豪華なステレオー装飾も派手で、
胴体の色は銀一色で前面にジャガード織りの布がかけられている。
さらに豪華という表現を満足させるのは、
スイッチなどの操作が必要のない、全てオートマチックということだ。
唯一気になるのは、ジャガード織りの中央に、レンズのような物があることだ。
夕方になると、太陽光線を反射するのかキラリキラリと光る。
そしてそのステレオの上の壁には、
その艶やかな肌に不覚ナイフの傷跡を残し、それでも穏やかな表情の能面があった。
そう言えば、食事に出される食器からナイフがなくなったのは、
その傷跡が付いた後だったような…。
今は亡き母にも似たその面は、
生きている人間の意思など無視しがちなある種の威厳を感じさせ、
部屋全体に重くのしかかっていた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます