昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

昭和の恋の物語り (七)

2012-12-08 13:50:44 | 小説
再掲載作品です。
(前タイトル:風よ、伝えて! ~恋のGT~)

昨年(平成23年)、市文芸祭に出品しました。
市長賞(二位)を頂きました。

審査員の方に、
「真理子ちゃんのお話がもう少し欲しかったですね。」
と言われました。

三十枚という制限の中では、どうしても書き切れませんでした。
で今回は、そのことも含めて少し書き足しました。
~~~~~~~~

(七)

信号が赤だ、全くしまらない。

3ナンバーが、静かにタイアを軋ませることもなく出て行く。
俺は急いで、グンとアクセルを踏み込んだ。

そしていつものように忙しなくギアチェンジを繰り返しながら、車の尻を叩いた。
が、ギアがトップに入った時には、彼の車は次の信号を渡り終えている。

なんと情けない。声が出なかった。
しかし考えてみるに、3,000ccの大型車と同じ加速を360ccの軽自動車に望むのは所詮無理である。

生まれたての赤ん坊に、高校生との100m競争で勝て! と要求するが如きものだ。
富士山をつるはしで崩せ! ということである。

俺はそう考えることで、ようやく自分の気持ちを落ち着けた。


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