今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

久々お祭りとローライ35Sの巻

2023年08月27日 22時00分00秒 | ブログ

最近は立川の諏訪神社例大祭に出掛けることも無かったのですが、コロナも下火となって来ましたので暑いですが連れ合いと出掛けてみることにしました。駅前では丁度神輿の出発が見られました。私の子供の頃は南口商店街を有する三丁目の神輿が一番立派で、他の町会の神輿は子供神輿程度でしたが、現在は大きく立派な神輿ばかりです。担ぎ手も、どこにこんなに鯔背なお兄さん達が居たかと思うほど大勢居ます。

諏訪神社の鳥居をくぐります。前の小学校は私の母校ですが、現在は当時の建物は無く面影も無いのは時代を感じます。

 

まだ日差しが強く暑いですが参拝に並んでいます。

 

 

子供の頃はお化け屋敷と見世物小屋が掛かって盛大でしたが、現在はお化け屋敷のみ縮小されてありましたが、今はあまり人気は無いようでした。代わっていつの頃からか射的がありますね。子供の頃は銀玉鉄砲の名手だったのでやってみたいと思いましたが、あの弾の威力では当たっても落ちないですね。

市の無形文化財の獅子舞が演じられていましたが、300年前から諏訪神社で奉納されていたなどこの歳まで知りませんでした。暑さと疲れで早めに退散とし駅ビルで食事をして戻りました。

 

で、このローライ35Sはお世話になっているカメラ店様から譲って頂いた個体です。通常の整備では終わらないところが多いので・・取りあえずファインダーや巻上げ関係を整備して行きます。

 

露出計ですが現状は不動です。まず電池室の電解液漏れを起こしたようで接点が激しく腐食しています。これは作り替えます。Cdsの配線も劣化断線していて接着も外れています。

 

Cdsと回路のやり直しで復活しました。

 

 

本体に取付けて回路に絶縁フィルムを貼っておきます。

 

 

まだまだ問題があります。樹脂の巻上げギヤの歯が欠損しています。元々初期は全て金属製であったギヤの片方を樹脂にしたので、当然強度のバランスが崩れてこちらのギヤが損傷するのです。これは複製を考えたいと思います。

細かなところですが、シャッターダイヤルのフィルムインジケーターだけ劣化していますので交換しています。どうも酸かアルカリの液剤を塗布されたままになっていたようです。

 

シャッターとレンズをオーバーホールします。

 

 

じつは沈胴チューブ先端の黒リングも交換と思いましたが、なんと製造時期によりねじ込みのピッチが変更されていることが分かりました。

 

完成したシャッターユニットを本体に取り付けます。

 

 

そこに緊急でローライ35が到着しました。今年1月に手掛けてカメラ店様に収め販売された個体です。前玉の近接側のストッパーが利かずレンズが回ってしまうとの不具合です。故障の原因はストップリングのストッパーが折れて無くなっています。

の部分が折れています。このストッパーは強度が充分でなく、レンズを強く回されるとストッパーにストレスが掛かり曲がっている個体が多いのです。それが今回の時点で折れたものでしょう。皆さんレンズを強く回してストッパーにストレスを掛けることはしないでくださいね。これは別の良品部品と交換するしか方法がありません。

ついでに沈胴のフェルトを再調整しておきました。

 

 

ローライ35Sの方はメカと光学系の組立終了。巻上げギヤはTE(SE)などの後期モデルに採用されているローライ純正の平ギヤ真鍮タイプで組みました。あとはトップカバーのレバーアテを交換して取り付ければ完成。

 

ローライも樹脂ギヤの強度不足は認識していたようで、35Sの後期やTE(SE)では、ギヤは真鍮製とし、カムとキーにより連結して使用するタイプになっています。これが最善の解決策でしょうね。この真鍮平ギヤの寸法形状のまま複製を製作したいと思っています。

 

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女性PEN-FT使いさんの愛機の巻

2023年08月23日 17時00分00秒 | ブログ

カメラブームの頃はキムタクがドラマの小道具で使用したことで女性ファンにPEN-FTが人気となったことがありましたが、PEN-FT #3131XX 1969年9月製)も女性オーナーさんです。行きつけのカメラ店より購入されたとのことですが、露出計は不動の個体でした。一般的に31万台であれば露出計は作動しているものが多く、不動であっても配線不良など軽微な修復で復活することが多いのですが、残念ながらこのユニットはCdsが不良でした。それでは交換用のユニットの調達とオーバーホールをして行こうと思ったのでした。

良く見るとセルフタイマーレバーのボタンが純正ではありませんね。FT用として流通しているのでしょうか?

 

電池を確認するために電池蓋を開けようとすると・・蓋が斜めになって外れて来ません。ねじ山を壊されていますね。この頃はネジピッチを広く変更して対策をしてあるのに・・

 

シャッターユニットを取り出してみると・・変ですね。このガバナーは初期型に使われていたタイプです。当初は低速不調でスローガバナーを交換されたのかと思いましたが・・

 

シャッターユニットも違いますね。のようにシャッターバネが強化される前のユニットです。私の推測では大よそ17万台付近のユニットだと思います。

やむおえない事情でユニットを交換することはあり得ますが、ユニットを改良変更しながら生産されたカメラですので、製造時期の合う同型ユニットに交換して頂きたいと思いますね。後継互換は良いですが先祖返りはいろいろ支障がある場合があります。

オーナーさんとご相談の結果、作業は中止し先日UPしました36万台機を使用して頂くことになりました。

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緊急でPEN-Wの巻

2023年08月22日 17時00分00秒 | ブログ

悩むPEN-FTをやっていましたが、緊急でPEN-W #1070XX が入って来ましたのでこれを先にします。ずいぶんと汚れ放題の個体ですが大丈夫かなぁ? 急ぐので画像は最初が主です。

 

ファインダーも曇り放題ですね。レンズにも汚れが堆積しています。

 

 

トップカバーと本体も汚れです。巻上げダイヤルカバーの↙部分にカケがあります。過去に熟知していない方が分解をした証拠。

 

フォーカスリングの汚れ。すべて洗浄をします。

 

 

本体カバー関係を洗浄しました。では、組み立てて行きます。

 

 

洗浄したシャッターユニットの地板に組み込んで行きます。

 

 

完成したシャッターユニットを本体に取付けました。シャッターは快調です。

 

 

ファインダーは対物レンズ他の接着が外れていました。自然の剥がれではなく清掃をして接着せずに押し込んだものです。

 

清掃の上レンズの接着をしてトップカバーに取り付けます。

 

 

あとはレンズだけです。

 

 

そのレンズが結構汚れています。

 

 

しかし、意外にも持病のバルサム剥がれや曇りは少なく、清掃でかなり良いコンディションとなりました。絞り機構のメンテナンスもしておきます。

 

どうなるかと思いましたが、レンズが前玉キズなども無く良好となりましたのでラッキーな個体です。シャッター、コパル完成昭和39年10月、本体完成1964年11月と東京オリンピックにはわずかに間に合わなかった個体でした。

 

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レースの写真の巻

2023年08月18日 16時30分00秒 | ブログ

今年の連休は台風の影響により旅行された方は大変だったでしょうね。私はどこにも出かける予定はなく、久しぶりに自宅で休養をしていました。そこに高校の同級生で一緒にレースをした友人が結婚したと電話がありました。では若い頃の写真でもスキャンして嫁さんに見てもらおうとフィルム整理をしていました。画像は私のスタート前ですがプラグ交換をしているメカニックが本人です。

小柄軽量を活かして、小排気量に乗せたらピカイチの速さを発揮しました。

 

 

もう一人、同級生トリオがいます。ヤマハファクトリーの金谷秀夫選手と同じデザインのツナギを着ています。マシンは市販レーサーヤマハTD3(250cc)で、マシンを入手直後のテスト走行。セッティングのためカウル無しで筑波の最終コーナーを走行しています。この時代はグリーン内に入っての撮影も可能(本当はダメ)でした。

私たちが走り始めた頃の筑波サーキットは、日曜日の走行日でも走行台数が少なく殆ど貸切状態の日も珍しくありませんでした。走行時間になってもコントロールタワーにおじさんが居ないので呼びに行ったこともありました。今では考えられないことです。そんなことで、ポツンと走行しているのが私。トレール車のヤマハAT1(125cc)の改造車でしたが、ハーフスロットルでコーナー抜けるとエンジンが息をつくシャクリ現象が出るためアクセルコントロールが難しいエンジンでした。要はスロットルを開けるか締めるかの乗り方をすれば良いのだが・・

今は富士も鈴鹿もピットがクローズの豪華なスペースになったけど、当時はこんな状態でした。マシンの整備もすれば着替えもします。この設備で良くF1が開催できたと思います。

 

練習走行の準備が終ってコースインをして行きます。良いタイムが出るかな?

