今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

今秋のペンスケッチ展用PEN-FTを仕上げるの巻

2017年04月27日 20時09分22秒 | ブログ

MazKenさんから今秋に開催されるペンスケッチ展にご参加される方用のPEN-FTのご依頼がありましたので作ります。30万台の個体をチョイスしました。

 

まずはダイカスト本体を洗浄して組み立てて行きます。

 

 

電池室とスプールを組んで巻き上げレバーを取り付けます。

 

 

消耗の少ない30万台の個体なのでシャッターユニットは特に問題はありません。洗浄をしてきれいです。

 

しかし、ブレーキナットが緩んでいました。これが故障の原因だったのかも?

 

 

前板の艶消し塗装部がかなり汚れているので、単体として洗浄しました。これからリターンミラー、ユニット、プリズムなどを組んで行きます。

 

途中の画像撮ってないんだね。ほぼ形になって来ました。

 

 

あまり進捗していないように見えますね。じつは露出メーターとセルフタイマーに問題があって交換したりして時間が掛かりました。特にセルフは取付孔が最後期型のため、殆どのストックが適合せず、やっと探しました。駒数関係を除いてメカはほぼ完成。

特にUPすることもないので、ショッキングな1枚をUPしておきますね。シャッター幕の破壊です。検証してみると、特に突いたような形跡もありませんので、自然破壊かと思います。開発の初期にはシャッター幕の破壊が多発してエッチングでリブやエンボスを入れたりして強度を上げたのですが、中にはこのような事例も発生したのかな?と思います。

ファインダーピント調整、露出計調整を終えてトップカバーを付けます。

 

 

30年前に作ったHOナローのコッペルと完成の記念撮影。レンズも用意しますが割愛します。じつは、素材から当方で用意をするのは、いろいろ点で神経を使いますので得意ではありません。送られたカメラを修理している方が気が楽ですからね。では、頑張って良い作品をお撮りください。

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Zuiko 20mm+25mm+40mmの巻

2017年04月25日 19時30分03秒 | ブログ

その前に。日曜日は良いお天気でしたので、FS1を磨いて町内一周をやっていたんですね。すると、突然エンジン停止。あ~また抱き付いちゃったかなぁ? もう、リングのストックが無いのに・・

 

すぐに戻ってシリンダーを開けて見ます。それほど大きなダメージはありませんが、排気ポート側に薄く縦すじがありますね。果たして「抱き付き」だったのか、予備タンになっただけなのか? しかし、ボアアップをしたエンジン(特に2サイクル)は焼付きやすくなります。圧縮を下げたり、ハイオクにしたりと色々対策をしても安定しません。クランクのオイルシールから二次空気を吸っているかな? 週末にフライホイールを分解して点検してオイルも高性能のものに変えてみるか。ヨーロッパ製の50cc仕様の新品シリンダーを所有しているので、それに交換した方が良いかもね。

で、腕時計の予定だったのですが、到着が遅れているようですのでレンズのメンテナンスをします。まず、40mm f1.4。レンズもきれいで程度は良さそうですが、絞り羽根の作動が重いです。

 

マウント側のネジはきつく固定されていて、この時点では未分解と思いました。

 

しかし、分解してみると、ヘリコイドグリスがオリジナルのホワイト系の上から茶色のヘリコイドグリスを追加されていました。多分、前側から塗布したのでしょう。絞りユニットはすべて洗浄します。

 

次は25mm f2.8の貴重なレンズですが、このレンズも曇りやカビが多いのです。後玉(2枚)の全部の面にカビが発生しています。特に後玉の内側はアメーバ状のカビです。

 

これです。ホルダーにレンズががっちりとはまり込んで出て来ません。

 

 

中玉の2枚は曇るものが多いです。軽微なものは清掃出来ますが、手遅れのものはガラスが曇ります。

 

ズイコーレンズは組立がきついですが、この個体もマエワクが固着していて外れません(でした)。

 

