今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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鉄道時計の19セイコー+PEN-FT(B)

2013年07月28日 22時54分00秒 | インポート

Img_234942 熱帯夜かと思ったら、朝方は涼しくて夏風邪を引いてしまいました。調子悪いです。近くの昭和記念公園の花火大会も雷雨で中止になりまして、まったく天気が安定しません。では、ボチボチやりましょう。衝動買いしたPEN-FT(B) #2873XXと国鉄にお勤めだったお父様の鉄道時計19セイコーが来ています。不動の原因を調べると、過去に時計の修理屋さんに修理以来をしたというテンプがすごいことになっています。元々は天真が磨耗しているだけだったと推測しますが、天真の入れ替えで、天輪はヤスリで削ってヨレヨレ状態。天真も斜めに入っていて、接着剤で留まっているようです。プロの時計師さんの修理とは、とても思えませんね。PEN-FT(B)の方は、衝動買いとのことですが、チェックすると、巻上げが2回巻上げになることと、レバーがスムーズに復帰しませんね。巻上げのゴリツキ、ファインダー暗いなどが気になりますが、シャッターと露出計はまぁまぁと判断します。

Img_235052 ただし、裏側を見ると、電池蓋が恐らくキヤノンのFT系のものが付いていますね。へぇ、付くんだぁ・・

Img_235162 19セイコーはテンプASSYが完全にダメですので、部品調達までFTを先にやります。トップカバーを開ける時、セルフボタンが外れない。ボタンの面取りが大きいタイプの場合は、専用のレンチでも、掛かりが僅かとなり外れないことがあります。今回は、裏業を駆使して開けました。トップカバーを開けてみると、意外に、この個体は未分解機ですね。セルフボタンが緩まないので開けられなかったということかも知れません。

Img_235245 巻上げレバーです。途中で戻りませんね。地板とレバーが接触しています。原因が分かる人?

Img_235362 アルミ黒アルマイトのレバーと地板が接触していますね。原因は・・

Img_235744 巻上げレバーの中心にねじ込まれているベアリング受けが僅かに浮いているのが分かりますか? 漠然と見ていたのでは分かりませんよ。

Img_235821 レバーユニットを全て分解したところ。本来は、ベアリング受けは硬く締め込まれて組立されていますので(単独のパーツ設定はありません)本来は緩まないのですが、中には緩んでしまう個体もあるのですね。因みに、ベアリングは樹脂のホルダーに上下6個づつのスチールボールで保持しています。

Img_235555 では、いつものように組立てて行きます。洗浄、注油をしたスプール軸ASSY。上部のカムは反時計周りには回転し、逆回転は板バネによりロックされて回転しない構造。

Img_236156 超音波洗浄をしたシャッターユニット。2回巻上げの傾向がありますので、ギヤの磨耗が懸念されましたが、意外に磨耗は進んではいませんね。

Img_236277 部分的に画像が増えましたので、途中省略して本体と、前板関係は完成しています。

Img_236762 すみません。夏風邪を甘くみました。今日はやっと峠を越えたようです。みなさんも寝苦しい夜が続きますので、寝冷えをしないようにご注意くださいね。で、FTは電池蓋を交換して完成となりますが、塗装は後ほど行いたいと思います。

Img_237052 とりあえず完成としておきます。最初の印象は、塗膜が光り気味で、2回巻上げ、巻上げレバー戻らず、ファインダー暗い、電池蓋規格外、等々あまり良いものではありませんでしたので、「衝動買いしちゃって・・」と思いましたが、基本は悪い個体ではありませんでした。巻上げスムーズ、シャッター快調、ファインダー明るく、露出計元気と素晴らしい個体に復活しています。付属の38mmも清掃をしてあります。

Img_236311 で、問題の鉄道時計19セイコーですが、過去にテンプを修復不能の状態に壊されていて再使用が出来ないため、オーナーさんに部品取り機を調達して頂きましたが・・同じ機種ですが、製造時期の違いにより、テンプの仕様が異なっており、使用が出来ない状況となりました。調達のテンプは、ピンセットのものより古い、天輪が切れているタイプです。鋼のひげゼンマイの熱歪みによる精度への影響を防止するための加工とのことです。

