今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

どこに行ってたPEN-FTの巻

2020年11月29日 09時00分00秒 | ブログ

久しぶりだと作業手順を忘れてしまいます。この個体は#2993XXと、もう一息で30万台だったのにという個体です。まぁ、内部の仕様は同じで改良後のユニットが使われていますし、Cdsも生きているはずです。まずトップカバーのへこみというか歪程度ですが気になりますね。

 

上から見るとこんな感じ。気にすると気になる程度。

 

 

まぁ、この程度に修正をしておきます。

 

 

29万台としては保存はあまり良くなかったと思います。ハーフミラーの腐食具合が29万台としては進んでいましたし、モルトの下地部分が、かなりひどく腐食しています。これは珍しいぐらいです。すべて削り落として、タッチアップ後モルトを貼ります。

 

ダイカスト本体の洗浄後にモルトを貼って組み立て開始です。

 

 

露出計の作動は確認出来ましたが、分解をするとリード線が断線しました。新しいリード線で新製します。

 

 

スプールの滑りが早い。これですとスプロケットのクラッチに負荷が掛かりますので、当方のオリジナル強化タイプと交換しておきます。

 

シャッターユニットは特に問題はありませんでした。巻上げギヤ軸の摩耗も殆んどありません。あまり使用されていないと思います。グリスアップで組んであります。

 

あ~、ここはあかんね。シャッター幕の軸受け部は分解出来ませんが(無理にはできる)、無給油で回転するので軸受けが荒れて回転抵抗が大きいです。このまま組むとシャッタースピードか上がらないので対策をします。

 

完成したシャッターユニットを本体に組み込みました。

 

 

ミラーユニットの前板にあるレバーが固着しています。これは工場でネジの緩み止めを塗布する時に誤って塗料が付着してしまったものです。すべて取り除いてスムーズに作動するようにしておきます。

 

保存状態の良くない個体としては幸い#2プリズムのコーティングはほぼ無傷でした。本体に組み立てます。

 

 

しかし、接眼側の#1プリズムはダメでした。外気に近いのでコーティングは劣化しています。これですとコントラストの低下は免れません。もっとひどいものは拭き上げですべて剥離してしまうので、返ってきれいになるのですけどね。さて、中途半端です。

 

もう一つの問題はプリズムに欠けがあること。トップカバーのへこみから衝撃を受けた過去があるのは確実ですから、その時プリズムも欠けたのでしょう。このままですとファインダーから光漏れが見えてしまいますので墨塗りをしておきます。

 

すみません。更新忘れていました。寒くなって来たので若い頃に筑波サーキットで落っこちた古傷の腰痛がひどくなりまして、amazonで低反発クッションを買ってみたのですよ。安物なのであまり期待はしていませんでしたが、それでも腰椎にかかる負担が分散されて痛みが緩和されました。長時間の座り仕事ですから持病なんですけど、まぁ、上手く付き合っていくしかありません。https://amzn.to/3loK20e

で、ハーフミラーですが、30万台の仕様ミラー(29万台ですが)の割には腐食が進んでいます。メッキが薄くなってポツポツと抜けています。20万台までのミラーと30万台ではメッキの製法が異なり耐久性が上がっています。それがここまで腐食しているということは湿気の多い場所に長期間放置されていた証拠です。新しいミラーをセットしています。

途中の画像が失敗画像なので・・メカは完成しましたが、やはり湿気の影響でしょうね。露出計の感度が電池の電圧(1.35V~1.5V)の変化に大きく影響されて調整が取れません。Cdsの特性の劣化だと思います。1.5Vダイレクトで使用して頂くようにしました。

 

元は使用頻度も少ない、一度衝撃を受けただけの良い個体だったのですが、その後の悪い環境により色々問題が出ていた(主に光学系、電気系)典型的な個体でしたね。接眼プリズムは、やはり影響がありましたのでコーティングは研磨させて頂きました。機械の信頼性は良好で安心して使用して頂ける個体になったと思います。

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みんな大好きZuiko 42mmの巻

2020年11月28日 10時40分00秒 | ブログ

貴重な42mm f1.2です。このレンズの持病は中玉が曇ることと、大口径の絞り機構が故障するトラブルです。絞りレバーが固着して動きません。

 

分解してO/Hをして行きますが、前群レンズは過去に開けられていて工具キズが着いていますね。

 