絞りリングの動き(回転)が非常に渋い。レンズの清掃だけであれば分解する必要がない鏡胴を分解してみると・・絞りリングを回転させた時にロッさせるピンが緩んで脱落寸前でした。

 

受け側のネジが完全に壊れていてねじ込んでも留まりません。接着で耐ってくれるか・・。

 

最後は20mm f3.5。これは問題のあるレンズです。三段ロケットの組立式になっていますが、画像のように、このレンズが曇ります。清掃の出来る曇りではなく、ガラス自体が曇る持病です。で、このレンズ。撮影画像の部分でピント精度が違うという症状があるとのことでした。

組立ネジ部が荒れていると思いませんか? 過去に何度も分解を受けているのです。レンズを観察すると周辺部分の墨塗りが補修されています。(艶が違う)レンズの部分にも塗料がはみ出していて、工場製では絶対にありえません。断定はできませんが、過去に曇りによりレンズ研磨を受けているようです。

その他、共通してヘリコイドガタがあって、これもPEN Zuikoの持病ですが、ヘリコイドグリスの抜けとヘリコイドガイドの摩耗が原因ですので完治は難しいです。まぁ、レンズも年々コンディションを落としています。

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PEN-Fメディカルを改造するの巻

2017年04月18日 21時01分28秒 | ブログ

久しぶりに、ご常連の北海道のINOBOOさんです。まぁ、だいぶ前から来ていたんだけどね。やる気が出なくて・・PEN-FTベースのメディカルです。シリアル№は#1446XXですけど、1971-6月製造でFTで言うと37万台付近に相当する後期型になりますね。

メディカル機は、そのまま通常の撮影には使用できないので、あまりいじられている個体は少ないのですが、この個体は分解を受けていますね。

 

基本的には露出計のないFV仕様ですがフレネルレンズはなく、ターゲットレンズが接着されたプリズムが使われています。その他、使用目的からセルフタイマーも不要ですね。

 

セルフタイマーユニットが省略されているため、マウントの12時にあるネジは不要ですが、ネジが無いと体裁が悪いのでダミーのネジを取り付けてあります。特殊ナットに注意。

 

底部はシンクロ配線はありませんね。カバー内側にはシールが貼られていますが意味不明。先日、大学生さんと思われる若いファンの方からメディカル機のO/Hのお問合せがありましたが、「そのままでは使えないのよ」とお話するとご存じなかったようでした。わたしも過去に何台が改造を施して世の中に出していますので、それらを見て誤解をされたかも知れませんね。

で、あまり丁寧な分解を受けていませんね。シボ革が切れまくっています。そもそも、メディカル機で分解されている個体は少ないのです。

 

分解を進めていくと・・スプロケット部分が変です。FT(V)はスプロケット内周のクラッチ部が摩耗して巻き上げ不良(滑り)が発生しやすい持病がありますが、この個体もその症状となって、対策としてクラッチが嵌るスリットを広く削ってしまい滑りを解消しようとしてあります。う~ん、頭いい。オリジナル思考の私には考えつきません。でも、スプロケットのガタが大きくなってしまいますよ。次は本体側のスプロケット軸受は本来ダイカスト面より飛び出しているのですが、それを削って面一にしてあります。(よって回転による塗装剥離)クラッチとスプロケットの位置関係を変えようとしたようですが、逆なような気がしますが・・まぁ、色々な考え方の人がいるものです。これは全て交換でオリジナルに戻す必要があります。

左が正規のスプロケット軸受けで全長4.5mm、右がこの個体に付いていた軸受けで全長4.2mmと0.3mm削られているわけです。

 

正規の軸受けを取り付けたところ。モルトを貼って、蝶番を取り付けます。後期型なので取付けネジは2本(前期型は3本)です。

 

クラッチバネも何やら怪しいものが付いていました。下が正規のバネです。一つ嘘をつくと、次々と帳尻を合わせなくてはならなくなる典型。

 

スプロケットは良品と交換しています。これで巻き上げ関係は完全にオリジナルに戻りました。この分で行くと画像数が増えすぎますので途中のUP省略するかも・・

 

