今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

JUNGHANS(ユンハンス)置時計の巻

2018年01月30日 21時25分47秒 | ブログ

時計は時計でもユンハンスの置時計ですけどね。カラクリとしてはおもしろいと思いますが、私は精密な腕時計の世界が好きですね。ゼンマイを巻いても動かないとのことでしたが、テンプにトルクが掛かっていない状態でした。画像は復帰して動きだしたテンプ。大きなテンワで腕時計のような姿勢差は気にしなくて良いわけです。

3つある香箱の中央が時計駆動用で、中央下から上に輪列が置かれています。

 

 

香箱から二番車、三番車とトルクを確認していくと突然テンプが動き出しました。どうも、宅配便での運送途中に衝撃でも受けて噛み込んだ状態になっていたようです。このぐらいのサイズですと、ルーペを使わずに歯車の状態や動きを確認できるので楽だとは言えますね。

ガンギ車とアンクル部分。

 

 

15分ごとと時報にチャイムが鳴るので針付けはどこでも良いわけではありません。

 

腕時計とは工具が全然違ってくるのですね。懐かしいゼンマイのカギ。昔、おじいちゃんの家に有った古い柱時計を短期間使ったことがありましたが、カチカチと音が大きく寝られないので使うのを止めました。あの時計、まだ物置にあるはずです。

長針は時刻合わせで指で回すので軸と角度がズレないように角型になっていて嵌め合う位置が決まっています。これから1週間程度を掛けて精度を調整していきます。

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FOCA SPORT ⅡCはジャンク状態の巻

2018年01月25日 19時31分58秒 | ブログ

日本列島は全国的に大寒波が襲っていて寒いですね。日陰の道路に残った雪が凍結して、ノーマルタイヤの私としては怖い思いをしています。早く春が来ないかなぁ・・で、大阪のご常連さんのカメラが続きますが、おフランス製がお好きですね。FOCAというメーカーはフランスのルヴァロア光学精機社という会社が製造したカメラとのことで、固定レンズのSPORT(スポール?)には多種のモデルが存在します。このⅡCには距離計が装備されていますね。しかし、現状は二重像は全く見えず、シャッターも固着していてレンズも曇るジャンク状態です。

本体は樹脂製ですが内部は意外にきれいですよ。カメラを振ると内部から「カラカラ」と音がします。

 

サイドフレームを外してみましたら、ミラーとレンズとカメラ虫が出て来ましたよ。距離計の部品かな。

 

ミラーはここに付くのでした。これは、露出計の針をファインダー内でも確認するためのミラーです。

 

レンズは距離計の可動レンズです。接着しました。

 

 

問題は、この部分に接着されている筈のレンズがありません。

 

 

おまけにフレームがくちゃくちゃに変形しています。僅かな変形でも二重像合致に大きく影響するのに・・

 

古いジャンク箱の中からレンズを探して来ました。接着をして本体に組み込みます。

 

こちら側のネジ穴が解放になっていて、ミラーの角度を調整するようになっています。

 

こちらはメーター指針像を反射するミラー。取り付けてファインダーからの見えを調整します。同じようにファインダー内から絞り値も表示されますね。調整はまだです。シャッターをO/Hして、レンズの無限を調整してからになります。

 

修理の手は入っていないですね。シャッター羽根の張り付き。スローガバナーの固着などで、全く不動の状態。

 

スローガバナーを外して、強制的に羽根の開閉を見ます。

 

 

分解して各部の洗浄をします。スローガバナーとセルフタイマーも超音波洗浄のうえ注油をしておきます。

 

シャッターは調子良く復活しています。1/500装備ですからね。

 

 

レンズ・ヘリコイド部を取り付けます。

 

 

なんか露出メーターが曲がっていますね。白針に赤針を合わせる追針式。連動セレン光電池式露出計ってことです。レンズもきれいになりました。NEOPLAR 4.5cm f2.8は定番のレンズ。製造は1962~1964年ぐらいでしょうか? 良く知りません。

 

距離計の調整は難儀を極めた。そもそも、ヨレヨレに変形したミラーアームに加えてネジによる微調整機構などはなく、しかも、トップカバーを付けた状態では調整が出来ないのにファインダーの接眼レンズはトップカバー側に付いているといった具合。製造時に調整をした後は調整しないということでしょうね。で、トップカバーのファインダー窓が曇っているのでレンズグリーナーで清掃をしても、なんか曇ってくる。あ~大失敗。この窓はガラス製ではなく透明樹脂製でした。おまけに枠の艶消し黒塗装が弱く、アルコールで侵されてしまうという始末。本来は分解不可ですが、分解をして再塗装と窓の清掃をするしかありません。手を出さなければ良かったと思っても後の祭り。

こんな感じでリカバリーでしょうか?

 

 

駒数板とホルダー兼送りバネのたった2つの部品というシンプルな構成のフィルムカウンター。これ以上無いカラクリを考えるどこの国の技術者にも頭が下がりますね。

 

巻上げレバーのピンによって駒数板が送られていきます。

 

 

トップカバーを付けました。三角錐型の巻き戻しレバーを起こして引き上げると、巻き戻しが出来ます。ちゃんとフィルム送りの表示もあります。

 

なんとかファインダーの中央部分に二重像が出るようにしています。

 

 

上段には露出メーターが見えます。

 

 

下段には絞り値が見えます。意外に凝った機構ですね。

 

 

前面には誇らしげにMADE IN FRANCEのバッチが付いていますね。「シェー、ミーが絵の勉強でおフランスに留学していた時は、このカメラで良くセーヌ川を撮影したものざんす」とイヤミが言ってます。最近は「おそ松さん」とかが流行っているようですけど、小学生の頃は少年サンデー連載のおそ松くんが好きで、よくキャラクター画を書いていました。確か、ニセの画家の巻では、ベレー帽をかぶっていたんですね。こんな感じだったかな?

怪我の功名でファインダーはスッキリきれいですね。因みに距離計窓はガラス製で基線長は45mmでした。

 

 

このカメラを最初に見ると、あまりの文化の違いを感じて戸惑うのですが、いじっている間に何故か馴染んでくるという不思議なデザインのカメラですね。シリーズも多いですから、オーナーさんのコレクションが増えましたね。

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ミノルタ・repo-Sを仕上げるの巻(その2)

2018年01月22日 21時24分35秒 | ブログ

2台目です。外観は、そこそこきれいですがシャッターがいけません。シャッター羽根が猫目で止まっています。

 

オーナーさんからは、裏蓋の閉まり位置が出っ張っている。とのご指摘がありました。確かに少し出ているようですが、特にラッチの調整機構は無いんですよね。

 

この個体もファインダー枠が右に傾いていますね。持病なのかな?

 

 

では作業と思ったのですが、東京地方も5cmの積雪予報が出ていましたが、あらら、とっくに超えて大雪になって来ましたよ。運動不足ですので、雪かきをして来ます。

 

雪かきをしても、作業をしている間にまた積もってくるのでやめました。まずシャッターからやりますが、シャッターダイヤルも固着していて動きませんね。

 

過去に分解されていますね。3時位置のネジは本来もっと内部に使われているネジです。

 

絞り羽根が解放から絞られませんね。張り付きの可能性もありますので、溶剤を滴下しましたが反応がありません。分解しなければ・・

 

絞りまでたどり着くには、シャッターをすべて分解しなければなりません。一番最初に組み込む部分なので。

 

油の付着はありましたが、特に損傷はないようです。すべて洗浄をして組み立てますが正確に組むのは非常に難しい。

 

シャッター羽根も油が回っていましたね。

 

 

洗浄をしてから組み立てますが、6時位置のYブレードを挟んで2枚の羽根を組みます。

 

スローガバナーも洗浄注油で組み立てます。

 

 

シャッタースピードダイヤルのクリック感を出すバネが無理をしたのか伸びていてクリック感が弱いです。熱処理されていますので、矯正すると折れますから予備機から調達します。最初の間違いネジは右側の位置が正規。

 

慣れないと組みにくいシャッターユニットですね。

 

 

裏蓋を閉める時がスムーズでない原因は、通常はラッチは斜めにカットされているのが、上部のカットされていない部分が露出するので、裏蓋のフックピンが衝突するのです。

 

ではラッチに問題があるかと予備機と比較しても全く同じ。プレスだから当然ですね。根本的な問題は、裏蓋にカシメめられているフックピンでした。左右を良く見てください。左の予備機に比べてフックピンの外径が大きいのが分かります。予備機の外径はφ1.68mmで、2号機はφ2.08mmでした。それによって2号機の方はラッチの噛み込みが足りない状態です。

巻上げ機構を組み立てて裏蓋のモルトを貼りますが、どの個体もシボ革が剥離していますね。接着補修をしておきます。

 

完成した本体にシャッターユニットを組み込みます。

 

 

露出メーターの取付。透明板が曇っていますね。研磨をしておきます。

 

 

ファインダーの清掃とレンズの接着。

 

 

レリーズボタンの調整はちょっと厄介。シャッターの切れるタイミングの他に、底部の巻き止めとのタイミングを同調させる必要があります。調整後、カバーを接着します。

 

ストロボの発光テストをします。

 

 

内部はきれいですね。

 

 

1号機と2号機が完成しました。2台も作ってどうするんでしょ?

