また女性PEN-FT使いさんの愛機です。#1429XXと初期型ですけどすごい個体ですね。クロームボディーのクローム層をやすり掛けして塗装をしたようです。家族の方がメルカリで入手されてプレゼントされたそうですが、もう少し良いのが無かったかなぁ? おまけに正常に動きません。どうして女性の方のところに難儀な個体が行くのでしょうね。うちの個体を上げた方が良さそうな気もしますが・・
↑のバネかけの停止位置が変ですね。このようには組めないはずですが・・
レンズの38mmもひどくて全く動かない。本体と絞り部分を留める3本のネジが緩んでいて、2本はすでに脱落しています。その他、絞りカムの位置が違っていて絞りも動かないと来ている。
とりあえず全て分解をして清掃をしたところ。ヘリコイドグリスを調整しておきます。
#3105XXと中後期のレンズなので以外に後玉の曇りは少ないのはラッキー? マウント部を取り付けます。
まずレンズは何とかなりました。本体の方を分解検証していきますが、うちの個体の方が・・
分解はセルフタイマーレバーから外しますが何故かボタンが引っ込んでレンチが掛かりません。これではセルフタイマーはかからなかったでしょう。裏技で外すしかないですね。
初期型は前板を留めるネジはスリ割ネジですが、このネジはこの位置のネジではありません。5本のうち2本は短いネジで左の上下に使います。+ネジになってからは5本すべて同じ長さです。
トップカバーを外しました。↑のトップカバーを留めるネジ孔がバ〇になっていて、ネジを接着剤で留めてごまかしてありました。セルフタイマーユニットが激しく腐食しています。カウンター盤は変更前のタイプですが、途中で止まるとのご指摘です。
シャッターユニットを分解してみると・・あらぁ~、チタンのシャッター幕が変形しています。これは参ったな。地板と接触していてシャッタースピードが遅くなります。チタンは硬くて一度変形すると直せないよ。
一度は交換を考えましたが、それならうちの個体を代りに差し上げ方が私も楽なんですが、何とか修正をしました。完全は無理ですけど使えるでしょう。
シャッター本体の洗浄とグリス交換をしました。テンション軸をセットします。
完成したシャッターユニットを本体に搭載しました。シャッター幕も特に問題はないようです。
プリズムやスクリーンの清掃をしたようで分解歴がありました。スクリーンの内側中央に古いモリブデングリスが付着した痕と傷がありました。これはできるだけグリスを清掃して再使用します。
接眼枠のネジ孔が破損欠落しています。これは孔の直径に対して頭の小さな標準ネジで組み立てたメーカーが悪い。スペシャルワッシャーを作って共締めしておきます。
情報窓の光路が曇っていますので清掃をしておきます。
初期型ですからハーフミラーは交換しておきましょう。
セルフタイマーがガチャガチャにいじられている。このバネをこんなに曲げちゃダメ。何とかセルフが作動するようにしましたが、レバーの水平調整が利きません。レバーも摩耗気味(ネジが緩んだ状態で作動していた)ですので本来は交換したほうが良いです。
約50枚を超えるとカウンターが進まなくなるとのことでした。このユニットは変更前のユニットで作動不良が多いですが、今回の原因はナットの下に入るバネワッシャーが欠落しているため、駒数盤が遊んで進まなくなるもの。
極初期は高低どちらも半固定抵抗ですが、この個体は片方が固定抵抗とされています。
メカの組み立て終了。露出計の調整とファインダーのピント調整などをしていきます。
底部はこんな感じ。
女性のオーナーさんですけど電池はこれですか? いまさら電圧変換はしなくてよろしいですけど、電池アダプターは買いましょう。電池はSR44で。
一時はどうしたものかと思いましたが、考えてみればカメラに罪はありませんので直しました。メカに弱い(失礼)女性オーナーさんに初期型の個体とあのシャッター幕ですので少し心配ではありますが意外に安定して作動してくれます。
【追加】完成テストをしているとセルフタイマーとストロボ発光に不具合が出た。タイマーレバーの↑「サドウバン」が何故か幅が短く隙間が空いてタイマーのバネがはまり込んでしまう。タイマーレバーASSYを交換して解決。ストロボ発光不安定は、シンクロソケットの中央パイプ部が完全に酸化していて導通がない状態。パイプ内を研磨して解決した。FTも初期型になると製造から年月が経過をしており、保管が悪く、ストロボを使用しない個体には同様の症状が出てくると思います。
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