今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

しばらく二眼レフの巻

2022年01月28日 14時00分00秒 | ブログ

すみません、納期のある作業で時間の余裕が無いのでUPは少ないです。MPPマイクロコードという二眼レフです。シャッター不調の他色々問題があります。

 

巻き止め解除ボタンの動きが渋いとのご指摘。ベビーローライと同じ逆転防止機構になっていますね。洗浄とグリス塗布をしますが、問題は他にあります。

 

カウンター板下のロックギヤの解除が稀に動きが悪い。コイルバネの劣化もありますが、ローライフレックスに比べれば工作精度の問題もありそうです。

 

シャッターはメンテナンスをしましたがセルフタイマーの作動が不安定。しかし、どうもテンションバネの掛かりがトルクの伝達に影響しているような動ぎです。

 

チャージのリンケージストロークが足りない。リンケージの摩耗変形なのか? 半田付けで下駄を履かせておきます。

 

ローライフレックス3.5Eですが、裏蓋のロックピンが折れて無くなっています。中に残ったネジを取り除かなくてはなりません。下穴をあけて拡大して行きます。

 

ダイカスト部分に使われているネジはピッチが通常のものより荒くM1.7 X 0.5 (一般ピッチ0.35) 特殊ピッチのタップを所有していません。しかし、裏技でネジ山を再生しました。

 

純正なのか社外なのか知りませんが、新しいロックピンをねじ込んで完成。

 

 

このモデルはローライフレックスとローライコードの中間的なモデルのローライフレックスTですが、ローライキンが付いていますのでタイプ1でしょうか。ライトバリュー方式と絞り・スピード表示かベルト式なので破損をすると修正が困難なので分解には注意が必要です。表示窓のセル板は本当は何の材質でしょうね。材質硬度は高いのですが経時変化で茶色に変色しています。これも味ですが交換ご希望でしたので同厚み(約0.3mm)の透明板で入れ替えておきました。

巻上げの感触がギグシャクでグリス切れの症状ですので分解をします。ローライフレックス2.8とは違った設計ですね。レバープレッシャーにはスプリングが採用されています。またクラッチも全く異なる方式です。

 

クランク軸の潤滑もカラカラですので分解清掃でグリス交換をしました。

 

 

 

 

 

 

 


PEN-S+PEN-Wの巻

2022年01月23日 21時30分00秒 | ブログ

PEN兄弟をやります。まずはPEN-S3.5 #1851XX はたぶん最後期の生産ですね。汚れていますが使用は少ない個体と見ました。

 

2台共ですが、シャッターがゆっくり開きます。一般的には「粘り」と表現しますが、油で粘っているわけではありません。

 

最後期にコパルが仕様を変更しまして、それが面倒なことになっています。まったく余計なことを・・

 

まぁ、組むしかありません。すべて超音波洗浄をしてから組み立てて行きます。スローガバナーは完全に固まっていました。

 

この頃は樹脂部品に置き換わっています。駒数ギヤは組立時に強く締め込まれているため、ネジ山が半分壊れているのが普通です。再組立をするとネジ〇カになる確率が高いので、分解には注意が必要です。

 

完成したシャッターユニットを組み込みます。

 

 

生産が新しいためか持病の後玉曇りはありませんが、前玉関係が汚れています。

 

 

ヘリコイドグリスを塗布してレンズを組み立てました。最後にピント調整をします。次はPEN-Wです。

 

かなりの期間放置されていたと見えて内部は汚れています。すべて分解洗浄をしてから組み立てます。

 

裏蓋のモルトが悪さをしてダイカストまで腐食させています。これは削るしかありません。

 

その原因のモルトの状態。最近の個体は益々状態が悪くなって、メカのオーバーホールというよりプチレストアのような作業となって来ました。

 

この個体は過去に修理歴の記入があり、使われている接着剤からメーカー系のサービスと思われますが、とにかく接着剤の量が多過ぎ。必要にして最小限で良いし美観も考えた作業をするべきです。しかも、ネジが2本ついていないし・・

2枚の対物レンズはロットが違います。推理すると、レンズを取り外す時に1枚割ってしまい、補修部品から新しいレンズを使って接着した。でしょうね。左が補修部品。四角の墨塗りが無いしエポキシ接着をされた形跡もない。

