今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ローライコードⅢのメンテナンスの巻

2021年03月26日 19時00分00秒 | ブログ

暖かくなって来ましたのでウォーキングをしたいのですが、最近は膝関節の調子もイマイチなので自転車を整備して町内を走って来ました。しかし、春は風が強く、向かい風だと自転車が進まない~。最近は若い女性のママチャリにも抜かれますからね。で、大阪のご常連さんからローライコードⅢが来ていました。なんでも祖父様のカメラだそうですが、状態はすごく良いと思いますね。

スクリーンの汚れも少ないです。これは過去にメンテナンスを受けていると思いますね。

 

 

フードを外してみます。内部のホコリ汚れも少ないです。ミラーは周辺にメッキの劣化がありますが、国産の二眼レフミラーよりローライのミラーは劣化が少ないと思います。Ⅲ型は1950年発売のようですから尚更です。内部の清掃とミラーの拭き上げで良いでしょう。

 

しかし、シャツターがいけません。スローが全く動きません。今回はシャッター中心のメンテナンスですね。

 

では、本革のシボ革を剥がします。ビニール製とは一長一短ありますが、本革は剥離時にアルコールや溶剤を使うと革が硬化変質したりしやすいので使えません。しかし、ブラッシングで汚れを落としてクリームでメンテナンスが出来ますね。

 

コンパーシャッターですがセルフタイマーは組み込まれていません。過去に開けられていました。

 

 

スローガバナーは結構重症でフリーポジションに復帰しません。超音波洗浄と注油をしてみます。

 

 

作動は良好となりましたので本体に組み込んでいます。

 

 

シャッタースピードレバーと絞りレバーの動きがグリスの硬化で重いようでしたので分解をしてグリスを換えます。

 

各部品を洗浄します。組み込まれているピンのバネを紛失しないように・・

 

スクリーンを洗浄しますがスクリーンを押さえるリーフスプリングが折れています。本体内部には残骸は見当たりませんので過去の分解時に取り除かれたようです。

 

規格の合うリーフスプリングを探して来ました。

2008年にメンテナンスを受けているのかな?

 

 

35ミリフィルムを使用するために圧板がスライドするようになっていますのでタイプ2でしょうか。

 

スローも快調になりました。ローライコードの中でも状態の良い個体でした。

 

明日27日は都内の病院に定期健診で行きますので作業はお休み。帰りに中古店様に廻る予定。

 

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歴戦のローライ35の巻

2021年03月22日 15時10分00秒 | ブログ

ずいぶんと状態の悪いローライ35ジャーマニーです。外装も汚れ放題でトップカバーなどのへこみも目立つ歴戦の勇士というところでしょうか。しかし、このような個体も嫌いではありませんよ。道具としてしっかり本分を全うしているということです。すでに外装は洗浄したのですが状態は全くの不動で巻上げも固着しています。

移動時に収納していたケースと擦れていたのか梨地メッキの磨滅とCds受光部の陥没があります。

 

 

過去に何度も分解を受けているようです。HONEYWELLとのダブルネーム機ですね。

 

 

あ~、あまりにぐちゃぐちゃだったので画像を撮り忘れました。すでに直してしまいましたが不動の原因はギヤのタイミング間違いでした。このカメラはギヤの連動が胆の設計で、それを理解せずに分解をしてしまうとタイミングが狂ってしまい正常に作動しなくなります。

 

露出メーターの針の動きが非常に不安定です。メーター窓左の導通確保用ネジは緩んでいませんでしたが、レリーズ部のネジが欠落していますね。一度ユニットを分離して作動を確認します。

 

ジャーマニー製ですが、#30477XXぐらいになるとギヤは樹脂製に置き換わっています。

 

 

初期型の場合、Cdsが劣化をしてメーター不動や針の動きが鈍いなどの症状が出ているものが一定数ありますね。

 

ユニット単体でテストをしています。針が不安定に動いていますね。

 

 

原因はこれです。メーターカバーを留めているネジが緩み止めはされていますが塗料なので外れて2本共緩んでいます。これは過去にも事例があって、緩む原因は追針を動かすリンケージ(メーター前端)に力を受けているからです。

 

メーター窓は再接着をされいて接着剤がはみ出しています。傷も多いので再研磨をして接着をします。

 

 

次はシャッターユニットです。レンズ前端のカバーリングは古くなると白化して来ますね。黒アルマイトに剥がれもあります。

 

レンズはかなり汚れていますが、後玉の内側に入り込んだホコリ(チリ)でカビではありません。

 

 

シャッター羽根を開閉させるブレードリングとブレードシムに多少の劣化がありました。湿気の侵入かな?