 

 

第18回の東京オリンピックには、僅かに間に合わなかったんですね。今度の第32回東京オリンピックには間に合ったということです。

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ミノルタ・repo-Sを仕上げるの巻

2018年01月20日 20時39分55秒 | ブログ

大阪のご常連さんは熱心です。ミノルタのレポ-Sが来ていますが、3台のうち2台を仕上げよ。とのことです。レポ-Sの発売は1964年11月とのことですから、東京オリンピックが終わった翌月なんですね。しばらくオリンパスXAに慣れていたので急に60年代に呼び戻された感じです。

フルマニュアル式でシャッターはSEIKO B 1/8~1/500まである高級機ですね。シャッタースピードを決めて絞りは露出メーターの指針にメータ針を合わせる追伸式。しかし、残念ながらメーターの感度が極端に落ちています。

 

右がこの個体のメーター。左は3号機(予備機)から取り出したメーターです。なんと予備機の方が製造は古いのです。セレンは個体差や保管環境によって寿命に差があるということですね。今回は予備機のものを使います。

 

下がこの個体のトップカバーですが、角が当たっていて変形が有ります。修正をしておきます。

 

60年代のカメラはモルトやシボ革の接着剤が完全に風化をしていますね。

 

 

簡単にシボ革が剥がれてしまいます。古い接着剤をすべて取り除いておきます。

 

 

シャッターは過去に分解修理を受けています。これからオーバーホールをして行きます。

 

前板ヘリコイド部とシャッターユニットを分離します。

 

 

ヘリコイドグリスはカラカラの状態です。

 

 

PENとは設計思想が全く異なっていて、よく言えばハーフだからと言う簡略が無く、上級カメラと同じ手法で設計されているかな。とにかく、コントロール用のリングが多いこと。

 

シャッターユニットは、作動に特に不具合が無い状態ですが、部品の洗浄注油で組み直していきます。

 

リング、リング・・・

 

 

新しいモルトを貼って・・

 

 

完成したシャッターユニットを組み込みます。

 

 

底部のチャージ・リンケージを取り付けます。

 

 

予め形状修正と洗浄をしてセレンユニットを組み込んだトップカバーをセットします。

 

 ファインダーを取り付けるとフレーム枠が右に傾く。ダイカストのネジ部の水平が出ていないようです。厚紙で補正をしておきます。

 

アンダーカバーにシンクロソケットを取り付ける構造なので、半田付けによる結線ではなく、バネ板による接触としています。

 

1964年の東京オリンピックが終わった直後に生産されたモデルですね。半世紀の時間が流れているんですね。右のケースは東京オリンピックで発行された記念の1000円+100円硬貨セットと左は大東京祭の記念バッチです。このバッチは小学校で斡旋されたもので、帽子に付けていたもの。では、2台目に掛かりますよ。


オリンパス・XAのメンテナンスの巻

2018年01月18日 20時03分27秒 | ブログ

XAが続きます。後ろは前回不動から復活させたXA #13743XXですが、手前のきれいなXA #42908XXと、随分きれいな個体です。製造もだいぶ後のようですね。この個体は、ハードオフでジャンク扱いを入手されたそうです。並べると、うちの個体がやけにボロッちく見えます。これは掘り出し物でしたね。

作動には特に問題はなく、レンズのカビ、ファインダー汚れ、モルト交換をします。トップカバーを開けて見ると・・巻き戻し軸回りが樹脂製に変わっています。裏蓋のカギ板を規制するバネの構造も変更されています。そう初期のバネはセットしても外れやすく、組みにくいと思ったのでした。ファインダーのダスト紙に空いているはずの距離計調整用の穴も省略されています。

シャッター板も変更されていますね。前回の個体は小さなバネが組みにくいと思いましたが、組立の簡略化による変更のようです。

 

Cdsのマスクと絞りレバーとの接続部分も部品が省略されています。

 

 

レンズの後玉を清掃して組み立てます。

 

 

絞りピンとカムとの位置に注意しなから組み立てます。

 

 

ファインダーを清掃してモルトを交換します。

 

 

裏蓋の蝶番部分のモルトは裏蓋側に厚いもの1か所に省略されています。(前回の画像参照)

 

アンダーカバーのモルトは省略されています。必要ないと判断されたのでしょうかね。

 

一応貼っておきました。

 

 

電池をセットした時の質量は後ろ#13743XXは230gで手前#42908XXは222gでした。8gの軽量化ですね。工場では常に組立工数や部品点数の低減が行われているわけですね。私も立川のハードオフを回ってみようかな?

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