「おいしい? なんだか、早苗もお腹空いてきちゃった。おばさん、早苗にも作ってくれる?」
「食べてないのか、お昼は」
「食べたんだけど…お兄ちゃんが、あんまり美味しそうに食べるから…」
「大食いだなあ、相変わらず。太るぞ、それじゃあ。そういえば、少し太ったんじゃないか?」
「お兄ちゃんの、意地悪う! 太ってないよお、早苗。
おっぱいが膨らんだだけ。触ってみる?
おばさんには負けるけど、クラスで一番だよ」
誇らしげに、早苗は胸を突きだした。確かに、セーターが盛り上がっている。
厚着のせいかと思っていた、彼だった。
「どれどれ、本物か?」
彼は指をくねくねさせて、手を伸ばした。
「いやだあ。お兄ちゃんの手、いやらしいぃ」
と嬌声を上げて、早苗は小夜子の元に逃げた。
早苗には言える戯れ言が、今では彼の楽しみになっている。
由香里が同じ行為をしたとしても、こんな風に受け答えはできない。
父親の存在がのし掛かっていることだけではない。
早苗と由香里、それぞれにひとりの人格を持っていることもある。
しかしそれだけでもない。幼いころから早苗の遊び相手になっていたこともある。
小夜子は彼を軽く睨みながら、
「はい、できましたよ。タケくん、ひとつずれてくれる? 早苗ちゃん、となりに座ってね」
と、器を置いた。
「あっ!」
思わず口をついて出た。
「どうしたの、急に。びっくりするじゃないの」
〝お母さん…あなたがいるから…〟
「食べてないのか、お昼は」
「食べたんだけど…お兄ちゃんが、あんまり美味しそうに食べるから…」
「大食いだなあ、相変わらず。太るぞ、それじゃあ。そういえば、少し太ったんじゃないか?」
「お兄ちゃんの、意地悪う! 太ってないよお、早苗。
おっぱいが膨らんだだけ。触ってみる?
おばさんには負けるけど、クラスで一番だよ」
誇らしげに、早苗は胸を突きだした。確かに、セーターが盛り上がっている。
厚着のせいかと思っていた、彼だった。
「どれどれ、本物か?」
彼は指をくねくねさせて、手を伸ばした。
「いやだあ。お兄ちゃんの手、いやらしいぃ」
と嬌声を上げて、早苗は小夜子の元に逃げた。
早苗には言える戯れ言が、今では彼の楽しみになっている。
由香里が同じ行為をしたとしても、こんな風に受け答えはできない。
父親の存在がのし掛かっていることだけではない。
早苗と由香里、それぞれにひとりの人格を持っていることもある。
しかしそれだけでもない。幼いころから早苗の遊び相手になっていたこともある。
小夜子は彼を軽く睨みながら、
「はい、できましたよ。タケくん、ひとつずれてくれる? 早苗ちゃん、となりに座ってね」
と、器を置いた。
「あっ!」
思わず口をついて出た。
「どうしたの、急に。びっくりするじゃないの」
〝お母さん…あなたがいるから…〟
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