今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

MINOLTA repo-S を復活させるの巻

2018年02月28日 20時36分52秒 | ブログ

先日も取り上げましたが、ミノルタ・レポ-Sが1台ありますので復活させようと思います。よくよく観察すると、シボ革はオリジナルではありませんでした。裏蓋の塗装の劣化があり、シャッターは不動となっています。

 

裏蓋は簡単にリペイントをしておきました。

 

 

モルトを貼ってから裏蓋の蝶番を取り付けて行きます。

 

 

シャッターユニットは前回と同じですので簡単にUPしておきます。

 

 

後玉はきれいでした。清掃をしてシャッターユニットに取り付けます。

 

 

絞りリングやシャッターリングを取り付けます。

 

 

底部のリンケージの清掃とグリス塗布をしてありますが、このカメラは機構の問題で、レリーズボタンを最後まで押し込まないと(シャッターは切れても)次の巻上げが出来なくなるトラブルがあります。微妙なタイミングの調整が必要ですが、使用による作動レバーのガタ(遊び)が原因の場合もありますね。

このカメラのレンズは、カビの発生は少ないように思います。

 

 

ファインダーと露出メーターを組み込みました。

 

 

シボ革は敢えてカラーものにしてみました。採寸にカットをして・・なんかキヤノンのカラーデミに似て来ましたよ。

 

まず前面を貼ってみます。おぉ、似合ってますね。

 

 

裏蓋の上下部分は平面ではないので接着剥がれが起きないように慎重に圧着します。レザークラフトの要領で端部の接着面を予め薄く剝いておくのがミソです。

 

個体数の少ない希少なモデルですので復活させました。repoのデザインは少しやぼったい印象ですが、repo-SはミノルチナSに似た、スッキリとして非常にセンスの良いデザインですね。大口径f1.8のレンズと完全マニュアルが可能なハーフカメラは数が少ないです。

ご希望の方にお譲りします。下記までお問合せください。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/

 

 


タカノっていう腕時計知ってる?の巻

2018年02月24日 21時32分01秒 | ブログ

今日は病院の診察で新宿に行ってましてが、相変わらず人が多くて疲れました。外国人も多く見受けますが、外国人男性とペアの日本女性は何故かきれいな人が多いなぁと思いましたね。自分に自信があるからでしょうか? 若い日本男児にも頑張っ貰わないとね。

で、この時計はTAKANO PRECISION となっていまして、腕時計ファンの方以外はあまり知られていない「タカノ」というメーカーの製品です。この個体は以前にご常連さんから頂戴しました。タカノ(高野精密工業(株))は1957年から1962年まで腕時計を製造していたメーカーです。伊勢湾台風により工場が被災をしてリコー(理研光学工業(株))に吸収合併をされたとなっています。製造期間が短かったために現存の個体も少なく、まぼろしのメーカーとか言われています。1959年には世界一薄い腕時計「シャトー」を発売しますが、今回のモデルはそれ以前の西ドイツのラコー社と技術提携をしたLACO型になるようです。機械は17石で、状態は使い込まれてケースの小キズと文字盤の劣化が目立ちます。

伊勢湾台風と聞くと私は小学交の低学年でしたが、親が話していたのを覚えています。昭和30年代は大きな被害を及ぼした台風が多かった記憶です。関東地方でも広場の木が倒れるなど普通でしたからね。そうそう、百恵ちゃんのドラマ「赤い運命」だったか、冒頭シーンに伊勢湾台風の映像が映し出されていましたね。

裏蓋を開けて見ると、おぉ、特徴的な受けの機械ですが、設計はオーソドックスなようです。機械留めのネジが片方折れていますよ。手巻きの機械は機械留めのネジにストレスが掛かって折れることが多くあります。

幸い、湿気の侵入は無かったようで、ネジも固着しておらず取り出すことに成功しました。では、まずケースを軽く磨いてから機械をオーバーホールしていきます。

 

ここから撮影設定間違えました。光ものはきれいに写りません。意外にきれいな機械で、ネジのスリ割りも痛んでいないですから未分解かなと思ったのですが。では、テンプから分解して行きます。

 

香箱のフタをピンセットでこじって開けたようですね。ダメですよ。

 

 

すべて分解洗浄しました。ホゾ穴の摩耗は少ない良い機械です。

 

 

同時代のセイコー・マーベルと比べると、地板の加工は少し荒い感じですかね?

