昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (五十六)の十

2013-03-23 20:00:11 | 小説

(十)

「いいわよ、自分で食べられるわよ。」

もう子供じゃないの! と言わぬばかりに、勢い良く吸い込んだ。

口の中に広がる初めての味、そして食感。

スープが鼻に飛びついた。

熱さを感じるものの、飛び込んでくる香りが美味さを引き立てる。


「美味しい!」
思わず口に出た。

「そうだろう、美味いだろう。

日本人と言うのは、ほんとに天才だぞ。

他所の国の料理だろうとなんだろうと、作り変えてしまう。」


ひと口ふた口と進むにつれて、小夜子にも勢いが出てきた。

おつにすませて食べることなく、ずーずーとかけこんでいく。

そんな小夜子の食べっぷりを見て、ひとり悦に入る武蔵だ。


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