Img_236421 仕方がありませんので、部品取りとして調達をした個体を復活させることは出来ないかトライすることにします。しかし、この個体は、テンプもこの個体のものではないようで、アンクル、ガンギ車のと整合性も合いません。部品を寄せ集めて動かそうとしたが果せず手放したというところでしょう。

Img_236955 左は昭和28年製のご依頼機。テンプが良品であれば、なんの問題も無い機械です。右側がジャンクを組立てた機械。当初は、まったく作動はしない状態でした。アンクルの爪石とガンギの関係は全く不適、アンクルのケン先が短く、振り座に届かないので、元々のセット部品ではないのが分かります。(アンクルは依頼機を使用)テンプは天真の磨耗、ひげ玉の位置不良、ひげゼンマイの変形など修正すべき個所が沢山ありました。しばらく作動をすると、ひげゼンマイが天輪のアームに接触をして抵抗でテンプの振りが落ちてきます。時間を掛けて修正が必要です。

Img_237133 外装などは昭和28年製のものを使います。文字盤の材質も、製造時期によって違いがあるようです。部品取り機は一般的な印刷でしたが、この個体は瀬戸びきです。前回分解した方の指紋がベタベタと付いていましたが、焼物なのできれいにクリーニングが出来ました。白地もヤケやクラックも無く、大変良いものです。但し、落下などの衝撃では、割れる危険性があります。

Img_237252 ブルーの焼き針もきれいです。ケースのリュウズが収納する部分には、真鍮の腐食による緑青がありますので、清掃しておきます。

Img_237364 永い勤務で使用されたために裏蓋もへこみがありました。軽く修正をしてあります。

Img_237451 左が正規の機械。適合するテンプの入手が出来るまで、ジャンク機を代替で入れてあります。傷の多いプラ風防を研磨して一度完成としておきます。19(ジュウク)セイコーは昭和4年に鉄道省に正式採用されたとのことですので、ルーツは古いですね。戦時中は、この機械を基にした航空時計なども製造されたようです。鉄道時計ですから懐中時計マニアだけでなく、鉄道ファン(鉄ちゃん)にもコレクターが多く、状態の良いものの相場は高いようです。

Img_237534 で、FTに戻って、電池蓋の塗装をしてあります。

Img_237934 これで全て完成となりました。

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セイコー・ベルマチック+PEN-EE-2のメンテナンス

2013年07月25日 15時53分10秒 | インポート

Img_2318 北海道のINOBOOさんから時計とEE-2が届いています。まず、時計は、セイコー・ベルマチック4006-7010の27石ですから、国内用として販売されたものです。何が特徴かというと、目覚まし時計のように、セットした時間でベルが鳴るのですね。ビジネスマンの出張用などに重宝されたようで、長期間、製造されていました。今なら、電子的に簡単に実現できる機能ですが、機械式で実現していたという点で高度な技術で作られていて、部品点数も普通の腕時計の倍ぐらいじゃないかと思います。ベルと言っても、今で言う携帯のマナーモードのような振動音ですけどね。ヨーロッパなとでは、きれいな音色で鳴る高級な時計もあるようですね。

で、風防の痛みが大きいので、新品と交換をご希望です。しかし、純正の風防は入手が出来ず、社外新品を調達してありますが、特に、防水型のリング付き風防は、寸法が合わずにケースに圧入できないことが多いので心配です。ついでに、小傷の多いケースとベゼルを研磨しておきます。

Img_232054 ケースから取り出したムーブメント。ブラック文字盤が精悍ですね。劣化も少ないです。外周のインナーベゼルがリューズによって回転して、ベルを鳴らす時間をセットします。

Img_231962 機械裏側。自動巻きの回転錘を取り外したところ。自動巻きの地板部分に、回転錘が接触をしていたスリ傷がありますね。しかし、ベアリングの磨耗はそれほどでもなく、回転錘の取り付けが緩んでいたようです。