 

 

設計はオーソドックスで受けとの合いもかっちりとしています。

 

 

裏押えがなんとも繊細な形状をしているので折れていなかったのはラッキーでした。使い込まれるとガタが多くなる小鉄車や日ノ裏車も良好です。

 

チラネジ付のテンワもあるようですが、この個体はチラネジナシのタイプです。耐震装置に注油をして動きだしました。

 

組んだままですと、かなり進み方向でしたので調整をして行きます。片振りは全く良好です。この時代の機械としては優秀な方でしょう。

 

文字盤の劣化が惜しいです。針の仕上げはRが付いていて高級です。しかし、秒針はホゾ穴の拡大があって留まりませんでしたので、ピンバイスで締めて取り付けました。

 

軽く磨いたケースにセットしました。折れていた機械留めネジは頭が大きくて長いタイプで代用がありませんので、スーパーのものを仮に着けておきます。

 

一日歩度を見ましたが、非常に正確で恐れ入りました。タカノは高級時計というのは伊達ではなかったようです。

 

次は自社開発の薄型「シャトー」を組み立ててみたいですね。

 

 

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CITIZEN デラックスのオーバーホールの巻

2018年02月20日 21時07分22秒 | ブログ

カメラの修理ご依頼が一段落しました。修理をご検討の方はよろしくお願いします。それでは、普段なかなか出来ない手持ちの腕時計をO/Hしますよ。シチズンのデラックスは1958(昭和33)年8月に発売され、発売当初は「日本一薄型の高級国産時計」としてシチズンとしては大ヒット商品になったとのことです。セイコーのクラウンと共に私の好きな腕時計です。石数は19石、21石、23石がありますが、このモデルは21石で、☆マークがありますので特殊文字盤(SD)になりますが、文字盤の外周にリングが嵌っていることによるようです。文字盤も比較的きれいです。

この頃の金ケースは摩耗が進んだものが殆どですが、その中では状態は良いですね。14K GOLD FILLED とメッキが厚いことも幸いしています。

 

で、裏蓋を開けようとしたのですが、過去に分解をされていないのか、真鍮の腐食もあって、開けるのに苦労をしました。

 

機械も恐らく過去に分解を受けていないようです。すべて分解洗浄をしています。部品点数は少ないので楽ですね。

 

機械を薄く設計するために、間接中三針方式になっていて、一般的な本中三針とは歯車の配置が異なります。

 

地板と受けはきつ目にがっちりと合いますね。分解を繰り返されていないからでしょうか。きれいな機械ですので組立キズをつけないように注意をします。

 

組んだままで全く調整をしていない状態でも、ほぼ良好な調整となっているということは、あまり摩耗が進んでいないということでしょう。

 

このモデルでは、文字盤の外側に別部品のリングが嵌る構造になっています。

 

 

洗浄したケースに機械を収めました。天輪はセイコー・クラウンと同じように大径の設計となっています。初期型ではチラネジ付でしたが、この個体は以後のチラネジなしのタイプになっています。

 

光物の画像がきれいに撮れません。左はセイコー・クラウンの中では個性的な仕様ですが「デザインのシチズン」には敵わないという感じかな。PARA SHOCKの耐震装置とPHYNOXの切れないゼンマイ付き。

 

厚みを比較してみると、クラウンは、ぽっこりお腹でデラックスの薄さが際立ちます。

 

とんぼ出版発行「シチズン デラックス」にも似たようなデザインの文字盤が収録されていますが、当時の流行りだったのでしょうかね。安定したセイコーデザインも好きですが、気品のあるシチズンデザインも捨てがたいというところでしょうね。

