昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[お取り扱い注意!] (三十二)

2013-08-28 18:22:02 | 小説
(三十二)

褒められることのなかった私は、久しぶりのことに、気分が高揚してきた。
事務的な会話しかなかった医師との会話が、これ程に弾むことはなかった。

「それでも、立派だ。
ねぇ、山本さん。

わたしもひとりなんだけどね、娘たちがあれこれと届けてくれる。
山本さん、あなたはどうなの? 

子供さんたち、行き来あるの?」

「いえ、それはないです…
別れた妻が、あることないこと吹き込んだんでしょう。

一度会ったきりでして。
まあ確かに、父親らしきことは、してやれませんでしたし。

貧乏暮らしをさせてしまいましたし…」


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