Img_232344 各部の分解注油をしています。普通の腕時計と違うところは、ピンセット先のハンマーが振動してゴングを叩く機構があることです。

Img_232118 画像が前後しました。研磨をしたケースに風防をセットしてありますが、懸念したとおり、純正風防より0.1mmほど大きくて、圧入が不可能でしたので、先端を研磨をして寸法を合わせてから圧入しています。画像は、ベゼルも圧入した状態。ボタンは2ボタン式。ボタンの収まる部分は、手垢がゴッテリ入っていましたので、超音波洗浄をしてあります。この時計は、時計用とベル用の2つのゼンマイが入っていて、3時のリュウズはベル用ゼンマイの巻上げと針回し、2時のボタンは、押すとカレンダーの切り替え、引くとベルがONになります。時計のゼンマイは自動巻き。

Img_232666 歩度調整をしています。機械は5.5振動ですから、並みの精度ですね。完了後、新しいパッキンを付けて裏蓋を締めます。

Img_2329021 仮にベルトをセットしてみました。新品の風防と研磨をしたケースで、かなり良いコンディションになりましたね。ブラック文字盤が精悍です。このモデルは、国内より海外の方が根強い人気があるようです。会議中に「ジリシ゜リシリッ」と鳴ったら注目されますね。

Img_233224 PEN-EE-2です。特に故障はありませんが、コレクションとしてメンテナンスをしてから保管したいとのことです。シャッターの作動を確認して注油。ファインダーの清掃などを行います。

Img_233335 モルトの交換をしますが、殆どの場合、古い接着剤が残ったままで、上からモルトを貼ってあるのを見ますね。私は、完全に清掃しないと気がすみません。

Img_233466 上下カバーですが、画像のように化粧プレートにへこみがあります。底カバーには三脚取付け時の円周上のすり傷が目立ちます。よって、程度の良いカバーをセットで交換することにします。

Img_233661 カバーを交換して完成です。社外のレンズキャップに、ご自身でOLYMPUSのマークをレーザー彫刻されています。


きれいなオークションものPEN-FT

2013年07月18日 22時35分00秒 | インポート

Img_231133 ここ数日は関東地方は猛暑から開放されていましたが、今日は気温が上がりましたよ。私も暑いので、「今なに」をお休みしようかと思うのですが、毎日、大勢の方がクリックしてくださっているのでそうもいきませんね。でも。今回のPEN-FTは程度が良いので、UPすることは無いかも知れません。で、ショッピングモールに買い物に出かけたついでに、ガチャポンをやってしまいました。最初に出たのはCanon FD300 F2.8 SSCでした。当時は買えませんでした。レンズだけでは仕方が無いので、もう一回っと。・・今度はCanon F-1+FD85 F1.2SSC。このレンズも買えなかった。旧F-1は当時、治具でゴシゴシ使っていたっけ。現在私が所有しているのはNew F-1だけです。FTbとは全く格が違うカメラで、入手した時は嬉しかったな。ミニチュアは黒のモールドなので、F-1の黒味が出ていなくて残念です。隣りの書店を覗いたら、PENのムック本にミニチュアが付録で付いていましたね。買わないけど。

Img_2308511 では本題。このPEN-FTは26万代で、オークションで入手されたそうです。事前のチェックで、メカも良さそうですし、外観もきれいです。とかくオークションものはと言われますが、こんなに良い個体もあるのですね。オーナーさんは、PENは初心者さんと見えて、若い方と思いますが、非常に細かなところをご指摘になっています。私としても、極力、良いコンディションとするべく努力をするのですが、半世紀近く前の精密機械であるということもご理解を頂きたいと思います。

Img_230942 すでに分解洗浄をして組立に掛かっています。この個体は、26万代にも関わらず、途中で露出メーターを基板別体タイプに交換をされていました。SSでの処置でしょう。その他の分解はありませんでした。

Img_2313311 間が開きました。では再開します。基本的には素晴らしいコンディションの個体ですが、何故か油の拡散が多くて、ダイカストのフィルム面にも広がっています。シャッターの作動を見ると、チタン幕の動きがスムーズで無い。原因は、地板とチタン幕の間にどこからか油が付着しているためでした。下側はすでに拭き取ってしまいました。これを脱脂しておきます。

Img_231414 油分を脱脂したチタン幕。シャッターユニットは、磨耗は殆ど無い、メインスプリングは改良後の長いタイプ。

Img_231551 付属の38mmmもあまり使用された形跡はありませんが、長期の放置でレンズのコーティングが劣化して曇っています。清掃をしますが、コーティングは剥離してしまいます。

Img_231655 暑いので、しばらく特に問題ない作業は割愛か短縮でUPします。ロックの利かなかったセルフタイマーユニットを修正して確実にロックするようにしてあります。オーナーさんはペン初心者さんと思いますが、オークション物としては、非常に素晴らしい個体を入手されましたね。ビギナーズラックと言うのでしょうか?

