今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

いつの間にかPENがぁの巻

2023年03月28日 11時00分00秒 | ブログ

中古カメラ店様の作業が一段落(終わってない)したかと思いましたら、直接のお客様のPEN系が溜まっていました。ここでお願いなのですが、お送り頂く時は送り状に日付と内容(PEN-FTとか)を必ずお書き頂きたいのです。当方の都合で申し訳ないのですが、取り違いなどの事故を防止するため、着手までは段ボールは開梱しませんので中身が分からないと予定が立てずらいのです。また、現在能力オーバー気味のご依頼を頂いておりまして納期の予定も立てられない状況ですので、出来れば1箱に1台のご依頼として頂ければ大変助かります。よろしくお願いいたします。と、お話ししましたらご常連さんからカメラが4台来ています。ハミルトンの腕時計もですか・・

オートマチックのタイプですね。左は私所有の手巻きカーキです。私は薄いこの方が好き。

 

で、標準レンズ用のフードのリングネジが紛失しているので適当なネジを付けておいて。とのことです。ここはPENでもあまり使わないM1.4の皿ネジなんですね。M1.4はローライ35系で使いますけど皿はないです。頭が少し小さめですが、新品ストックの汎用ネジを長さをカットして使います。

締め付けリングよりネジが飛び出すとレンズ側を傷つけますのでツラより少し短く調整してネジロックを塗布して締め付けます。

 

トップカバーを開けてみました。この個体は未分解のようですね。しかし、Fは古いのですごいことに・・

 

まずは全て洗浄からです。きれいになったダイカスト本体にモルト貼り後、スプロケットから組み立てて行きます。特に不具合は無いようですので画像は飛ばしますよ。

 

シャッターユニットもチャージギヤ軸の摩耗も少ないです。ブレーキもこのままで良いかなぁ・・

 

完成したシャッターユニットを本体に搭載しました。ボールドウィンの方は、今は良い時代になりましたね。昔は模型屋さんを廻ってパーツ集めをしなければならなかったですが、今はIMONの通販で手に入ります。前照灯は作るのが手間なのでロストワックス製を買いました。ウイストジャパンって知らないメーカーですけどアダチなどの半値以下(330円)でしたのでチョイス。エコーモデルの朝顔カプラーも買いましたが、取付位置の問題でモデルワーゲン製の方が良さそうです。

フレネルレンズとプリズムの間に汚れがあるので分解して清掃しますが・・

 

 

汚れ以外にプリズム自体にも全体的な腐食と画像のように上部に黒い腐食があります。一般的に多い腐食は黒点が点々とあるものですので少し特殊な劣化の仕方です。

 

光学系を清掃して本体に取り付けます。

 

 

全反射ミラーとファインダーレンズは過去に拭かれていてキスがあります。今回は、プリズムがあれですので全反射ミラーも新品には交換せず再使用とします。

 

完成した底部。

 

 

トップカバーを付けます。

 

 

レンズを取付けてピント調整などをして完成です。

 

 

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画像が消えたPEN-Wの巻

2023年03月24日 14時30分00秒 | ブログ

ブログ用の画像は実際にUPしているおよそ3倍は撮影するのですが、ここのところ多忙で余裕が無かったためか撮った画像が紛失していました。まぁ、このPEN-W #1144XX(1965年2月製)は未分解機でもあり状態は良いので特に書くことも無かったのですが・・定番のシャッター不調とファインダーの曇り汚れをオーバーホールで改善したところ。あとはレンズの清掃をして取り付けます。

一般的にPEN-Wのレンズは後玉のバルサム切れや黄変が多いのですが、この個体は悪くはありませんね。清掃で問題は無いです。

 

この個体の場合、逆に前玉の方に曇りが出ています。前玉は2枚貼り合わせですが、バルサムがかなり黄ばんでいるのが分かりますね。幸い曇りはその後ろでしたので清掃をしておきました。

 

