今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ミラーアップのPEN-Fの巻

2017年07月29日 09時00分00秒 | ブログ

カメラ店様経由のPEN-Fのオーバーホールご依頼です。ミラーが閉じて戻らない状態ですね。汚れが目立つ個体ですが、26万台ですから安定した頃の個体ですし、観察すると消耗は少ないのでは? と思えます。アシストするとミラーは復帰しますので、シャッターバネ折れや重大な故障はないと思いますね。

駒数窓周辺が汚れていますね。樹脂の破損はないようです。レリーズボタンの角度がちょっと気になります。その他、右下部分が凹んでいます。

 

フィルムレールの一部に腐食が認められますが、問題はない程度です。

 

 

トップカバーを分離して見ると・・未分解機でした。レリーズボタンのガイドの接着が外れています。レリーズボタンの違和感はこれでした。はじめに再接着をしておきます。

 

ダイカスト本体はかなり汚れていましたが古いモルトを除去して洗浄をしてあります。スプロケット軸、スプール軸を組み立てます。

 

やはりシャッターユニットの消耗は少ない方です。ピンセット先はブレーキで、巻上げた時とシャッターを切った時の動きでブレーキの利き具合を見ます。作動は良好です。

 

テンション軸には無給油のため線状痕があります。

 

 

完成したシャッターユニットを本体にセットしました。巻き上げのロアーギヤにモリブデングリスを塗布して取り付けます。

 

問題はリターンミラーユニット。洗浄注油済み。プリズムは腐植も無く、コーティングも良好でした。

 

 

 この個体は比較的保存は良かったと思います。プリズムのコーティングや全反射ミラーの腐食も軽微です。とは言っても反射率は落ちているのですけどね。今回は再使用とします。

これで組立は完成です。ファインダーのピントを確認します。

 

 

シリアル№ 2660XXは1966年3月製の個体ですが、51年前に製造されたカメラとしては消耗も少なく保存も悪くなかった個体と思います。但し、未整備ですと正常な作動は難しいですね。PEN-FとFTの初期のスローガバナーは材質が弱く、シャッターダイヤルを1/8から1/4に回す時に歯車の山同士が衝突すると歯車が損傷し易いのですが、この個体も少し損傷痕がありました。1秒の停止という不具合が出て来ますので、シャッターダイヤルを急速に回すことは控えてください。

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ポチッとしてしまったセイコー・スーパーの巻

2017年07月27日 19時41分19秒 | インポート

オークションをウォッチしていましたら、「良さそうな個体だな」と思えたスーパーがありましてね。試しにポチッとしておきましたら落札してしまったという個体。スーパーなら沢山所有しているのに・・届いた時計はSSケースのためだけではなくて汚れは殆ど無くきれいです。「時々止まる」のでジャンクとなっていましたが、観察すると長針と秒針がある位置に来ると接触するためと判明しました。

裏蓋刻印から1954年6月の製造のようです。(スーパーは1950年発売)私とほぼ同じ歳。バネ棒も新品なので、これは手を入れてありますね。

 

取りあえず分解点検をしましたが、非常にきれいな機械で、天真などの摩耗も進んでいないようです。なんか怪しいなぁ・・

 

巻き芯も錆が無いですし摩耗もありませんので交換されていますね。竜頭はオリジナルではありません。マーベル用かも? でも新品ストックを使ったようです。

 

香箱真にも摩耗が無い。当時のデッドストックに近い機械なのか、最後期の機械が使われているのかも知れません。

 

テンプのヒゲもいじられた形跡がありません。逆に、まだ当たりが付いていない機械のような感じもします。

 

機械留めネジ2本のうち1本が欠落していましたので、ストックから取り付けておきます。

 

ケースは軽く磨いて小キズを消してあります。風防ガラスも新しいものに交換されていますね。秒針は別個体からの交換と思われます。先端の曲がり角度が長針の曲がり角度と合わないからです。それが止まりの原因です。形状を修正しておきます。

これから調整をして行きますが、片振りが大きいですが、この頃は片振り調整機構がありませんので、ちょっと厄介です。

 

