今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ローライフレックス3.5Fの巻

2021年02月07日 21時30分00秒 | ブログ

少し間が空きました。ローライフレックス3.5Fというやつですけど、1台のつもりで始めましたら合計3台ありまして、この個体が3台目です。メンテナンスなのでUPの予定が無かったのですが間が空きましたので簡単に書きます。3.5Fは最も完成されたモデルとのことで何種類かのタイプがあるようです。今回の中でも絞りダイヤルのロック機構が有るタイプと無いタイプがありました。

作動で一番気が付くのが巻上げの重さやゴリツキですね。クランク軸受け部を分離して清掃とグリス入れ替えをすると軽く作動するようになります。

 

フィルムの巻上げギヤはダイカスト孔に直接嵌っているのでグリスが切れた状態で作動をすると回転部の摩耗が進んでいます。

 

後から露出計を付けるとすると誰が考えても受光部はネームブレット下になりますわな。そこからフォーカシングダイヤルまで配線を引いています。フードは取り外し式でスクリーンもワンタッチで跳ね上げが出来ます。

 

スクリーンも簡単に脱着できます。この個体はスプリットが付いていてピント調整が楽ですね。

 

 

シャッターの外周がギヤになっていて、シャッターダイヤルギヤと直接連動して動きます。

 

 

フォーカシングダイヤル奥に見えるレバーと露出計ユニットのレバーが連動して追針式の針を動かしています。

 

巻上げレバーの動きを制御するこの片はベークライトに見えますが違うのかな? 厚みは0.5mmなので汎用の基板用ベーク板では厚いので代用は出来ないですかね。

 

 

3台目の個体は過去にいじられていてオリジナルでない部品や欠落している部品もあるようです。二重露光セットリングがクルクル回転してしまいます。レバーを分離して点検をすると、リング固定用のピンがありません。このピンは差し込まれているだけですので、知らずに分解をすると落としてしまいます。

ということでピンを作りました。

 

 

仮組をしてみると・・ちゃんと作動範囲でロックされます。

 

 

この露出計のカバーは純正ではなく社外部品だそうです。

 

 

中華製らしい純正タイプの社外品も存在していて供給されました。すでにフィルムインジケーターが取り去られていたので、メクラ用のグロメットを製作して接着しました。しかし、元々の社外カバーとは取付けネジの規格(M1.7)が違い使えないのでM2ネジを加工してカバーを留めました。露出計を本体に留めるM2ネジのネジ穴もそのままでは小さくピンバイスで広げて修正してあります。元のカバーはB-17の銃座に見えませんか? まぁ、これで完成です。

 

トミーのリペイント (sakura.ne.jp)

 

 

 

 


ローライ35を仕上げておきますの巻

2021年02月02日 21時55分38秒 | ブログ

今月16日(火)より銀座松屋にて「世界の中古カメラ市」が開催されますのでローライ35を3台ほどまとめてオーバーホールをしておこうと思います。最初はGERMANY製(3000201~3311000)ですが、#31488XXですので中期頃の個体になるのでしょうか。破れの無いしっかりとしたケースに入っています。すでに裏蓋開閉レバーはその後のタイプに変更されているタイプです。マニアさんは初期のタイプが良いのでしょうけど、レバー軸に使用過程でガタが多くなってカウンター板を留める爪が外れやすくなり、カウンターが進まないような故障が多いのです。実用なら変更後のタイプの方が良いと思いますけどね。

特に故障の部分はありませんが、各ギヤ列を分解して洗浄注油をして組み直します。巻上げギヤを外してみると・・ギヤの下に入っているはずのワッシャーがありません。ギヤの裏側に張り付いていることがありますので、過去の分解時に紛失したのでしょう。

 

過去にメンテナンス履歴のある個体ですので低速もしっかりと切れます。レンズも良好です。ファインダーは初期のプリズム式がそのままに残っている頃です。腐食も無く非常に良好です。分解洗浄と注油をします。

 

このワッシャーです。追加をして組みます。

 

 

シャッターユニットはシャッター羽根とレンズの清掃をしてあります。非常にきれいなユニットです。さすがにヘリコイドグリスは抜けていますので、清掃をして入れ替えてあります。この頃の露出計はCdsが劣化しているものがありますが、この個体は元気で作動します。

 

全体的にきれいな個体ですがトップ面の中央に歪がありますね。画像のように意識的に目立つようにして分かる程度です。ここは叩くのではなく、押し出すようにして修正をします。結果、殆ど目立たなくなりました。実用のGERMANY製が欲しい方はこの個体はお勧めです。

 

今日は、車の車検に出しに行ったり引取りに行ったりでバタバタしていました。最近の車検屋さんは一日車検で持ち込みが普通ですが、昔は引取りと納車も来てくれたのにな。安い分だけサービスが悪くなりましたね。で、2台目もGERMANY製で裏蓋開閉レバーが変更された個体#31212XXです。定番の低速不調とヘリコイドグリス抜けなどありますが深刻な故障には入りません。

初期のプリズム式ファインダーは黒い絆創膏のようなテープに巻かれてL型の接眼枠に板バネで固定されています。

 

露出計窓は2枚重ねになっていて、接着が弱く洗浄時に分離してしまうことが多いので再接着をします。お約束の巻上げレバーアテは製作して取り付けてあります。あぁ、この個体はHONEYWELLのダブルネームですね。特にプレミアムはないそうですけど。

 

ローライ35のテッサーレンズは回転繰り出しですからヘリコイドが1つのためグリスが抜け易いのです。カラカラに回ります。レンズはカビなどは無く、少しチリの混入がありますので分解清掃をしておきます。あっ、ft機ですね。組立時にmに直しておきます。

 

無限遠調整をして化粧リングを接着しますが、観察すると前縁に打撃による黒アルマイト剥がれが認められますのでタッチアップをしておきます。全体的には非常に良い個体ですが、ちょっと衝撃を受けたことがあるようですね。受けていない個体は殆どないと思いますけど・・

 

3台目はローライ35Sのブラックです。今回は程度が良い個体ばかりです。低速不調やファインダーの清掃などメンテナンスをして行きます。対物凹、接眼凸レンズによる逆ガリレオ式ファインダーを分解して清掃をしておきます。

 

スローガバナーの洗浄注油でシャッターは快調となっています。程度の良い個体でレンズやシャッターに問題はありませんが、ピントリングを回すと「カクカク」とした感触を感じます。

 

過去にメンテナンスを受けているようで、プレートが貼り直されています。

 

 

ピントリングなどを取り除いてガタの原因を探っていきます。と言うか、この場合はグリス抜けなのです。

 

ゾナーレンズはインナーとアウターにヘリコイドネジがあり、アウター側のグリスが沈胴チューブ内に拡散してネジ部がカラカラの状態になっています。レンズの清掃とヘリコイド洗浄で新しいグリスを塗布して組み立てます。

 

シャッターの連動やトンネルカバーなどを取り付けます。

 

 

ガタが消えて抵抗感のあるスムーズな回転になりました。無限遠調整後に前面プレートを貼って終了です。今回は状態の良い個体が揃いました。

 

 

トミーのリペイント (sakura.ne.jp)