(一)
二〇一二年、元旦のこと。突然荷物が届いた。
「お荷物のお届けでーす。お取り扱い注意ですので、よろしくお願いしまーす。」
「元旦早々、ご苦労様です。」
ねぎらいの言葉をかけたけれども、その配達員はニコリともせずに立ち去った。
配達すべき荷物が滞っているのかもしれない。
“愛想のない男だな”と思ったものの、よくよく考えると男だったかどうか判然としない。
顔を見たような気もするし、見ていないような気もする。
どちらでも良いことなのだが、少し気になった。
届いた物は、一辺が三十センチほどの立方体で、何の表示もない箱だ。
会社名すらない。
「なんだ、こりゃ。
中身はなんだ? ちょっと待てよ、伝票ってあったっけ。
判子を押してないぞ。ま、いいや。」
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