私の誕生日の読売新聞と。「日本の外交をどうする」とは現在と殆ど同じ記事ですね。ビールが値上げで1本百二十円。すでにインフレが始まっていたんですね。現在の日本は物価上昇率が上がらず苦慮しているのに・・たぶんマニアさんが新品の部品を使って組み上げたものでオリジナル性は不明ですが、手間とコストは掛かっているはずです。(それにしては安価でした)文字盤の時代加減が良くて入手しましたけど、使うことは無いかなぁ?・・

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オリンパス・35DCはカッコ良しの巻

2017年07月25日 20時38分03秒 | ブログ

あんまり来ないんだけどね。オリンパス35DCの前期型ですね。外観は汚れが激しく腐食に移行する直前のような状態。マニアさん的にはマニュアルが可能な35RCが人気ですが、この35DCも直線的な共通したデザインで好きですね。しかし、電気カメラではなくプログラムEE、距離計連動式の機械式カメラ。フラッシュマチックによって電池が無いとシャッターが切れないのです。

機能チェックをすると、作動は問題ないと思いますので全体のメンテナンスをして行きます。まず、ばっちいカメラは嫌いなので清掃しますが、距離環のローレットに詰まった手油を楊枝で取り除いていきます。

 

距離計連動のファインダーはミラーの腐食も無くきれいです。清掃をして行きます。

 

SEIKO製のシャッターですが、構造はPEN-EEによく似ています。清掃のため後玉を取り外してあります。ヘリコンドグリスが抜け気味ですのでグリスを入れますが、これが完全に分解しないとヘリコイドに到達できない厄介な構造です。捺印から1972年製のユニットのようです。

設計をコンパクトにするため、露出メーターは底部に収まる珍しい設計です。リンケージによりファインダー内の情報窓にある針と連動させています。きれいに磨き上げたトップカバー。PEN-FTと同一デザインのセルフタイマーレバーが付きます。

 当初はモルトの貼り替え程度をされた個体と思いましたが、レンズなども分解されていました。無限遠が出ていませんでしたが、このカメラはBが無いので、そのままでは調整が厄介なんですね。距離計調整ネジのメクラネジが痛んでいますね。すでに調整されていますね。

セルフタイマーユニットは小さなスペースに合うような特殊な形状をしています。動力がPEN-FTのコイルバネと違ってゼンマイなので、トルクは大きいと思います。

 

モルトがね。植毛紙を貼られていましたので、粘着剤が粘ってベトベトになっていて清掃が大変でした。新しいモルトを貼って行きます。

 

後期型はバッテリーチェッカーで代用されるので廃止されたFボタン。レンズギャップを装着していてもシャッターを切って装填が出来る。

 

BLCは逆光補正ボタン。記念撮影が逆光の場合などは瞬間操作が便利ですね。

 

 

レリーズボタンが前期はメッキで後期が黒のプラ製はこの頃のオリンパスのお約束。サイズがコンパクト化されてもデザインの基調は変わらない好ましいモデル。この頃のコンパクトカメラ市場は各社の激戦区なので、他のメーカーも良いモデルを投入していましたね。当時のお約束、大口径レンズが強調されてカッコ良し。

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FOCA SPORTT CFのシャッターがねの巻

2017年07月23日 13時58分56秒 | ブログ

大阪のご常連さんは複数いらっしゃいますが、この方はFOCAがお好きなようです。おフランスらしい斬新なデザインのカメラですが、普及クラスの作りですね。この方はいつも食玩を入れて頂いてありがとうございます。エフトイズの双発機コレクションで、箱には100式重爆「呑龍」とドイツのユンカースju88が描かれていますが、中身はユンカースju88でした。

1940年少し前の時代は、戦闘機援護がいらない(戦闘機の航続距離が短く援護できない)高速爆撃機が主流の設計思想となり、試作で500㎞/hを超える高速を出して正式採用になった機体ですね。空気抵抗を極限まで少なくするため、胴体は非常に細いです。日本機を見慣れていると、一見空冷エンジン搭載に見えますが、実は液冷エンジンなんですね。日本はドイツやヨーロッパで成功した設計思想を後追いする傾向にあって、直後に当時としては高速の九七式重爆などが正式採用されていますね。個人的にはハインケルHe111なんかドイツ機らしいなぁと感じます。機体迷彩の下面色を見るとリペイントをしたくなりますね。フランスのカメラにドイツ空軍の爆撃機という取り合わせもシュール・・

