ペンスケ展の会場で、ご常連さんのフィルム関係者とお会いして、ミノルタ ミニフレックスとご愛用のPEN-FT(B)のメンテナンスをご依頼頂きました。4X4の127フィルムを使用する二眼レフは当時の流行色で塗装されて、小さく可愛いカメラですね。ドイツ空軍のメッサーシュミットかフォッケウルフのような色合いだなぁ。程度は非常に良く生産台数も少ないようですから、貴重な個体と思われます。レンズボードの繰り出にガタがあって、平行に繰り出さないという状態ですね。
PEN-FT(B)の方ですが、34万代としては、巻上げのフィーリングが最悪に近いですよ。
よくよく見ると、底蓋は再塗装(追加塗装)がしてありますね。理由は分かりませんが、多少の塗膜の剥離であれば、そのままの方が良かったような気もしますが・・・
では、ミニフレックスから見ますね。レンズボードとシャッターを分離してみます。特には破損している部品は無いようです。
均等に繰り出さないのは幾つかの原因が複合的に重なっているようです。ビンセット先のコの字型の部品が、ボードを均等に繰り出す機構ですけど、この動きがスムーズでないのです。
繰り出しはカムによって行います。セルフコッキングなどの機構は持たないため、非常にシンプルな構造です。
仮組みをして作動を見ています。繰り出しはまずまずと思いますが、構造が簡単なため力を掛けると多少のガタは出るようです。しかし、6X6に比較して小さいですね。ヤシカに同様なカメラがあったと思います。
ではFT(B)です。34万代としては巻上げフィーリングは最悪で、露出計も殆ど不動という個体。トップカバーを開けるためには、セルフタイマーレバーを外さなくてはなりませんが、ボタンが専用のレンチでも緩みません。ボタンの面取りが大きいため、レンチが滑ってしまうのです。仕方ありませんので裏技で開けます。
露出計は基板別体タイプが付いていますが、後年にSSにて交換された可能性が高いです。不動の原因を追究していくと・・あれ~、だめだぁ。Cdsが割れています。過去に強い衝撃を受けたのでしょう。通常では、基板別体タイプの露出計ユニットは感度が低下しているものは殆どありません。
シャッターユニットを洗浄して点検して行きます。磨耗は少ないのですが、ビスの緩みを発見しました。最後期のユニットですので、チャージギヤはナットによる組立式となっています。
ミニフレックスは完成。FT(B)はここまで組んでありますが、巻上げフィーリングはほぼ良好になっています。露出メーターが付いていないのは、オーナーさんのご意向で、FV仕様とする予定だからですよ。
Cds基板のパターン修復も検討しましたが、今回はこのままとして全反射ミラーに交換、FV仕様としてあります。セルフタイマーボタンは当方のオリジナルと交換してあります。ペンスケ仲間のオーナーさんですから、内蔵露出計は使わないですね。実用機としては良い個体となりました。