前回に続いてきれいなPEN-FVが続きます。シリアルは#1343XXと、前回と違って後期型のユニットが使われている個体になります。PEN-FTと比較してPEN-FVはどのくらいの比率で生産されたのでしょう? シリアルと製造年月から推測すると、PEN-FV#106400 とPEN-FT #117300 の製造は同じ1967年3月で、PEN-FV #134300とPEN-FT #301400 の製造は1969年7月です。28カ月間の製造台数はPEN-FV が27,900台(996台/月)で、PEN-FT は184,100台(6575台/月)になりますかね。実際には欠番もありますから、この台数よりは下回っていたと思います。
で、後期型のFVを探していたオーナーさんがやっと見つけた美品なのですが・・
後期生産の個体とすると光学系が良くないようですね。
ファインダーを覗くとスクリーンの端に汚れが見えます。表面から見てみると・・あぁ、ここだ。何か液体が染みています。
未分解機のようですが、この個体は水没ではなく水が侵入しているようです。セルフタイマーは不動ですが、バネが腐食しているのが分かります。
セルフタイマーを取り除いてみると・・。これは只の水ではなく、乾燥すると白く結晶する液体のようです。
通常、ルーペの留めネジがここまで腐食することはありません。液体が溜まってレンズも曇らせています。
では、ダイカスト本体から始めますが、モルトの貼ってある部分のダイカストが激しく腐食していて削って取り去らなくてはなりませんでした。
モルトはオーナーさんが入手された市販キットを付属して頂きました。一般の方には便利なアイテムと思いますが、私は使用しないことにします(笑)
先に塗装の剥離した部分をタッチアップしてからモルトを貼ってあります。
シャッターユニットは特に問題はありません。O/Hで組み立てます。
洗浄しましたが、スクリーンの右上にシミが残ります。
オサエバネにも侵入した液体の形跡が残っています。
プリズム側にも汚れがあります。
この頃の全反射ミラーとしては劣化が進んでいます。新品と交換します。
作動不良のセルフタイマー。歯車と軸受けにも腐食があります。
分解をして錆を磨いてから組み立てます。
全反射ミラーは清掃で使用可能でしたが、オーナーさんが奮発して新品を使いました。
マウントの11時の部分にフランジバック調整用のワッシャーが入ります。(この個体は)
付属の38mmもきれいなレンズですが、絞り羽根に油が回り始めていますので清掃しておきます。
これで本当の美品になりましたね。探していた後期型の美品を手に入れて良かったですね。