(七)
「へえへえ。違いますか、田舎の娘は。」
涎をたらさんばかりに、身を乗り出してくる。
「小夜子は違いました。
どんなに金を見せても、初めはなびきませんでした。
驚きましたよ、実際。」
気付くと、二重三重の人垣になっている。
他の座から、若い男たちが来ている。
都会生活のことを知りたがる者もいれば、都会の女を嫁にできないかと考える者もいた。
「おやめなさい。
生き馬の目を抜くところです、やめた方がいい。
社会もそろそろ落ち着いてきました。
ひと山当てるには、ちょっと遅いですよ。
失礼ですが。
大学出ならばいざ知らず、まともな教育を受けていない者では。
戦後の混乱は、もう収まりましたからね。
今から勉学に勤しむ気概を持っているなら、わたし、応援しますよ。」
「へえへえ。違いますか、田舎の娘は。」
涎をたらさんばかりに、身を乗り出してくる。
「小夜子は違いました。
どんなに金を見せても、初めはなびきませんでした。
驚きましたよ、実際。」
気付くと、二重三重の人垣になっている。
他の座から、若い男たちが来ている。
都会生活のことを知りたがる者もいれば、都会の女を嫁にできないかと考える者もいた。
「おやめなさい。
生き馬の目を抜くところです、やめた方がいい。
社会もそろそろ落ち着いてきました。
ひと山当てるには、ちょっと遅いですよ。
失礼ですが。
大学出ならばいざ知らず、まともな教育を受けていない者では。
戦後の混乱は、もう収まりましたからね。
今から勉学に勤しむ気概を持っているなら、わたし、応援しますよ。」
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