このPEN-FT #1197XXは、FT使いのお母さんと一緒のカメラを使いたいと言うお嬢さんのリクエスト。それにしては、初期型ですから、ちょっときびしいところもありますが、まぁ、頑張ってみましょう。まずはトップカバーを開けて点検。ふ~ん、相当前に露出計ユニットは中期20万代のものに交換されていて、ハーフミラーは30万台のものが組み込まれていますね。プロによる復活整備機というところでしょうね。
すみません。FBなどの対応で進捗がよろしくありません。洗浄したダイカスト本体にモルト貼り、スプロケット軸を取り付けて行きます。極初期型の個体としては、状態はそれほど悪くはないと思いますね。吊環の留めビスは真鍮のスリ割りビスですね。+ビスより締め込みは強く出来るので、意外に緩んでいる個体は+の方に多いですね。電池室からの赤いリード線も通常よりも太い規格が使われていますが、これで工場仕様ですね。
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洗浄したシャッターユニット。意外に目立つ磨耗は少ないようです。スローガバナーは変更前のユニットですが、ギヤの損傷は無く、1秒も正常に切れています。
特に問題は無いので飛ばします。ハーフミラーはご覧のように清掃でほぼきれいになりました。後期型のミラーですので、後年にSSで交換されたのではないでしょうか? 反射率の低下はあると思いますが、今回は安価に仕上げるのが目的ですので再使用とします。
作動不良の露出計です。Cdsのゲインはありますので、メーターの不良を疑います。針の動きがぎこちないため、ピボットで調整をします。結果、良好な作動を回復しました。
レンズマウントの裏にはフランジバック調整のシム(紙?)が入っていましたよ。通常は、Oリングタイプのシムが普通ですが、よく観察すると、この紙は事務書類(データ印捺印あり)を切って作ったものです。ファインダーのピント再調整も受けている形跡がありますので、SSでの対応なのでしょうかね。工場での作業であれば、専用のシムを作るはずですので、その可能性は低いと思います。
この個体は初期型なので、電池蓋のネジピッチが細かくて斜めに入りやすいタイプのため、殆どの個体でホルダー側のねじ山を損傷しています。それが余計に正確にねじ込むことを困難にしています。お嬢さんにはちょっと無理かも知れませんね。対策としては、ネジ山部分に僅かにオイルを塗布(導通不良とならない程度)すると、かなりスムーズになって、ねじ山の入り口を見つけやすくなります。また、そのねじ山の入り口を覚えておくことも有効で、この個体の場合は空気孔がピンセット先と合う付近。いきなり右回転ではなく、左回転でコクッとねじ山が噛み合った感触を覚えます。ネジの規格は図面を見なければ分かりませんが、アバウトには改良前がM17ピッチ0.5mm、改良後はM17ピッチ0.7mmで、格段にセットしやすくなっています。尚、電池蓋の見分け方は、改良前が画像のように、外周から二段に高くなっているタイプ、改良後は外周より内側にスジ彫りタイプです。
初期型は巻上げレバー裏のビスもスリ割りの半球タイプです。以後は、この部分のみ+ビスとなって、巻き戻しノブ下のビスは、しばらくスリ割りタイプのままで併用されます。それ以後はすべて+ビスになります。
本体は完成。もちろん巻き戻しレバーのノブは丸のローレットタイプです。セットするレンズがありませんので、当方の在庫からお付けしておきます。親子二代で楽しく撮影してください。
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