最近ね。EE系のメンテナンスのお問合せを頂くことが多いのですがね。オークションで安く入手をしたので、お金は掛けたくないと異口同音におっしゃいます。カメラの相場と修理工賃は関係が無いのですけど、そうも言えませんので安めにお答えするのですが、それでも殆どの場合ご依頼がありません。あのカメラ達はどうなったのか心配しています。で、この個体はそんな中でも部分修理と言う条件で来て頂きました。なんでも、巻上げが硬くなってフィルムが切れるのだそうです。しかし、ダミーフィルムを装填してのテストでは全く異常はありません。そこで、手掛かりのフィルムを検証しています。皆さんは原因の推測は出来ますか?
フィルムの左側の最後のコマ周辺がパーフォレーションが破壊されて多重露光になっています。んっ? 撮影枚数を確認すると「24A」。 ここで気がつかれた方はいらっしゃいますかね。そう、この方は女性の方なんですが、24枚撮りのフィルムが撮影を終っても、無理に巻上げてパーフォレーションを壊してフィルムを切ってしまったと推理します。昔では考えられないデジタル時代だから起きる事故ですかね。しらないけど・・・
オーナーさんがモルトを貼り換えたとのことですが、古いモルトを完全に除去していないのと、不必要な部分にも二重に貼ってあったりで、モルトの接着糊と裏蓋がくっついてどうにもならない状態です。今回はモルトの交換のみという部分修理でお受けしています。しかし、完全に新品と同じように貼り換えることは意外に難しく工数が掛かるのです。上下カバーと裏蓋は分離して、古いモルトの除去に勤めます。
画像が逆になっちゃったかな? これは古いモルトの上に、補修用のモルトを重ねて貼った状態。古いモルトから、粉状のカスがフィルム室に混入しています。ファインダーも汚れていますね。見なかったことに・・・
結局、見てみぬ振りは出来ませんのでファインダーの清掃と露出計の校正をしておきました。フィルム室は完全にきれいな状態。モルトはメーカーの指定個所のみに貼っています。それ以外は必要ありません。底カバーに大きなへこみがありましたので、修正をしてあります。
まぁ、いろいろありましたけど、来てもらって良かった。これで1台救えました。ネガからお子様の写真をお撮りになっているようでしたので、今度は撮影枚数を確認しながらフィルムを切らないようにしてくださいね。