今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ストックのローライ35S整備の巻

2023年09月29日 18時30分00秒 | ブログ

ストックしてあるローライ35Sを整備していきます。トップカバーと裏蓋底部角にへこみ傷があって美品ではありませんが、メカとレンズは良好です。整備済みの実用機が欲しい方がいらっしゃればお譲りします。

 

巻き上げレバー側角付近修正とレリーズボタン周辺に擦り傷。

 

 

裏蓋底部角にへこみあり。

 

 

過去に電池の液漏れは起こしていません。メーターは作動。

 

 

では、ファインダーの清掃とスプール軸ギヤのメンテナンスをしていきます。

 

 

清掃をしたファインダーを組み込みます。

 

 

スローガバナーの清掃注油をしてチャージギヤをセットします。

 

 

この頃になると沈胴レールがネジ止めではなくカシメになっていますね。どうやって交換するのかな? スプールカムやチャージレバーの清掃とグリス塗布をしておきます。

 

レンズの清掃とヘリコイドグリスの交換をしておきます。

 

 

追針の作動範囲がズレていましたので調整をしてあります。電池室からの液漏れはなくきれいです。

 

 

裏蓋の後ろ角はへこみがあります。

 

 

巻き戻しダイヤルを分離して清掃をしてありますので回転はスムーズです。

 

 

角にアタリがあって既に修正をしてありました。

 

 

内部はきれいです。

 

 

上下カバーにはチョコチョコアタリがあるのが残念ですが、メカやレンズ、露出計などは非常に良いと思います。多少のアタリは気にしない実用派の方には良い個体でしょう。ご希望の方がいらっしゃいましたらご連絡ください。

 

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すごいの来たよPEN-FTの巻

2023年09月24日 21時00分00秒 | ブログ

また女性PEN-FT使いさんの愛機です。#1429XXと初期型ですけどすごい個体ですね。クロームボディーのクローム層をやすり掛けして塗装をしたようです。家族の方がメルカリで入手されてプレゼントされたそうですが、もう少し良いのが無かったかなぁ?  おまけに正常に動きません。どうして女性の方のところに難儀な個体が行くのでしょうね。うちの個体を上げた方が良さそうな気もしますが・・

のバネかけの停止位置が変ですね。このようには組めないはずですが・・

 

 

レンズの38mmもひどくて全く動かない。本体と絞り部分を留める3本のネジが緩んでいて、2本はすでに脱落しています。その他、絞りカムの位置が違っていて絞りも動かないと来ている。

 

とりあえず全て分解をして清掃をしたところ。ヘリコイドグリスを調整しておきます。

 

 

#3105XXと中後期のレンズなので以外に後玉の曇りは少ないのはラッキー? マウント部を取り付けます。

 

 

まずレンズは何とかなりました。本体の方を分解検証していきますが、うちの個体の方が・・

 

 

分解はセルフタイマーレバーから外しますが何故かボタンが引っ込んでレンチが掛かりません。これではセルフタイマーはかからなかったでしょう。裏技で外すしかないですね。

 

初期型は前板を留めるネジはスリ割ネジですが、このネジはこの位置のネジではありません。5本のうち2本は短いネジで左の上下に使います。+ネジになってからは5本すべて同じ長さです。

 

トップカバーを外しました。のトップカバーを留めるネジ孔がバ〇になっていて、ネジを接着剤で留めてごまかしてありました。セルフタイマーユニットが激しく腐食しています。カウンター盤は変更前のタイプですが、途中で止まるとのご指摘です。

 

シャッターユニットを分解してみると・・あらぁ~、チタンのシャッター幕が変形しています。これは参ったな。地板と接触していてシャッタースピードが遅くなります。チタンは硬くて一度変形すると直せないよ。

 

一度は交換を考えましたが、それならうちの個体を代りに差し上げ方が私も楽なんですが、何とか修正をしました。完全は無理ですけど使えるでしょう。

 

シャッター本体の洗浄とグリス交換をしました。テンション軸をセットします。

 

 

完成したシャッターユニットを本体に搭載しました。シャッター幕も特に問題はないようです。

 

 

プリズムやスクリーンの清掃をしたようで分解歴がありました。スクリーンの内側中央に古いモリブデングリスが付着した痕と傷がありました。これはできるだけグリスを清掃して再使用します。

 

接眼枠のネジ孔が破損欠落しています。これは孔の直径に対して頭の小さな標準ネジで組み立てたメーカーが悪い。スペシャルワッシャーを作って共締めしておきます。

 

情報窓の光路が曇っていますので清掃をしておきます。

 

 

初期型ですからハーフミラーは交換しておきましょう。

 

 

セルフタイマーがガチャガチャにいじられている。このバネをこんなに曲げちゃダメ。何とかセルフが作動するようにしましたが、レバーの水平調整が利きません。レバーも摩耗気味(ネジが緩んだ状態で作動していた)ですので本来は交換したほうが良いです。

 

約50枚を超えるとカウンターが進まなくなるとのことでした。このユニットは変更前のユニットで作動不良が多いですが、今回の原因はナットの下に入るバネワッシャーが欠落しているため、駒数盤が遊んで進まなくなるもの。

 

極初期は高低どちらも半固定抵抗ですが、この個体は片方が固定抵抗とされています。

 

 

メカの組み立て終了。露出計の調整とファインダーのピント調整などをしていきます。

 

 

底部はこんな感じ。

 

 

女性のオーナーさんですけど電池はこれですか? いまさら電圧変換はしなくてよろしいですけど、電池アダプターは買いましょう。電池はSR44で。

 

一時はどうしたものかと思いましたが、考えてみればカメラに罪はありませんので直しました。メカに弱い(失礼)女性オーナーさんに初期型の個体とあのシャッター幕ですので少し心配ではありますが意外に安定して作動してくれます。