裏蓋のモルト貼り後、ピント調整をして完成です。中々良いコンデションのPEN-Wでした。

 

まったく時間的余裕はないのですけど、運転会に持って行く車両を作らないといけないのです。今は無き「つぼみ堂」のボールドウィン。20年以上前にジャンクで入手していて暇が出来たら直そうと思っていました。現代の製品とは比較になりませんが、私の子供の頃はカツミの縦型モーターのこれが標準です。集電部分はすべて作り直さなくてはなりませんね。モデルワーゲンの朝顔カプラーを入手しましたがスケールが違うと思います。ヘッドライトは欠品なので旋盤で挽くか、今頃麦球なんでないだろうし・・

 

 

 

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ローライフレックス・スタンダードの巻

2023年03月22日 20時30分00秒 | ブログ

手早く作業をしてUPする予定はなかったローライフレックス・スタンダードですが、古いカメラは意外に時間がかかるので簡単にUPしておきます。資料本によれば、スタンダードの発売は1932年(昭和7年)となっていますが、カメラの世界は恐ろしい。その時代のカメラを本気で使う人がいらっしゃるとは・・昭和7年て中島飛行機の複葉機、九〇式戦闘機と同じですよ。長期間使われていない状態で、レンズはかなり曇っていてシャッターは低速が不調などがあります。あとボディーの黒塗装の焼付塗料が劣化して艶消し状態でアルコールでも溶け出してしまいます。

スタンダードはシボ革を剥がさなくてもシャッターが取り出せるのでその点は楽です。ビュー、テイクとも曇り放題ですが、組立は基本ねじ込み式なので分解もストレスがありません。

 

シャッターは洗浄と注油をしていきます。

 

 

ビューレンズの清掃して行きます。

 

 

問題はシボ革です。なんでもマジックリンで拭いてしまったとのことでした。古い本革は水や洗剤は厳禁です。ブラッシングしか出来ません。これを何とかせよ。とのことですが、シボも無くなっちゃってますけど・・

 

ま、後でするとして。ミラーはきれいでした。当然交換されていますね。内部の清掃とスクリーンを洗浄して組み立てます。フェルトの接着が脱落していますので再接着しておきます。この時代は水準器が仕込まれていますが、これ実用になったのでしょうかね?

スクリーンを洗浄して組み立てますが、額縁に正確にはめ込まないでフードを取付けると割ってしまうので注意です。

 

シボ革は補修をしておきました。

 

 

終って見れば、ちゃんと使えるのがすごいです。簡単にUPでした。

 

 

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使い込まれたローライ35の巻

2023年03月19日 13時00分00秒 | ブログ

中古店様への修理ご依頼カメラです。シンガポールのローライ35 #3249XXX ですが、当初は沈胴の下降で来ましたが、全体のメンテナンスも実施することにします。画像のように、まったくフェルトのダンパーが利いていません。ここまでの個体は珍しいです。それだけ愛用されているのでしょう。

巻き戻しレバーは曲がっていませんが、軸を受けるプレートが曲がっているようで、レバーがトップカバーに接触寸前です。

 

使い込まれたことの証明でしょうね。スプール軸が摩耗して使い続けたために軸受けも拡大しています。ここまでの個体は珍しい。

 

軸受けを分離してみました。軸の先端がテーパ状に摩耗していて軸受けの中で遊ぶので軸受け内周に偏摩耗が起きています。本来は交換したいところですが、今回は清掃とグリス塗布としておきます。

 

過去に分解整備を受けていてファインダーも清掃されているようです。正規は透明テープですが、アセテートテープが貼られています。清掃をして透明テープを貼っておきます。

 

スプール軸上と受けも摩耗はありますが、下ほどではないです。清掃とグリス塗布をして組みます。

 