 

 

前玉を清掃をしてヘリコイドグリスも交換しました。このストップリングでレンズの回転範囲を規制しています。仮に無限遠付近に合わせておきます。

 

前端の黒アルマイト剥離のタッチアップとカバーリングの白化を戻してあります。その他、彫刻文字の色入れ直し、絞り、シャッターダイヤルの樹脂プレートの研磨をして完成です。この個体は自然故障ではなく間違った分解組立により不動となっていたもので、何を直したかったのでしょうね。外観に難はありますが、レンズやメカには問題はなく調子は良好です。実用するジャーマニーが欲しい方に持って来いと思います。

 

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きれいなトリップ35の巻

2021年03月20日 22時20分00秒 | ブログ

家の仕事をやっておりまして少し間が空きました。じつは、今年はコロナの件もあって初詣に行きそびれていまして桜の咲き始めた18日にやっとお参りすることが出来ました。立川の諏訪神社ですが、その隣の小学校が私の母校なんですが、久しぶりに脇を通りましたが浦島太郎状態でしたね。当時の建物は一つも残っておらず、恐らく校門横にあった二宮金次郎の銅像も無くなっているんだろうなぁ。当時、文房具屋さんや自転車屋さん薬屋さんが並んでいた通学路は商店がすべて無くなって住宅が建てられているところでした。どの業種も個人のお店では成り立たないので商店街が消えて行くのでしょう。♬桜咲く丘澄む流れ杜に広場に陽は萌えて~武蔵立川柴崎に校章はゆる学び舎に~かぁ。

で、あまり作業はしていませんでしたので遅れて来たペンマニアさんのトリップ35を簡単にUPしておきます。ほぅ、PENのコレクションは殆ど完成ですかね。ブラックモデルですけど、ソフトケースに入って保管されていたので程度は非常によろしいと思います。作動も特に問題はありませんのでメンテナンスをしておきます。

トップカバーを開けてみるとPEN-EEと同じ眺めですね。基本設計を共通として安価に市場に35ミリカメラを供給しょうというモデルですね。

 

モルトは劣化していますので清掃で新しく貼り直しておきます。

 

 

レンズは分解をしてみませんとカビなどの汚れが分からないので分解をして行きます。レンズは非常にきれいですね。羽根にも汚れや腐食はありません。清掃をして組み立てます。

 

絞り羽根の部分のみEE系とは形が異なります。レンズは非常にきれいですね。

 

 

露出計の感度も低下はなく良好でした。その他、ファインダーと外観の清掃とついでに付属品も磨いておきました。

 

 

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これはきれいPEN-Wの巻

2021年03月16日 19時50分00秒 | ブログ

遅れて来たペンマニアさんからまたまた送られて来ましたよ。元箱付きのPEN-Wですが、外観はかなりきれいですよ。

 

純正フィルターは新品のようにきれいです。しかし、シャッターは不動でファインダーも曇っています。

 

この塗膜をご覧ください。塗り肌の艶消しがそのまま残っています。使われていませんね。

 

 

前面の塗装も劣化がありません。ピントリングなども完璧な状態。これは未分解機と思ったのでしたが・・

 

確かにトップカバーは開けられていません。トップカバーを分離するにはシューカバーを取り除く必要がありますか、この個体は引っかかって取り除けない。カバーをそのまま取り付けると少しカバカバするよにう動くんですね。工場ではそれを防止するためにの角を少し曲げているのです。しかし、曲げ過ぎると取り外せなくなります。まぁ、PEN-Sなどの梨地クロームなら傷もつきにくいのですが、PEN-Wは塗装ですし、この個体のように無傷となるとすごく気を使います。で、裏技で取り外しに成功。慣れない方だと多分傷だらけ間違いなしです。

シャッターを分離しました。あれ? このシャッターは分解を受けていますね。途中で修理されているのに動かないということか・・

 

作業としてはいつも同じなんですけど、シャッターを分離するとシンクロ接片の半田付けが取れました。反対側の接片が取れることが多いのですが珍しい。

 

霧の遁兵衛か伊賀の影丸、忍者の手裏剣みたいなシャッター羽根。これでは動きません。

 

シンクロターミナルを直しておきます。

 

 

微妙な半田付け。

 

 

下塗りにグレーのプライマーが使われている塗装は比較的状態が良いように思います。

 

 

あっ、ピンボケだ。で、完成したシャッターユニットを本体に取付けようとネジを絞め込んだところ・・なんかスムーズに入らないし斜めに入るようです。たぶん、途中でシャッターの修理を受けた時にネジを斜めに締め込んだのでしょう。そのまま見なかったことにすれば出来ますが気分が良くありませんので再びシャッターを分解しました。ねじ山の矯正にはタップを通してしまえば確実ですが、材質がアルミで条数が少ないですからタップ通しによってねじ山が痩せているとズルッとねじ山を壊してしまう危険があるので、裏側の正しいネジ山が残っている側から少しづつ締め込んでねじ山を矯正していきます。

レンズは後玉にバルサム曇りがありますけど他の標準的なレンズと比較すれはかなり良い方です。しかし、海外の北米に有った個体などにはもっと良いコンディションのものがありますからバルサムには使用による紫外線より高温多湿の方が影響が大きいのかもしれませんね。

 

あら~、シャッター以外は未分解と思っていましたが駒数ガラスも交換されていますね。たぶんクラックが入っていたのでしょう。塗装機の場合はエポキシ接着剤と塗装面の貼り付きが強いため剥離は困難なのですが、もう少しきれいに出来ないでしょうかね。

