今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

中古カメラフェアの巻

2018年05月28日 22時08分28秒 | ブログ

明日29日(火)まで渋谷の東急東横店で開催されている「世界の中古カメラフェア」に行ってみましたよ。デパート内なので撮影が出来ないのが残念ですが・・I.C.S輸入カメラ協会の主催なので、舶来カメラが中心ですので国産のPENなどは僅かに見かける程度でした。会場で聞こえてくるのは中国語です。中国人のバイヤーが買付に来ていて、ショーケースのカメラをまとめ買いなど大量購入が目立つようです。日本のクラカメブームの時は世界各地で日本人バイヤーがライカを買いあさって、世界中のライカは日本にあるとか言われましたが、現在は中国に流れていくようですね。で、20年ぐらい前にブラック塗装をしたバルナックⅢfを引っ張り出してみると・・あ~ぁ、シャッターが切れません。

当時、幕交換をしたのか忘れてしまいましたが、幕の劣化により固着をしているようです。

 

 

応急復帰で作動を始めました。久しぶりにライカを触ってみると、機械としての完成度や材質が素晴らしいですね。

 

この個体は、メッキが痛んでグッタペルカもはく離した状態で入手をしたと記憶しています。シャッター幕を交換してルフトワッフェングレーにしてみたい気もします。

 

PENの設計者、米谷さんが学生の頃に使っていたⅢfとPEN-FVを並べてみると、サイズがよく似ていますね。手になじんだサイズがPEN-F系の設計に影響をしているのでしょうか。

 

このFVもリペイントしてから随分と時が流れました。シリアル下に米谷さんのサインを頂いています。私がグレーのFVを差し出すと「ニャ」っと笑われたのを今でも覚えています。

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保管が良かったらなぁPEN-D3の巻

2018年05月23日 22時24分07秒 | ブログ

遅れて来たペンマニアさんからPEN-D3が来ています。この方は主に元箱付きの美品を収集されていますが、今回は元箱はないのですが、保管さえ良かったら美品だったろうに、という残念な個体です。#2576XXと後期のEL(イージーローディング)タイプとなっています。

確かに、殆ど使用されていない個体ですが、革ケースに入っていたため小キズは無いが湿気でメッキの腐食があるようです。

 

レンズは前玉すり傷と汚れ、後玉は持病の曇りがうっすらとあります。

 

 

問題なのは電池が入れっぱなしで液漏れによりネジが完全に腐食しています。これを分離するのは非常に難しいです。また、電池蓋が固着しています。

 

幸い電池蓋にはカニ目が2穴開いていますので、工具によって固着した蓋を取り外すことに成功しました。あらら、H-Cかぁ、本当に当時のままなんですね。

 

この電池蓋は斜めに締まります。この場合はネジ山を壊して強引に蓋を閉めた場合が殆どですが、この個体は違うようですよ。本体側の雌ネジを観察すると・・あれ、ヘリコイドネジのように入り口が2か所あります。画像で分かりますかね? 2時と11時ぐらいです。

難儀をして3本のネジを取り外しました。ネジは完全に腐食しています。このネジはスペシャルですから代用がない。PEN-Dのジャンクには付いていないし・・電池蓋を雌ネジの裏側からねじ込んでもやはり斜めに入ります。ということは、最初からネジ切りが不良だったということになりますね。完成検査を通り抜けて市場に出てしまったようです。部品と完成の検査は抜取検査でしょうから、このような事例もありますね。

この個体は見たことのない不具合が多いです。絞りはクリックはなく連続可変なのでダンパー用のブラシがありますが、一か所のブラシがめくれ上がっています。どうしてこのような状態に陥るかなぁ?

 

まっいいや。地板を洗浄して組み立てて行きます。

 

 

PEN-Dなど初期の仕様はシャッター羽根5枚ですが、後期型ですから6枚になっています。

 

 

後玉は清掃でカビは落ちました。ラッキー!! 二段重ねのヘリコイド部とドッキングしてシャッター完成。全く劣化のない素晴らしい状態。

 

まっ、いつものように栄21型(ハ115)発動機だわな。

 

 

この頃はスプロケットは樹脂製となっていますが、電池室からのガスによってか、曇っていましたので研磨をして組み込みます。露出計は直すとして電池室の配線はしておきます。

 

ターミナルカバーと共締めのこちらだけネジは平頭のなべネジ(長い)で、下2本は皿ネジ(短い)です。

 

本体にシャッターユニットを搭載しました。

 

 

露出計不動は電池室からのガスによりローターのピポット部が固着ぎみのためでした。

 

ファインダーの清掃。

 

 

ストロボの発光テスト。

 

 

この頃になると底部とのリベット(4か所)の化粧塗装が雑(簡略化)になります。PEN-Sなどでは、半球形に盛り上げた非常に丁寧な塗装を施されていましたが、この個体になると筆でペロッと塗ってあるだけです。よって、左側のパトローネに接触する2か所は剥離していましたので補修塗装をしておきました。

ご覧のように電池蓋が斜めに締まります。購入された方もSSにクレームを言わなかったようですね。当然部品交換をしてくれたはずです。

 

当時のカタログでは15,500円となっています。

 

 

保管が少し残念ではありましたけど、美品には違いないレベルだと思いますね。レンズキャップ、ストラップ、ソフトケース付。元箱があれば完璧だったのに・・

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EXAKTA VXのシャッター幕交換の巻

2018年05月21日 21時51分34秒 | ブログ

途中からです。旧東独のイハゲー社が製造したエキザクタVXです。一眼レフの元祖カメラですね。で、シャッター幕が劣化をしているので交換をすることになりました。カメラのメカ本体はケースから上にスポッと抜けます。