 

 

レースの開催日でなければグランドスタンドにも人影がありません。(上の方に2人いますね)黙々と走り込みます。

 

これはノービスからジュニアに昇格した頃の土曜日の練習画像。富士のヘアピンでカメラマンを見つけて振り返ったところ。真面目に走れ。

 

プロのカメラマンですが露出を間違えたか焼付に失敗したか? ネガが無いので真黒な写真を補正して見ます。翌日日曜日のレース本番です。1周目のヘアピンコーナー。③②➄が黄色のゼッケンジュニアクラス。(90)赤ゼッケンは確かエキスパートのヤマハの社内チームの選手ではなかったかと思います。後続にノービスの選手が続いています。

カラーネガは保管が悪いので変色が進んでいます。チームメイトのスタート前ですが、うちのチームは根性無しのため雨が嫌いです。エキスパート350ccクラス。

 

選手の彼女も心配そうにヘルメットをのぞき込んでいますね。度胸を決めて走るしかありません。でもタイヤが滑るなぁ・・

 

こちらのチームメイトも同じレースを走ります。秋の富士は雨が降ると気温が下がってヘルメットのシールドが曇りやすくなります。対策はママレモン(中性洗剤)を一滴シールドに塗り込みます。(今やってます)

 

ハイエースやキャラバンがトランスポーターとして一般的になる前の時代はダットラでした。練習走行を終えてレーサを積み込み、ロープで南京縛りをして固定します。南京縛りが上手く出来ないと一人前ではありません。

 

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生産末期の36万台PEN-FTの巻

2023年08月12日 10時00分00秒 | ブログ

暑さで夏枯れ状態なのか修理ご依頼は少ないですよ。オーバーホールも早めに出来ますのでよろしくお願いいたします。で、PEN-FTには40万台という謎の異端児もあるのですが、正常なシリアルとしては最後期の頃と思われる36万台#3676XX (1971年3月製)です。私のストックですがO/H後、ご希望の方がいらっしゃればお譲りします。特徴はやはり生産が新しいということで各部の劣化は非常に少ないです。シャッターも消耗していません。一番の特徴は私が「基板別体タイプ」と称しているメーターユニットです。オリンパスはなぜか生産末期になってメーターユニットの設計を刷新しました。設計者の米谷さんご生前の時にこのユニットのことをお尋ねしましたが「そんなものはない」と否定されておられました。でも現物があります。

では、分解洗浄の上組み立てて行きます。巻上げ系もまったく疲労や腐食がありません。

 

従来のユニットとはCdsのサイズが違い、特徴的であった「逆入射光防止グリット」が無くなっています。しかし、効率とCdsの生産が新しいせいかメーターの応答性は早くなっていると思います。

 

これが当時のカタログですが、逆入射光防止グリットの説明とのイラストが描かれています。これも「製品改良のために予告なく仕様を変更することがあります」ということになりますかね。

 

生産が新しいのと摩耗や不具合は無いのでメンテナンスで組んで行きます。FからFTでは改良設計にはなっていますが作動原理的な宿命でコントロールレバーが弱く折れるのです。みなさんの個体もいつかは折れます。そこで最後期ではコントロールレバーの形状を見直して折れにくくしていますね。下のユニットが生産の大多数を占めるコントロールレバーです。

ファインダーのプリズムのコーティングは完璧。左上のスクリーンはそれまでの上下に位置決め用の角が省略されて単純な▢になっています。

 

殆んどの個体は接眼プリズムのコーティングに曇りのダメージを受けていますが、この個体は完璧に残っています。生産が新しいからね。

 

接眼プリズム押えは元々は3本ネジ留めですが、1本省略されるようになり、製造末期ではビューハウジング本体のネジ加工やプリズム押えの孔加工も省略されています。

 

露出計の基板は接眼枠右にアース用のネジにより固定されています。生産完了後の補修部品としても使用されており、シリアル№が10~20万台の個体でも、このユニットに換装されている個体があります。使用過程で特に10万台の個体は露出計が不良となることが多く、SSで交換されたものと思われます。作業者によってはアース用のネジ孔(タップ加工)を省略しているものも多いです。

細かな点ですがストロボ接点を留めるネジ頭が大きく変更されています。

 

 

組立は完了。トップカバーを取り付けます。

 

 

大きな当たりはありませんが、細かな梨地のすり傷はあります。決してデッドストックのような個体ではありません。しかし、裏蓋の黒塗装はハードケース入りで使用されていたので非常にきれいです。

 

生産末期の個体は圧板の取付が従来の4点留めから2点留めになっています。この変更はFTだけではなく、同次期に生産されていたモデルに共通の変更です。

 

OM-1の発売は1972年7月で、この個体の製造は1971年3月ですから1年半前ということになりますが、実際の生産完了はもう少し早かったはずですから最後期と言ってよろしいと思います。ハーフミラーは新品と交換済み。興味のある方はお問合せください。

 

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