オークションで2個 3.000円で入手した組立習熟用のジャンクをオーバーホールします。モデルはセイコーのユニークという機種で、マーベルとは異なり第二精工舎の製品のようです。15石ですから資料によると1955年頃の製造で、私とほぼ同じ歳ですね。ユニットの外径はマーベルよりも小さくて、この頃から、段々文字盤のサイズは大きくなって来たらしく、しかし、ユニットは旧タイプですから、ユニットを収めるケースの肉厚がご覧のように厚くてゲタを履かせたようになっています。ニッケルメッキは剥離が激しく、いっその事、全て剥離をして、メッキ工房で24kメッキでもしてやろうかしら? 何度か分解を受けており、文字盤の文字も消え掛かっているし、風防ガラスもクラックが入っているので難物ですけどね。まずは、不動のユニットが動くかが先決です。
地板など基本的には銅色の表面処理ですね。洗浄した地板に真鍮地の香箱(ゼンマイ入り)を収めます。時計の構造は決まっていて、この後に二番車(分針)、三番車、四番車(秒針)と動力が伝わって、四番車に付くガンギ車やアンクル、テンプによって、一定のスピードで回転しているだけなのです。
ニ、三、四番車とガンギ車が入っている部分。赤い丸の部分はルビー石で、ここに歯車軸の先端が収まっています。これらを輪列といいます。このルビー石の小さな穴の中に3軸を正確に収めることが一苦労です。
最後にテンプを取付けますが、極力、フリクションを少なく組んだお陰で、このユニットは、殆どゼンマイを巻いていないのに天輪が回り始めています。これは調子が良さそうです。各軸受け部には、それぞれ種類の異なる時計オイルを注油しています。テンプ部分の軸受けだけ、ちょっと形が異なりますね。これは耐震装置の付いた軸受けで、耐震装置がないそれ以前のユニットでは、落下などによって、天真の軸が折れたそうです。セイコーでは、この装置をダイヤショックと称しています。
左がユニークの後に発売されたマーベルで、ユニットが一回り大きいですね。このユニットで世界に追いついたと言われたそうです。較べるとユニークのユニットは小さいですね。このユニットに適合する小さいケースを探してみましょうかね? そうこうしている間に、いよいよ押し詰まって来ましたね。今年も「今なに」にお付き合いを頂きましてありがとうございました。では、皆さん良いお年をお迎えください。