下手な修理をリカバリーするのは手間が掛かります。清掃とレンズの接着が終りました。欠品のネジも追加してあります。

 

本体は底部の腐食部分は研磨で洗浄してあります。

 

 

シャッターユニットも超音波洗浄のうえ組み立てて行きます。

 

 

レンズは過去の分解でかなり乱暴に清掃されていまして後玉に目立つ傷がありました。どうやったら傷を付けるのかなぁ? バルサムの黄変でレンズがクリアーではありません。

 

少し駆け足で2台オーバーホールをしました。最近はPENの動きが活発でないように感じます。ペンファンの皆さん頑張ってください。

 

 

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後回しのローライ35系の巻

2022年01月19日 19時50分00秒 | ブログ

ご常連さんのローライ35系は去年に来ていたのですけど、忙しいので甘えて後回しになっていましたが、二年越しなのでやらなくてはいけませんね。まず、ローライ35ジャーマニー #30943XXですが、シリアルナンバーについては本などで紹介されているのはアテにならないようですね。私の手元に来る個体のシリアルを見て、ちょっと合わないなぁ? と感じていました。一応ギリギリ初期型ということのようです。ファインダー角に凹みの変形があって、かなり汚れています。最近は使用されていないとのことでした。

トップカバーを開けてみると・・巻上げギヤ列は改良後のタイプで、なるほど初期型の後期です。ファインダー部分が激しく錆びています。お尋ねすると特に雨の中では使用されていないそうです。20年間所有されているそうですから、それ以前から錆びていたのでしょう。

問題は、取付けネジが全て錆びていて、この下の地板も緩みませんでした。何とか緩めましたが・・地板の錆はすべて落としておきます。シャッターは低速不調ですのでメンテナンスをしておきます。

 

露出計の回路も腐食で作動しませんでしたので、やり直して復活しています。

 

 

トップカバーを洗浄していましたが、メーター窓が再接着されていまして、接着剤がはみ出しています。これはきれいに研磨してから組みます。

 

このシャッターは外気と通じる開放型ですので必ずレンズにチリが付着します。すべて分解清掃をして組みます。

 

シャッターユニット完成。前玉の清掃とグリス塗布で組み立てます。

 

 

前回も書きましたが、ここのネジが緩んでいました。ローライはなぜかM1.4ネジを多用しますが、この部分はストレスが掛かるのでM1.7にすべきだと思います。ネジロックを塗布してねじ込みます。

 

沈胴のスムーズさを調整しておきます。

 

 

この樹脂製のシューアダプターは純正品でしょうか? 私のところに来る個体でシューレールが変形している個体が多くありますが、変形防止の意味でもこのアダプターは有用ですね。

 

付属のフィルターを取付けて完成。

 

 

次はローライ35Sですがワニ革が凄みがありますね。

 

 

ピントリングを小刻みに回すと「カタカタッ」と異音がします。これはアウター側のヘリコイドグリスが抜けているのです。

 

シンガポール製 #23268XX ですが、カバーの材質は真鍮製です。これは良いですね。後のアルミ製ではペラペラで高級感がありませんし真鍮剥離の楽しみもありません。では、この後は何かあればUPとします。

 

こちらの個体も沈胴の動きが少し緩いので調整をしますが、ローライ35Sは直進ヘリコイドのためローライ35のようには行きません。倍ぐらいの工数が掛かります。チューブ側にフランジが付いていますので、取り外さなければ本体からチューブを抜くことが出来ません。

途中は飛ばして組立完成。

 

 

3台目はローライB35です。メカの状態は良好と思われますが、レンズ、ファインダーの光学系に汚れがありますのでメンテナンスをします。

 

露出計ユニットはトップカバー側に付いています。作動は良好です。

 

 

ファインダーの接眼レンズを分離して全体を清掃します。

 

 

シャッターユニットの構成は基本的にローライ35と同じです。

 

 

羽根関係はローライ35のものを流用していますね。絞りがダイレクトになっているので、絞り制御のピニオン取出しがありません。ブレードリングに錆が出ています。トリオターレンズの後玉にカビがありますので清掃をしておきます。

