今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

CITIZEN センターセコンドが来ましたよの巻

2017年08月26日 21時41分11秒 | ブログ

今日は通院日で新宿に行きましたが、蒸し暑さと人混みの多さに閉口しました。特に夏の旅行シーズンだからでしょうか外国人観光客の数が半端ないですね。私の苦手な空間なので、カメラ店回りは諦めて早々に帰宅しました。

で、うちでは珍しい時計。シチズンのセンターセコンドの修理依頼を頂きました。戦前戦中までのスモールセコンドからセンターセコンド(本中三針)に移行するまでの過渡期に製造された、スモールセコンドの機械を改造して秒針をセンターに配置したという機械。シリーズ中では後期のモデル(15石)と思いますが1950年代後半の製品でしょうか? 外観は文字盤に劣化が見えますが、ケースは非常にきれいです。この頃はセイコーやオリエントでも見かける、ステンレスケースのトップ面のみに金メッキを施したコンビケース。「止まり」症状となるようです。データからも油切れの症状のようです。

伝え車を設けて秒針をセンターに持って来る「出歯車」構造のため、中央の受けが出っ張っています。しかし、機械は非常にきれい、ということは、定期的にメンテナンスを受けていない個体のようです。

 

古い手巻き時計に多いのですが、機械留めのネジの頭がスリ割りから折れています。ゼンマイを巻くと機械を固定しているネジにストレスが掛かるからです。

 

天輪はチラネジ付で耐震装置はないですね。

 

 

がっちりとした地板ですね。あまり分解歴のないきれいな機械です。

 

 

すべて分解、超音波洗浄のうえ組み立てて行きます。この頃の香箱はフタの一部がゼンマイが見えるように加工されていますね。この部分と香箱側面にあるポンチマークと合わせます。

 

途中画像を撮り忘れました。過去の分解歴は少ないと見えますが、この頃の加工精度の問題か、ガンギ車の受けはネジ穴のガタ量内でアンクルとの当たりが変わってしまうので、調整をしながら組む必要がありました。位置決めピンが2本もあるのにね。

 

画像では見にくいのですが、テンプの平受石の中心付近に欠けがあります。天真を無理に締め込んだ?

 

テンプの調整などは一切していない組んだままの状態。

 

 

ロングランテスト中。快調に作動しています。

 

 

テストOKですのでケーシングをしました。機械留めのネジは、セイコー・スーパーやマーベルのネジでは適合せず、ジャンクを探してオリジナルのセンターセコンドから調達しました。ちょっと錆びてるけど・・

 

右からオリエントスター、センターセコンド、マーベルです。オリエントスターのケースはトップ面のみ金メッキ。センターセコンドよりマーベルの方がハマグリ型が強いですね。

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おうちの時計修理の巻

2017年08月23日 19時51分16秒 | ブログ

30年近く前に近くのイトーヨーカドーの売れ残りワゴンセールにあった時計付キーケースを買いました。確か1.500円ぐらいだった。それが止まったので直せとのカミさん命令。ユニットなんて新品に交換した方が早いけどなぁ・・

 

発振回路は生きてました。なにかタミヤ教材の減速ギヤみたいだな。ステップモータの回転子ボゾが摩耗をして抵抗になっているようです。

 

では、息子が小さい時にミニ四駆で使っていたタミヤのセラミックグリスを使いましょう。どんだけ物持ちがいいんだか? 現在、ミニ四駆は再び人気のようで、当時子供だった息子世代が父親となって、コースで子供と走らせている光景を見かけますね。

 

なんとか復活しましたよ。ユニットを本体に取付けます。

 

 

文字盤が古臭くて気に入らなかったので、当時タコメーターを模して自作した文字盤です。この頃はホンダ・ライフ360を作っていて、計器盤をホワイトメーターに自作していたのでした。

 

ツインリンクもてぎで買って来たピンバッチを取り付けて完成です。

 

 

これは息子のハミルトン・クォーツ腕時計ですが、新しいのに止まってしまったとのこと。修理窓口に問い合わせたら修理代5万円也。修理と言って現在はユニットごと交換するだけなんですけどね。しかし5万円とは・・ユニットはETAの980-163でスモールセコンド用の15石です。ノンジュエルが普通なのに15石ってすごいね。ネットで調べると6.500円(税別)でユニットは手に入るようですが、海外では30ドルぐらいのユニットです。それでも高いのでジャンクを探したのが左側。ジバンシーだって。時計メーカーでない高級ブランドも製品化しているんですね。

分解洗浄で注油をしてから組み立てました。正常に作動しています。

 

 

現代の若者はデカ時計が流行りのようですが、中身はこれですからね。ユニットを小さく設計しておけば、大小の時計ケースに使えるというところです。

 

これで完成です。確かにケースにはコストが掛かっているようですけどね。しかし修理代がねぇ。良い商売だこと・・

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残念なことに・・三光ペンの巻

2017年08月19日 10時42分27秒 | ブログ

瞬間的に「これは何?」と思ってしまいました。一応「三光ペン」なんですね。それを上下カバーをウレタン塗料で塗装してあります。恐ろしいことを・・。

 