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素性は良いのにPEN-FT(B)の巻

2018年02月15日 09時31分40秒 | ブログ

外観は、そこそこきれいな後期型のPEN-FT(B) #3445XXですよ。しかし、作動はロック状態で不動です。巻上げも出来ません。画像を見て頂くとセルフタイマーが途中で止まっていますね。みなさん、カメラが急に故障をすると、何故かセルフタイマーを巻いてしまうという癖があるんですね。このカメラは、巻上げが途中の状態でセルフタイマーを巻いてしまうと、両方が衝突して、ニッチモサッチモ動かなくなりますので厳禁です。

まぁ、その状態は応急で復帰をさせますが、故障をした原因は残っているわけです。底部を見ると・・なんじゃこれ? バネカケの角度が逆。スライディングロットのEリングが変。リード線の被覆を破ってテープで絶縁。

 

正規のEリングを紛失して大きなEリングを無理に縮めて着けた。折れちゃったけど・・

 

もちろん分解歴はあるわけですけど、かと言ってやるべきことはしていないという感じ。シンクロソケットのリード線をやり直している・・

 

カギバネを接着してありますが、この流儀の修理を良く見ますね。私は反対なのでオリジナル通りに分離しておきます。

 

画像では良く写りませんが、シャッターユニットがモリブデングリスでベトベトになっています。

 

リード線をテープで留めるのは正規ではありません。

 

 

では、ダイカスト本体を洗浄して組立をして行きます。

 

 

シャッターユニットを分解検証します。手前側からシャッター幕に押しキズがあります。これは前板を分離しなければ付けられないキズです。

 

ブレーキ軸のガタが異常に多いです。これでは正常な作動は出来ません。

 

 

34万台辺りからブレーキ軸はナットによる組立式になっています。これは、部品交換が出来ようにした設計変更ですが、代わってナットが緩むという新たな不具合を発生させることになりました。

 

シャッターユニット地板と部品を洗浄したところ。

 

 

ブレーキ軸を留めるナットのネジ山は二山しかないですね。硬質の緩み止めは塗布されているのですが、完全ではありません。

 

組み直したシャッターユニット。

 

 

本体に組み込んだところ。

 

 

作業中に誤って指や工具がシャッター幕に触れないように、すぐに裏蓋を取り付けておきます。

 

 

芯線が露出したリード線は新製しておきました。

 

 

ハーフミラーは劣化が認められますので新品と交換しました。

 

 

シャッターダイヤルや駒数ギヤなどにモリブデングリスが大量に塗布されていました。駒数ギヤ関係はごく一部を除いて注油はしません。粘りの原因。

 

あぁ、この個体は海外からの里帰り機だったんですね。トップ部分に打痕がありますので修正をしておきます。

 

結局、シャッターユニット以外にもミラーユニットの動きが良くありませんでしたね。複合的な要因が重なって故障となったものでしょう。ピント調整と露出計調整をします。

 

スライディングロッドのEリングは新品を付けました。正規の平和な眺めに戻りました。

 

フレネルのモルト貼りとリターンミラーの清掃をして作業終了かなと思いましたが、絞りのスライダー上部の剥げが気になりますね。

 

ちょっとタッチアップをしておきました。シゲジケ見る人も居ないでしょう。

 

 

本体は良いブラックになりましたよ。付属の20mm。少々曇りがあるんですね。今日は腰が痛いのでここまで。明日の作業です。

 

20mmは後玉のカビが目立ちます。コーティングを侵していなければ良いのですが・・

 

コーティングを痛めないように細心の注意をして清掃しました。まぁ、なんとか大丈夫かと・・

 

このレンズは右端レンズの内面が曇る持病がありますが、清掃できれいになりました。もしかして、この個体はカメラ本体とセットのレンズとすると、海外にあったために劣化を免れたのかも知れませんね。

 

変な分解も受けていてひどい状態でしたが、決して素性は悪くはない個体と分かっていました。トップカバーの凹みも殆ど気になりません。巻上げもスムーズで作動も良好な素晴らしいブラックモデルになりました。1970年3月製の個体。