 

原因は複合的にありますが、ヘリコイドグリスが流化して内部に浸透しているのも一因です。ヘリコイド部と分離します。

 

絞りユニットを洗浄しました。

 

 

持病のレンズ曇りはこの部分ですが、このレンズはきれいです。同じレンズでも激しく曇っているものと、この個体のように無傷なものがあります。保管環境のせいだけではない気がします。最近、ガラスは半流体という研究結果が発表されていましたね。ガラスは奥の深い物質です。

 

その他、マウント部の分解洗浄をしておきます。絞り羽根は正常に絞られています。

 

 

持病もあって、健康な42mmは少なくなっていると思いますので貴重な個体です。保管方法に配慮してください。

 

 

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きれいなジャーマニー・ローライ35の巻

2020年11月26日 20時35分00秒 | ブログ

では、販売前のメンテナンスに戻ります。ローライ35ジャーマニーですが、一般的にへこみの多いカメラですけど、この個体は良いですよ。メンテナンスをして行きますが、多くの個体で、このネジ(SHOULDER SCREW)が緩んでいることが多いです。この個体もユルユルです。ネジの規格がM1.4と細く、緩み止めも塗布されていないため緩んでしまいます。ここが緩むとフィルムカウンターの作動不良の原因にもなります。

お約束の巻上げレバーアテが欠損しています。製作して交換します。

 

 

この個体は#31249XXですが、物の本によると1966~1971の生産分で、大よそ1967年頃の生産と思われますが、すでにギヤは樹脂製となっています。ファインダーは初期型特有のプリズム製です。シャッターはスローが安定しないのでガバナーのメンテナンスをしておきます。

 

レンズも概ねきれいですが、後玉コーティングの劣化(点)があるのは惜しいところ。

 

 

シャッターのO/Hとレンズの清掃をして組み立てます。

 

 

この個体は調整シムが4枚入っていました。厚みはいろいろあります。

 

 

初期型のプリズム製ファインダーはアイビースの形状も微妙に異なります。巻上げレバーアテは取り付けました。

 

まぁ、どうでも良いのですが、せっかく美品の個体ですからGUIDE FRANGEのハゲをタッチアップしておきます。

 

本当に欠点のない保存状態の良い個体です。ジャーマニー製が欲しい方は見つけたら購入してください。

 

 

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PEN-EE-3は新しいからねの巻

2020年11月23日 20時10分00秒 | ブログ

世の中の連休には関係のない私ですが、今日はカメラはお休みします。何時か見てやらないとと思って暇が無いので見てやれなかった自転車とバイク。本所の泥除けはアルミが柔らかいのとアルマイトが掛かっていないので常に磨いていないと腐食が進んでしまいます。あ~ぁ、手遅れだ。ピカールではすでに無理なので水ペーパーで研磨します。

 

また記憶のないへこみが出来ていました。そのうち、裏から板金しますが、今回は研磨だけしておきます。

 

 

ヤマハFS1もどんどん錆びて行きます。1969年製のバイクですが必死で時代に逆らって磨いています。貴重な純正フィンカーも腐食しています。グスン。

 

ガソリンコックのストレーナーからガソリンが漏れてエアクリーナーが痛んでいます。今後は最低でもひと月に一回は磨いてやろうと思います。たぶん・・

 

で、EE-3ですが、このカメラは新しいので何も問題はないのでは? とにかくO/Hをご希望です。点検では赤マークも出ますからセレンは当然生きています。気になったのは、裏蓋のロック爪がスムーズに動かないため裏蓋のラッチが飛び越しています。

 

吊環部が陥没しています。これは板金をします。

 

 

レリーズボタンがメッキなので前期型です。ファインダーは曇っているのは仕方がない。それでは分解をして行きます。

 

シャッターユニットは新しいので特に問題はないようです。レンズの清掃や注油をしておきますが、ファインダーブロックはダイカスト製から樹脂製へと変更されています。

 

裏蓋ラッチの飛越が起こるのはラッチの作動が重いため。分解洗浄のうえグリスを塗布して戻します。

 

 

オーナーさんがモルトの代わりにフェルトを貼られたとのこと。これでも良いですけど、古いモルトが取り切れていないため厚くなって裏蓋の開閉に影響していますのでやり直します。

 

