今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

コニカ・ⅢAは大変の巻

2021年04月29日 18時10分00秒 | ブログ

じつはUP予定はなかったので画像を撮っていません。コニカⅢAはレンズに定評のある高級カメラですが、特徴的な巻き上げ方式によりリンケージが特殊で巻上げが重い傾向にありますね。その他、へりコイドグリスが抜けているとすべて分解しなければヘリコイドにたどり着かない厄介な構造、この個体は二重像のタテヨコズレが大きいです。まずは内部がホコリまみれのファインダー部を清掃して二重像を調整しますが、調整は2つの調整ネジにより簡単に出来ます。

重いカメラですがファインダーもプリズムの固まりです。ファインダー像は異常に紫がかった青色のため、中央の二重像は返って見やすいです。

 

このカメラのシャッターは精工舎のMXLという定評のシャッターユニットですがBが止まらないのです。多くの原因はストッパー爪に掛かっているバネの外れですが、この個体はそうではなく、ストッパー爪の先端の摩耗変形と取付け部のガタによる不正確な動き。これはこのシャッターの構造的な持病のようです。

シャツターユニットの取出しでヘリコイドグリスの交換と巻上げリンケージの清掃グリス塗布をしてあります。トップカバーの彫刻文字はきれいに色が入っていませんがオリジナルなのかな? 気になるので入れ直しておきます。

 

いろいろウィークポイントはありますが、メンテナンスが終えて外観の清掃をすると立派なカメラですね。ライドバリュー式が慣れないと使いにくいかも知れませんけどね。

 

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コダック・シグネット35を復活させるの巻

2021年04月24日 21時10分00秒 | ブログ

普段、PENやローライ35のような小さくて精密なカメラを扱っていると、このコダック・シグネット35などは、蹴飛ばしてもへこまない頑丈なカメラに見えますね。分厚いダイカストボディーは鎧のようですが、表面処理がありませんので腐食が進んでいます。このカメラはピカピカの磨きなのかなぁ? それともヘアーライン? レンズのシリアル前のアルファベットで製造年が分かるようですが、なんと私と同じ歳でした。何とかしなければ・・

ft機ですから北米にあった個体のようですが、乾燥した地域にあった個体としては結構な酸化ですよね。相当、放置期間が長かったようです。

 

一応シャツターは切れますが、ドイツ製のように精密なシャッターではないのが幸いして動いているのでしょう。減算式のフィルムカウンターが動かないようです。しかし、印刷文字はなんで普通と逆なんでしょう?

ここね。スプロケット軸がカムになっていてフィルムカウンターを動かすのですが軸が錆びて固着しています。

 

底部を見てみますが作動や摩耗は特に問題はないですね。清掃と注油をしておきます。

 

 

フィルムカウンターを作動させるためのレバー軸が固着しています。内部は汚れがひどいので清掃をします。

 

ちゃんと距離計内蔵で特徴的な三角形の二重像が見えます。しかし、対物や接眼は汚れ放題できれいには見えません。ハーフミラーは劣化が有名ですが、この個体は比較的良く見えます。しかし、拭き上げをすると蒸着メッキが剥がれる危険があります。まぁ、何とかやりましたけど・・

ははぁ、プレートの中に距離計調整のネジが隠れていました。

 

取りあえず荒研磨をしておきます。

 

 

研磨をしたトップカバーを取り付けますが、そのまま被せるとフィルムカウンターが動きません。知恵の輪です。

 

シャッターは止まりそうもない構造です。ガバナー関係の清掃と注油をして復活です。その他、レンズの清掃をして組み込みます。

 

裏蓋は別体式で厚いダイカストです。圧板はクロームメッキのようです。

 

 

スライド式の露出計算盤は親切な装備かも? こちらも研磨をしておきます。

 

 

この程度の磨きとしてありますが、中々愛嬌のあるデザインですね。当時はフィルムの拡販を目的としてフィルムメーカーもカメラを発売したのでしょう。しかし、シボ革など劣化しやすい部分にも全く不具合が無く、頑丈なカメラだなぁと思いました。私もまだ頑張らないと・・

 

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初期型ほぼ新品のローライ35の巻

2021年04月21日 11時10分00秒 | ブログ

ローライ35の生産開始は1966年でシリアル№は#3,000,201から始まったようですが、この個体は#30041XXとなっていますから生産初期型に間違いはありませんね。驚きは状態でほぼ未使用の状態を維持しており、純正ケースとストラップも付属しています。経時のシャッター不調はありますが他に不具合は無いようです。私も初期オリジナルの各部の作動など非常に参考となるので慎重にメンテナンスをして行きます。

ジャーマニーの接眼枠は樹脂が痛んでいる個体が多いですが、この個体は完璧ですり傷もありません。トップカバーに僅かな梨地の光線傷があります。

 

裏蓋内側の状態。以後の生産機とかなり部品の違いが確認できます。

 

 

圧板は角度によってスプロケット部にフィルムを通した形跡が確認できます。しかし、本数は僅かでしょう。

 

 

試し撮りをしてコレクションをしていたというカメラでしょうかね? 放置機ではなく保管は良好にされていたと思われます。メンテナンス後は有名中古店様から販売されますので、ジャーマニー初期型美品が欲しいマニアさんは要チェックですね。

 

スプール軸ギヤは切削部品です。以後は真鍮素材のプレス部品。フィルムの切れ歯があるので使用はされたことは分かります。各部の清掃注油をして行きます。

 

ファインダープリズムを取付けて最後に巻き戻しレバープレートを取り付けます。

 

 

スプールの形状が以後のタイプ(右)とは異なります。また、内部の塗装は以後のリンクル塗装ではなく。普通の艶消し黒塗装です。

 

巻上げレバーの取付けネジ部には一段落し込みの加工が施されています。上は以後のタイプで加工はなくフラットです。

 

露出メーターの針は初期型としては元気に動いていますね。精度も良好です。以後のメーターの窓カバーは追針と同じオレンジ色で塗装されていますが、初期型は真鍮地のままです。

 

裏蓋内側の違い。上が初期、下が以後。塗装は初期は通常の艶消し黒塗装、主に巻き戻しダイヤル部分の設計変更が目につきます。初期は金属部品のネジ留め。以後は樹脂部品をCリングで固定してあります。

 

表側のレバーの違いは良く知られていますね。

 

 

シャッターユニットには青で「3556」と捺印されています。製造日付ではなく製造番号でしょうかね?