 シャッターユニットは最後期型でチャージギヤはナットによる組立式となっています。テンションシャフトの摺動部もかなり傷か入っていますので、かなり使い込まれています。メディカル機では珍しいことです。

 

でも、まぁいいかなぁと思った瞬間。こりぁダメです。シャッター幕の軸が緩んでいます。ここは裏から緩み止めのためカシメられているので、自然に緩むことはまず(たまにはあります)ありません。殆どの場合、スリ割りを緩めてしまったのです。

このままネジを締め込んだだけでは、すぐに緩んでしまいますのでカシメをしてから緩み止めを塗布しておきます。やれやれ、なるべくUP数を減らしたいのに、素性の悪い個体は次々と問題が発生します。カメラが悪いわけではないのですけどね・・

特殊なマスクと遮光マスクは通常仕様に比べて強力な接着をされていて剥離が困難。

 

リターンミラーユニットのロックネジが無い・・油断も隙もない個体です。

 

 

手前が調達したFT用プリズム。コーティングも完全なもの。

 

 

その他、フレネルレンズ、オサエバネ、マスクも別途用意します。

 

 

組立完了。

 

 

全反射ミラーの端がめっきが隔離していますね。この頃の製造だと、劣化はあまりないと思いますけど、途中で交換されたものかも知れません。とにかく信用できない個体ですから・・取りあえず再使用とします。

 

これでメカ部分は完成です。部品を集めてセルフタイマーのないFVを1台作ったようなもの。ここで、作業を中断するかもしれません。

 

 戻って来ました。それでは外装を仕上げていきます。

 

 

 ちょっと外出していて作業が進んでいませんね。トップカバーに傷があるためオーナーさんのご希望で正面右側の部分を左側に合わせてカットしています。過去に「ハーフムーン」のCANさんのご希望により同様な改造をしたことがありましたが、その時はハンマートーン塗装でしたので、多少の加工傷や面取りなども可能でしたが、今回はオリジナルの梨地クロームのままでカットするのでクローム被膜があって硬いですし、傷やカット面の返り(バリ)も許されません。お受けしてから「しまった」と思ったのは後の祭り。でも、なんとかやりました。カット面は真鍮地が露出するため、シボ革の隙間から見えることも想定して、ニッケルメッキを施してあるのは芸が細かいところ。

「ハーフムーン」さんのHPには、その個体が掲載されています。現在は掲示板など休止中となっていますが、復活して頂けるとうれしいなぁ・・

http://www.hicat.ne.jp/home/bianchi/bianchi/f-body.html

 シボ革はご希望でバルナック用を使います。工程の関係から、まずは裏蓋から貼り替えて本体に取り付けます。

 

ついでなのでUPしておきますが、圧板の腐食を磨いて取り付けました。最後期型の個体がベースなので、取付けは2点留めになっています。

 

F系の場合は個体によって上下カバー間の寸法が微妙に変わりますので、個体に合わせてカットするしかないですね。特に今回のような改造の場合は採寸は慎重に行います。

 

改造で問題となる点は、本体とトップカバーの合わせは、シボ革を貼る先端部分で合うようになっているため、途中でカットをするとダイカスト本体との隙間が大きく開いてしまうのです。バルナック用のシボ革はオリジナルより薄いこともあって、ゲタを履かすような調整が必要になります。

左側も貼り終えて完成です。後ろのバルナックは同じシボ革で貼り換えてありますが、F系はバルナックのサイズを参考として設計されたとのことで、トップカバーのデザインも似ていてライカのような雰囲気も感じますね。

 

このような改造のアイディアは、セルフタイマーのないPEN-Fか、FT系のメディカルが好都合となりますが、今回はオリジナル性の低いジャンク機を有効活用する目的で改造をしたものです。なるべくオリジナルは尊重したいものです。

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SEIKO プレスマチックの針が・・の巻

2017年04月17日 16時33分03秒 | ブログ

昨日の日曜日は関東地方は気温が上がって良いお天気になりました。それではと冬眠していたFS1の古いガソリンを抜きました。新しいガソリンを入れて走り出そうと思います。

