(十)
「いいわよ、自分で食べられるわよ。」
もう子供じゃないの! と言わぬばかりに、勢い良く吸い込んだ。
口の中に広がる初めての味、そして食感。
スープが鼻に飛びついた。
熱さを感じるものの、飛び込んでくる香りが美味さを引き立てる。
「美味しい!」
思わず口に出た。
「そうだろう、美味いだろう。
日本人と言うのは、ほんとに天才だぞ。
他所の国の料理だろうとなんだろうと、作り変えてしまう。」
ひと口ふた口と進むにつれて、小夜子にも勢いが出てきた。
おつにすませて食べることなく、ずーずーとかけこんでいく。
そんな小夜子の食べっぷりを見て、ひとり悦に入る武蔵だ。
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