あまり他人様の批判はしたくないのですが、なぜ塗装をしようと思い立ったかを聞いてみたい気がします。この個体は数年前に行きつけの中古カメラ屋さんから勧められて購入されたとのことです。しかし、それでも買うかなぁ? カバーは分解せずに三脚ネジ座やリベットも塗装されています。メッキも剥離しておらず、ペーパーを当てているので平面がダレています。

お手紙にはレリーズボタンの不具合とレンズの曇りが指摘されています。

 

 

レリーズボタンがこのように押し込まれてしまいます。通常ではこのようになりませんので何か原因があるはずです。

 

分解してみると・・レリーズボタンとシャッターユニットを連動させるロッドが正規の部品ではなくネジをカットして代用されています。不具合や紛失の可能性は、ほぼ無い部品なのに何があったのでしょう?

 

内部は古い油とホコリでドロドロ状態ですけど、分解はされています。後玉も分解の痕が確認できます。

 

例によってズイコーレンズの後玉です。コーティングの劣化から腐食へと移行しているようです。すでに拭き上げた形跡があります。さて、どうするかな? メッキにペーパーが当てられていなければ塗料を剥離して原状回復が出来ますが、それは不可能ですので、うちの三光ペンの部品を使ってオリジナルに戻すかなぁ?。しかし、黒いのが気に入って購入されたのでしょうからね・・

洗浄をしてみるとシボ革は一度剥離をして、再接着をされていますね。

 

 

本体側も同じです。一部欠損をして剥がれかかっています。

 

 

まぁ、仕方がない。修正をしながら組み立てて行きましょう。

 

 

三光の頃は、スプールのスリップはスプール内に嵌っている板バネによって固定されています。現存の個体では、疲労によりかなりの確率でスプールにクラックが入っていますが、この個体は大丈夫でした。

 

と思ったら重大な問題が発生しました。そもそも、このシャッターは4年後に生産されたシャッターユニットと換装されていましたが、問題は地板にクラックが入っていることです。手前のガバナー歯車が上に抜けないので確認をして発見しました。これはレンズのヘリコイドの雌ねじ側をねじ込む時に、力任せに締め込んだことが原因です。さて、万事休す。そもそも、オーナーさんは三光ペンであることもご存じなく購入されたとのことですが、それにしてもこの個体を大2枚で販売したそうですから、私からすると殆ど◯◯に近いです。

さて、どうしたものか? 交換部品はありますけど、果たしてシャッターユニットまで交換して、この個体を生かす必然性があるのか? と言う問題があります。そこで、オーナーさんのご希望をお聞きしました。結論的には「費用が掛かっても撮影が出来るようにして欲しい」とのことでしたので、それではと適合するユニットを選定しました。しかし、うちのストックを仕上げてお出しした方が早い気も・・

対物レンズはガラス製となっていますが、#1340XXがプラ製と確認していますので、ファインダーも少し後のものと交換されている可能性があります。樹脂も劣化をして白化していますので、研磨をしておきます。

 

交換用のユニットはO/H済みですが、スローガバナー部分は洗浄をしておきます。しかし、シンクロのターミナル組立はリード線を通す穴の前にダボが有ったりで、組立の作業性は非常に悪いユニットです。

 

今回追加交換するレリーズシャフト、ホルダー、バネ。ボタンはその後のタイプより一回り小さいのが分かりますか?

 

カム板押えを留める薄ナットを緩めるために、ピンセットで傷だらけにしていますね。私には考えられません。絶対に分解傷を付けないという心構えが出来ていない証拠。

 

ファインダーのダストカバー紙は新しく作っておきます。

 

 

同じ三光ペンのレリーズボタンでも、微妙に金型が変わっています。この個体は左側ですが、左右両端中央の出っ張りが小さいため、トップカバー穴から上に飛び出してくる不具合があり、右側のように出っ張りを大きく修正しているようです。

いやはや、当初はどうなるかと思いましたが、幸い、やさしいオーナーさんに救われたために、生き延びることが出来たという個体でしょうね。本来なら諦める状態でした。元々、三光ペンの頃は、製造時期が少し違っただけで部品の変更や仕上がり寸法が変わっていたりで、別の個体から部品を調達しても調整が必要なケースが多いのが厄介です。

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オリンパス・35Ⅳのメンテナンスの巻

2017年08月16日 18時15分24秒 | ブログ

みなさんはお盆休みで旅行されている方も多いでしょうね。私はどこへも行きませんが、ここのところの関東地方の天気は異常です。毎日雨が降り続いて1970年代以来らしいですが、まぁ、猛暑も体に堪えますからね。で、大阪のご常連さんからオリンパス35Ⅳですかね。来ていますが、お知り合いの方の遺品だそうです。35Ⅳは1953年製とかで私と同じ歳ですね。それにしては裏蓋の底部のメッキが薄くなっている以外は外観は非常にきれいです。大切にコレクションされていたのでしょうかね。

