その前に、今日8/7(水)から11日(日)まで、恒例のペンスケッチ展9が開催されています。会場は青山一丁目のスペースキッズに戻りましたね。ホンダの青山本社の先を左に入った奥です。猛暑の中での開催ですが、私も出掛けますので、私を見つけたら気軽に声を掛けてくださいね。
では作業を始めますが、お盆休みの旅行に持って行きたいとのご希望ですので頑張ってやります。新しく購入されたとのことで、特に目立つ欠点はありませんが、オーバーホールをしておきたいというご希望です。裏蓋のラッチの跳び越しがかなり以前からありましたね。
PEN-FT #2749XXのダイカスト本体は、最終の変更を受けた個体ですね。すでにボトムキャップはシール仕様となっていますが、その後、リード線の配線スペースを三脚座との間に設けているタイプです。これでやっと配線収納がすっきりとしました。ちょっと遅すぎた感もありますけど・・・
特に問題の無い個体ですから順調に組立てて行きます。2軸を組立てて、巻上げレバー関係を組んで行きます。
洗浄を終えたシャッターユニット。磨耗も少なく、非常に良いユニットです。
完成したシャッターユニットをダイカスト本体に搭載しています。巻上げのギヤ列は、古いグリスで汚れが激しい部分ですが、完全に洗浄した部品で組んでありますのでピカピカです。この後、グリスを塗布しておきます。
前板関係。プリズムはコーティングも劣化なし。洗浄したミラーユニットを組んでおきます。ピンセット先のチャージ軸を上側のリンケージシャフトが急速回転をさせる設計なので、リンケージのピボット部のガタが発生しやすいところ。
本体の組立は完成。トップカバーを閉じます。
こちらはPEN-F #2404XX。状態は悪くは無いと思いますが、駒数ガラスが不自然にへこんでいますね。
裏側から見ます。駒数ガラスは再接着をされていますね。自然に剥離することは、まず考えられませんので、何らかの理由により、他の個体から移植されたものでしょう。
底部から見ます。左の三脚環は分解されています。中央バネ掛けを調整した形跡があります。たぶん、リターンミラーのフリーズを起こした履歴があるのでしょう。
すべてクリーニングをした本体と外装。状態は非常に良いと思います。
シャッターユニットの状態も良好です。ガバナーユニットは改良された新しいタイプです。しかし、ピンセット先のコントロールレバーはシャッターを切るとハンマーで直接打撃を受けるため、焼きが入った硬い材質も金属疲労で折れれる故障も多いのです。FTでは、設計を変えて、打撃からの衝撃を受けにくい構造となっています。腕(アーム)の長い設計に無理があるのでしょう。ブレーキは、そのまま使用します。
この個体は、何故かフレネルレンズを分解されています。残念なことに、内側にすり傷があります。扱いが乱暴だったのでしょう。なら、分解しないで欲しがったです。直後にあるプリズムがFの場合マット面となりますが、そちらにもすり傷が・・
まぁ、何とかクリーニングをした本体と前板関係が完成です。
メカ部の組立完成。全反射ミラーは新品と交換してあります。
フレネルレンズのサイドカバーは一度剥がされていますので傷が多いですね。体裁面なので、もう少し神経を使うべきです。
駒数ガラスは接着が強固のため、再剥離は危険と判断しましたので、そのままとします。しかし、プロならもう少し丁寧確実な作業は出来ないものでしょうか? 付属の20mmは、多分アマチュアさんに分解をされています。絞り羽根に何やら例の白い粉が塗布されており、後玉にも飛散しています。こんな馬鹿な潤滑剤を付ける方の神経が理解できません。
20mmを簡単に。このレンズは、技量のない無神経な方に分解を受けていますね。カニ目から工具を滑らせています。この段階でやめておいた方が良かったのに・・
前玉付近。こちらも大きく工具を滑らせて傷だらけです。基本的に、部品に傷をつけて平気な神経の方は、精密機械の分解には向かないと思いますよ。前から見ると、かなりレンズが曇っていますね。
前群を分解しところ。3段ロケットのような構造になっているんですね。標準の38mmや40mmとは違って、非常に高級な構成です。曇るレンズは↓の後ろ側。ここは、汚れて曇るのではなくて、ガラス自体が風化をして粗面となってしまうのです。
当然、拭き上げをしてもクリアーにはなりません。このままでは仕方ありませんので、邪道は承知で手磨きをしてあります。曇りは無くなっていますね。後の画像は撮り忘れました。20mmは、殆どの個体で曇りが発生していて、それを分解で清掃を試みて傷だらけとした個体が多数存在します。購入時には充分ご注意を願います。
http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/