(五)
「小夜子、小夜子。どうした、ボーっとして。
気分でも悪いのか? 久しぶりのキャバレーは、体に良くないか。
空気が悪いからな」
「気分が悪いですって! とんでもないわ。今あたし、猛烈に感動しているんだから」
「そうか、感動しているか。それじゃ感動している中、悪いんだがな。
課長さんに、ビールを注いでくれないか。
小夜子が注ぐビールは格別だ、なんて口を滑らせてしまったんでな」
武蔵に耳元で囁かれ、くすぐったさをこらえ切れない小夜子だ。吹き出しながら、
「いやあよ、そんなの。ただ座わっていればいいって、言ったじゃないの。
あたし、お酌なんていやよ」と、ぴしゃりと拒絶した。
「すまん、すまん。つい見栄を張っちまってな。
頼むよ、小夜子。大事な取り引き先の課長なんだよ。
ご機嫌をな、取っておきたいんだよ。
その代わり、小夜子の頼みを聞いてやるから」
手を合わせて拝みかねない風の武蔵に、
「どうしてもして欲しいの? しないと、会社に良くないの?」
と、悪戯っぽく尋ねてみる。
「あぁ、どうしてもだ」
「小夜子、小夜子。どうした、ボーっとして。
気分でも悪いのか? 久しぶりのキャバレーは、体に良くないか。
空気が悪いからな」
「気分が悪いですって! とんでもないわ。今あたし、猛烈に感動しているんだから」
「そうか、感動しているか。それじゃ感動している中、悪いんだがな。
課長さんに、ビールを注いでくれないか。
小夜子が注ぐビールは格別だ、なんて口を滑らせてしまったんでな」
武蔵に耳元で囁かれ、くすぐったさをこらえ切れない小夜子だ。吹き出しながら、
「いやあよ、そんなの。ただ座わっていればいいって、言ったじゃないの。
あたし、お酌なんていやよ」と、ぴしゃりと拒絶した。
「すまん、すまん。つい見栄を張っちまってな。
頼むよ、小夜子。大事な取り引き先の課長なんだよ。
ご機嫌をな、取っておきたいんだよ。
その代わり、小夜子の頼みを聞いてやるから」
手を合わせて拝みかねない風の武蔵に、
「どうしてもして欲しいの? しないと、会社に良くないの?」
と、悪戯っぽく尋ねてみる。
「あぁ、どうしてもだ」
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