対物レンズに傷が多いですね。ガラスなのに? 。じつは樹脂製なのです。初期の三光PENが樹脂製で、それがガラス製に変更されていたのにEE-3の最後でまた先祖返りです。ファインダーブロックも含めてコストダウンのための変更ですね。道理でカメラが軽くなっているわけです。

 

レンズはカビは無く、ホコリ汚れを清掃します。

 

 

前面プレートは本来ネジ2本で固定されますが、1本省略されています。

 

 

右側も一緒です。ネジ1本のコストダウンというよりはねじを締める工数を低減したのでしょう。面白いのは向かって左側のシボ革は両面テープ貼りで(シボ革が縮んでいます)、右側はゴム糊接着です。右側はラッチプレートがあるため接着力を確保する必要があった? のでしょうね。

 

で、樹脂の対物レンズですが、コンパウンドで研磨をしてみましたが、傷は消えましたが歪が出てしまいます。それでは、ガラス製と交換しましょう。これで拭き上げも安心して出来ますから。

 

う~ん。新しいので問題はないと思っていましたが、頑張ってもこの指針は感度不良気味ですよ。

 

 

セレンでしょうね。調整抵抗で調整をしておきます。

 

 

EE-2以降のフィルムカウンターユニットは作りは少し安っぽいですが良く出来たユニットです。

 

 

あぁ、そうだ。吊環部がへこんでいたんだった。

 

 

完全には直りませんよ。

 

 

最後にホットシューの配線を半田付けして巻き戻し軸をセットしてトップカバーを閉めます。

 

 

純正のフィルターを装着して終了。EE-3の時代になるとコストダウンが激しくなりますね。ファインダーの対物レンズはガラスのままにして欲しかったです。

 

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ジャンクのローライ35Sの巻

2020年11月21日 20時40分00秒 | ブログ

予想されていたことですけど、気温が下がって新型コロナの感染者が再び増加しているとのことで、三連休も自粛でGoToも散々ですね。米ファイザーのワクチンが来月にも承認されると報道されていますがそれに期待ですね。で、ご常連さんが旅先でジャンクとして売られていたローライ35Sを入手されて来ました。え~、ジャンクなんてあるんですかぁ? 私も欲しいです。外観的にはファインダー角に目立つ打痕があるのが惜しいところです。

一応シャッターは正常に切れます。しかし、ファインダーとレンズのカビがかなりひどいです。これではジャンクになりますね。では、清掃などのメンテナンスをして行きます。

 

ファインダー下にある巻上げのアイドラーギヤも固着気味ですので洗浄注油をしておきます。

 

 

ファインダーは分解の上、清掃しました。ブライトフレームの蒸着が劣化が進んでいる以外はきれいになりました。すでに組み込んでいます。

 

電池も長期に過放電状態で入っていたと見えて液漏れによる腐食があります。幸い半田外れはありませんので清掃をしておきます。

 

スローガバナーも清掃注油をしておきます。

 

 

「レリーズの切れる位置が深すぎる」とのご指摘がありました。元々、ロック機構が無いため誤操作防止でレリーズが切れる位置が深いのですが、この個体は本来は入っているはずのワッシャーが入っていないので余計に深くなっているようです。追加をしておきます。

 

レンズはかなり厳しいですね。清掃の結果、後玉のコーティングにポツポツ劣化が残りましたが、他のレンズは清掃出来ました。HFTコートは強いです。

 

後玉の内側が最もカビが生えやすいところ。

 

 

レンズを清掃をして組み立てます。

 

 

じつは、ピント調整時に一問題あったのですが詳しくは省略します。ジャンク価格でお幾らだったのかは分かりませんが、まぁまぁの個体となったようです。隣りは少し前に話題となったタイムスリップグリコのおまけ。ローライフレックス。小パーツはまだ未開封のままです。

 

完成検査で電池を入れましたが露出計の針が動かない・・再度分解をして回路を点検しました。一番怪しい電池接点部分の導通は正常でした。テスターで導通を当たって行くと・・あっ、ここだ。見やすいように断線部分を上に持ち上げました。この部分の断線は初めてです。清掃の振動で完全に断線したのでしょう。

まぁ、まさしくジャンクだわなぁ。回路を新しい芯線でやり直して透明テープで絶縁をしておきました。メーターはちゃんと作動しています。

 

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