昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[ブルーの住人]第八章:ついでに ~罪と罰~

2024-08-31 08:00:12 | きもち

=推察=

しかし、わたは嫌だった。なにより臭い。体に染みつく、ツンとくるにおいには閉口した。

ネズミはジッとしていない。落ち着き払っているネズミは、重病である。

べつの意味で、気をつけて世話をしたものだ。

とにかく、嫌だった。が、いまでは懐かしく思えてくる。

それはその仕事ではなく――あの臭いに耐えられない現象ではなく、その本質=具現化されるものではなく、観念的に懐かしく思うのだと、推察する。

故郷をはなれた人が、生まれ育った地の、風や匂いをなつかしむがごとくに。



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