 

おもしろいのは、スローガバナーとセルフタイマーが同じゼンマイによって作動することです。

 

ダイヤルの操作でスローシャッターとセルフタイマーになります。

 

 

先幕はすでに製作されたものがあります。後幕はオリジナルを参考にして製作します。

 

右上の部分にあるのが先幕、後幕のテンションシャフト。軸に貫通穴があって、そこにピンを差し込むことでテンション調整をする仕組みです。半回転単位でないと調整が出来ないということ。

 

幕の厚みを測ると0.23mm程度です。

 

 

幕の停止位置などを記録して古い幕を取り外していきます。

 

 

古い接着剤はきれいに清掃しておきます。

 

 

リボンは接着剤でがっちり張られていますので、溶剤で溶かして外します。

 

清掃をした軸にリボンを接着しますが位置の調整が微妙です。

 

 

ギヤのタイミングを記録してからギヤを分離してリボンを巻き込んでいきます。

 

後幕は見本と同じ寸法で製作しますが、素材の生地の厚みは0.2mmで少し薄いです。これによって巻き取られる量が違って来ます。リボンは新しいものと交換しました。

 

後幕を取り付けて仮にテンションを掛けてシャッターを作動します。文字で書くと簡単なようですが、幕の位置関係が微妙で調整に時間が掛かりますね。機械修理と言うよりは工作作業のようです。

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MシステムのZuiko 135mmの巻

2018年05月18日 12時07分41秒 | ブログ

関東地方は急に蒸し暑くなって夏のようです。ブログの裏で別の研究やら庭仕事などをやっておりまして、ブログの更新が緩慢になるかも知れません。m(__)m

でと、オリンパス M-1用の135mmですけど、絞りの前のレンズに多量のチリが付着していてそれの清掃です。

レンズ自体にはカビやコーティングの劣化はありませんでした。

 

 

これは設計上の問題でしょうね。黒いリングの裏側が絞りカムになっていて、シャッターを切ると、このリングが円周方向に往復運動をするので、機械的な摩耗のチリがレンズに降りかかってしまうというものですね。このカムは外周に見える薄くて巨大なスナップリングによって保持されていますが、一度分解するセットするのにはコツがいります。

シリアル№が光って読めませんが#1000X0・・

 

 

作動テストをして終了です。

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これは美品だねPEN-FVの巻

2018年05月13日 13時09分47秒 | ブログ

ご常連さんから、暖かくなったのでカメラの整備ということで、PEN-FV #1301XXが来ていますが殆どフィルムを通していないのでは? という美品です。作動に問題はなく、特に不具合はありませんが、巻上げのゴリツキは出て来ている感じです。では、O/Hをして行きますが、特に取り上げることも無いと思いますね。

本体を洗浄して組み立てて行きます。スプロケット軸の上側にウェーブワッシャーが入りますが、これは初期型には入っていません。スプロケットの位置を安定させるための変更でしょう。以前に、初期と後期の個体2台のO/Hを同時にご依頼頂きましたら、「片方にワッシャーが入れ忘れている、TOMYとしたことが」のようなクレームを頂戴したことがありましたが、残念でした。最初から入っていないのです。

当然ながら、シャッターユニットに問題はありません。ピンセット先のコントロールレバーはシャッタースピードを制御する重要な部分ですが、機械的なストレスが大きく、PEN-Fでは長さがFTよりも長いために、折れる故障が多くありました。FTでは改設計により長さが短くなって折れにくくはなりましたが、稀には折れてシャッタースピードが変わらないという個体がありますね。先日、早田カメラの早田様から、製品開発当時の貴重なお話をお聞かせ頂きました。

完成したシャッターユニット。

 

 

前板プリズムのコーティングも完全です。かなり保管が良かったと思います。

 

 

レバーカバーはFTと違う形状のFV専用部品です。

 

 

組立完成。

 

 

巻上げは軽くスムーズになりました。これはFV最高クラスの個体です。1969年5月製。

 

しかし、一緒に来ている20mmは問題大ありですね。このレンズは中玉が曇るのが持病ですが、かなり曇っていてこれでは実用は出来ません。

 

過去に分解を受けていますね。かなり乱暴ですけど。

 

 

あら、ピンボケだ。AF性能が悪いのです。

 

 

中玉だけ何故曇るのか? 新種ガラスなど成分的な問題もあるかと思いますが、曇っていない健康な個体も存在します。レンズ製造上のロット間の差や湿気などによる環境の差もあるのでしょう。

 

そもそも、このレンズは過去に再研磨を受けているようです。周辺の遮光塗装をやり直していますが、あまり良くありません。さてどうしますかね?

 

で、「何とかせよ」とのご指示なのでこうしておきました・・

 

 

こちらも曇り始めています。

 

 

まぁ、曇るレンズというのは何とも残念ですよね。メーカーさんとしては、充分に持ったということでしょうけどね。このFVはオーナーさんの家で新品で購入されたものだそうで、やはり、人の手を転々と渡っていない個体は、無駄な傷などがなくきれいです。腕時計を見ていても感じることですが、所有者の性格や物に対して愛情(労わり)の心が有るか否かでコンデションがまるで違って来ますからね。なぜFTを買わなかったか? 高かったからだそうです。

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