今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

SEIKO LMスペシャルを仕上げるの巻

2015年11月28日 21時52分04秒 | ブログ

今日の東京は晩秋の青空が広がって気持ちの良い一日でした。通院日のため新宿に出掛けまして、帰りにヨドバシ寄るため歩いてスナップなどをして行きました。最近とみに感ずるのは新宿駅の老朽化です。新しいターミナルビルを建設中ですが、まだ相当の時間が掛かりそうで、補修が行き届かないため余計に劣化が早く感じます。東京オリンピックの頃は、代々木体育館などと同じく、この新宿駅のコンクリート打ちっぱなし造形は近代的だと感じましたが、現在はかなり老化した姿に見えます。

献血センターの前で古本市が開催されていまして、引っかかりました。

 

 

昔読んでどこかにあるはずなのですが、余計なものを買ってしまいました。

 

 

地下街への入り口も、当時は洒落ていると感じましたが・・昭和のデザインですね。

 

反対側。

 

 

地下通路を歩く人の数が確実に増えています。だいたい半分近くは中華・東南アジア系の観光客です。

 

で、本題。ちょうどPENの作業が途切れたので、手持ちの時計を仕上げようと思います。SEIKO LMスペシャル5206-6120です。ケースは美品ではありませんが、すでに軽く磨いてあります。風防ガラス、竜頭、巻き芯とベルトは新品を使う予定。

機械は未分解か一度のオーバーホール歴ぐらいでしょう。特に摩耗の進んでいるところは見当たりません。秒針停止(ハック機能)が出来ませんでしたが、原因は規正レバーバネが外れていた可能性(画像)があります。二番受を外したことで外れた可能性もありますが・・特に部品の不良は認められません。

すべて分解洗浄をして、これから組み立てて行きます。

 

 

先日も同じ機械をuPしていますので簡潔に。香箱車、二番車などを組んで行きます。

 

秒針カナに注油をします。

 

 

ガンギ車に注油をして、取りあえず動き始めています。しかし、テンプの片振りと50秒程度の遅れで、過去に調整をいじられたようです。ひっくり返して日ノ裏側を組みます。角穴車はこちら側にあります。筒カナなどをセットします。

 

 カレンダーが高級機と同じ0時で瞬時に切り替わる方式なので、部品点数は非常に多いです。それゆえ、オーバーホールをしていない個体はカレンダーの作動不良が多いようです。

 

 文字盤と針を付けます。

 

 

ケースの組立。全て洗浄済みで、風防ガラスを圧入します。

 

 

パッキンに挟んで風防ガラスを取り付けました。

 

 

新品の巻き芯は長いので、ケースに合わせてカットしなくてはなりません。そもそも、なんで巻き芯と竜頭を交換する羽目になったか? 単純な話、保管中に私が無くしてしまったのです。(;´・ω・)一見、SSの竜頭は摩耗が無いように見えますが、やはりローレットの角が磨滅していて、指の掛かりが新品の方が良いのです。さて、巻き芯をカットしますが、一気にカットすると短い時には戻せませんので、何回かに分けて慎重にケースに合わせて行きます。

使い込むうちに、竜頭と巻き芯のネジが絞まって短くなる場合があるので、心持長めにしておきます。

 

タイムグラファーにて基本の歩度調整をして裏蓋を閉じます。

 

 

今日は外出で作業は無し。歩度は平置きで+3秒ぐらいでしょう。純正のSSベルトが消耗しているので使いたくないです。しかし、特殊なデザインのため、普通のベルトよりも幅の狭い16mmのベルトで、ラグの取付け部分は14mmという規格は適合するものが少ないのです。1つ見つけましたがデザインが気に入らない。ということで、新品で入手をしたラグも16mmのベルトを14mmに加工をして取り付かないかという検討。

片側1mmづつ詰めれば使えるのでは・・

 

 

で、このように削ってみました。

 

 

一般的なケースの場合、ベルトのラグ幅は18mm程度が多いのですが、このケースの場合は16mmと少し細いベルトを着ける組み合わせです。まぁ、そこそこ似合っているのではと思いますね。1972年製と亀戸工場、自動巻高振動系(8振動)の最終型の優秀な機械で、52キングセイコーへと発展しました。現行の4S系のルーツともなっています。決して美品ではありませんが、高性能な当時の機械式腕時計を安心して使ってみたいという方にはぴったりと思います。ご希望の方がありましたらお譲りいたします。

tomytmzk@titan.ocn.ne.jp

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旧ソビエト製ジュピター9/11らしいのだが・・の巻

2015年11月25日 23時08分39秒 | ブログ

ご常連の「茶ぐれ」さんから。。旧ソビエト製のジュピター9 8.5cm f2というレンズが来ています。最近ご常連さんの方々からPEN以外のご依頼が増えていまして・・ちょっと複雑。ゾナーコピーの優秀なレンズだそうですが、ヘリコイドグリス抜けとのことでしたが、回転はかなり重症で、グリスだけのことではない気がします。製造の精度が良くないのかも知れませんが、計測して行くと赤印方向が圧縮されているのかも知れません。

レンズは前玉にキズがありますが、他のレンズは比較的きれいです。しかし、何度も分解を受けていて、イモネジもガタガタです。

 

慣れないレンズなので画像を撮り忘れました。(余裕が無かった)新しいヘリコイドグリスを入れ替えてみましたが、ある角度で回転むらが出ます。グリスだけの問題ではなく、加工精度か使用過程での変形があるようです。まぁ、ラップを繰り返すうちに少しづつ改善しましたが。。閉口したのが、分解時に飛び出してきたスプリング。どのようにセットするのが正しいのか?

