(五)
「だって、だって……
タケゾー、いつも元気だから。
あたしが疲れている時でも元気だから。
夜、元気だから。
夜遅くなった時でも、朝になったら元気だから。」
顔を真っ赤にして、声も小さくなっていく。
「あぁ、あのことか。
ハハハ、そりゃ元気だぞ。
小夜子を抱いているんだからな、元気そのものだ。」
「ばか! そんなこと、大きい声でなんかだめ!」
「悪かった、悪かった。
まっ、しかしだ。
みんなが知ってることだから、良いじゃないか。
そうだ! 小夜子にご褒美をやろう。
欲しい物、あるか?」
「欲しい物? ある、ある。
あたしね、靴が欲しい。
それもね、赤い靴が。
病院でね、お歌を聞いたの。
♪赤い靴、履いてた女の子ー♪
知ってる? このお歌。
タケゾーは、知らないわね。」
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