久しぶりだと作業手順を忘れてしまいます。この個体は#2993XXと、もう一息で30万台だったのにという個体です。まぁ、内部の仕様は同じで改良後のユニットが使われていますし、Cdsも生きているはずです。まずトップカバーのへこみというか歪程度ですが気になりますね。
29万台としては保存はあまり良くなかったと思います。ハーフミラーの腐食具合が29万台としては進んでいましたし、モルトの下地部分が、かなりひどく腐食しています。これは珍しいぐらいです。すべて削り落として、タッチアップ後モルトを貼ります。
露出計の作動は確認出来ましたが、分解をするとリード線が断線しました。新しいリード線で新製します。
スプールの滑りが早い。これですとスプロケットのクラッチに負荷が掛かりますので、当方のオリジナル強化タイプと交換しておきます。
シャッターユニットは特に問題はありませんでした。巻上げギヤ軸の摩耗も殆んどありません。あまり使用されていないと思います。グリスアップで組んであります。
あ~、ここはあかんね。シャッター幕の軸受け部は分解出来ませんが(無理にはできる)、無給油で回転するので軸受けが荒れて回転抵抗が大きいです。このまま組むとシャッタースピードか上がらないので対策をします。
ミラーユニットの前板にあるレバーが固着しています。これは工場でネジの緩み止めを塗布する時に誤って塗料が付着してしまったものです。すべて取り除いてスムーズに作動するようにしておきます。
保存状態の良くない個体としては幸い#2プリズムのコーティングはほぼ無傷でした。本体に組み立てます。
しかし、接眼側の#1プリズムはダメでした。外気に近いのでコーティングは劣化しています。これですとコントラストの低下は免れません。もっとひどいものは拭き上げですべて剥離してしまうので、返ってきれいになるのですけどね。さて、中途半端です。
もう一つの問題はプリズムに欠けがあること。トップカバーのへこみから衝撃を受けた過去があるのは確実ですから、その時プリズムも欠けたのでしょう。このままですとファインダーから光漏れが見えてしまいますので墨塗りをしておきます。
すみません。更新忘れていました。寒くなって来たので若い頃に筑波サーキットで落っこちた古傷の腰痛がひどくなりまして、amazonで低反発クッションを買ってみたのですよ。安物なのであまり期待はしていませんでしたが、それでも腰椎にかかる負担が分散されて痛みが緩和されました。長時間の座り仕事ですから持病なんですけど、まぁ、上手く付き合っていくしかありません。https://amzn.to/3loK20e
で、ハーフミラーですが、30万台の仕様ミラー(29万台ですが)の割には腐食が進んでいます。メッキが薄くなってポツポツと抜けています。20万台までのミラーと30万台ではメッキの製法が異なり耐久性が上がっています。それがここまで腐食しているということは湿気の多い場所に長期間放置されていた証拠です。新しいミラーをセットしています。
途中の画像が失敗画像なので・・メカは完成しましたが、やはり湿気の影響でしょうね。露出計の感度が電池の電圧(1.35V~1.5V)の変化に大きく影響されて調整が取れません。Cdsの特性の劣化だと思います。1.5Vダイレクトで使用して頂くようにしました。
元は使用頻度も少ない、一度衝撃を受けただけの良い個体だったのですが、その後の悪い環境により色々問題が出ていた(主に光学系、電気系)典型的な個体でしたね。接眼プリズムは、やはり影響がありましたのでコーティングは研磨させて頂きました。機械の信頼性は良好で安心して使用して頂ける個体になったと思います。