5月の連休はお休みしませんでしたのでご依頼も少ないのでサボらせて頂きました。お休み中は過去にO/Hをした私のセイコー・スリムデートが不調となっていて、腰を据えて原因の追究をしたかったのです。不調の原因は突き止めました。当初、テンプ系かと思っていたのですが、香箱車の上に載っている角穴車と受ケの接触の問題でした。完調となったところで、この時計は1964年5月製で、第18回東京オリンピックが開催される5か月前に製造されたものです。日本中がオリンピック開催で沸き返っていた頃ですね。そして半世紀が経過した来年は再び2020東京オリンピックが開催されますね。当時、私は小学生でしたので自分の意志で競技を観戦に出掛けることは出来ませんでしたので、折角、人生で2度目の東京オリンピックには、是非観戦したいと思いましたよ。そこで、開会式の観戦チケット予約をしてみました。しかし、分かりずらいサイトで、私以上の年寄りには絶対に登録は無理だろうなと思いました。もちろん一番安いE席ですけどね。果たして抽選に当たるでしょうかね。
https://tokyo2020.org/jp/
余談ですが、前回の東京オリンピックは公式計時はSEIKOが担当して、小型水晶時計などの技術が投入されたのですが、今回はOMEGAなんですね。ちょっと残念です。開会式には是非、古関裕而さん作曲の東京オリンピック行進曲を再び使って欲しいと思います。現代の陸上自衛隊中央音楽隊の演奏も良いのですが、やはり当時の音源があの時の雰囲気を伝えてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=1yWLGCobGKI
https://www.youtube.com/watch?v=pzQBQ_fbzFY
バイクのご友人から私たちのレースの先輩(河合充男氏)がお亡くなりになったと連絡頂きました。ここの所レース界に功績のあった方々の訃報が次々と入って残念でなりません。富士での素晴らしい走りは忘れません。ご冥福をお祈りいたします。
さて、不要のPENをお買取りした中で、この個体はPEN-FT #2446XXですが、外観は非常にきれいで丁寧に扱われていたことが分かります。現状は不動ですが、元オーナーさんのご希望通り、これをO/Hをしてご希望の方にお譲りをしたいと思います。ではボチボチ・・
分解傷も見当たらないので、てっきり未分解機と思っていましたが分解歴がありました。しかし、露出計をいじった程度です。すべて洗浄をして下手な半田付けで痛んだリード線も新製しておきます。
基本的に疲労はしていないユニットでシャッター幕に傷もありません。ただし、事前のテストではスローガバナーの低速が固着します。これは油を着けられた可能性があります。根本的な不動の原点はリターンミラーユニットにあります。
使われずに仕舞い込まれていましたね。リターンミラーに劣化があります。使えないこともありませんが新品と交換をして組みます。
基本的には悪い個体ではないのですが、いじった人が余計なことをしてくれています。水油を着けているんです。動かないからと言って油を着けて動くカメラではありません。前板関係にも油が回っていて、すべて洗浄脱脂をしたところ。やれやれ疲れた。
疲れたので気分転換です。取り壊された旧国立競技場には、さまざまな記念物がありましたが、あれらは粉砕されてしまったのでしょうか? ここには18回大会のメダリストと国名が記載されたプレートがありました。
下から二番目はマラソンの優勝者、エチオピアのアベベビキラ。裸足の王様と形容されますが、裸足で走ったのは前回のローマ大会で東京大会ではちゃんとシューズを履いていました。ゴール後にフィールドで柔軟体操をしていたのが記憶に残っています。
天皇皇后両陛下がご臨席のロイヤルボックス(貴賓席)両側には壁画があって、左は相撲の神様(野見)と左はギリシャ神話の勝利の女神ニケと見学会の時に聞いたな。この壁画は保存されると聞いた気がしますが・・
「電光掲示板」は、時代によって改修されているので建設当時の面影はないですね。夕方から行われた閉会式で「SAYONARA」と表示されたのを覚えています。
「褐色の弾丸」男子100mの優勝者、アメリカのボブヘイズが見たスタートラインの景色は・・
第4コーナー付近の白いポールは織田ポールです。織田幹雄選手がアムステル大会において三段跳びで優勝したことを記念してポールの高さを優勝記録の15.21mとしてありました。
川口の鋳物工場で製作された聖火台も新国立競技場での設置で色々と問題になっているようですね。私たち世代では聖火台と言ったらこの形。聖火の最終ランナー、坂井義則君が広島への原子爆弾投下の1時間半後に生まれたことは当時は知りませんでした。選考時に新しい世代があったのでしょう。2014年に若くしてお亡くなりになっています。
旧国立競技場の存続も言われましたけど、実際に見てみると老朽化が進んでいましたね。当時、私が住んでいた立川市に流れる多摩川の川砂を採取してレミコンのトラックが数珠つなぎで都内の競技場建設地へ走って行くのを覚えていますが、道路がセメントで真っ白に汚れていました。突貫工事でしたから耐ちませんよね。
秩父宮記念スポーツ博物館に展示してあった日本選手団のユニフォーム。実況のアナウンサーが「真っ赤なブレザーコート、真っ白なズボン。日本(ニッポン)選手団の入場であります」と言った言葉が忘れられない。
表彰式でフィールドに置かれた表彰台。マラソンの円谷選手が3位の位置に登ったんだ。これまた実況のアナウンサーが「国立競技場に日章旗が揚がります」と言いました。陸上競技では期待された80mハードルの依田郁子選手も力を出せませんでしたからね。立川市営競技場で夕暮れまで練習している姿を見たことがありました。(リッカー所属)これらの記念物を展示する博物館は新国立競技場内に設置されるのでしょうかね。さて、作業に戻らないと・・
前板関係完成。リターンミラーは新品と交換してあります。リターンミラーユニットは例の不明液体が塗られていて動きが固着していました。
シャッター幕と地板に油が回っています、自然にこれだけの油が出て来ることは無いので、故意に油を着けられたようです。油によって地板とシャッター幕が貼り付いてしまうのでシャッタースピードが落ちてしまいます。
スローガバナーやリターンミラーユニットには乾燥すると変質して粘る物質が塗布されています。ユニットごと超音波洗浄をしても動きに抵抗感があって遅いです。特に⇧のガンギ車の中間車の動きが粘って(ホゾ受けでないので)リターンミラーが停止してしまいます。
分解をして部品ごとに超音波洗浄をします。アンクル部の地板には不明の透明液体が乾燥して固着していました。何をつけたんでしょうね。余計なことを・・皆さんは分解はしない方が良いです。組めなくなりますので・・
ふぅ~。個体としては悪くはないのに、いじたった人の仕業がリカバリーに膨大な労力を必要とします。やっと、シャッターユニットが完成です。
途中を飛ばしますが、露出メーターも下手な半田付けで損傷があって交換してあります。外観がきれいだったので今回は騙されてしまいましたね。カメラには罪はありませんので良好な状態に復元しました。
ストロボの発光テスト。
露出計の調整、各レンズによるピント確認。
元はほとんど使われない状態でフリクションの増大により不調となった個体でしょう。それをいじられたので返って状態を悪くしてジャンクとなっていたのですね。益々個体数が減少していきますから、このような個体を救出して現役復帰させていかなければならないと思っています。ご希望の方はお問合せください。
お譲り先が決まりました。お問合せありがとうございました。
http://www.tomys800.sakura.ne.jp/