昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

鼠小僧次郎吉 ~さると猿回し~ 二十二

2010-09-01 22:17:31 | 小説
それにしても、
小判だけでも
十枚はある。

他に、
二分判金
一分判金
一朱銀と、
数知れず和紙に包んである。

一分判金=一両の四分の一
二分判金=一両の二分の一
一朱銀=一両の十六分の一

勿論、
小判は草文小判=文政二年に改鋳されたもので、
以前の真文小判より悪質のものである
=当時の幕府が急激に貨幣の質を下げ、
その差でもって財政悪化を防いでいたのである。

だが、
一枚だけ、
佐渡小判金

約百年前に鋳造された最高級の小判で、
その当時には出回っていないもの
=があった。

恐らくは
『お守り』のつもりで、
親が持たせたのであろう。

次郎吉は、
そのズシリとくる重さにほくそ笑むと、
大事に懐にしまい込んだ。

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