問題の沈胴フェルトですが、下に入る(入っていない個体もあり)調整用の紙片ですが、フェルトが紙片に接着されていました。普通は接着されていませんので初めて見ました。たぶん工場での作業だとは思いますが、フェルトと紙片を接着してしまうと、ちょうど内燃機関のピストンのピストンリングが固着した状態になると圧縮漏れを起こしますが、このカメラの場合もフェルトが自由に動けずチューブを保持できないのではと考えます。まぁ、紙片も厚いものを使ってやっと調整が取れましたので、フェルトの摩耗もあるのでしょう。

また問題です。シャッターユニットを分解して行くと・・パーツリストの⑥のシムが入っていませんでした。へぇ。入っていなくても問題なく動くんだぁ・・さて、どうするか?

 

では正規の構成で組み立てます。

 

 

あまり保管が良くなかった個体でシャッター羽根に錆が多く発生しています。

 

 

まぁ、何とか完成しました。(右) 手前は2台目のジャーマニーですが、状態はよろしくないです。

 

ジャーマニーのアイビースは成形がか細くて樹脂の劣化もあって割れて一部が無くなっています。シリアル№の彫刻がありません。

 

Rollei 35 の彫刻文字がジャーマニーにしては太いようで初期の物ではないかも知れません。このカバーは補修部品かな?

 

フィルムカウンター窓が黄ばんでいる個体がありますね。

 

 

沈胴は良好なので過去に調整されているようです。しかし、ヘリコイドグリスがスカスカです。

 

内部の地板が錆びついてネジが外れませんでした。

 

 

問題は、スプロケットの下部シャフト(スクリュー)が欠落していますので追加しておきます。

 

前玉を取り付けました。あとはピント調整をして距離リング、化粧リングを取付けて完成です。

 

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復刻ローライ35Tの巻

2023年03月17日 20時00分00秒 | ブログ

中古店様の商品の整備です。ローライ35T #6314XXXですがローライ35の生産が終了したのは1971年とのことで、その3年後の1974年に復刻されたモデルで仕様はローライ35と同じですが、クロームモデルでもカバーがアルミとなったり、組立に+ネジが多く使われたりしています。

アルミなのでトップカバーも簡単にへこんでいます。これは出来るだけ修正をしておきます。

 

微妙にシボ革も変わってシボが浅く材質も柔らかくなっています。この部分はオリジナルのローライ35の方が質感が良いです。

 

通常の整備をしますが、1つ大きな問題がありました。それは巻き上げをしていない状態でも沈胴ボタンを押してチューブを捻ると回転してしまうことです。原因は、巻き上げをしていない時に飛び出してチューブの回転を止めるロックレバーの先端部が欠けているためです。ローライ35使いでしたらレンズの収納は巻き上げをしてからは常識ですが、どこの世界にもセッカチや横着者は居るものです。

地板を分離しました。樹脂部品ですから力一杯にチューブを回せば壊れてしまうのは分かりますね。

 

ロックレバーを取り外しました。

 

 

良品のロックレバーを取り付けました。

 

 

ついでにスローガバナーのメンテナンスをしておきました。右から時計回りにレリーズを押すとシャッターが作動しています。

 

ファインダーはレンズを分離して清掃しました。

 

 

困ったこと2つ目。公差内の個体差かと思いますが、沈胴チューブをセットするスライダー工具がきつくて入りません。ローライ35ではこのようなことは起きたことはありません。フェルト部の内径が小さいのです。

 

沈胴チューブは別の方法で本体に取付けました。前カバーを取り付けて絞り、シャッターダイヤルを取り付けます。

 

レンズの清掃とヘリコイドグリスの交換をします。

 

 

完成したシャッターユニットを本体に取り付けます。

 

 

フィルムレールを取り付けます。

 

 

へこみを修正してメーター窓の再接着をしたトップカバーを取付けて完成。カメラを直す立場から言うと35Tの方が新しいので露出計やレンズなどの状態は比較的良好なので作業性は良いのですが、トップカバーやシボ革の材質変更など、質感という観点からは少し残念に思うところもあります。

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