 

完成したシャッターユニットを組み込みます。

 

 

B35のトップカバー留めネジの右側は左より長くなっていますが、殆どねじ山が磨滅して留まりません。ここでもM1.4の弊害ですよ。

 

と言うことでマニアさん定番の3台でした。

 

 

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沈胴レールが無い? ローライ35の巻

2022年01月16日 08時00分00秒 | ブログ

珍しいクセナー40mm f3.5付のローライ35ですが、ヘリコイド固着や沈胴緩いなどでO/Hに来ています。点検で沈胴部の首振りが大き過ぎる。なんで? あら~、下のレールが欠損していますよ。オーナーさんも気が付かなかったのかな?

 

裏側には2個の留めネジが残っていましたので、使用中にネジが緩んで紛失したものと思います。乾燥で爪が割れて瞬間で貼って作業を頑張っています。(^^;

 

パーツリストではこの「167」なりますね。

 

 

沈胴に緩みが出ている個体の多くはフェルト下に調整用の紙が入っています。微調整用のおまけがあるのがセオリーです。しかし、フェルトの緩みが早く沈胴が首を振るとレールに負担が掛かってネジが緩み、最悪、今回のように脱落してしまった。と言うことではないかと推理します。フェルトの調整と中古のレールを探して取付けておきます。

ヘリコイドの固着ですが、大体見当はついていました。の部分にネジがありますね。

 

 

前玉を外してみると・・沈胴部を操作するので、この3本(1本はストッパー兼)のネジにはストレスが掛かっていますので緩みやすいのです。1本が脱落して稀に挟まっていたのでピントリングが固着したということ。ネジロックを塗布してねじ込んでおきます。

 

シャッターとレンズはすべて分解洗浄の上組み立てて行きます。

 

 

完成したユニットを本体に取り付けます。

 

 

フィルムカウンターの動きを確認するとカウンターが進まない現象有り。このカメラは裏蓋側にカウンターがあるので、本体側との連動で不具合の原因がさまざまあります。この個体は過去に分解を受けていて、ピンセット先のスプリングリングが欠落しています。これが無いと正常に動きません。

B+Wのフィルターを取付けて。

 

 

これでリフレッシュ完成です。

 

 

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バルダ・スーパーバルダックスのメンテナンスの巻

2022年01月15日 15時30分00秒 | ブログ

レチナとお聞きしていましたがバルダ・スーパーバルダックスという6X6判の蛇腹カメラでした。30年ぐらい物置に放置されていたようなホコリまみれでシャッターもスムーズに出て来ません。

 

大口径のレンズはRadionar 2.9が付いていて曇りはありませんがコーティングが劣化しています。

 

シャッターはコンパーと思いきや、プロンターの大型#0番SVSとなっていて低速不調ですのでメンテナンスをして行きます。

 

立派なレンジファインダーですが、レンズ・ミラーはホコリまみれで見えません。

 

 

窓ガラスが剥離しているので再接着をしておきます。

 

 

レンズとミラーを清掃しました。驚いたのはハーフミラーも含めてメッキに全く劣化が無いことです。

 

しかし、二重像が縦横共大きく外れています。横ズレは赤い緩み止めのネジで調整しますが、縦ズレはハーフミラーの留めネジで調整します。

 

トップカバーを締めて。これはただの絞り深度ダイヤルですが、ウェーブワッシャーだけではクルクルと回ってしまいます。たぶん、調整ワッシャーが抜かれているのでしょう。追加して組みます。シャッターボタンはちゃんとトップ面にあります。巻上げのインジケーター付き。

正しく6X6です。大きな後玉は比較的きれいですので清掃をしておきます。フィルムの装填は特異なホルダーにセットする方法。

 

このカメラの特徴。自動巻き止めを装備しています。巻上げの方法は反時計回りに止まるまで回してから時計回りに巻きます。中央のダイヤル留めネジはオリジナルではないようです。

 

吊環が変形していますので修正をします。

 

 

窓ガラスも接着してきれいになっています。

 

 

6X6の蛇腹カメラとしてはコンパクトとのことですが、私にはやはり大きいです。

 

 

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