昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

心象風景  第三弾:【ある時の彼女】 (十二)

2010-06-02 18:15:39 | 小説
(確信は確信でしかない)

そしてその感銘は、
母らしき女性のいないことにより、
なお増大した。

忘れられた子どもと、
裏切られた自分とを結びつけて、
喜びに胸をふるわせた。

彼女は、
この子どもに自分の全てを賭けてもいいとさえ思った。

彼女はまだ子どもを産み、
育てた経験はない。

しかし、
生みの親よりも、
もっともっと深い愛情を、
この子どもに注ぎうるという、
自信を確信していた。

しかし、
その確信はやはり確信でしかなかった。

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