今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

もっと古いよローライフレックス・スタンダードの巻

2024年04月29日 14時00分00秒 | ブログ

昨日、カメラ店の店長様から世の中連休だと知らされました。へぇ、そうなんだぁ。私には関係ないですけど・・。で、前作のオートマットが昭和12年でしたが、もっと古いのがありました。スタンダードですが昭和7年です。さすがに本気で使う方はいらっしゃいませんよね。昭和7年(1932)は複葉の九〇式艦上戦闘機の時代ですよ。

この時代のレンズは大概このように曇っていますが、意外にコーティングが無かったりして清掃で改善する場合もあります。

 

ビューレンズは各玉が曇っていますので清掃をします。

 

 

テイクレンズは前玉がねじ込み式で分解できます。意外に悪くはありません。その他、シャッターのメンテナンスをしておきます。

 

ミラーは使用できない状態でしたので製作して交換しました。その他、内部の清掃とスクリーンの清掃をしました。

 

フードの起倒用バネの片方が折れています。

 

 

ローライは本体へのフード取付用ネジ(ダイカスト用)はピッチの荒い特殊ネジですが、それを無くして頭を塗装した普通のネジを強引に締め込んでありました。これをすると本体側のネジ山を壊してしまいます。手持ちの少ないオリジナルネジに交換をしておきます。

スタンダートの側板はアルミなんですね。そこに黒塗装を施してあったのですが、アルミが白い粉状に酸化していて塗膜ごとシボ革が剥離しています。南洋で墜落した零戦のジュラルミン外板を見ているようです。(それより古い工業製品)

問題は中央の巻き上げアイドラギヤの歯が摩滅をしていて巻き上げでミスをすることです。

 

アイドラギヤの軸受けが側板に付いていて側板の取り付け位置によってもギヤの噛合い精度が違ってくるのも影響するようです。

 

拡大してみると、真鍮の軸受けのホゾが右側に摩耗拡大していて、すでにポンチで軸受けを潰して変形を修正した形跡があります。これは腕時計の香箱のホゾが摩耗した時に修正をする方法と同じです。このモデルの設計上の欠点のように思います。

シボ革は糊が劣化して剥がれたのではなく、側板の塗装が一体で剥がれたため、再接着には塗装層を削り落とす必要があります。

 

さすがに90年以上前の遮光毛糸は摩滅して部分的に無くなっていますので交換をしておきました。

 

巻上げクランクがプラプラしますが、オリジナルはダンパー材が入っていたのか不明でしたが入れておきました。

 

やれやれどこまで古い機種が出てくるのか? あとはオリジナル(昭和9年)ですかね。

 

 

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大古機のローライオートマットⅡの巻

2024年04月27日 10時00分00秒 | ブログ

ローライの二眼レフを整備していると古い機種もやってきます。これはローライフレックス  オートマットⅡですが、このシリーズは1937(昭和12年)から発売されたとものの本に書かれていました。いくら何でも大東亜戦争開戦前の志那事変の年ですよ。本気で使う方がいらっしゃるのかしら? シボ革はオリジナルのようでピカピカ光っています。底部のアルミ製三脚座は酸化が進んでいて四脚も陥没しています。

レリーズカバーがついているのでⅡ型ということでしょうか? ビューレンズにはバヨネットはありません。状態はシャッター不動、セルフ不動、レンズ汚れ、ファインダー内こってり汚れなど年代相応です。これを直すのかぁ・・

さすがにフードの内面塗装はかなり錆びています。フードカバーの前面中央がへこんでいますので修正をしておきます。

 

リンケージのガイド用ネジが欠落していますので段付きネジを作って取り付けておきます。ミラーは腐食はしていますが途中で交換されているので今回は清掃で使います。スクリーンの強固な汚れは洗浄します。

テイクレンズはカビ汚れが多いので清掃をします。

 

 

前玉の裏側にうっすらとリング状曇りが残りますが年代を考えれば悪くはありません。

 

ビューレンズは全体に曇っていますので分解清掃をして組みます。

 

問題はコンパーラピットのシャッターでした。(本来はここから始めないといけませんでした)緑青が発生して全体に酸化しています。

 

