昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

蒼い恋慕 ~ブルー・れいでぃ~ (不安)

2010-01-04 03:26:31 | 小説
色とりどりの華を咲かせるネオンサイン。
赤あり紺あり緑あり、はては黄ありのネオンサイン。

少年の心の憂鬱さにくらべて、あまりに華でありすぎる。
それに染まらぬその中に溶け込めぬ己が、少年は腹立たしかった。

良い子であり過ぎた、己の過去を忌まわしく感じている。
優等生の己が腹立たしかった。

川の中に投げ込まれた石でもって波紋を呼んだとしても、
その後に来る平穏な水面を考える時、不安だった。

この快楽の巣である街にたった独りでいることが、
そこに溶け込めないことが、何よりも不安だった。

そしてその不安は、うろうろとうろつく野良犬が出現すれば、
少年の独歩の意味が跡形もなく消え去るかと思える不安だ
った。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