 

【追加】完成テストをしているとセルフタイマーとストロボ発光に不具合が出た。タイマーレバーの「サドウバン」が何故か幅が短く隙間が空いてタイマーのバネがはまり込んでしまう。タイマーレバーASSYを交換して解決。ストロボ発光不安定は、シンクロソケットの中央パイプ部が完全に酸化していて導通がない状態。パイプ内を研磨して解決した。FTも初期型になると製造から年月が経過をしており、保管が悪く、ストロボを使用しない個体には同様の症状が出てくると思います。

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PEN-S3.5が2台の巻

2023年09月19日 17時00分00秒 | ブログ

すみません。従来のメールが不具合のため、ご連絡はtomytomizuka@yahoo.co.jp までお願いします。

早速数人の方からこちらのアドレスにお問い合わせを頂きました。ありがとうございました。     

PEN-S3.5の前期と後期の2台が来ています。後期はシャッターで問題が無ければ良いが・・まずは、#1231XXから始めます。

 

全体的には過去に手が入っていて(鉛筆で記録有り)大きく悪くはないとは思いますが、何故かレンズはあまり良くないですね。絞りリングの回転も渋いですし、前玉のリングナットも腐食して外れない状態。なぜレンズだけ悪いのだろう

ファインダーのカバー接着がすごいです。もう少し何とかならないか・・

 

 

モルトのせいでカバー内側の腐食が進みます。削り落としておきます。

 

 

全て分解洗浄してから組み立て開始です。

 

 

シャッターは分解されていないのに一応は作動します。何故かな?

 

 

スローガバナーが取り外されていますね。全体を分解せずにスローガバナーのみ分解して清掃したのかな?

 

これは油のつけ過ぎでしょう。

 

 

洗浄脱脂をした地板に組み立てて行きます。

 

 

シャッターは問題ありません。快調です。

 

 

やはり問題はレンズです。このレンズではカスミの掛かった写真になります。将来交換が望ましいです。

 

こちらは後期型の#1720XXですが、外観からの見分けはトップカバー横の留めネジが+になっています。また、カム盤を留めるリングナットの回り止めネジが追加されました。これは良い変更として、問題はヘリコイドのスリ割りが薄くなったこと。変更前は幅1mmでしたが、生産末期に来て0.8mmに変更されいます。ここはトルクの掛かるところですから1mmが適正で、それに合わせて工具を製作しているのでそれが使えないのです。意味不明の変更です。

ターミナル接片の半田外れは定番です。

 

 

厄介なのは、この頃になってシャッター羽根を駆動させるリングの仕様が変更されたこと、詳しくは書きませんが、確かに簡単に組めるようにはしたのでしょうけど、耐久性が無いのです。変更前の仕様であればオーバーホールで初期の性能に戻すことが出来ます。識別のためかハウジングを黒アルマイトとしているようです。

まぁ、なんとかオーバーホールしています。

 

 

ファインダーは樹脂製のため経時劣化で強度が落ちていますのでレンズの取出しは気を付けます。フレーム枠の接着が外れていますね。

 

完成したファインダーをセットして本体に取り付けます。

 

 

初期型#1231XXは1965年7月製。後期型#1720XXは1968年10月製です。

 

 

都合により、次の更新に時間が空くかも知れません。よろしくお願いいたします。

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フジカ、コンパクトデラックスの巻

2023年09月17日 18時45分00秒 | ブログ

すみません。従来のメールが不具合のため、ご連絡はtomytomizuka@yahoo.co.jp までお願いします。

特に不具合は無いとのことですが、前所有者が取り付けたレリーズボタンが外れないので外して欲しいとのことですが・・本来のレリーズボタン(軸)が回転してしまうのでレンチを掛けても無理ですね。

レリーズ軸がフリーで回転してしまう構造です。スリ割りでも入れないと外せないかなぁ。。

 

親の仇のように固着しているので、接着剤が使われているのではと予想しましたが、緩み止めの赤いネジロックですね。カメラを手放すなら取り外しが出来ない(一般の方が)ものは付けて欲しくないですね。まぁ、ボタンとレリーズ軸のどちらも傷を付けることなく外せて良かったです。


ローライ35が戻って来たの巻

2023年09月15日 18時00分00秒 | ブログ

半年前にカメラ店様のご依頼で整備をし販売されたローライ35が戻って来ました。不具合の内容は「露出計の追針が不動」とのことです。ユニットを分離して点検してみると、追針ギヤを駆動するラックギヤが固着しています。ピンセットで押すと固着は解除されて以後は問題なく作動しています。あれ? なんで固着したの?。念のため追針の作動範囲を確認すると、右側一杯まで振れない。

どうも追針ギヤと駆動のラックギヤの歯が飛び越したようです。とすると歯が摩耗をしていることになります。何度か正規の噛み合わせで組んで作動させていると、突然噛み合わせが外れてしまいます。やはり歯車の摩耗のようです。

ということで、ストックの針に交換してテストをしましたが問題はありませんでした。

 

ついでにメーター窓の樹脂ガラスを交換しておきます。

 

 

このように正常に作動するようになりました。

 

 

ローライ35も奥が深い。このメーターユニットは本来、分解不可ですのでメーカーSSでも分解修理ではなく交換で対応されていたものでしょうね。現在はそれが出来ないので、現役当時より困難な修理をしなくてはなりません。困るのは、整備作業の時点では全く不具合が出ておらず、ユーザーさんが使用されてから症状が出ることです。限られた工数の中での作業ですので、不具合が無ければ手をつけるところではありません。緊急の修理でしたのでUPしました。

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