日本列島は全国的に大寒波が襲っていて寒いですね。日陰の道路に残った雪が凍結して、ノーマルタイヤの私としては怖い思いをしています。早く春が来ないかなぁ・・で、大阪のご常連さんのカメラが続きますが、おフランス製がお好きですね。FOCAというメーカーはフランスのルヴァロア光学精機社という会社が製造したカメラとのことで、固定レンズのSPORT(スポール?)には多種のモデルが存在します。このⅡCには距離計が装備されていますね。しかし、現状は二重像は全く見えず、シャッターも固着していてレンズも曇るジャンク状態です。
本体は樹脂製ですが内部は意外にきれいですよ。カメラを振ると内部から「カラカラ」と音がします。
サイドフレームを外してみましたら、ミラーとレンズとカメラ虫が出て来ましたよ。距離計の部品かな。
ミラーはここに付くのでした。これは、露出計の針をファインダー内でも確認するためのミラーです。
レンズは距離計の可動レンズです。接着しました。
問題は、この部分に接着されている筈のレンズがありません。
おまけにフレームがくちゃくちゃに変形しています。僅かな変形でも二重像合致に大きく影響するのに・・
古いジャンク箱の中からレンズを探して来ました。接着をして本体に組み込みます。
こちら側のネジ穴が解放になっていて、ミラーの角度を調整するようになっています。
こちらはメーター指針像を反射するミラー。取り付けてファインダーからの見えを調整します。同じようにファインダー内から絞り値も表示されますね。調整はまだです。シャッターをO/Hして、レンズの無限を調整してからになります。
修理の手は入っていないですね。シャッター羽根の張り付き。スローガバナーの固着などで、全く不動の状態。
スローガバナーを外して、強制的に羽根の開閉を見ます。
分解して各部の洗浄をします。スローガバナーとセルフタイマーも超音波洗浄のうえ注油をしておきます。
シャッターは調子良く復活しています。1/500装備ですからね。
レンズ・ヘリコイド部を取り付けます。
なんか露出メーターが曲がっていますね。白針に赤針を合わせる追針式。連動セレン光電池式露出計ってことです。レンズもきれいになりました。NEOPLAR 4.5cm f2.8は定番のレンズ。製造は1962~1964年ぐらいでしょうか? 良く知りません。
距離計の調整は難儀を極めた。そもそも、ヨレヨレに変形したミラーアームに加えてネジによる微調整機構などはなく、しかも、トップカバーを付けた状態では調整が出来ないのにファインダーの接眼レンズはトップカバー側に付いているといった具合。製造時に調整をした後は調整しないということでしょうね。で、トップカバーのファインダー窓が曇っているのでレンズグリーナーで清掃をしても、なんか曇ってくる。あ~大失敗。この窓はガラス製ではなく透明樹脂製でした。おまけに枠の艶消し黒塗装が弱く、アルコールで侵されてしまうという始末。本来は分解不可ですが、分解をして再塗装と窓の清掃をするしかありません。手を出さなければ良かったと思っても後の祭り。
こんな感じでリカバリーでしょうか?
駒数板とホルダー兼送りバネのたった2つの部品というシンプルな構成のフィルムカウンター。これ以上無いカラクリを考えるどこの国の技術者にも頭が下がりますね。
巻上げレバーのピンによって駒数板が送られていきます。
トップカバーを付けました。三角錐型の巻き戻しレバーを起こして引き上げると、巻き戻しが出来ます。ちゃんとフィルム送りの表示もあります。
なんとかファインダーの中央部分に二重像が出るようにしています。
上段には露出メーターが見えます。
下段には絞り値が見えます。意外に凝った機構ですね。
前面には誇らしげにMADE IN FRANCEのバッチが付いていますね。「シェー、ミーが絵の勉強でおフランスに留学していた時は、このカメラで良くセーヌ川を撮影したものざんす」とイヤミが言ってます。最近は「おそ松さん」とかが流行っているようですけど、小学生の頃は少年サンデー連載のおそ松くんが好きで、よくキャラクター画を書いていました。確か、ニセの画家の巻では、ベレー帽をかぶっていたんですね。こんな感じだったかな?
怪我の功名でファインダーはスッキリきれいですね。因みに距離計窓はガラス製で基線長は45mmでした。
このカメラを最初に見ると、あまりの文化の違いを感じて戸惑うのですが、いじっている間に何故か馴染んでくるという不思議なデザインのカメラですね。シリーズも多いですから、オーナーさんのコレクションが増えましたね。
http://www.tomys800.sakura.ne.jp/