 

 

シャッター羽根の開閉をコントロールするリングの仕様が違っています。

 

 

「4043602」号機まで使われたようです。訂正「30839XX」ですでに変更されていました。

 

 

このような希少な個体もあるんだなぁと思いました。私も資料用として欲しいですけどね。まぁ、無理ですね。

 

 

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ローライ35TEの修理の巻

2021年04月20日 22時00分00秒 | ブログ

ローライ35系のメンテナンスをしていると、トップカバー背面にある2つの化粧ネジが分解により傷ついている個体やネジが欠落している個体に出会います。そこで、化粧ネジを製作してみました。今回は試作なので課題はありますが、修理作業に充分活用することは出来ますので今後に作業に使用していきます。現在は環境問題から六価クロムが使えないため、当時のクロームメッキを再現することが難しいですね。

で、ローライ35系は世界的に人気が高く、派生機種も多く生産されましたがローライ35TEの発売は1979年とのことですね。なんだ、それほど古いカメラじゃないよね。外観はそれほど悪くはありませんが、この頃のシボ革は表面の透明コートが劣化をしてベトベトになっている個体がありますが、この個体もそうです。テッサーレンズのヘリコイドグリスが抜けています。

仕様的にはローライ35にファインダー内にLEDによる露出表示が付いた感じですね。それによって、電池はPX27(5.6V)をトップカバー上からセットするため沈胴ロックボタンなどの配置が変更になっています。PX27電池は現在生産されていないため、LR44X3とLR43X1の4個を直列にセットすれば寸法的にちょうど良く使えます。この個体の場合はシャッタースピードと絞り値を変更してもアンダーの赤LEDが点灯し続けています。基板不良の場合は修理は出来ないので・・

基板と電池室が一体のユニットになっています。右のファインダーには横からLED基板が刺さっています。ファインダーの清掃、シャッターの低速不調と露出計不具合を見て行きます。

 

過去の分解で、Cdsフィルターのギヤ連動をいじられているようです。

 

 

ヘリコイドグリスの交換とシャツターO/H、レンズの清掃をしますので化粧リングを剥がします。

 

 

レンズはカビはありませんがチリが付着していますので清掃して組みます。

 

 

シャッター羽根を組んで行きます。

 

 

最後に無限調整をして化粧リングを接着して終了。カバーの材質は真鍮ではなくアルミのアルマイトのため少し白っぽい印象です。真鍮製より強度が弱いため落下などの衝撃では簡単にへこんでしまうので注意が必要です。

 

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露出計がぁ・・ローライ35Sの巻

2021年04月15日 12時15分00秒 | ブログ

いきなり始まりました。ローライ35Sのブラックモデルですけどね。それでなくてもクロームボディーより強度が弱いのに、ブラックモデルにはカバーの材質が真鍮製とアルミ製があって、このアルミ製はもっと強度が弱い。よって少しの打撃でも凹んでしまうわけです。この部分のへこみ多いですね。この個体はそれほど重症ではありませんが、重症になると側面も下に下がってしまい修正は無理になりますね。

この程度であればそのままの方が良いですけど少し修正をしたところ。盛り上がりは地板の突起が当たっているのです。

 

このプレスで起こした突起がトップカバーを支えています。しかし。衝撃で陥没気味に曲がっています。

 

ローライ35のジャーマニーでは、ちゃんと別パーツをカシメてあるのですけどね。ローライもコストダウンして行きますね。

 

問題は露出計が不動です。すでに過去に修理の手が入っているようです。グレーのテープはオリジナルではありません。

 

あちゃ~、こうなっていましたか・・直接の電池の液漏れではなくガスが上がって回路を侵したようです。配線はポロポロ崩れます。調整の半固定抵抗が導通なく固着で死んでいます。幸いメーターとCdsは生きていますので回路を作り直していきます。

 

回路を作り直しました。不良の半固定抵抗は交換してあります。

 

 

ファインダーはかなり汚れています。下の治板を分離してスプール軸の清掃と潤滑をします。

 

 

結構汚れていますね。この程度だとブライトフレームの蒸着メッキ枠が劣化していて、清掃で剥離する危険があります。

 

まぁ、ファインダーは何とかなりました。スローガバナーの清掃注油、露出計ユニットの組み込みをしました。次は沈胴側のシャッターユニットの取出し清掃とレンズの清掃をします。ヘリコイドグリスが完全に抜けてスカスカになっています。

#65174XXは後玉ホルダーの形状が変更されていますね。ヘリコイドグリスは完全に抜けています。レンズの清掃とグリスの入れ替えをします。

 

ローライ35にはない沈胴チューブの内側にヘリコイドネジが切られていますがグリスは完全に切れています。

 

ピント調整をして前面リングを接着します。

 

 

フィルムカウンターの作動をフィルムを装填してチェックします。

 

 

露出計は正常に作動しています。ファインダーもクリアーとなって良いコンディションとなりました。

 

 

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