セイコー・クロノ6139-6002の通称「ペプシ」のジャンクを入手してありましたので復活させたいと思います。2時位置の発停ボタンの防水が切れて水気が侵入して、文字板のシミと印刷剥離。インデックスと針のメッキが完全に劣化をした状態です。機械はほとんど損傷はないのですが、自動巻きの歯車の異常摩耗があって使えないと思います。画像は、インデックスを分離して文字板は洗浄でシミは目立たなくなりましたが、2時周辺の目盛りが消えています。インデックスはメッキを剥離して真鍮地としたところ。
針は悲惨な状態でしたので、簡易メッキをします。下地が荒れていますので、先に銅メッキをしたところ。この上に本当はロジウムメッキをしたいのですが、薬品が高価なため、ニッケルメッキで我慢します。
針とインデックスをニッケルメッキをして、針には蓄光塗料を、インデックスには白塗料を塗装してあります。
ケースに合わせてみたところ。まぁ、夜目遠目じゃん。程度の良い部品が入手できるまでこれで行きます。この6002は裏蓋から1975年製と思われますが、コンディションの良いものは少なくなっていて高価ですので、手が出ませんね。「ペプシ」の所以はベゼルの赤/青印刷からではないかと思います。ペプシコーラの様ということか? 海外でもペプシで通っているみたいです。
ケースも研磨のため分解しておきます。このモデルはインナーベゼルがリュウズにより回転する機構を備えていますので部品点数が多いです。
ケースの表面はヘアーライン、側面は鏡面磨きとしてあります。同時にボタンの傷も研磨で消しておきます。ベゼルのプレートも傷と退色が目立ちますが、イーベイでは、アフターパーツが販売されています。誰かヤフオクに出品してくれないかしら・・
同じ6139でもAとBのタイプがありますが、このモデルは6139Bが搭載されており、6139Aとは部品の互換が出来ない部分も多いです。では組立をします。
香箱や輪列をセットして受けを載せます。
ここで問題発生。組立の山を越して、ホッとして飛散防止の仕切りを外した直後、バネを飛ばしてしまいました。ちょっとした気の緩みがピンセット先のコントロールを失うのです。そのうち探すとして、0.2mmのステンレスバネ線で自作します。原寸にコピーをしたパーツリストに習って曲げていきます。しかし、モデルによって種類があるらしく、形状が違うようです。今回のモデルはピンセット部が曲がらずストレートになっていたはずです。下は6139Aのもの。
日の浦(表側)のカレンダー機構を残し組立完成。元気よく作動を始めました。しかし、自動巻き機構と30分計の針が欠品していまので、まだ問題は多いと思います。果たして完成できるのでしょうか?
筒カナ、筒車やカレンダー機構を組み立てています。中間車の軸受けに少しガタが出ていますが、まぁ問題はないでしょう。日車、曜車を取り付けます。
この個体は確かヤフオクで入手をしたと思いましたが、曜車の印刷から輸出用だったと分かりますね。イーベイ辺りで入手したものの、手に負えずに手放したというところでしょう。状態の悪い個体が出品されているのをよく見ますね。スピードタイマーは機能のバリエーションも多く、この個体では経過時間や残り時間を知ることのできる回転リングが付いていますので、リュウズにバネでテンションの掛かった駆動用の歯車が付いています。この歯車は水の侵入で錆びている個体が多く貴重です。防水のOリングは硬化をして作動不良となったと見えて、ナイフで削られています。なんてことを・・
画像とテキストが合わずにすみませんね。このブログはwin8に対応していないのだそうです。閉鎖するとはいえ、それはひどいでしょ。で、研磨したケースは回転リングや風防ガラスをベゼルで圧入してあります。機械は文字板受けリングの上に文字板を取り付けて針をつけています。30分計の針は手持ちから探したものをつけました。
完成した機械をケーシングしました。発停ボタンは内部のリングで留まっているだけの簡単に構造です。最後の難関。自動巻き機構ですが、マジックレバーと特に伝エ車の摩耗が激しいです。錆が出ていますので、裏蓋から水が浸入して錆が発生したのでしょう。錆が出ると急速に摩耗をします。
あぁ、マクロレンズが欲しい。伝エ車のアップです。錆て歯車部分が異常摩耗しているのが分かりますかねぇ? この状態では、組み込んでも巻き上げはしませんね。他の部品を探さなくっちゃ・・
取りあえず、自動巻き機構は考えるとして、表からの状態。リュウズを押し込んだ状態で回すとインナーリングがちゃんと回転しました。外側ベゼルの表示はタキシーメーターで、1kmを40秒掛かって走ったとすると、時速は青表示の40分の位置を見ると時速90kmと分かります。
自動巻きの伝エ車には種類があるので、手持ちから適合する部品をマジックレバーとセットで交換して組み立てました。最後に回転錘を付けます。
発停ボタンのOリングはわずかに残骸がこびりついていますね。純正のOリングはすでに出ませんので、代替品のOリングに交換をして、シリコングリスを塗布して取り付けます。
70年代は僕らが青春だった良い時代です。モータースポーツの発展と共に、ファッションとしてもクロノグラフが流行っていましたね。しかし、私はレースの参戦にお金が掛かっていて、サーキットにこのようなタイプの腕時計をして行くことはできませんでした。このペプシモデルは多くが輸出に向けられたことで、現在でも海外での人気は高く、イーベイなどにも多数の出品を見ることが出来ますが、そこは若者向けの消耗品という性格から、状態の良いものは少なく、多くは今回の個体と同様なコンディションが多いと思います。自動巻きのクロノグラフとしては世界初の製品という話もありますね。ベルトはラグ部の形状が特殊のため、ステンレスの純正ベルトがベストですが、現在では、レプリカも流通しています。その他、文字板などの部品が世界中でリプロされているのも人気を物語ります。ペプシって思い出せないのですが、こんな赤/青の王冠でしたでしょうか?
http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/