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福岡から来たPEN-S 2.8+PEN-FF兄弟

2013年07月11日 21時28分32秒 | インポート

Img_226821 関東地方は猛暑が続いています。神経を使うカメラの修理も堪えますね。最近、九州からのご依頼が続いていますが、福岡から初期型のPEN-S2.8と非常にきれいなPEN-F兄弟が来ています。まずはPEN-S 2.8 #1281XXから始めます。初期型ですから、ご覧のように、スプロケットはアルミアルマイト地、スプールはグレー。この頃の個体は決まって吊環が真鍮製のため磨耗しています。駒数ガラスがトップカバーより陥没しているとのご指摘あり。

Img_227121 ファインダーは素晴らしく曇っていますね。たぶん、一度も清掃をされていないと思います。シボ革は手垢ごってり。

Img_227242 全て分解して、洗浄してあります。それでは、トップカバーから始めます。吊環部にへこみがありましたので、平滑面に修正をしてあります。駒数ガラスは接着剤の脱落ですね。古い接着剤をすべて清掃をして、傷を研磨修正をした駒数ガラスを接着します。僅かにクラック筋が入りかけですが、今回は再使用とします。

Img_2274111 シャッターは、未分解としたら良く動いている方ですが、意地悪なシャッターの切り方をすると・・・止まっちゃいましたね。コパルに頼んでやっと出来上がった#000シャッターの初期型。5枚羽根で贅沢な仕様ですが、ちょっとひ弱なところのあるシャッターです。初期は↓右はスリ割りビスで中期以降はネジロック塗布のナット留め。緩みが発生して設計変更をしたのでしょう。↓左のレリーズレバーも初期と中期以降は形状が異なります。巻き上げ完了時に「カチッ」と音がするでしょ。形状の違いによって、その音が異なるのを知っていますか?

Img_227621 すみません、ちょっと時間が空きましたね。通院していたもので・・で、PEN-Sは簡単にUPと思っていたのですが、次々に画像が・・スローガバナーは洗浄をしてありますが、調子がよろしくありませんね。アンクルとガンギの兼ね合いが良くありません。画像は、調整後。スムーズに復帰していますね。

Img_227814_2 初期型なので、スプールとスプール軸はスプール内径に拡張バネを仕込んだ設計のもので、三光PENなどと同じタイプです。そのうち、拡張バネの影響で、スプールにクラックが入ります。

Img_227952 シャッターユニットを組み込んであります。調子は良いユニットですよ。

Img_228032 シャッター羽根5枚のうち、1枚に傷がありますが、その他は良好です。この頃はターミナルとの接続は、直接半田付けです。以後は、接片によるネジ留め。

Img_228141 シャッターリングはこの頃としては表面の腐食は少ない方。内側に隠れる部分に腐食あり。すべて磨き上げてあります。彫刻文字は「COPAL」以後は「COPAL-X」となります。

Img_228224 トップカバーの内側。吊環の取り付け。駒数ガラスは、再接着をしてあります。ファインダーは、過去に一度も分解を受けていませんでした。劣化も少なくきれいですね。カバーを接着します。

Img_228326 ひぃ~、まだ終らないね。本体とトップカバー側が完成。レリーズボタンをセットしてドッキングしますが、レリーズボタンの復帰用スプリングの線径が細いのに注意。初期型はレリーズボタンがフェザータッチというぐらい軽くて、他の操作部分とのバランスが良くありません。米谷さんのご趣味なのでしょうか? 以後は、線径を太くして重くなっています。

