(六)
奥から手ぬぐいを持って、若い仲居がドタドタと走ってきた。
「これこれ、おたまちゃん。
そんな走ってはいけませんよ。
申し訳ありません、躾がなっておりませんで」
「うん、なになに。
若いんだ、仕方ないですよ」
口ではそう言いつつも、心内では宿選びに失敗したかと舌打ちした。
若い仲居が、ぼーっと立ち竦んでしまっている。
この地では中々に出会うことのない美男子の武蔵だ。
ぬいの目にも、それは同じだ。
しかも上客だ。
仕事関連とあれば、連泊になるに違いない。
何としても常連客にしたいと考えている。
色気で釣るつもりはないけれども、表情が柔らかくなるのは当たり前か。
つい、艶めかしい目つきで、武蔵を見てしまう。
熱海の女将とは違った雰囲気を醸し出している、女将のぬい。
武蔵の虫が、ざわざわと騒ぎ始めた。
しかし何と言っても、新婚だ。
いかな武蔵でも、暫くは大人しくしていようと思っている。
奥から手ぬぐいを持って、若い仲居がドタドタと走ってきた。
「これこれ、おたまちゃん。
そんな走ってはいけませんよ。
申し訳ありません、躾がなっておりませんで」
「うん、なになに。
若いんだ、仕方ないですよ」
口ではそう言いつつも、心内では宿選びに失敗したかと舌打ちした。
若い仲居が、ぼーっと立ち竦んでしまっている。
この地では中々に出会うことのない美男子の武蔵だ。
ぬいの目にも、それは同じだ。
しかも上客だ。
仕事関連とあれば、連泊になるに違いない。
何としても常連客にしたいと考えている。
色気で釣るつもりはないけれども、表情が柔らかくなるのは当たり前か。
つい、艶めかしい目つきで、武蔵を見てしまう。
熱海の女将とは違った雰囲気を醸し出している、女将のぬい。
武蔵の虫が、ざわざわと騒ぎ始めた。
しかし何と言っても、新婚だ。
いかな武蔵でも、暫くは大人しくしていようと思っている。
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