 

でも、今日は体を動かしたい気分ですので、ルマン号を磨いて昭和記念公園の立川口まで走りました。ソメイヨシノは終わっていましたが、枝垂桜は満開で、沢山の行楽客がお弁当を広げていましたよ。

 

フィギア模型で有名なコトブキヤの新しい店舗が出来たと聞きましたので、寄ってみましたが、奥のビルです。私の子供のころは青梅線の線路際にあった普通のおもちゃ屋さんだったのですけどね。この場所はフィンカムといって米軍基地のゲート付近でした。歩いている殆どの方はそんなことご存じないでしょうね。いつの間にか私が古くなっているのでした。

やはり運動して帰ると体が軽いです。ではお仕事します。セイコーのプレスマチックですが、当時の高級ビジネス用と言ったところでしょうね。まず、ケースとSSベルトから仕上げておきます。風防ガラスには傷があります。

 

しかし、残念なことにオーナーさんから支給して頂いた純正風防は合いませんでしたので、今回は再使用とします。

 

全体的に傷が多いケースです。

 

 

基本的に手磨きをします。バフ機械を使用すると削り過ぎとなって、オリジナルの雰囲気が変わってしまうのと、そもそも機材と研磨技術を持っていないからです。しかし、問題は時間がかかること・・

 

SSベルトのヘアライン再生と研磨洗浄をしておきます。

 

 

ケースとSSベルトが完成。

 

 

では、時計本体です。この個体は針の置き回りで秒針は動くのに長短針が殆ど動きません。竜頭の針回しが極端に軽いので、筒カナの摩耗でしょう。

 

このキャリバーcal 5146Aは基礎キャリバー5106Aの振動数を19.800回/時から28.800回/時へハイビート化したものですね。カレンダーの瞬間切換が特徴ですが、亀戸製の機械ですからバネが多用されていて、機構が複雑で組みにくいですね。曜車を取り去ると・・複雑な機構ですね。10時付近のスライダーによって瞬間切換をします。

バネを飛ばさないように注意しながらすべて分解洗浄をしたところ。

 

 

では、二番車から組み立てて行きます。竜頭が大きめなのは、中心部分を押すと日送り修正が出来る機構が組み込まれているためです。

 

長短針が置き回りをする原因の筒カナはテストの結果、やはり摩擦が足りませんでしたので、専用工具で締めて摩擦を回復させてあります。

 

香箱と輪列をセットして一番受を取り付けます。

 

 

セイコーの技術解説書では先に組み立てることになっていますが、私は自動巻き機構は最後に組み立てます。一番伝エ車をセットしたところ。

 

仲介車と切換伝エ車をセットして伝エ受を取り付けたところ。

 

 

残念ですが、今回は風防ガラスは傷品を再使用しますので、超音波洗浄とパッキンにシリコンオイルを塗布してベゼルを圧入します。

 

機械をケーシングして回転錘を取り付けます。タイムグラファーで調整後、裏蓋パッキンを新品と交換して裏蓋を閉めます。

 

やっと姿を現した5146-7040。典型的なセイコーデザインの品のある高級ビジネス時計というところでしょうか。現在でも人気のあるモデルですね。

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リコーオートハーフのカウンターは・・の巻

2017年04月08日 18時40分29秒 | ブログ

リコー、オートハーフのフィルムカウンターが復帰しない。駒数ギヤを進めるレバーにガタが多く、作動の確実性も怪しいところ・・

 

駒数ギヤの歯に当たるレバー(爪)の微調整を何度も繰り返して、やっと満足の出来るポイントを見つけました。裏蓋をゆっくり開けた状態でカウンターが確実に復帰するか・・

 

指標の赤塗料が何故か劣化をしていましたので、再塗装をして取り付けます。

 

 

こんな感じね。

 

 

あれれ、レンズを通して見えるのは指標の先端だけでしたね。

 

 

前カバーを取り付けて完成。

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