Img_228610 清掃をしたレンズヘリコイド部。すでにピッチは変更されたタイプです。ヘリコイドグリスを塗布して組立てます。

Img_228854 裏蓋も洗浄してきれい。遮光材を貼って完成しておきます。

Img_228954 完成した裏蓋をセットして、これで完成です。駒数カニ目ネジは、ご希望によって新品と交換して組んでありますが、この頃のカニ目ネジは孔が非貫通です。そのため、工場での組立時やSSでの分解時に工具の掛が浅いため、滑らせて傷にし易いので貫通に変更されたのではないかと考えます。その方が加工も楽だし。但し、孔が貫通すると、真鍮の軸が見えてしまうため、製品としての完成度は落ちるので、あえて非貫通としていたのではないかと想像します。いつものように知らないけど・・

Img_229051 PEN-Sが長引いたので、PEN-F #2816XXは手短にと思いますが、しかし、非常に状態の良いFですねぇ。Fの程度はピンからキリで、どうにもならない手遅れの個体もあるかと思うと、意外に、美品という個体も存在します。この個体は、殆ど使われなかったようです。Fの花文字が故意に色を抜かれているようです。

Img_229254 トップカバーを開けてみると・・過去に分解をされた形跡はないようです。

Img_229322 しかし、底カバーを開けてみると、三脚環が一度開けられているようです。

Img_229465 では、すべて分解をして行きます。巻上げレバーのクラッチはコイルスプリングで抑える変更後のタイプです。

Img_229526 ダイカスト本体のみに分解して洗浄してあります。フィルムレールを見ると、殆どフィルムを通した形跡はないように見えますね。しかし、スプロケット内径のクラッチ部はかなり磨耗が進んでいます。スリップの危険も考えられますが、今回は、症状が出ていないことから、再使用としておきます。

Img_229651 スプール軸の潤滑はカラカラの状態。しかし、ホコリの浸入もなく、非常にきれいな内部です。

Img_2298601 ブレーキを点検します。←の範囲がブレーキの可動範囲ですが、ピンセットでブレーキリングを動かしてみると・・全く抵抗感はなく動いてしまいます。ブレーキは無いのと一緒です。

Img_230064 ブレーキを分解して見ます。ネオプレン製のOリングは完全に固着してブレーキダンパーとしての機能を果していません。分離が困難なほど柔軟性を失っていますので、ナイフでカットをして分離します。新しいOリングと交換することになります。こんなに状態の良い個体であっても、ゴム部品は全く機能を失ってブレーキの役目を果していません。

Img_230164 殆ど使用されていないと思われるシャッターは良好な状態です。洗浄注油をしておきます。

Img_230366 本体側と前板側が完成。PEN-Fはプリズムに黒点状の腐食が出るものが多いのですが、この頃のものは品質が改良されたようで、以後、PEN-FTまで腐食は殆どなくなっています。

Img_230453 メカは殆ど完成しました。交換したブレーキOリングと、再使用出来なくも無い全反射ミラーでしたが、これほどの個体ですから、完璧とするため新品と交換してあります。今日は疲れたので、完成は明日にします。

Img_230530 上下カバーを取り付けて完成です。Fの花文字とOLYMPUS-PENは色入れをやり直してあります。この個体の製造は1966年5月ですが、同年の10月にはPEN-FTが発売になっていますね。もちろん、発売後もPEN-Fは併売されますが。とにかく、素晴らしい状態を維持している貴重な個体です。PEN-S 2.8の発売は1960年6月で、この個体は1961年1月ですから、最初期ではなく、生産が軌道に乗った頃の個体でしょうか。しかし、半世紀前の製品としては良好な個体と思います。1966年の総合カタログの画像には、PEN-S2.8と3.5が同時に写っています。現在は、3.5の方が相場は高いですが、発売当時の価格は2.8=7.800円、3.5=6.700円となっています。PEN-FVの発売は翌年1967年2月ですから、1966年の総合カタログには掲載されていません。