まぁ、色々考えて、一番スムーズに回転する組み方としました。その他、レンズと絞り羽根を清掃して終了。しかし、ヘリコイドの回転が、途中でスコッと抜ける部分があって、やはり真円ではないようです。

 

ジュピター11 13.5cm f4と言うレンズです。内部はグリスが多量に塗布されていて劣化をしています。清掃をして行きます。

 

繰り出しは普通のヘリコイドではなく、螺旋溝で送る設計ですね。PENとは送り出し方向が逆です。グリスが切れています。

 

分解可能の部分は分解とグリス塗布、レンズの清掃をして行きます。

 

 

繰り出しは改善しましたが、ヘリコイドネジのような精密感に欠けます。二つのレンズを繋げると・・ボストークロケットみたい。

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フィルター固着の42mm(PEN-FT)の巻

2015年11月22日 13時38分04秒 | ブログ

大口径で重い42mmですから、装着したフィルターをぶつけるとダメージが大きく、変形をして外せなくなる事がありますね。の部分が変形をしており、アルミ同士ですから噛み込んで絶対に回せなくなります。

 

倍力装置や修正工具を使用しても全く外せないため、最後の手段で本体とレンズにダメージを与えないよう注意をして破壊で取り除きました。

 

PEN-FT(B)はフィルム巻き上げ不良、ファインダー曇り、油切れの症状などの症状があります。タイマーレバーがお辞儀気味ですね。では、FT本体から・・

 

特に問題のない個体と思いましたので、UPは簡単にと予定しましたが、個体によっていろいろありますよね。これも特に問題は無いのですが、たまに見かけます。フィルムカウンターのレバー用の貫通穴の左側。隙間が空いていますね。湯が回っていないようです。過去にモルト貼り替えを受けていて、穴の右側部分。本来はモルトが貼られていない部分まで、乱暴に擦られて塗装が剥離していますので、タッチアップをしました。

スプロケット不良ですので交換をして組み立てて行きます。

 

 

シャッターユニットを分解洗浄して点検をします。ブレーキのナットが緩み気味でした。緩み止めのポンチを打っておきます。スローガバナーは改良タイプなのでギヤの摩耗はありません。

 

シャッターユニットは本体に搭載。調子は良好です。オーバーホールをしたリターンミラーユニットを組み込みます。

 

この個体もアイビース枠が破損していました。取付けネジは頭の大きなタイプに変わっているのですが、破損があることからシューを取付けて負荷が掛かったのでしょう。今回は特に交換のご依頼はありませんので、接着補修で再使用とします。

#2808XXですから、プリズムの腐食やコーティングの劣化は無く(汚れはありました)清掃で再組立をします。

 

ほぼ組み立て終了ですね。セルフタイマーレバーを水平に調整しておきます。

 

UPの順番を間違えました。この個体はかなり使い込まれていて、布製のカメラバックの出し入れを頻繁にされたのでしょう。内部はホコリまみれでした。

 

ハーフミラーは新品交換、フィルムカウンターの戻り不良、ファインダーピントズレ、露出計感度低下など補正をしてあります。

 

一応完成なのですが、シャッターダイヤルの「B」のオレンジ色が退色していますね。

 

オレンジ(黄)系の色は退色しやすいのです。入れ直しておきます。尚、初期型はオレンジではなくです。

 

 

42mmは過去に分解を受けていまして、ちょっと問題ありですよ。

 

 

中玉ホルダーが抜け来ません。工具穴が力を掛けて荒れています。ネジの一部の黒アルマイトが剥離していますね。この部分が変形しているのです。(対極にもあり)これは今回のフィルター変形の以前に、過去にも同じようなダメージを受けていたということです。

工具を掛ける穴が荒れています。無理に分解を試みたようです。

 

 

無理に分解をしない方が良いです。何とかレンズの清掃が終わりました。リングのイモネジが1つ欠落していました。自然に抜けることはありませんので、分解して留め忘れてのでしょう。追加しておきます。ローレット部の手油もすべて清掃してあります。

 

ブラックFT+42mmは羨ましいですね。いろいろありましたが、決して調子は悪くはありません。どんどん使って頂いて結構ですよ。

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平和そうなPEN-FVなんだがの巻

2015年11月18日 20時06分08秒 | ブログ

「しばらく使用していなかった」と言うPEN-FV#1100XX、とのことですが、巻き上げのゴリ感と低速が少し? かな。という気もしますが悪い個体という印象はありませんね。圧板のリベットが片方飛んでいます。レンズは汚れがあります。