 

ファインダーは対物レンズのみ分離されていました。1枚にカケがあります。

 

 

ファインダーを組み込んだトップカバーを本体に取り付けます。

 

 

PEN-Wまで合本になった取説があるんですね。これも貴重です。当初は完全未分解機と思いましたが、修復の手が入っていましたね。しかし、現存の個体の中では上位に来るコンディションの個体であることは間違いありません。しかし、遅れて来たペンマニアさんは何台のPEN-Wを所有されているのか私も分からなくなりました。おそらく日本一のコレクターさんでしょうね。#1043XX 1964年10月(東京オリンピック開催年月)製。

 

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初期型もブラックあるんだローライ35の巻

2021年03月11日 22時00分00秒 | ブログ

これは高そうだなぁ。初期型のジャーマニーにもブラックモデルがあるんですね。#30107XXというと1966年発売が#3000201~1971年までが#3311000となっていますから1966年か67年ぐらいの製造?良く知らんけど・・当時のオリジナルかは不明ですがソフトケースとストラップ付です。過去に分解は受けていて、ネジが痛んでいるのが気になりますが、大きな不具合はないようです。

クロームもジャーマニーなんですけど、圧板のバネが違いますね。本当の初期のみの仕様のようです。

 

ジャーマニー製はファインダーはプリズム製ですが、前から見て素通しの仕様と思っていましたが、この個体はシンガポール製などと同じ鏡のように反射するタイプです。ローライ35のファインダーの仕様は沢山あって正確には分かりません。

 

スプール軸上部のギヤが組立式ですね。パーツリストによると1967年までで、それ以降は一体物になるように記載されています。各部軸受けの清掃注油とスローガバナーの洗浄をしておきます。

 

トップカバーの材質はアルミで塗装ではなく黒アルマイトですね。洗浄をしてみると何やら文字らしきものが浮かんできましたよ。たぶん名前入りのテープのようなものが貼ってあったのでしょう。露出計の窓は再接着をされていましたが接着剤により曇っていますので一度分離をして研磨をします。

トップカバー横の留めネジはスリ割りネジのはずですが、こちら側だけ+ネジになっていましたので手持ちの純正ネジと交換しておきました。

 

レンズを下にすると沈胴が下降してしまいますね。分解調整が必要です。

 

 

沈胴のチューブを分離しました。摩耗やスリ傷もなくきれいです。

 

 

マウントの内周に入っているフェルトがヘタっているので取り出して調整をします。

 

 

チューブを挿入するチューブスライダー?を製作しておきましたので挿入は簡単です。ローライの工場でも多分同様なSST を使用していたはずと思います。これがないと挿入するのは困難です。本来はジュラコン材で製作したかったのですが、管理が悪くストックが見つからないので塩ビで作りました。まぁ。どっちゃでも機能はします。 

密閉性の悪いシャッターユニットですからどうしてもレンズにはチリが付いていますので分解清掃をします。ピンセットの部品は以後の標準とは形状が異なりますね。 

 

シャッターユニットを組み込んでフィルムレールを取り付けます。

 

 

ここのネジは殆ど緩んでいます。力の掛かるネジがM1.4では緩みます。

 

 

フィルムカウンターの作動をテストすると14枚から先に進みません。初期型には補助バネが入っていないのです。で、製作して取り付けました。

 

で、実際にフィルムを入れて36枚まで巻き上がるかのテストをしました。合格です。ただし、現在は36枚まで巻き上がらなくても・・その他、シューのレールが曲がっていましたので修正をしてあります。初期は巻き戻しレバーの座が黒ではないのですね。

 

これは次のジャーマニーです。電池室の絶縁フィルムがすごい色をしています。電池の液漏れがあったようですが、幸いひどいことにはなっていませんでした。清掃をして新しいフィルムに交換しておきます。

 

いつものメンテナンスをしてシャッターのテストをすると、B(バルブ)が止まらずにシャッターが切れてしまいます。原因はここのレバーの固着です。

 

正常に作動することを確認して前面カバーとダイヤルを取付けて行きます。

 

 

たま~にあるんですが、レンズ前面のカバーリングが強いすり鉢状に癖が付いているものがあります。ここは将来メンテナンスで必ず分解をするので再分離が困難なほどの強力な接着剤を使用することが出来ません。よって一番目立つ体裁面ですからこのような変形リングを接着するのに苦労するのです。

 

これはまた別のジャーマニー。の角にアタリがあって出来るだけ修正を試みるのですけど、この部分にアタリがあるとファインダー窓が変形するのです。これを修正することは非常に困難です。

 

最後の5台目はローライ35Sのブラックですが、目立った不具合はシャッターの低速不調ぐらいですので通常のメンテナンスをして行きます。

 

スプール軸の清掃注油、ファインダーの分解清掃、スローガバナーの清掃注油、チャージギヤ軸の分解清掃、メーター窓のモルトの修復、電池室の絶縁フィルム貼りなどを洗浄をしたトップカバーをセットします。この後はシャッターユニットを分離してレンズの清掃などをして完成します。

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