どこのメーカーに関わらず、この時代のカメラは機械加工部品の組み上げでがっちりと作られているのは機械好きの私としては魅力的ですね。必要な部品を並べて行ったら出来ちゃった。というようなデザインです。

 

何故かズイコーレンズの後玉は曇りますね。シャッター羽根の直後なので、切っ掛けは油の付着なのでしょうか。

 

PENばかり見ているとビックリするようなモノづくり。スプロケットなんかコストが掛かってますね。

 

ファインダーは簡単な逆ガリレイ式で対物、接眼レンズ2個ですからスッキリした見え方。倍率は当然一倍以下。シューは下駄を履かされて、この高さでないとファインダーとのクリアランスが確保できないからでしょうね。

 

圧板はガラス製とメッキ製があるようですが、これはメッキ製ですね。

 

 

問題の後玉。ルーペで観察すると曇りだけではなく、線状痕的にガラスも浸食されています。う~ん、思案の結果、レンズは研磨をして本体はメンテナンス程度としておきます。

 

シャッターはコパル製ですが、時期によってシャッタースピードが1/200と1/300が存在するようですけど、この個体1/300です。セルフコッキングやセルフタイマーなども無いシンプルな構造のシャッターで、作りに無理がないので故障は少ないと思います。スローガバナーはユニット化されていて、PENのユニットに比べて神経質なところはなく、これぁ、不調にはならないだろうなぁという気がします。但し、アンクルの動きは重要ですので、完全に洗浄と注油をして組み込みます。

スローガバナーを組み込みます。

 

 

チャージレバーをセットて作動を見ます。

 

 

ファインダーの対物レンズはPENのように接着ではなく、板バネ固定なので分解のストレスがありません。接眼レンズはネジ式で視度調整が可能。

 

ヘリコイドグリスは抜けていましたので洗浄で入れ替えてあります。機械的にもシンプルな設計で、メンテナンスのし易いカメラですね。レンズが曇らなければねぇ・・私と私愛用の腕時計も同じ歳ですから同級生です。まだまだ現役ですよぉ。

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ペングレーに塗ってみましたオリエントスターの巻

2017年08月11日 19時37分05秒 | ブログ

今日からお盆休みの方も多いでしょうね。しかし、関東地方は秋の長雨のようなぐずついた陽気になっています。まぁ、どこへも出かける予定はありませんけどね。で、ちょうど、カメラの作業は一段落をしていますので、連休の間はエントリーは少ないと思います。ではと言うことで、以前に機械はO/Hを終えていて、文字盤の劣化が激しかったオリエントスター・ダイナミックがあったのですが、製造後期の個体で文字盤のサイズが大きく(31.3mm)オークションにも適合するデッドストックが出てこなくて作業が止まっていました。文字盤修復はリダンの職人さんのお仕事で、地板の塗装やメッキとパッド印刷は素人には絶対にまねのできない高度な技術です。それだけに費用も掛かりますので、高級時計などでない安物時計では、二の足を踏むことになりますね。ならば、塗装で仕上げてみようかと、調色してあったペングレー色で塗ってみましたよ。少しシンナーの希釈が少なかった(吹いた瞬間気がついた)ため、ゆず肌になってしまいましたので、本当は吹きっぱなしの1回塗りのつもりでしたが、軽くコンパウンドで研磨することにしました。

仮にケースにセットをして針を置いて雰囲気を見ます。(S)マークは白でアクセントにしてあります。う~ん、やっぱり6時位置の英字と外周の秒ドットがないので殺風景のような感じがします。パッド印刷機なんて買えませんからね。雰囲気はそれほど悪くはないですね。PENでの撮影の時にお揃いなんてのも良いかも知れません。では、組み立てるか・・

ムーブメントはT型10.1/2で、疲労は錆などは無くきれいな機械です。

 

 

機械直径は小さく、セイコーでは11型のマーベルが登場していて、ケースも大型が好まれるようになって来ましたので、大径となった文字盤との差が大きいですね。まるでカブトガニみたい。

 

ステンレスケースなので、良いコンディションを保っています。ムーブメントとの差を埋めるため厚みがすごいですが・・ベルトのラグ巾は17mmです。

 

で、針を付けてみましたが、照明の具合もありますが金色の針も劣化気味ですのであまり見やすくありませんね。このモデルは裏蓋刻印がN14013Tとなっていて、右のモデルはU14014ですので次モデルぐらいなのでしょうか? (オリエントの型番の読み方不明)こちらはベルトのラグ巾も18mmと近代化されて針とインデックスも銀色ですので、こちちらの方がグレー文字盤に合っていたかも知れませんね。針を入れ替えるという手もありますが、文字盤とセットなので秒針のみ白に塗装をして視認性を高めてみました。当時は非常に人気のモデルで、現在でも復刻版が登場しているという息の長いモデルですね。ダイナミックの発売は1957年からとのことですが、この個体は1960年までの間に製造された後期のモデルと思います。

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