遅れて来たペンマニアさんからPEN-D3が来ています。この方は主に元箱付きの美品を収集されていますが、今回は元箱はないのですが、保管さえ良かったら美品だったろうに、という残念な個体です。#2576XXと後期のEL(イージーローディング)タイプとなっています。
確かに、殆ど使用されていない個体ですが、革ケースに入っていたため小キズは無いが湿気でメッキの腐食があるようです。
レンズは前玉すり傷と汚れ、後玉は持病の曇りがうっすらとあります。
問題なのは電池が入れっぱなしで液漏れによりネジが完全に腐食しています。これを分離するのは非常に難しいです。また、電池蓋が固着しています。
幸い電池蓋にはカニ目が2穴開いていますので、工具によって固着した蓋を取り外すことに成功しました。あらら、H-Cかぁ、本当に当時のままなんですね。
この電池蓋は斜めに締まります。この場合はネジ山を壊して強引に蓋を閉めた場合が殆どですが、この個体は違うようですよ。本体側の雌ネジを観察すると・・あれ、ヘリコイドネジのように入り口が2か所あります。画像で分かりますかね? 2時と11時ぐらいです。
難儀をして3本のネジを取り外しました。ネジは完全に腐食しています。このネジはスペシャルですから代用がない。PEN-Dのジャンクには付いていないし・・電池蓋を雌ネジの裏側からねじ込んでもやはり斜めに入ります。ということは、最初からネジ切りが不良だったということになりますね。完成検査を通り抜けて市場に出てしまったようです。部品と完成の検査は抜取検査でしょうから、このような事例もありますね。
この個体は見たことのない不具合が多いです。絞りはクリックはなく連続可変なのでダンパー用のブラシがありますが、一か所のブラシがめくれ上がっています。どうしてこのような状態に陥るかなぁ?
まっいいや。地板を洗浄して組み立てて行きます。
PEN-Dなど初期の仕様はシャッター羽根5枚ですが、後期型ですから6枚になっています。
後玉は清掃でカビは落ちました。ラッキー!! 二段重ねのヘリコイド部とドッキングしてシャッター完成。全く劣化のない素晴らしい状態。
まっ、いつものように栄21型(ハ115)発動機だわな。
この頃はスプロケットは樹脂製となっていますが、電池室からのガスによってか、曇っていましたので研磨をして組み込みます。露出計は直すとして電池室の配線はしておきます。
ターミナルカバーと共締めのこちらだけネジは平頭のなべネジ(長い)で、下2本は皿ネジ(短い)です。
本体にシャッターユニットを搭載しました。
露出計不動は電池室からのガスによりローターのピポット部が固着ぎみのためでした。
ファインダーの清掃。
ストロボの発光テスト。
この頃になると底部とのリベット(4か所)の化粧塗装が雑(簡略化)になります。PEN-Sなどでは、半球形に盛り上げた非常に丁寧な塗装を施されていましたが、この個体になると筆でペロッと塗ってあるだけです。よって、左側のパトローネに接触する2か所は剥離していましたので補修塗装をしておきました。
ご覧のように電池蓋が斜めに締まります。購入された方もSSにクレームを言わなかったようですね。当然部品交換をしてくれたはずです。
当時のカタログでは15,500円となっています。
保管が少し残念ではありましたけど、美品には違いないレベルだと思いますね。レンズキャップ、ストラップ、ソフトケース付。元箱があれば完璧だったのに・・
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