今日は通院日で新宿に行きましたが、蒸し暑さと人混みの多さに閉口しました。特に夏の旅行シーズンだからでしょうか外国人観光客の数が半端ないですね。私の苦手な空間なので、カメラ店回りは諦めて早々に帰宅しました。
で、うちでは珍しい時計。シチズンのセンターセコンドの修理依頼を頂きました。戦前戦中までのスモールセコンドからセンターセコンド(本中三針)に移行するまでの過渡期に製造された、スモールセコンドの機械を改造して秒針をセンターに配置したという機械。シリーズ中では後期のモデル(15石)と思いますが1950年代後半の製品でしょうか? 外観は文字盤に劣化が見えますが、ケースは非常にきれいです。この頃はセイコーやオリエントでも見かける、ステンレスケースのトップ面のみに金メッキを施したコンビケース。「止まり」症状となるようです。データからも油切れの症状のようです。
伝え車を設けて秒針をセンターに持って来る「出歯車」構造のため、中央の受けが出っ張っています。しかし、機械は非常にきれい、ということは、定期的にメンテナンスを受けていない個体のようです。
古い手巻き時計に多いのですが、機械留めのネジの頭がスリ割りから折れています。ゼンマイを巻くと機械を固定しているネジにストレスが掛かるからです。
天輪はチラネジ付で耐震装置はないですね。
がっちりとした地板ですね。あまり分解歴のないきれいな機械です。
すべて分解、超音波洗浄のうえ組み立てて行きます。この頃の香箱はフタの一部がゼンマイが見えるように加工されていますね。この部分と香箱側面にあるポンチマークと合わせます。
途中画像を撮り忘れました。過去の分解歴は少ないと見えますが、この頃の加工精度の問題か、ガンギ車の受けはネジ穴のガタ量内でアンクルとの当たりが変わってしまうので、調整をしながら組む必要がありました。位置決めピンが2本もあるのにね。
画像では見にくいのですが、テンプの平受石の中心付近に欠けがあります。天真を無理に締め込んだ?
テンプの調整などは一切していない組んだままの状態。
ロングランテスト中。快調に作動しています。
テストOKですのでケーシングをしました。機械留めのネジは、セイコー・スーパーやマーベルのネジでは適合せず、ジャンクを探してオリジナルのセンターセコンドから調達しました。ちょっと錆びてるけど・・
右からオリエントスター、センターセコンド、マーベルです。オリエントスターのケースはトップ面のみ金メッキ。センターセコンドよりマーベルの方がハマグリ型が強いですね。