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Img_230640 画像を追加しておきます。

Img_230711


何か変だよねPEN-FV

2013年07月07日 20時11分03秒 | インポート

Dscf003244 リペイントをしなければならないのですけどね。関東地方は梅雨明け宣言と思ったら35℃の猛暑ですよ。シンナーが異常揮発をするので、ちょっと緊急避難で通常のオーバーホールをやります。このPEN-FV #1306XXなんですがね。ちょっと変な雰囲気ですよ。FVはトップカバーの付け替えが多いのですが、13万代というとFTでは後期の30万代付近に当たり、1968年8月ぐらいの個体と思われますが、とりあえずダイカスト本体と各ユニットは整合性は取れていると思います。トップカバーを閉める時にリード線を挟み込んで潰していますね。

Dscf003352 後期のダイカスト本体は、セルフタイマーユニットと接する部分をΠ型にしてユニットを受ける面積を増やして安定させています。それ以前は、セルフタイマー側のネジ孔(画像)にビスを締め込んで、ダイカストとの当たりを調整したり、色々な方法が取られました。ダイカストの金型を直したくなかったのでしょう。

Dscf003432 ダイカスト洗浄で組立をして行きますが、この辺りからちょっと変な感じになってきましたね。スプロケットですが、何やら彫り文字があります。クロ4.9マツイ用。意味不明ですが、スプロケットの交換を受けいてる可能性があります。

Dscf003662 そう言われてみると・・スプロケットのギヤを留めるネジのスリ割が最初から痛んでいました(私の仕業ではありません)そもそも、右のカムギャユニットは、この個体よりも古い初期のユニットと思います。

Dscf003721 最大の疑問点は裏蓋です。この裏蓋は明らかに、この本体のものではありませんね。FT(FV)ではなくてFのものですね。

Dscf003816 まぁ、裏蓋はいつでも交換できますので、本体の作業を進めて行きます。シャッターユニットを洗浄したところ。ご指摘では、「1秒が止まる」とのことでしたが、ユニットは後期で新しいため、ギヤの損傷ではなく、アンクルの作動不良が原因です。メインスプリングは変更後の長いタイプ。

Dscf003911 特に問題はなく、メカの組立は終了しています。なかなか良いシャッターユニットです。そもそも、本体もFTからの流用ではないかとも考えましたが後期型のユニットを使ったFVに間違いありません。ダイカスト本体に黒く塗布されている隙間のごまかし用ペイント。シャッターダイヤルとの繋がりが自然ですね。また、シボ革もFTとは異なりますが、再接着をされたものではないのが根拠です。

Dscf004012 ご希望によって、全反射ミラーを新品と交換しておきます。純正オリジナルのミラーは、反射率が低下していますので、交換は有効です。

Img_2262 ほぼ組みあがっていますが、ターミナル用のリード線の半田付けが剥離したと見えて、再半田をしてありますが、ちょっと美しくありませんのでやり直して置きます。しかし、古い銅板は半田が乗りにくいのは事実です。

Img_2263 どうせ組むのなら、きれいに組みたいものです。→のラグは、シンクロのM接点とX接点の接片を取付けるためのものですが、FVの場合はX接点のみですので不要のため、最初から接片は取り付けられていません。FTからの改造個体は、このラグに接着剤の痕が残りますので分かります。↑は接片がダイカスト本体に接触するのを防止するための絶縁リング。このことがら、FTとFVとに別れる前工程ですでに接着をされていることが分かります。

Img_2265 最後に気になるのは、巻上げレバーです。→のように、トップカバーと接触をしています。この個体は、レバーの曲がり、アイピースの傷、裏蓋の交換から見て、裏面に損傷が有った個体だと分かります。

Img_2266 で、このように修正をしておきました。トップカバーとは接触していませんね。しかし、レバーの正確な材質が不明ですので、極端な曲げ修正は禁物です。ジュラルミンの鍛造なら折れませんけどね。

Img_226711 最初はどうなるかと思いましたが、意外に、13万代の後期型FVで、メカは、巻上げも滑らかで、非常によろしいと思います。裏面に欠点があり、それを修復するためPEN-Fの裏蓋を持ってきちゃったということでしょう。因みに、FとFTでは、スプールの巻取り方向が逆になりますので、それで、FTには、フィルム抑えのローラーが必要となっているわけです。裏蓋を交換された方はFとFT(FV)の違いをご存知なかったのでは? とも思います。

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