スローガバナーののアンクル軸が錆びで固着して全く動きません。さぁ、どうする? 超音波洗浄とCRC攻撃により奇跡的に固着は緩みましたが、完全に抵抗を除く必要があります。

セルフタイマーはシャッターと別体です。基本的にはスローガバナーと同じ原理で動きます。ジッジッとも言わないので、こちらも超音波洗浄攻撃です。

 

フード内の大掃除を終えたところ。

 

 

フォーカシングダイヤルは手汗の塩分で酸化が進んでいましたので研磨と彫刻文字の色入れをしてあります。この時代のオートマット装備は素晴らしい。これで現役復帰です。

 

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ローライフレックス2.8Fのメンテナンスの巻

2024年04月25日 09時00分00秒 | ブログ

基本的に二眼レフはUPしませんが、しばらく作業が続きそうですのでUP間隔が開くと思います。ローライフレックスの象徴的なモデル2.8Fを作業していますので簡単にUPします。さすがに完成形の貫禄で迫力がありますね。裏蓋の四つ脚がギッタンバッコンになっていますが、原因はおそらく合わない三脚座に強引に締め付けたために中央部分が盛り上がってしまったもの。ではないかと思います。に隙間が空いてしまいます。これを修正していきます。

次の不良個所は露出計が作動しないこと。メーター単体をテスターで調べると生きています。では、セレンを分離して調べます。

 

起電力の良否は分かりませんが、起電はしています。では、回路を点検して修理していきます。

 

感度は低めですが作動はするようになりました。

 

 

次の問題は巻き上げが完全に異常の状態に重いです。巻き上げ系は過去に分解を受けていますが、なんでここにウェーブワッシャーが入っているの ?  組み間違いのうえに大量のグリスを塗布されています。

クラッチ部分を脱脂洗浄をして組みます。

 

 

正しく組み直しました。

 

 

の他、レンズとシャッターのメンテナンスをしておきます。

 

 

その他、フィルムを装填しオートマットの作動などを確認して終了です。

 

 

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ミノルタrepoのメンテナンスの巻

2024年04月22日 09時00分00秒 | ブログ

ミノルタのレポのメンテナンスをします。過去にメンテナンスを受けていて、モルトも貼り替えられていますがモルトが厚くて裏蓋が開かない状態ですので完全に清掃の上交換します。また、裏蓋の蝶番部分の劣化したモルトが悪さをして塗装を変質させ鉄材を激しく腐食させていたものをナイフのようなもので削り取った形跡があります。

「なるべくきれいにして」とのご希望ですので補修塗装をすることにします。但し、シボ革が貼ってあるので焼付塗装は出来ないので通常塗料で塗ります。

 

補修塗装も素材の研磨、マスキング、塗装と工程がありますので意外に工数が掛かります。本体はモルトの交換をしています。

 

レポのシボ革の糊はあまり良くありません。裏蓋は殆どはがれかかっています。補修接着をしておきます。

 

セレンは不良のものが多いですが、この個体の場合は元気です。同時期に生産されたセレンでも、ダウンしているものもあって、良否の違いは何が影響しているのでしょう? ファインダーの清掃をしておきます。

シチズン製のLシャッターをメンテナンスしておきます。レポのプログラムシャッターは他のシャッターと違い、同じEV値のとき高速側のシャッターが切れるようにプログラムされていて手ブレを防止しています。

レンズの状態も良好で良いコンデションのレポになりました。

 

 

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DD13のメンテナンスの巻

2024年04月20日 09時00分00秒 | ブログ

DD13ですが走行が少し重い感じもあるのでギヤボックスのメンテナンスをしておきます。モーターとギヤボックスをジョインとしているゴムチューブが硬化して滑りが出ているのでシリコンチューブに交換をしておきます。

ギヤボックスのカバーを外します。車軸に繊維が絡みついているので洗浄をします。

 

意外に内部はきれいでギヤや軸の摩耗も軽微です。洗浄をして新しいグリスを詰めておきます。

 

逆側の台車も同じようにメンテナンスをしておきます。

 

 

組立を終了して作動テストと調整をしていきます。

 

 

古い設計のモデルのため、現代のモデルのようにフライホイールなども装備していませんのでスムーズな発進というわけには行きませんが、走りだせば安定した走行を見せました。次回の運転会ではヤードの貨車入れ替え作業をします。

 

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