ボクちゃん、元気にしていますか?
まだ一週間だというのに、一ヶ月以上逢っていないような気がします。
淋しいです。きっと、ボクちゃんのことだから浮気したでしょうね。
それとも、我慢してくれてるかな?
痴呆の介護は大変です。母がダウンするのも無理からぬことです。
もっと早くに、短期間であっても帰省すべきだったと、反省しています。
ボクちゃんには悪いけれど、もう少し実家に留まるつもりです。
一ヶ月位になるかもしれません。
母の状態が思わしくないのです。入院が長引きそうなの…。
丈夫が取り柄の母なんだけど。それ程に、介護というのは大変です。
もっとも、三年以上になりますから。
お姉さんも早く帰りたいけれど、ボクちゃんとニャンニャンしたいけれど、我慢します。
そちらは、晴天続きだそうですね。
こちらは、大変ですよ。毎日、雨か曇天です。洗濯物が乾かなくて、閉口します。
何せ失禁の連続で、毎日たくさんの洗濯物が出ます。
幸い部屋数は沢山あるので、一部屋を乾燥室にしています。
ストーブを焚いているのよ。ビックリでしょ!
そうそう、お願いがあるの。管理人さんに連絡しておきますから、お部屋の換気をして欲しいの。
泊まってもいいのよ。うぅん、是非にも泊まってください。
お姉さんのことを忘れない為にも、そうして欲しいなあ。それじゃあ、また手紙を書きますね。
牧子より
二週間ぶりの、牧子の部屋だった。やはりのことに、かび臭さが充満していた。
窓という窓を全開にして、外気をたっぷりと入れ込んだ。
主の居ない部屋は、どこか寂し気だった。
牧子の匂いに包まれるべくベッドに横たわる、彼もまたどっぷりと悲嘆の世界に浸っていた。
「一ヶ月か。長いなあ」
ベッドの上で、右に左にと転がりながら、牧子の匂いを追い求めた。
大きくため息をつきながら、先夜の耀子のことを思い浮かべた。
「浮気、しちゃったんだよなあ。そんなつもりはなかったのに、ランバーダだっけ。
毒気に当てられた。それにしても、官能的なダンスだった。
ポルノだよな、実際。あれじゃあ、どんな堅物でも落ちるよ。
でも、耀子さん。どういうつもりなんだろう。
『のぶこは、だめよ。どっぷりと、不倫にはまってるから』だなんて。
心配じゃないのかな? 女性というのは、あんなものだろうか。
ああもう、早く帰ってきてよお。
痴呆? そうだ。お母さんは、大丈夫だろうか。
この間の手紙では、『心配することはないですよ』って、あったけれど。
でも、いつもと違って、短い手紙だったよな。
やっぱり、疲れてるんだろうな」
誰にはなすでもなく、口から出ていた。
まだ一週間だというのに、一ヶ月以上逢っていないような気がします。
淋しいです。きっと、ボクちゃんのことだから浮気したでしょうね。
それとも、我慢してくれてるかな?
痴呆の介護は大変です。母がダウンするのも無理からぬことです。
もっと早くに、短期間であっても帰省すべきだったと、反省しています。
ボクちゃんには悪いけれど、もう少し実家に留まるつもりです。
一ヶ月位になるかもしれません。
母の状態が思わしくないのです。入院が長引きそうなの…。
丈夫が取り柄の母なんだけど。それ程に、介護というのは大変です。
もっとも、三年以上になりますから。
お姉さんも早く帰りたいけれど、ボクちゃんとニャンニャンしたいけれど、我慢します。
そちらは、晴天続きだそうですね。
こちらは、大変ですよ。毎日、雨か曇天です。洗濯物が乾かなくて、閉口します。
何せ失禁の連続で、毎日たくさんの洗濯物が出ます。
幸い部屋数は沢山あるので、一部屋を乾燥室にしています。
ストーブを焚いているのよ。ビックリでしょ!
そうそう、お願いがあるの。管理人さんに連絡しておきますから、お部屋の換気をして欲しいの。
泊まってもいいのよ。うぅん、是非にも泊まってください。
お姉さんのことを忘れない為にも、そうして欲しいなあ。それじゃあ、また手紙を書きますね。
牧子より
二週間ぶりの、牧子の部屋だった。やはりのことに、かび臭さが充満していた。
窓という窓を全開にして、外気をたっぷりと入れ込んだ。
主の居ない部屋は、どこか寂し気だった。
牧子の匂いに包まれるべくベッドに横たわる、彼もまたどっぷりと悲嘆の世界に浸っていた。
「一ヶ月か。長いなあ」
ベッドの上で、右に左にと転がりながら、牧子の匂いを追い求めた。
大きくため息をつきながら、先夜の耀子のことを思い浮かべた。
「浮気、しちゃったんだよなあ。そんなつもりはなかったのに、ランバーダだっけ。
毒気に当てられた。それにしても、官能的なダンスだった。
ポルノだよな、実際。あれじゃあ、どんな堅物でも落ちるよ。
でも、耀子さん。どういうつもりなんだろう。
『のぶこは、だめよ。どっぷりと、不倫にはまってるから』だなんて。
心配じゃないのかな? 女性というのは、あんなものだろうか。
ああもう、早く帰ってきてよお。
痴呆? そうだ。お母さんは、大丈夫だろうか。
この間の手紙では、『心配することはないですよ』って、あったけれど。
でも、いつもと違って、短い手紙だったよな。
やっぱり、疲れてるんだろうな」
誰にはなすでもなく、口から出ていた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます