバリュー)表示付。

 

これも好きなギミックですね。巻き戻しダイヤルのレバーは、人差し指の爪をスライドさせるとパチンと飛び出してくる仕掛け。飛び出したのが分かるでしょうか?

 

PENの設計者、米谷さんのオリンパス入社は1956年で1年間は諏訪工場に転勤でしたので、第2設計部の先輩が担当されていたカメラですね。コンセプトが異なるので当然とも思いますが、設計者のセンスで同じ会社の製品でもこれだけ変わってしまうのかと感じることがあります。

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