昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (五十三) 五

2013-01-03 12:22:15 | 小説

(五)

「だって、だって……
タケゾー、いつも元気だから。

あたしが疲れている時でも元気だから。
夜、元気だから。

夜遅くなった時でも、朝になったら元気だから。」

顔を真っ赤にして、声も小さくなっていく。

「あぁ、あのことか。
ハハハ、そりゃ元気だぞ。
小夜子を抱いているんだからな、元気そのものだ。」

「ばか! そんなこと、大きい声でなんかだめ!」

「悪かった、悪かった。
まっ、しかしだ。
みんなが知ってることだから、良いじゃないか。

そうだ! 小夜子にご褒美をやろう。
欲しい物、あるか?」

「欲しい物? ある、ある。
あたしね、靴が欲しい。

それもね、赤い靴が。
病院でね、お歌を聞いたの。

♪赤い靴、履いてた女の子ー♪

知ってる? このお歌。 
タケゾーは、知らないわね。」


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