で、あまり画像は撮っていないのですが、どうもシャッタースピードが狂っているようだとのことで、予備機まで付けて頂いています。計測すると全速1/250は遅めで1/125が逆に速い。低速側では1/8 1/15が全くコントロールされていない(全速)という状態。しかし、予備機を計測すると、同じような傾向です。全速で遅いのはバネの張力の劣化で仕方がない。逆の速い方は元からという印象。

スローガバナーを洗浄注油で作動を見ますが、特に不具合はありませんね。ピンセット先のネジは取付けネジではなくガンギとアンクルの当たりを調整するための偏心ねじ。

 

カム板を観察すると、1/125 1/15 1/8のカム山をヤスリで削って調整をした形跡があります。しかし、それが不十分ということのようです。カム山高さの調整は高ければ削る、低ければ潰して山を高くするという調整作業。

 

 レンズのヘリコイド部を特性のレンチで締め込みます。

 

 

全速1/250遅いは仕方ありませんが(実測1/180)その他は、ほぼ規定値に入るように調整をしてあります。内部のレンズ側で無限遠調整をした後、ピントリングを取り付けて完了です。

 

 もう一台はFOCAMATICですが、露出メーターのコイル断線でメーターが作動しませんので、部品取りから調達して交換することにします。

 

メーターは単体で取り出せない構造ですね。ダイカストにマグネットとコイルを圧入して組まれているので分解が出来ません。セレンユニットとセットで移植します。

 

このように取り付きます。製造国が違えば設計思想も変わるものですね。因みにこのカメラはメカは全て前板に取り付けられていて、本体側は巻上げ機構だけですね。

 

この軸を中心に露出メーターユニットが動きます。

 

 

連結はリンケージをEリングで接続しているだけです。

 

 

これでやっとEEカメラとして撮影することが出来ますね。

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出戻りPEN-FTの巻

2017年07月20日 16時25分31秒 | ブログ

関東地方は梅雨が明けたようですが、今年は梅雨の長雨は殆ど無くて、集中した雷雨のような降り方でした。昔と気候が変わっているように感じます。ミニドックの結果を聞きに近くの病院に行ってきましたけど、特に問題は無かったですが、多少、メタボ予備軍とか言われました。最近、ちょっとお腹回りが・・まぁ、もう少し生きてていいよということでしょう。で、以前にお譲りをしたPEN-FTがリターンミラー剥離ということで戻りました。カメラに限らず古い車やバイクでも、レストアをして本格的に動かすとあちらこちらと部品が壊れることは良くあることです。FTのリターンミラー剥離については、現存のどの個体にも発生する可能性があって、地震みたいなものですね。明日かも知れないし、10年後かも知れない。幸い、ミラー自体はカケなどなく、スクリーンも傷になっていません。

エポキシ接着剤の耐用年数もありますが、観察するとミラーホルダーのクロメート処理が腐食していることが分かります。これによって剥離を誘発しているのですね。

 

ミラー裏面とホルダーに残った古い接着剤を完全に取り除きます。取り除かずに接着すると、リターンミラーの停止位置が変わってしまい、ピントが狂ってしまいます。

 

簡易的作業として、ミラーホルダーを取り付けたままで接着することも可能ですが、ホルダーに圧力が掛かって悪影響を与える可能性もありますから、前板(ミラーボックス)を分解しての作業としています。

 

ミラー接着後、一晩経過させてから組み立てました。多くの場合、ミラーの角が欠けたりしますが、今回はまったく無傷で修復が出来ました。よって、ミラーは新品と交換はしていません。完成後、ピント調整をしています。で、完成画像を撮り忘れて発送してしまいました。暑いので頭がボケ気味ですかね。

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