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Nicca 3-Fのメンテナンスの巻

2018年02月12日 15時29分42秒 | ブログ

ガチャポンやった。ホンダ・モンキーは惜しくも生産終了となりましたね。排気ガスが基準に適合しないとか。いつかは手に入れたいと思っていたのですけどね。私の欲しかったのは1967年式のZ50M。シートがチェック柄のやつね。それか1969年式のZ50Aぐらいまでが、良い頃のモンキーと思います。イオンのガチャポンにモンキーがあるのを見つけて300円投入。種類は兄弟のゴリラも含めて5種類ありますが、一番オーソドックスなノーマル仕様が欲しいと思ったら、めでたく出ましたよ。赤城といい、勝率は高いです。

 

2003年式のZ50Jらしいです。ヨシムラのマフラーを付けた改造タイプもあるようです。

 

出来は、あまり良いとは言えませんね。製作はプラモデルメーカーのアオシマ文化教材社で、このメーカーはクルマやバイクのプラモデルを得意としていますが、食玩ものもやっているんですね。http://amzn.to/2CddkZ8

 

でと、腕時計の方でご常連さんがニッカの3-Fを手に入れて来ましたよ。外観も非常にきれいですね。シャッターダイヤルがグラグラで制御できませんしファインダーは曇っています。しかし、シャッターは低速まで快調に切れて幕もきれいです。

 

ファインダーの清掃や注油などをして行きます。バルナックライカを模していますが、内部はいろいろと異なっていますね。

 

シンクロターミナルは緩み止めのイモネジを緩めてゴムで回して分離します。

 

 

接眼枠を外します。レンズが脱落してくるので注意をします。

 

 

レンジファインダーのレンズと対物レンズ。このあたりはライカと同じですね。

 

 

これだけの部品を分離しないとトップカバーは外れませんね。

 

 

距離計のプリズムなどはきれいのようです。ハーフミラーは蒸着面は触らない方が良さそうです。

 

プリズムを分離しました。レンズの内側を清掃していきます。

 

 

裏側のメッキの掛かり方がライカとは全然違いますね。母材の真鍮が露出しています。ライカでしたら、ニッケルの下に銅メッキが厚く掛かっています。どうも銅メッキは掛かっていないようです。

 

底部の様子。基本的なレイアウトはライカに似ていますが、完全なコピーではありませんね。1stカーテンカムやブレーキの状態。

 

底蓋も比較的きれいです。あまり使われていないようです。

 

 

シャッター幕の状態は非常に良いですね。過去に交換されているのでしょう。レンズマウントにもすり傷やメッキの剥離が無く、純正レンズを取り付けたままだったようです。レンズはニッコール-H・C 50mm 1:2 こちらも使用された形跡はあまりありませんね。ft表示なので里帰り機なのでしょうか。

距離計の調整をしますが、調整ネジが固着していて動きませんでした。何とか調整完了。

 

縦ズレを調整します。

 

 

ニッカ 3-Fの発売は1956年(昭和31年)とのことですから、時代を考慮するときれいな個体ですね。第二次世界大戦勃発によりライカの輸入が困難となって、日本でも軍の指示によりライカコピーを製造したのがニッカの前身「光学精機」とのことですね。しかし、アメリカやイギリスの連合国側でもライカコピーが作られたとのことで、軍用として、どれだけライカが優れていたということですね。イ号潜水艦による遣独潜水艦作戦では、ドイツにゴム、錫、モリブデンなどの戦争遂行用資源を渡し、ドイツからはレーダー技術やジェットエンジンなどの新兵器技術がもたらされたのですが、ライカなどは供与されなかったのかな? そうそう、三式戦闘機「飛燕」の一部に装備されたエリコン 20mm機関砲などもそうでしたね。モーターによって不発弾を自動排出、自動装てんする機構と命中精度、破壊力は、国産の20mmより優れていましたが、結局、後の供給が無く消耗して終わりましたけどね。日本から自信満々で持って行った酸素魚雷などは、ドイツではすでに誘導技術に関心が移っていて、見向きもされなかったようです。大戦初期に進出した上海や台湾には、ヨーロッパの品物が豊富にあって、ライカなども容易に手に入れることは出来たようですけどね。

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