 

たぶん未分解でしょうね。接眼プリズムのホルダーがアルミ製ですので、FTで言うと10万台付近の個体です。

 

この頃の個体は光学系の劣化に気を付けなければなりません。プリズムのコーティングが曇っています。同じように見える場合でも、清掃で剥離する場合とセーフの場合。今回はセーフでした。

 

すでに洗浄をして組み立てて行きます。スプロケット軸を組んでいます。

 

 シャッターユニットを洗浄しました。特に問題はありませんが、この頃はスローガバナーが改良前なんですね。その場合は注意が必要でして・・

 

ユニットを洗浄すると・・激しく腐食しているギヤがありますね。

 

 

一番の問題はギヤの摩耗。先日FTのオーバーホールをしたオーナーさんから「1/4に回す時に重くなる」とのご指摘がありました。昔から繰り返し書いているのですが、皆さんに周知されないのは私の非力。1/4からギヤが切り替わるので、シャッターダイヤルを1/4へ回す時に無理をするとギヤが欠けてしまいますと言ってますよね。画像のようになります。この個体は何とか作動をしていますが、そのうち低速不調になるでしょう。いえ、なります。

ま、何とか折り合いを付けて安定して作動いるように調整してあります。では、前板側とドッキングします。

 

ルーペと接眼プリズムを組んでいます。特に問題はない個体と思ったのですが、スローガバナーの調整で思わぬ時間が掛かりました。予期せず後頭部を叩かれる? ことは発生するものです。

 

 

すみません。バイクの部品を磨いていたのでUPをサボりました。実際の作業終了してすでにお帰りになりました。で、この頃からアイビース枠の留めビスが頭の大きな専用ネジから頭の小さな汎用ネジに変わったので、殆どの個体でネジ頭がプラの穴に潜り込んで割れています。プラの穴に対して僅かに頭の大きなネジを使えば、こうなることは分かりそうなものですけど・・

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接着補修をしてワッシャーを入れて留めておきます。

 

 

全反射ミラーは新品と交換してあります。セルフタイマー及び駒数計部分は初期のタイプが使われています。

 

圧板の上側のカシメが飛んでいますね。オリンパスの場合はこれが多いのです。部品の設計とカシメ方に問題があると思っています。使用過程で自然に脱落するものもありますが、乱暴に圧板を取り外そうとすると、破損の危険が非常に高いです。お気を付けください。

FV本体は、スローガバナーに問題がありますが、その他は非常にコンディションの良い個体です。付属の38mmを清掃して完成です。

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同じリコーでも腕時計の巻

2015年11月16日 20時44分44秒 | ブログ

北海道のINOBOOさんから来たのはリコーはリコーでも腕時計の方。ダイナミックワイドというモデルで、現在でも評価が高いです。しかし、秒針はうんともすんとも動きませんよ。だめなんじゃないの?

 

ダイナミックと言うように、ケースは大柄(ラグ19mm)で立派ですね。致命的な打痕や腐食は少ないですが、風防ガラスにも傷が多いです。

 

で、自動巻きのローターのベアリングにガタが多く、中心の留めネジの頭が半分折れています。

 

応急処置をしてもテンプまでトルクが来ませんね。輪列に何か原因があるのかなぁと思いましたら・・これかな? なんと、ローターの折れたネジ頭の半分が二番車に挟まっています。

 

原因が分かればなんとか動くようになるかな? すべて分解洗浄をしたところ。

 

ずいぶんと肉厚な地板だこと。もっと肉抜きは出来るでしょうに・・では、組立て行きます。

 

おもしろい設計の機械ですね。アンクルの形状を見てください。アンクルの丸穴の中にドテピンはなんと1本(通常は2本)の設計です。

 

組むとこのようになりますね。

 

 

口径が29mmと大柄の機械なので、テンプも大きく設計されているため、精度も優秀なようです。耐震装置はちょっと、しょぼい感じですが、分解組立はやりやすいです。

 

カレンダー機構の部品点数は多い方ですね。最後にバネを飛ばさないように・・

 

どこかの曜車に似ているなぁ。文字盤は厚くがっちりとした作りですが、曜車はペナペナに薄くて、過去の分解でヨレていますね。

 

自動巻き機構を組み込んでおきます。

 

 

文字盤と針を着けました。ケースはリューターによる研磨はせず、軽く磨いてあります。風防も。

 

タイムグラファーにセットしてみると・・とんでもなく200秒以上の遅れと片振りがあります。過去にどんな調整をされたのでしょう?

 

似てますよね。隣はもちろんパチモノのデイデイト。デザインの影響を受けているのでしょうか? おもしろいことに、文字盤にはRICOHの文字は見当たりません。W(ワイド)をブランドにしていてのでしょうかね。なるほど大型でダイナミックな印象。ケースの感じがセイコーで言うと手巻きのチャンピオンの雰囲気に似ています。

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